今年の4月に晴れて大学生になったわけだが、思い描いていた楽しい大学生ライフなど気が弱く、面倒くさがりで根暗で対人恐怖症の僕には微塵も用意されているはずもなかった。大学生になればきっと変われると思っていた自分が馬鹿だった。
理系の大学のせいか、必修授業や実験などで4,5人の班に分かれることが多かった。まさか大学生になってこんなにも班行動をさせられる羽目になるとは誤算だった。当然、僕はあまり者の班になり、その中でも浮いていた。
そしてもう一人浮いていたのがアズマだった。アズマとは別にウマがあったとか趣味が同じだったとかではなく、集団からはじかれはじかれしているうちになんとなく一緒にいることが多くなったってだけの関係だった。少なくとも僕はそれ以上の関わりを持ちたいとは思っていなかった。
1時間目の有機化学の講義の後に、いつの間にか後ろの席に座っていたアズマが
と、唐突に言った。
最初は何のことか分からなかったが、そういえば来週までに実験のレポートを出さなければならなかったことを思い出した。
それじゃよろしく、といってこちらの返事も聞かずにそそくさと教室を出て行ってしまった。少し様子が変で気にかかったのだが、実験のレポートで分からない所があったし友達のいない僕には好都合だった。
2時間目、3時間目はアズマとは別の講義を取っているので顔をあわせる事もなく過ごした。そして4時間目の解析力学、アズマもこの講義を取っているはずなのに出席していなかった。
自分から言っておいてすっぽかすつもりかよ。僕はちょっと苛々しながらアズマに電話をかけようかどうしようか思案しながら二つ折りの携帯電話を開いたり閉じたりしていた。結局、電話をかける決心もつかないまま教室には僕一人取り残されてしまった。どうせレポートの提出日はまだ先だし、明日もアズマと同じ講義があるから今日は帰ろう。そう思い教室を出た。
そこには、まるでアニメの主人公がつけていそうな真っ赤で馬鹿げたくらい大きなリボンをした美少女がそこに立っていた。いや・・・正しくは青年なのだが。
その馬鹿げたリボンさえ似合ってしまっている清楚で可憐な立ち姿は女にしか見えないのだが、ほんのり薄く化粧された顔は、どう見ても絶望的にアズマだった。アズマは体が華奢で、すっとした顔立ちをしていたし長髪だったたので中性的な雰囲気は持っていた。・・・持ってはいたが、信じられない。顔は確かにアズマだと認識できるのだが信じられない。あまりの衝撃に相当長い間固まっていたと思う。
「あ、あの・・・僕はこういう趣味があるんだ。で、でも、女装が趣味ってだけで好きなのは女性だし、そっちの趣味はないから・・・」
「そ、そうなんだ・・・」
ようやく言葉を発することは出来たが、まだ頭の中は固まったままだった。
固まった頭に追い討ちをかけるようにアズマは続けた。
「今日これから少し付き合ってもらえないかな?」
「は? えと、その前にこの状況がまだ理解できてないんだけど・・・」
「ネットで知り合った女装が趣味の人たちとオフ会をやるんだ。」
「ちょっとまって。ちょっとまって。無理だよ。他をあたってくれよ。」
「他って・・・他に頼める人なんていないよ。分かるでしょ?」
確かに、ここ数ヶ月同じ大学で過ごしてきたんだ、僕同様アズマにも友達がいないことぐらい分かっていた。アズマはネット友達に彼氏がいると嘘をついてしまったらしい。その辺の詳しい経緯はどうでも良かったが、もう後には引けない状況なのだそうだ。僕も最初は本気で断ったし半ばキレ気味だったと思う。しかし、こともあろうにこのアズマという男、女の武器を使ってきやがった。他に頼める人がいない、本当にフリをするだけでいい、これっきりにするからなどと泣いて懇願してきたのだ。頭ではアズマだと分かっているはずなのだが、目の前にいるのはどう見ても泣き顔の美少女なのだ。とうとう僕は負けてしまった。もう半分以上やけっぱちで了承してしまっていた。
数時間後、僕はもうどうにでもなれという自暴自棄な気分でカラオケボックスで3組のカップルがそれぞれの彼氏を紹介しあっている風景をながめていた。
にこにこと屈託のない笑顔でアズマは僕を紹介した。
自分の名前を呼ばれ否応なしに現実に引き戻された僕は、事務的に
「どうもニシノです。」
と言って、軽く会釈した。そして、初めて他の4人の男の顔を確認した。この時急に、この4人の男に僕がアズマの彼氏だと思われていることを実感し、足つぼマッサージをされているかのような痛みがぐりぐりと僕の心を襲い、その痛さに身もだえして声が漏れそうになるのを必死に我慢した。
「楽しもうね!」
人間関係を築いていく王道は、関係を作ることに伴う面倒なことを
引き受けることにあるんじゃないかと思う。
こういう考え方は効率よくやろうとか、目標に向かって一直線という考え方からは出てこない。
人間関係は常に回り道。
ソニーだと思いまふ
「増田なんて不要だ!リソースの無駄だ!電力の浪費だ!株主にとって損失だ!今すぐ廃止しろ!」
…というような
心底どうでもよい似非正義を堂々と振りかざして鬱勃たるマイナス感情を臆面なくさらけ出し、「俺はやった、論破してやった!」という具合に矮小なプライドを誇示することでストレスを解消し、日頃のエンドレスな抑圧から束の間解放されるという、非常に立派な効能があるじゃないか。
実際、自分のことを棚に上げるのってとてもすかっとするもんなんですよね。
こんな場所、なかなか無いよ。君。
ただ自分の近況を話すだけならばそうではないけれども。
久々に会った友人と話す時はなかなか嬉しさもあってそういうところもあるだろう。
人によりけり。
度が過ぎなきゃ自分ががんばっている部分を口に出していいと思うよ。
友人にそういう人が多くて、視線に困る。
みんないろいろと努力していて、進行を食い止めているみたい。
でも逆に、俺は毛量がとても多くて困っている。
今でこそ腕のいい美容師を見つけたからなんとかまとまっているけれど、昔はきつかった。
友人はよく俺の頭を見ながら「いいなぁお前」とため息をつく。
こっちだってそれなりに苦労してるんだけどなぁ。
でも言えない。
一ケースとして、参考までに。
同棲しましたがうまくいかずに結局別れました。
いっしょに暮らしたら最高だろうとか思ったら、
これがたいへんでした。
生活なので、食事とか掃除とかゴミ捨てとか洗濯とかいろいろあるし。
問題は、そういうのについて気持ちよく話し合えるかどうかですよね。
あと、身についた感覚の差がけっこう大きいと思う。
たとえば部屋のきれいさの許容度とか、お金の使い方とか。
このあたり、お金がたくさんあればだいぶ解決できるような
気もするけど(たとえば広い部屋を借りれたり)。
うまくいくと楽しさが何倍にもなるし、
うまくいかないととても悲しいことになる。
ハイリターンを得ようと思うならば、ハイリスクを背負うしかない。
ってことなんでしょうけどね。
結論はないです。やりたきゃやってみればという感じ。
楽しかったり悲しかったり、ぜんぶあなたの人生ですよ。
若いうちにはげたくない。
これが率直な気持ちだ。
年取ってからならしょうがないかなとも思う。
でもできればはげたくない。
雨が地肌にあたる。さびしく悲しい。
俺は20代から老いを感じなくてはいけないのか。
これはひとつの喪失感なのだろうか。
何故って敷居が低いからなんだけど、
どっちがいいかなんてぶっちゃけ作るものによるだろうから、両方で作ってみればいいんじゃないかな。
とりあえずあなたの作りたいものの一部(簡単そうな部分)について、デザイン設計して、perlとPHPの両方で書いてみるの。
どっちが自分に向いてるか、自分のやりたいことに向いてるか、書いてみるのが早道だと思うな。
もっとも、絵とか文字とかちょっと動かす程度ならJavascriptが手軽だと思うよ。
「俺の靴舐めろよ」
目の前のヤツの声が、どこか遠くから響いたように感じられた。
僕に向けて言ってる。
僕に?
靴を?
抗いたい気持ちと恐怖とが入り交じる中、僕はいつしか膝を折っていた。
ギャラリーが遠巻きに見つめている。
視線を感じる。
マジでやるの?
かわいそうじゃない?
早くしろよ。
そんなことを言っている気がするが、聞こえない。
周囲の声は自分の周りをめぐるだけで、僕の耳にはかすかに届くだけ。
それよりも鼓動の音が響く。響く。
もう抗えなかった。
僕は、靴を舐めさせられた。
汚れた合皮と砂の舌触り。
笑い声が聞こえる笑い声が聞こえる。
うるさい。
うるさい!
このまま死んでしまいたい。
そんなふうにさえ思った。
鼻の奥がツンとなる。
涙が止めどなく溢れてくる。
笑い声は止まらない。
そこで目が覚めた。
あれ以来、高圧的なヤツには例外なく反感を持つようになった。
上司としては当たり前の振る舞いだろうと、俺は憎む。
そいつらを下に見るためには、俺自身が上に行かなければならない。
俺が見下す側にならなければならない。
「社長、到着しました」
ハイヤーが止まった。
「どうしました。顔色が…」
「いや、大丈夫だ」
運転手がドアを開けた。
俺はアスファルトをしっかりと踏みしめる、身なりに似合わぬ汚れた靴で。
始末完了する前に三行半突きつけられませんか