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はてなキーワード: 道尾秀介とは

2023-04-02

タモリ倶楽部企画で思い出深いやつ

はてなは昔から観てた年寄多そうだら色々ありそう

そんなにきちっと録画とかとかメモとかしてたわけじゃないけど、なんとなく自分が思い出すのを備忘録的に書いとく。タイトルも内容も記憶に頼ってるので正確じゃないけど。

多分、ネット検索すれば放送日とか細かい内容とか出てくるだろうし、ものによっては動画もありそうだが。

白い巨塔 肛門科編」

肛門科医者にいろいろ話を聞く企画タモリキャラバランス感覚で、下品になりすぎずに展開してた。

肛門科は、ほぼ100%患者さんが良くなってかえっていって感謝されるのでやりがいがある”と言ってたのが印象深い。たしか最後鶏肉を“患部”にみたてて、手術を再現してたはず。

この頃、下ネタ系の企画では乾貴美子がよく出てて、このときも真面目な顔で仕切ってた。

「接岸グランプリ

船の接岸を撮影するマニアをまねいて、彼らの撮影した自慢の映像を鑑賞する企画。船好きのタモリテンションあがりまくり

解説に昔船に乗ってたという東京海洋大先生が来てて、タモリと盛りあがってた。

船関連の企画だと、「海洋大で唯一、いかりについて研究してる先生」の研究室に訊ねてったやつも面白かった。

デリヘルビッグデータを解析」

デリヘルホームページに載ってる嬢の紹介文を“指名上位”と“指名圏外”で比較しながら頻出単語分析してきた在野の専門家を招き、“あたり”を掴むための紹介文の読み解き方をさぐる企画。たしかケンコバ作家道尾秀介がでてた。



「どこでも酒場シリーズ

八百屋で飲む”とか“乾物屋で飲む”とか“ラーメン屋で飲む”とか、いくつかあったはず。それぞれの場所で、タモリがその場にある材料でアテをつくってゲスト振る舞う企画。いわゆる“タモリレシピ”の多くは、ここから広まっていったのではなかろうか?

「お尻を拭きやすい葉っぱを探そう」

エコロジー観点から野グソ”を提唱する専門家を招いて、ケツを拭きやすい葉っぱをいろいろ探る企画ソフトで柔らかい葉っぱ触ってみたタモリが“前も拭いてみたい”と言い出し、ゲスト森山直太朗と盛り上がっていた。

他にも、あいみょんゲストに、浮世絵を読み解くやつとか、やはり下ネタ系を、下品に堕ちすぎずにバラエティ昇華した回はどれも面白かった。

あと“鉄”の地位を、なんとなく“知的大人も楽しんでる趣味”といえる雰囲気に持っていたのも、あの番組の功績。

2021-05-14

anond:20210514092502

伊坂幸太郎ではなかったなぁ

道尾秀介的なポジションの中堅作家だった気がするんだけど、

道尾秀介ってそんな小説出してたっけかと探してるところ。

しかしたら時期もストーリーちょっと違うかもしれん…

2020-06-06

anond:20200606022526

逆に有名だがびっくりするほど面白くなかった本ならある

アガサクリスティ 春にして君を離れ

道尾秀介 向日葵の咲かない夏

原田マハ ジヴェルニーの食卓

歌野晶午 葉桜の季節に君を想うということ

何年経っても忘れられない

2018-03-09

https://anond.hatelabo.jp/20180309084542

いや普通だろ。よくあるわ。

最近だと道尾秀介小説を勧められて読んだら文章稚拙すぎてブン投げた。

かといってその辺の増田は読むし。

2016-06-11

ありがとうありがとうありがとう

ミステリが好きすぎてしょうが無いおじさん再び

http://anond.hatelabo.jp/20160609011058

やぁ、増田諸君ご機嫌よう。

ミステリが好きすぎてしょうが無いおじさんだ。

おじさんの趣旨を汲んでくれて、罵倒してくれたトラバ諸君には感謝気持ちでいっぱいだ。

変な書き方をしたが、おじさん的には、うみねこ死体蹴りをしつつも、ファンタジー及びSFベースミステリを教えて欲しかっただけだったりする。

お陰さまで大変有用情報を得ることができた。

増田諸君には感謝である

折角なのでトラバへの返信

ブギーポップは笑わないしか読んだことないんだよね、この作者。肌に合わなかったから、避けていたが、頑張って手に入れて読んでみます

チョーモンインは全部読んでいるが、それ以外は知らないので、是非とも読んでみたいと思う。

すまん、既プレイなんだ。許してくれ。ダンガンロンパ面白いよね。個人的に、2の展開はかなり気に入っている。

うむ。西澤保彦はほぼ全部読んでしまったのだよ。お陰でもっと別の作者を知りたかったんだ。騙してしまってすまない。

はてブへの返信

ここは全部抑えているんだな、これが。短編集含めアシモフは最高のSFミステリ作家だとおじさんは思っているよ。

トラバでもあったし、優先的に読みたいと思う。

このお二人の作品はいくつか目を通しているのだが、挙げてもらった作品は読んだことがないので、読んでみるよ。ありがとう

ラノベ全然読んでいないので、是非とも読んでみるよ。

虚構推理は読んでみたいね清涼院流水は済まない、全部読んでいるのだ。コズミックジョーカーを縛って作者の頭を殴りに行きたいよ、おじさんは。

おお、初めて聞くタイトルだ。探してみて読んで見るよ、ありがとう

あれは非常に良い作品だった。おじさんも大好きな本の一つだね。もちろん、今回書いた異種ルールミステリに当てはまるとおじさんは思っているよ。

アヤツジストなおじさんは AnotherAnother エピソードSも両方読んでいるよ。アヤツジのあのドロドロした雰囲気ミステリというより、幻想小説に近いので、おじさんはかなり好きだよ。

これにはやられたよ、おじさんも。こんなのありかって初めて叫んだ作品だね。殊能作品は全部読んだけれども、作者の早世が惜しまれるよ。

いわゆる叙述トリックで、天才筒井康隆作品から面白いよね。でも、おじさんはこの作品では騙されなかったんだ。本当に申し訳ない。

これは知らない作品から、目を通したいと思う。どんな落ちでもおじさんは喜んで読むと思うよ。

ほう、乙一氏の作品はおじさんの友人がかなりお薦めしてるので、優先的に読みたいと思うよ。

未読なので、読みたいね。あと、うみねこ死体蹴りはおじさん楽しくて仕方がないんだ。許して欲しい。

麻耶雄嵩もほぼ全部読んでいる。神様シリーズ面白いよね。麻耶作品は大体頭のネジが2本くらい捻れてぶっ刺さっているから、おじさんは毎回毎回楽しみに読んでいるよ。

すまない、乾くるみも初期作品は大体読んでいるのだ。イニシエーション・ラブやセカンド・ラブが有名だけれども、Jの神話や匣の中といった若さあふれた初期乾作品独特の雰囲気はおじさん好みだねぇ。

  • インシテミル」とか「その可能性はすでに考えた」とか「扉は閉ざされたまま」

インシテミルは既読だね。あれ、人狼元ネタだよねぇ。まあ、それは除いても結構面白かったよ。その可能性は~は今積読の中にあるので、後で読んでみるよ。扉は閉ざされたままは探してきて読んでみるね。

逆転裁判は全く手を付けていないので、今度やってみるね。2以降がお薦めって事は、1はそこまで謎解き要素が無いということなのかな?そういえば、最近6が発売されたようなので、ちょっと買ってみて遊んでみるとするよ。

非常に惹かれる設定と内容だね。この作者さんの作品は全く読んでいないので、おじさんワクワクしちゃうよ。

空の境界虐殺器官は既に読んでしまっているので、高井信作品を読んでみることにするよ。ファンタジーには疎いおじさんなので、名前を挙げてもらえると本当にありがたい。

田中啓文先生ネタはめちゃくちゃ面白いよね。クスっとくるネタが多いので、おじさんが好きな作家さんの一人だよ。

ぎくっ。おじさんの振りをしているのを読み解くとか中々の強者だね。でも、残念ながらおじさんはおじさんなんだよ、つい最近おじさんのラインにいったおじさんなんだよ。京極堂以外は読んだことないので、読んでみることにするねぇ。

死神が出てくるのかい。それはとても面白そうだ。伊坂幸太郎作品は、オーデュボンの祈り以外ゴミという評価だったので、読んでいないんだけれど、ちょっと先入観を捨てて読んでみることにするよ。

カーの名作だねぇ。懐かしいねぇ。おじさんは、こういう古典作品は全て読み漁っているから、名前が挙がっただけで感動だよ。この作品の結末は、ミステリっぽくなくて、おじさんは凄く好きだなぁ。

これも聞いたことがないタイトルだね。深見真作というのが興味深いね。手に入れて読んでみることにするよ。

ラノベには本当に弱いなとおじさん感じるよ。ちょっと電撃文庫揃えるようにするね。

貴志祐介作品はどちらかと言うとホラー依りだけれど、おじさんホラーも構わずに読んじゃってるんだよね。どちらの2作もまだ読んでいないから読んでみることにするね。

それでも町は廻っているはおじさん連載当初から追いかけている作品だよ。でも、それ以外は読んでいないから、絶対読むよ。

  • 浪漫探偵・朱月宵三郎 屍天使学院は水没せり」

これまた知らないタイトルだ。教えてくれてありがとう

君は1番つまらないコメントだね。罵倒するならば、もっと上手に罵倒した方がおじさんも顔を真っ赤にできたんだけれどねぇ。

Ever17は名作だったね。おじさんの青春の思い出だよ。

舞城王太郎トリビュート作品九十九十九でかなりお腹いっぱいになったところで、 「ディスコ探偵水曜日」はおじさんには堪えたよ。まあ、でも確かに破天荒ミステリなので、名前が挙がってもおかしくはないねぇ。

十二国記と、屍鬼しか読んだことが無いので、読んでみることにするね。

谷川流作品か……。ハルヒしか読んだことが無いので、読んでみようかなぁ。

アシモフは殆ど全部読んでいるよ。黒後家蜘蛛の会は、ミステリ好きでもウヒャウヒャと読める名作だよねぇ。名前が挙がっておじさん嬉しいよ。

これは全く知らない作者なので、是非とも探しだして読んでみることにするよ。ありがとう

ソウヤーの名前は他の人も挙げているね。きっと凄い作家さんなんだろうね。おじさん、恥ずかしながら知らなかったので、読み漁ることに決めたよ。

魔術師が多すぎるはトラバにも挙がっていたね。はだかの太陽は名作だよね。おじさん大好きだよ。

後味の悪さとタイトルの爽やかさのギャップがたまらない作品だよね。これも非常に好きな作品の一つだよ。名前が挙がっていておじさん、嬉しいよ。

意外な作品タイトルでおじさんびっくりしたよ。第何巻なのか書いてくれると嬉しいなぁ。

アヤツジストだから、どんどん橋も既読なんだ。本当に済まない。

まどマギシュタゲキズナイーバーも全部好きだよ、おじさんは。

ミステリっぽくはあるけれど、あれは荒木飛呂彦ワールドから、おじさんが求めているのとは違うかなぁ。でも、荒木先生天才だっておじさんは思うよ。台詞回しが初期の頃か抜群に上手いからね。

西尾維新作品は、人間シリーズ戯言シリーズしか読んでいないからりすかには手を出していないなぁ。いい加減重い腰を上げて読んでみることにするよ(積読の山から目を背けつつ)

これまた思わぬ所からの打撃でおじさん衝撃だよ。パタリロは未読なので、挑戦してみるけれど、ギャグ漫画だよね、アレ。

こらこら、未読の人がいるんだからはてブネタバレしちゃ駄目だよ。でも、クリスティのアクロイド殺しは有名だから大丈夫かなぁ。

おお、これはどちらも知らない作品だ。ありがとうありがとう

これも知らない作品だねぇ。おじさん頑張って探しちゃうぞ~。

ファンタジー系のミステリなのかな。おじさんワクワクしちゃうなぁ。

泡坂妻夫は偉大だねぇ。他の作品も非常に興味深いので、参考にしたいと思います

まだ出ていないね。おじさんも知らない作家なので、読んでみるよ。

Anotherのアヤツジ展開はおじさんの好物の一つだよ。いい作品だよねぇ。

六とんシリーズは、かの島荘作品からインスパイアされて生み出された作品群だけれども、あれはパズルちっくで、おじさんは楽しんで読んでいるよ。

済まないねぇ、京極堂シリーズは全部読んでいるんだ。邪魅の雫の次が待ち遠しくてしかたがないよ。

>>「数学的にありえない」

初めて聞くタイトルだね。おじさんの今度読む本リスト入り決定だ。とても興味深いタイトルだ。

柄刀作品もいくつかつまみ読みしてるよ。彼の作品も独特で、おじさん好きだなぁ。ただ、柄刀作品はおじさんが求めているような独自ルールはなるべく避けるように心がけている気がするよ。

気になる作家さんがまた一人増えたよ、ありがとう


所々端折ったりしたけれど、これで全部かな。

読みたい本がいっぱい増えておじさん、大満足だよ。

増田諸君はもちろん、はてブコメントくれた皆さん本当にありがとうありがとうありがとう

2015-09-04

書評作家履歴書 21人の人気作家が語るプロになるための方法

Amazon: http://www.amazon.co.jp/gp/product/4041107113?keywords=%E4%BD%9C%E5%AE%B6%E3%81%AE%E5%B1%A5%E6%AD%B4%E6%9B%B8&qid=1441361617&ref_=sr_1_1&s=books&sr=1-1

出版ではなく作家志望者を喰い物にして稼ごうという業界の魂胆が垣間見える本。

シナセンや芸術系専門学校カルチャーセンターが細々とやってきた業界ビジネスに、胴元が参戦してきた。

流行作家雁首を揃え、文筆業の華やかな部分だけを語っている。

阿川佐和子石田衣良江國香織角田光代大沢在昌 etc.

本書の想定読者は"本を読んだことはないけど何となく作家になりたいと思っている人たち"だろう。

作家の語りの冒頭では、先生方の略歴が記されている。

前職は勤め人だった、直木賞を獲った、作品映画化された……

どんな有名作家の、誰でも知っていそうなことでもしっかり書かれている。

「こんな基本情報さえ読者は知らない」という前提で作られた本なのだ

略歴紹介に続く本文では、"山本周五郎(しゅうごろう)賞"、"芥川(あくたがわ)賞"などとルビが振ってあったりする。酷い。

荻原浩は「公募ガイドを見て新人賞に応募した」だなんて言ってるし、森村誠一は「私の作品を読んだことがない、小説はあまりきじゃないと言う担当編集に会って驚いた」と書いているから、本書の読者も相当ナメられているだろう。

道尾秀介40歳)をして「失敗するのを恐れて、臆病な読者が映画化された本を買う」と言わしめるほどである。読者の質が低いのは業界周知の事実で、自然と商いのレベルも落ちているのだ。

念押しするかのように、あとがきでは北上次郎が「作品は斬新さが重要、完成度は求めていない、ストーリーはどうでもいい」と放言している。端から新人作家使い捨てにする気でいて、作家を育てる余力が業界にないのだ。

愛書家としては絶望しかないが、仕方のないことなのだろう。

ちなみに私は本著を図書館で借りて読んだ。

堂々たる複本所であるが、予約を入れてから二ヶ月ほど待たされた。

それだけ"ニーズ"があるのだ。

2010-11-25

彼女が死んだ話

 僕が雪村に出会ったのは、大学研究室新入生歓迎会ときのことで、そのとき歓迎する側にいたのが僕で、歓迎される側にいたのがいっこ下の雪村だった。

 彼女は、長くきれいな黒髪の落ち着いた女の子で、お嬢様という感じではないが、どこか品のある立ち居をしていた。

 僕は彼女とは別のテーブルにつくことになり、でも彼女のことが気になったのでたまにそちらの方へ目をやったりしていたのだけれど、ちゃんと正面に座って話す機会は、ひとつ上の先輩がくれた。

真田くん、ちょっとこっち来てよ」と先輩が僕を手招いて呼んだ。「この子エーティーフィールド張ってて、俺ひとりじゃキビシイよ」

 先輩なりのジョークである

 それで僕は、彼女の向かいに座って話をした。雪村は聡明で、控えめで、微笑みながら人の話にうなずき続けることができるタイプ女性だった。

 でも僕は自分のことが話したいわけではなくて、彼女のことが聞きたかった。僕はゆっくりと、何か自分と合うような話題がないかと探した。彼女趣味読書で、好きな作家恩田陸(←「ああ、あのガチホモミステリの……」)。よく読むのは講談社ノベルス(←今にして思えば恩田陸講談社ノベルスあんまり関係ない気がする)。映画も好きで、好きな監督スタンリー・キューブリック(←『バリー・リンドン』)とピーター・ジャクソン(←『乙女の祈り』)。ピクサージブリも好き。好きな漫画は『夢幻紳士』『百鬼夜行抄』『うしおととら』『タブロウ・ゲート』……。まともにやったゲームは『ファイナルファンタジーX』くらいで、時間カウンタが止まるまでやって(←大学受験が終わってから暇だったようだ)、「全てを越えし者」を倒すところまではいったとか。あと何かのレースゲームは前に進めなくて諦めたという。

 僕はといえば、好きな作家星新一で、好きな映画は『ショーシャンクの空に』で、好きな漫画ジャンプチャンピオンヤングジャンプヤングマガジンスピリッツモーニングだった。僕はその程度の文化パワーの人間だった。

 雪村は本当に本が好きで、暇なときには一日一冊くらいのペースで読んでいた。「『雑食なのでなんでも読みます』とか言うやつは信用できねえよ。そういうやつは絶対に大して本を読んでない」と吐き捨てる友人が僕にはいたが、雪村は本当に雑食で、ノンフィクションを除けばなんでも読む女の子だった。小説漫画も。

 その新入生歓迎会の日は、友達が帰るというので、彼女もそれについて早めに帰っていってしまった。僕はもっと残っていってよと頼んだけれど、穏やかに断られてしまった。

 次に僕が彼女と話をしたのは、それからしばらく後の教養の授業のときのことで、雪村は教室最前列に座って、社会学だったか文化人類学だったか講義を無視してペーパーバックを読んでいた。

 勇気を出して隣りに座って(←勇気を出したのだ)、何読んでるの、と彼女に訊ねた。雪村は手に持った本の表紙を見せてくれた。G.R.R.マーティンの『玉座をめぐるゲーム』だった。もちろん僕にはまったくわからなかった。

 それからも僕は、折にふれては勇気を出して彼女に話しかけていった。レポートがあるので……と断られてひどく落ち込んだりもしたけれど、ついに僕は彼女を連れて名古屋城デートにいくことに成功した。名古屋城はつまらなかったけれど、彼女といるのは楽しかった。

 そして初めて彼女から漫画を借りた。『夢幻紳士』だ。

 これはおもしろかった。本当に。

 それからも授業で隣りに座ったり、食事に誘ったりして、僕らは付き合うことになった。僕は実家に住んでいて、彼女下宿をしていたので、よく彼女の家に泊まって二人で本を読んだり、映画を見たりした。本山ゲオがあったので、近所でレンタルができて助かった。

 でも不思議なことに、幸せなことはそんなに長く続かないもので、僕と雪村が二人で東尋坊を見に旅行に行ったとき、泊まった旅館でカニを食べて一緒の布団で寝たあと、彼女は僕の知らない何かに引っ張られて、僕が寝ているうちに布団を出て服を着替えて旅館から脱げ出して、東尋坊の先から海に飛び降りしまう。

 東尋坊では死ねないという話があるけれど、やっぱりそれは嘘で、飛び降りればちゃんと死ぬ。雪村がそれで死んだのだから間違いない。

 彼女を失った僕は悲しくなって、雪村が死んだというそのこと自体よりもむしろ雪村が僕に一言も告げずに死んでいったことに鬱々と悩んで、こりゃだめだ、このままじゃ何も解決しない、と思ってそのまま十五の夜ばりにバイクで走り出す。でもそのバイクは別に盗んだものじゃないし行き先もきちんとわかっていて、僕は一直線に福井まで行って、雪村と同じように海にダイブする。そして生きて浮かんでくる。本当に死にたいのなら、そのための飛び降り方をしなければならない。

 病院のベッドでしばらく暮らすことになった僕は、とりあえずアマゾン小説漫画と学芸書とDVDを注文しまくって、それを片っ端から消費する。雪村が生きていたときにはこの女はまたなんか読んでんなあとしか思っていなかった僕が、いまさらになって雪村の触れていたものたちに目を向け始める。村上春樹を、伊坂幸太郎を、恩田陸道尾秀介舞城王太郎を僕は読む読む。雪村のようにペーパーバックをぺらぺらとはいかないが、翻訳者感謝しながら、ヴォネガットカポーティフィッツジェラルドを読む読む。福満しげゆき藤田和日郎増田こうすけを読む読む。カントを、デリダを、ヴィトゲンシュタインをホフスタッターをドーキンスを読む読む。そんでDVDはよく考えたら病室じゃ見られねえなと思ってそのままジャケットだけを眺める。いいじゃんアマデウス時計じかけのオレンジタクシードライバー

 そして読みたい本をあらかた読み終えてしまったので、そろそろ家に帰ってDVDでも見るかと思って僕は退院する。退院するために荷物を片付けてきれいな服に着替えて、もう忘れ物はないよな、と思って振り返った病室に雪村がいるのを見て僕はびっくりする。

いまさら化けて出てんじゃねーよ」と僕は言う。

 でも雪村は生きていた頃と同じ顔で、僕がさっきまで寝そべっていた病室のベッドに腰掛けている。いつもと同じように黒い服ばっかりを着ていて、別に幽霊だからって白いベッドが透けて見えたりはしない。

「いやーいいじゃん。嬉しいでしょ」と雪村は言う。

 そんな口調じゃねーよ。

 
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