はてなキーワード: hvとは
車を買おうと思った。
買うなら最先端マシンのハイブリッドがいいと思った。そしてコンパクトカーがいいので、自然と選択肢はアクアか新しく出るフィットHVに絞られた。
まず行ったトヨタディーラーで、アクアに10分ほど試乗した。静かでいい乗り心地で、とても心を惹かれた。
アクアに色々つけて値引きがされて、30万以上の値引きが付き200万ポッキリという見積もりが出た。もうフィットHVを待たずに決めてもいいかと思ったが、少し慎重になりレンタカーでアクアを借りて、一日中乗り回してみることにした。
最初は静かな乗り心地にとても満足していた。モーターだけのEV走行と、エンジンも回すHV走行と、切り替わっても全くわからないくらいに静かだ。しかし、しばらく幹線道路を巡航していて気づく。
気がつけば加速していく。アクセルはそのままなのに。
信号後の発進でスピードが出ない。さっきと同じだけ踏み込んだのに。
このチグハグ感はなんだ?
しばらく悩んだが、ディスプレイを見て気がついた。この違和感はあるランプのオンオフと関係していた。EV走行と、HV走行の差だ。
アクアのモーターには意外と力があり、50〜60km/hぐらいの速度を出してもまだEV走行を続けられる。さすがにその状態が長持ちはしないのでHV走行に切り替わるのだが、その時にパワーが出る分踏み込み量をEVモードの時から維持したままだと加速していってしまうのだ。
そして低速だから絶対にEVモードというわけでもない。EVモードとHVモードは速度と充電量が関係しあって決まるらしい。つまり、充電量が少ないと発進したばかりの低速時からHVモードの時もある。これが発進時の加速感の違いになっている。
気に入らなかった。とても気に入らなかった。
だが、EV走行とHV走行でアクセルの反応が違うというのはよく考えて見れば当たり前の話だ。だって使ってる動力が違うのだから、同じ反応になるわけがない。それに、エンジンがとても静かだから切り替わったことにすぐに気づかず、それがまたアクセルの反応の違和感を加速している。そこがハイブリッド車独特の乗り味ということで気に入ってる人もいるのだろうが、俺はそうは思わなかった。俺はもっと素直な車がいい。
だから、ハイブリッド車を買うことはすっぱり止めることにした。
これはアクアの特性ではなくハイブリッド車の特性だから、フィットHVも同じだろう。そう思って新フィットの発売も待たずにとっとと他のガソリン車に決めてしまった。
しかし俺は不思議に思った。アクセルの反応が毎回違うというのはかなり致命的な欠点だと俺は感じたが、ハイブリッド車のレビューなど見ているとその点に言及している人は見ない。みんな鈍感なのか、それとも俺が変なのか。そう思いながら2chの新フィットスレを興味から眺めていると、やっぱりいた。ハイブリッド車に俺と同じ違和感を感じている人がチラホラと。しかし、真に受けてはもらえず工作員扱いしかされていなかった。雑誌などでそうした話がないのは、ハイブリッド車にネガティブなことを書けないからか。
だから俺はここで言おう。ハイブリッド車のアクセルには癖がある。同じ反応が帰ってこない。つまり、思ったように車を動かせない。そしてそれは危険につながる。THS2もi-DCDも同じだ。
今まで自分にとってあまりにも自然な感情であったため気づかないでいたが、乗り物に乗ることが好きだ。30にもなって初めて車を買う段になってあれこれ考えていてようやく気づいた。
例えば子供の頃、祖父母の家に行くときは祖父母に会えることやいとこに会うことよりも、10時間以上車に乗っていられるのが一番楽しみだった。ファミリーカーの中で兄弟や母が疲れて寝ている時でもずっと起きていて、ドライバーの父と話をしていた。
例えば日常でも、車や電車に一度乗ったら30分は乗り続けていたい。どこに行くにも車で30分はかかる田舎に住んでいるから当たり前だと思っていたが、15分しか車や電車に乗れないと不満を感じるのは明らかに変だ。
例えば大学時代、目的地もなく3時間以上自転車を乗り回してあちこちに出かけていたのも、よく考えればおかしい。調布~立川間を自転車で往復したのは1度や2度ではないが、立川で何かをした記憶はない。
例えば旅行でも、飛行機の国内便では不足を感じる。何のって、飛行機に乗ってる時間の。1時間程度じゃ全然足りない。ハワイ便の7時間ではさすがに満足したが。
例えば通勤。片道20キロを原付で通っていると言うとみんなに驚かれる。正直、何をそんなに驚かれるのか全く分からない。でもみんなが驚くからやっぱり何か変なんだろう。
車を買うにあたって乗り物のことを色々考えて、ようやくこれらがなんか変だと気づいた。自分にとってはあまりにも当たり前すぎて今まで疑問を感じたことすらなかった。不思議なのが乗り物に乗ってることだけが好きで、乗り物のメカニズムにはほとんど興味が無いこと。原付に乗っていてエンジンの回転数がわかればいいなぁと時々思っていたが、そのためのメーターがタコメーターという名前だと知ったのは車の購入を真剣に考え始めてからだ。車や電車の車種にも全く興味がなかったし、西之園萌絵の車のエンジン音が好きだからカーオーディオをつけないというスタイルも高校時代に読んだ当初は全く理解できなかった。今はわかるようになったが。
こういう事に気づいてみると、今までの人生で理解できなかった出来事が腑に落ちるようになった。北海道まで旅行に行くのに電車で行くつもりまんまんでいたら変人扱いされたこと。結局飛行機で行ったけど、電車じゃなくなったのがとても残念だった。借りた車に友達を乗せて道に迷い3時間ほどフラフラ走っていたら疲れた顔をされたこと。私自身はちょっと遠回りになったけどドライブ楽しいよね、としか思ってなかったのでなんで友達があんなに疲れた顔をしていたのか分からなかった。今は、そうか、普通の人は長いこと乗り物に乗るのは嫌なんだ、と分かる。でも、その程度にしか分からない。
なんでこんなことに今更気づけたかというと、自分の車選びの一番の基準が楽しそうか否かである気づいたからだ。最初楽しそうだったのはハイブリッドカーだ。燃費の事も考えていたけれど、結局のところハイブリッドカーは楽しそうだというのが一番の動機だった。なので実際にレンタカーでハイブリッドカーを借り、一日300kmほど乗り回してみたが(今までほぼペーパーだったのにいきなり300kmも車に乗れるのがまた変だと思われる)、EVモードとHVモードがとても静かに入れ替わり、そして入れ替わるたびにアクセルの踏み具合が変わるのに慣れることが出来ず、ハイブリッドカーはすっぱり諦めた。たぶん街乗りでストップアンドゴーを繰り返す人やこまめにスピード調節する運転のうまい人なら気にならんのだろうけど、私は運転下手だし田舎に住んでるし。
で、結局お財布のこともそれなりに考えた結果選んだのはスズキのスイフトだ。一番の決め手は、安いのに楽しそうということだった。今は納車が非常に楽しみ。毎日車に乗る生活になったら、乗り物に乗ることがとても好きな私の何かが変わるかもしれない。