'80 年代の共和党レーガンから '90 年代のパパ・ブッシュに移った時期、日本はバブル崩壊の衝撃が社会を覆い始めた頃だった。
ただ、それまでの日本経済は生産から消費までアメリカのそれを明らかに圧倒していた。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とまことしやかに言われたのもちょうどその頃である。
経済が不調なアメリカの政権が衆目を集めるためにやったこと、それは言うまでもなくイラクのクウェート侵攻への介入だった。その泥沼が息子ブッシュの時代にまで受け継がれているとは何たる皮肉か。
パパ・ブッシュは、しかしながら、人気取りには失敗した。そこで登場したのが民主党の若手クリントンだった。彼の新興・ベンチャー振興策で IT 企業が潤い、20 世紀末に「IT バブル」が起きたのは知ってのとおり。
だが、クリントンはつまらないセックス・スキャンダルで失脚に至ることとなった。
翻って見た今の日本。
小泉構造改革を受け継いだとされる安倍政権は鳴かず飛ばずで、先の参院選では「歴史的大敗」を喫してしまった。一方アメリカでは、それまで過熱していた土地バブルがサブプライムのデフォルト問題によって今まさに崩壊しようとしている。
こういうときの日本に必要なのは、まさにクリントンのような人物だ。
クリントンが日本に登場すれば、少なくとも IT 企業は潤う。そして、IT がつかみどころのないモノから、本当に企業の業務プロセスの変革に寄与するモノとなるときが来るかもしれない。
そうなったときは、これまで「デジドカ」と呼ばれていた人がやっと陽の目を見ることになるだろう。また、インドをはじめとする近隣諸国の人材も多く流入してくるに違いない。
そうやって日本経済が潤ってきたところで、利権に不慣れな民主党はスキャンダルで政権を追われ、再度自民党の支配に戻る、というシナリオで良いのではないか。
歴史は繰り返すと言う。