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2021-02-26

外国軍艦・公船の領海侵入に対する武器使用根拠法について

注:増田政府自民党関係者ではなく、また、海洋法については全くの素人なので、以下の解釈政府自民党見解か、また、正しい法解釈か否かについて、全く自信がありません。

報道によれば、中国海警局の船が尖閣諸島への接近・上陸を試みた場合に、警察官職務執行法7条を根拠として、危害射撃可能であるとの見解を示したとのこと。

国際法検討

外国軍艦・政府公船に対する武器使用が、国際海洋法条約29〜32条および95,96条に反するのでは無いか、との指摘があります

前提として、すべての国の船舶領海において無害通行権を有する(条約17条)、逆に言えば、外国領海における通行以外の行為および有害な通行は主権侵害となります

海洋法に関する国際連合条約

第三節 領海における無害通航

A すべての船舶適用される規則

第十七条 無害通航

 すべての国の船舶は、沿岸である内陸国であるかを問わず、この条約に従うことを条件として、領海において無害通航権を有する。

第十八条 通航意味

1 通航とは、次のことのために領海航行することをいう。

(a)内水に入ることなく又は内水の外にある停泊地若しくは港湾施設に立ち寄ることな領海を通過すること。

(b)内水に向かって若しくは内水から航行すること又は(a)の停泊地若しくは港湾施設に立ち寄ること。

2 通航は、継続的かつ迅速に行わなければならない。ただし、停船及び投びょうは、航行に通常付随するものである場合不可抗力若しくは遭難により必要とされる場合又は危険若しくは遭難に陥った人、船舶若しくは航空機に援助を与えるために必要とされる場合に限り、通航に含まれる。

十九条 無害通航意味

1 通航は、沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、無害とされる。無害通航は、この条約及び国際法の他の規則に従って行わなければならない。

2 外国船舶通航は、当該外国船舶領海において次の活動のいずれかに従事する場合には、沿岸国の平和、秩序又は安全を害するものとされる。

(a)武力による威嚇又は武力行使であって、沿岸国の主権領土保全若しくは政治的独立に対するもの又はその他の国際連合憲章規定する国際法の諸原則違反する方法によるもの

(c)沿岸国の防衛又は安全を害することとなるような情報収集目的とする行為

(j)調査活動又は測量活動実施

第二十四条 沿岸国の義務

1 沿岸国は、この条約に定めるところによる場合を除くほか、領海における外国船舶無害通航妨害してはならない。(略)

第二十五条 沿岸国の保護

1 沿岸国は、無害でない通航を防止するため、自国領海内において必要措置をとることができる。

これを踏まえて、条約の指摘されている規定を見てみましょう。

C 軍艦及び非商業目的のために運航するその他の政府船舶適用される規則

第二十九条 軍艦定義

 この条約適用上、「軍艦」とは、一の国の軍隊に属する船舶であって、当該国の国籍を有するそのような船舶であることを示す外部標識を掲げ、当該国の政府によって正式に任命されてその氏名が軍務に従事する者の適当な名簿又はこれに相当するもの記載されている士官の指揮の下にあり、かつ、正規軍隊規律に服する乗組員が配置されているものをいう。

第三十条 軍艦による沿岸国の法令違反

 軍艦領海通航に係る沿岸国の法令を遵守せず、かつ、その軍艦に対して行われた当該法令の遵守の要請無視した場合には、当該沿岸国は、その軍艦に対し当該領海から直ちに退去することを要求することができる。

第三十一条 軍艦又は非商業目的のために運航するその他の政府船舶がもたらした損害についての旗国の責任

 旗国は、軍艦又は非商業目的のために運航するその他の政府船舶領海通航に係る沿岸国の法令、この条約又は国際法の他の規則を遵守しなかった結果として沿岸国に与えたいかなる損失又は損害についても国際的責任を負う。

第三十二条 軍艦及び非商業目的のために運航するその他の政府船舶に与えられる免除

 この節のA及び前二条規定による例外を除くほか、この条約いかなる規定も、軍艦及び非商業目的のために運航するその他の政府船舶に与えられる免除に影響を及ぼすものではない。

第九十五条 公海上の軍艦に与えられる免除

 公海上の軍艦は、旗国以外のいずれの国の管轄権からも完全に免除される。

第九十六条 政府の非商業役務にの使用される船舶に与えられる免除

 国が所有し又は運航する船舶政府の非商業役務にの使用されるものは、公海において旗国以外のいずれの国の管轄権からも完全に免除される。

条約95、96条によって外国軍艦・公船に与えられる管轄免除あくま公海上についてなので、上陸を試みるがごとき領海内の行為については適用がありません。

また、19条2項によれば沿岸国は、無害でない通航を防止するため、自国領海内において必要措置をとることができる(25条1項)。

というか、そもそも上陸を試みるのは通行定義(18条)に当てはまらず、もともと無害通行権の適用外のように見えます

そうすると、尖閣諸島周辺の領海への侵入上陸は、軍艦・公船といえども国際海洋法条約保護されている場面では無いので、これに対して主権行使することは、国際海洋法条約抵触しないと言えるように思います

国内法の検討

警察官職務執行法

武器使用

七条警察官は、犯人逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的必要判断される限度において、武器使用することができる。但し、刑法明治四十年法律第四十五号)第三十六条正当防衛若しくは同法第三十七条緊急避難)に該当する場合又は左の各号の一に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない

一  死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁こにあたる兇悪な罪を現に犯し、若しくは既に犯したと疑うに足りる充分な理由のある者がその者に対する警察官職務執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするとき又は第三者がその者を逃がそうとして警察官抵抗するとき、これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がないと警察官において信ずるに足りる相当な理由のある場合

二  逮捕状により逮捕する際又は勾引若しくは勾留状を執行する際その本人がその者に対する警察官職務執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするとき又は第三者がその者を逃がそうとして警察官抵抗するとき、これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がないと警察官において信ずるに足りる相当な理由のある場合

警察官職務執行法7条は海上保安庁法20条1項で準用されているため、海上保安官及び海上保安官補も警職法7条に従って武器使用可能です。

海上保安庁法

第二十条① 海上保安官及び海上保安官補の武器使用については、警察官職務執行法昭和二十三法律第百三十六号)第七条規定を準用する。

② 前項において準用する警察官職務執行法七条規定により武器使用する場合のほか、第十七条第一項の規定に基づき船舶の進行の停止を繰り返し命じても乗組員等がこれに応ぜずなお海上保安官又は海上保安官補の職務執行に対して抵抗し、又は逃亡しようとする場合において、海上保安庁長官が当該船舶の外観、航海の態様、乗組員等の異常な挙動その他周囲の事情及びこれらに関連する情報から合理的判断して次の各号のすべてに該当する事態であると認めたとき海上保安官又は海上保安官補は、当該船舶の進行を停止させるために他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由のあるときには、その事態に応じ合理的必要判断される限度において、武器使用することができる。

一  当該船舶が、外国船舶軍艦及び各国政府が所有し又は運航する船舶であつて非商業目的のみに使用されるものを除く。)と思料される船舶であつて、かつ、海洋法に関する国際連合条約十九条に定めるところによる無害通航でない航行我が国内水又は領海において現に行つていると認められること(当該航行に正当な理由がある場合を除く。)。

海上保安官武器使用する場合、通常は、個別である海上保安庁法202項を使ってるのではないかと思います

海上保安庁法20条2項は括弧書きで軍艦および政府公船を適用対象外としているので、同項では、(たとえ無害通行では無い場合であっても)外国軍艦および政府公船に対して武器使用することはできません。

もっとも、海上保安庁法20条2項はあくま前項において準用する警察官職務執行法七条規定により武器使用する場合のほかについて定めるものなので、同項があるからといって警職法7条による武器使用制限されないといえます

 

警職法7条によっても、危害射撃可能となるのは、法定刑が長期3年以上の自由刑以上にあたる兇悪な罪現行犯等か、または身体拘束令状の執行に関するときだけです。法定刑長期3年以上の単なる「犯罪」ではなく兇悪なと付いており、警察官等けん銃使用取扱規範では次のように例示されています

警察官等けん銃使用及び取扱い規範昭和三十七年国家公安委員会規則第七号)

用語定義等)

二条

2 警察官職務執行法昭和二十三法律第百三十六号。以下「法」という。)第七条ただし書第一号に規定する「死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁こ、にあたる兇悪な罪」に当たる罪を例示すると、次のとおりである

一 不特定若しくは多数の人の生命若しくは身体を害し、又は重要施設若しくは設備破壊するおそれがあり、社会不安又は恐怖を生じさせる罪として次に掲げるもの

イ 刑法明治四十年法律第四十五号)第七十七条内乱)、第八十一条外患誘致、…(略)…の罪

チ イからトまでに掲げる罪のほか、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪で、不特定若しくは多数の人の生命若しくは身体を害し、又は重要施設若しくは設備破壊するおそれがあり、社会不安又は恐怖を生じさせるもの

二 人の生命又は身体危害を与える罪として次に掲げるもの

ロ イに掲げる罪のほか、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪で、人の生命又は身体危害を与えるもの

 前二号に掲げる罪のほか、人の生命又は身体に対して危害を及ぼすおそれがあり、かつ、凶器携帯するなど著しく人を畏怖させるような方法によつて行われる罪として次に掲げるもの

ト からヘまでに掲げる罪のほか死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪で、人の生命又は身体に対して危害を及ぼすおそれがあり、かつ、凶器携帯するなど著しく人を畏怖させるような方法によつて行われるもの

さて、上記の例時列挙を前提とした場合尖閣諸島に対する侵略行為は、どのような兇悪な罪に該当することになるでしょうか。

外国から侵略ということで真っ先に連想されるのは外患誘致罪です。

刑法

外患誘致

第81条  外国と通謀して日本国に対し武力行使させた者は、死刑に処する。

(外患援助)

第82条  日本国に対して外国から武力行使があったときに、これに加担して、その軍務に服し、その他これに軍事上の利益を与えた者は、死刑又は無期若しくは二年以上の懲役に処する。

軍艦上陸した時点で武力行使にあたると考えれば、その軍務に服している者には外患援助罪刑法82条)が成立するかもしれません。

ただし、外患援助罪は、警察官等けん銃使用取扱規範における兇悪な罪の明示的な列挙からは除外されています

とはいえ、同規範あくまで例示列挙であり、同項3号トに人の生命又は身体に対して危害を及ぼすおそれがあり、かつ、凶器携帯するなど著しく人を畏怖させるような方法によつて行われるものという一般規定があります領域侵略に際しては武器携帯しているでしょうから、同号の要件は充足する場合が多いかと思います

なお、出入国管理法による不法入国の罪の法定刑も長期3年以上なので、外患援助罪ではなくこちらを使う余地もあるかもしれません。ただし、不法入国の罪は一般論としては兇悪な罪と言いにくい面があるので、外患援助罪の方が適切でないかと思います

出入国管理及び難民認定法

外国人の入国

第3条 ① 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に入つてはならない。

一  有効旅券を所持しない者(有効な乗員手帳を所持する乗員を除く。)

二  入国審査官から上陸許可の証印若しくは第九条第四項の規定による記録又は上陸許可(以下「上陸許可等」という。)を受けないで本邦に上陸する目的を有する者(前号に掲げる者を除く。)

第70条 ① 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。

一  第三条規定違反して本邦に入つた者

なお、武器を所持せずに上陸しようとしてきたときには、これらの規定適用できないでしょう。

2020-07-01

江添亮氏 職務質問裁判 判示整理

情報源

https://ezoeryou.github.io/blog/article/2020-06-30-rejected.html

https://github.com/EzoeRyou/calling-110-is-suspicious/blob/master/20190313_hanketu.pdf

https://github.com/EzoeRyou/calling-110-is-suspicious/blob/master/20191114_kousosin_hanketusyo.pdf

高裁が言っていること

(上告受理申立ても行われたが、最高裁は上告不受理とした)

規範部分

職質関連の、強制処分でない警察官行為は、以下の分類ができる。

分類根拠規定裁判所によるコメント
明文の職務質問警察官職務執行法(警職)2条1項「異常な挙動その他周囲の事情から合理的判断して何等かの犯罪を犯し...と疑うに足りる相当な理由のある者...を停止させて質問することができる」根拠規定記載要件を満たしたとしても、実質的に身柄の拘束や答弁の強要、になってはならない
それ以外の広義の職務質問法2条1項「警察は、個人生命身体...の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査被疑者逮捕...その他公共安全と秩序の維持に当ることをもってその責務とする」警察官が警ら活動必要かつ相当な範囲で人を停止させて質問することは禁止されていない。ただしその場合警職法2条1項ので許容されるよりも限定的行為態様しか認められない
当てはめ部分

→ 以下の点を踏まえると、警ら活動上の必要性・相当性が認められる

 :江添氏が7月都心で長袖、長靴を着用し、重そうな大きめの荷物を背負い、帽子を目深にかぶりうつむいて下を向きながら繁華街の方向に歩いていく様子に不審なところがあると警察官判断し、何らかの犯罪にかかわる者かどうかを確認するために行われたこである

→ 以下の事情から、明文の根拠規定はないけれど、相当でないとは言えない

 :当該警察官に江添氏が法的根拠等を問いただしたり、江添氏が自己見解を述べるなどしていた事情

→ 以下の事情から、「異常な挙動その他周囲の事情から合理的判断して何等かの犯罪を犯し...と疑うに足りる相当な理由」があると言え、明文の職務質問にあたり、またその停止をさせる行為態様(以下のとおり評価)は、江添氏の自由を過度に制約させる態様ではなかったため、違法ではない

 :(事情)江添氏が面前に立っていた警察官の前に出て立ち去ろうとしたり、近くの店に入ろうとしたり、警察官らのいない方向に急に走り出したりしたこと

  (行為態様)江添氏の肩・背中に触れたり、路上から路外への移動を促したりした程度の行為しかしていない。また1時間20分には、江添氏と警察官の間の議論タイムも含まれ

2019-03-13

江添氏の判決文読んだが

読んだのこれな。

https://github.com/EzoeRyou/calling-110-is-suspicious/blob/master/20190313_hanketu.pdf

これ江添氏側が不正確なこと書いてると思われる。

https://cpplover.blogspot.com/2019/03/110.html によると、追記のところに

判決文の写しが手元に届いたのでさらに詳しく読んだところ、更にひどい理解しかねる判断がある。

最初10分間ほどは職務質問要件を欠くことが認定されたが、最初10分間の職務質問は適切であった。

とあるけど、判決文をちゃんと読むと、12ページ目の(2)にある『警察法上の職務質問としての可否について』の項目に説明がある。

まとめると、警職法上の職務質問要件は満たさないが警察法上に照らし合わせると職務質問適法であった、だ。

また、110番通報要請不審事由にあたるかどうかは原告被告ともに争点にしていないと言っているが、江添氏が訴えているのは警察の職質が適法であったかどうかだから警職法上の職務質問要件を満たした時点というのは当然重要視される点であり、それが110番通報要請をした時点だったとしか読めない。

なんか江添氏を支持しているブクマカが多くて不安になる。江添氏が110番通報をしてそれが不審事由なのマジかみたいな事実誤認してる人も多いし。

2017-07-17

https://anond.hatelabo.jp/20170717002108

刑訴法(職質の場合警職法)って、どのぐらい詳しくやるの?

所持品検査限界とか、現行犯逮捕限界とか、大学で習ったときに「こんな微妙判断現場警察官ができんのかな?」って思った覚えがあるので。

①主要な判例のケースだけ見て、あとは現場で考えてね、みたいな感じなのか、②これこれこういう事実があれば違法ですよ、っていうギリギリ限界を見極められるようにまで訓練するのか。

2015-03-20

俺の業務が悪いことじゃないことを世界普遍論理で示してやるよ

宮崎地方裁判所延岡支部判決明治元年三月二十日刑集一巻十七頁

判  決

 被告人甲ヲ三年ノ軽懲役ニ処ス

 被告人乙ヲ五年ノ重懲役ニ処ス

 被告人丙丁ヲ十年ノ重懲役ニ処ス

理  由

 本件ハ明治元年三月十九日午後十時ヨリ十一時ニカケテAカ宮崎県延岡市内ニ悪人ノ多数跋扈シタレル惨状ヲ見ルニカネテ同市内城山ニ設置サレシ石碑付近ヨリ音声拡声器ヲ用ヒテ付近ニ忍ヒ居ル悪人及ヒ付近所在セル行政機関ニ対シ万全機能スル様呼ヒカケヲ行ヒシ所此ノ呼ヒカケニ憤然トシ警察ヲ利用シテ其ノ邪魔セント企テシ被告人甲カ宮崎県延岡市内ノ船倉付近存在セル交番ニ虚偽ノ110番通報ヲシ此ニ加勢セントシタ虚偽ノ警察官ナル被告人乙丙丁カパトカーニテ城山下ニカケツケ甲ト共ニ石碑付近懐中電灯ニテ照ラシ探索シタル所石碑付近所在セルAヲ発見シ其ノ呼ヒカケ行為邪魔セントスル勢ヲ益々強メテ乙丙丁カAヲ石碑付近ニ囲ヒ込ミテ虚偽ノ人定質問等ヲ執拗ニ迫リ更ニAノ甲ニ対スル「オ前ハ誠実ジャナイ」トノ文句ニ憤然激怒シテ「私怒リマスヨ」等トAヲ脅迫シ拠テ以テAノ行為邪魔セント企テ虚偽ノ110番通報ヲ行ヒ更ニAヲ脅迫セシトシテ甲カ虚偽通報罪及ヒ脅迫罪ニ問ハレシ物又警察官ヲ詐称シ交番ニ潜ミ居リ甲ノ虚偽ノ通報ニ対シテ此ニ加勢セントシテAノ元ニカケツケAヲ囲ヒ込ミテ虚偽ノ人定質問ノ形ヲ構ヘテAヲ石碑付近監禁セントシAカ自宅ニ帰還セントシタ際モ執拗ニ付キマトヒ此ニ対スルAノ排除モ肯セサルニヨリテ乙丙丁カ警察官詐称罪及ヒ監禁罪及ヒ不当付キマトヒ行為ノ罪ニ問偽サレ正当ノ警察官署ヨリ逮捕サレ正当ノ検察庁ヨリ起訴サレタル物ナルニ検察官論告及ヒ被告人弁護人ノ主張ハ左ノ如シ

 検察官ハ本件ハ宮崎県延岡市内ニ悪人跋扈警察ヲ含有スル行政機関ノ十全機能セサリシ事及ヒ同市内城山付近悪人ノ多数潜ミ居ル点ニ激怒公共ノ安寧ヲ回復セントシテ城山ニ設置サレシ石碑付近ヨリ音声拡声器ニテ行政機関ノ十全機能スル事及ヒ悪人ニ対シ誠実ニ生活ヲスル事ヲ呼ヒカケントスルAノ正義行為ニ対シ其ノ邪魔セントシタル被告人甲乙丙丁ノ行為ハ全体トシテ明ラカニ犯罪行為ナリテ其ノ各行為犯罪性ヲ一々論議スル迄モナ被告人等ニ各罪カ成立スル事ハ自明ト主張ス

 甲乙丙丁ノ弁護人Bハ乙丙丁ハ警察官制服ヲ着用シ無線機等ヲ携帯シテ関係各署ト連絡ヲ取リ犯罪取締リノ為ニ本件行為ヲ為シタ事ハ明ニシテAニ対スル人定質問其他Aノ行為犯罪ニ近シ行為ナルコトヲ文言ヲ以テ説明シタル事モ警察官トシテノ当然ノ職務ニシテ何等ノ犯罪ニモ該当セス甲モAノ行為ハ夜間ニ大声テ怒声ヲ発スルニヨリテ近隣住民迷惑トナルニヨリテ当然ニ百十番通報ヲ為シタニ過キサル物故ニ何等ノ犯罪構成要件ニモ該当セストシ公訴棄却スヘキ物ト主張スルモノナリ

 依テ案スルニ本件被害者Aノ意見及ヒ甲乙丙丁ノ存在態様動静其他一般社会通念ヲ十分ニ参酌スレハ本件ハ畢竟一般臣民仮装セル甲カAノ呼ヒカケニ憤然トシテ周辺ノ一般臣民仮装セル悪人共犯シテ警察官署ニ虚偽ノ百十番通報ヲ行ヒ同市船付近交番ニ潜ミ居タル虚偽ノ警察官乙丙丁カ此ニ加勢セントシ甲ト共ニAノ所在セル城山ノ石碑付近ニ到達シ剣道柔術等ニヨリ鍛ヘシ腕力ヲ用ヒテ不法ノ勢力ヲ発揮シ乙丙丁カAヲ石碑付近ニ囲ヒ込ミ更ニ甲カAノ言動ニ憤然激怒シテAヲ脅迫シAカ自宅帰還ヲ困難ナラシメ更ニ帰還ノ際ニ乙丙丁カAニ執拗ニ付キマトヒ其行動ノ自由制限迷惑ヲ醸セシ事ニ帰着スルモノナリナントナレハ先ス弁護人Bノ主張スルカ如ク乙丙丁ハ警察官制服ヲ着用シ無線機ニヨリテ関係各署ト連絡ヲ図リ犯罪取締リノ体ヲ為シタニ過キスト云フモ丙丁ノ人定質問等ノ文句ハ明ラカニ持久性固定性ヲ有スル理性ノ発揮ニヨル言動ニ非スシテ単ナル素文句テアリ何等ノ意味内容モ含蓄スル所ノナイ形骸テアツテ更ニ乙ハAニ対スルニ始終卑劣粗悪ナ笑ミヲ浮カヘ其ノ云フ所テアル「我々ハ日本国憲法ニ基ツキ職務ヲシテイルタケ」「警職法ニ則テヤッテオリマス」ト云タ文句モ明ラカニ意味内容ヲ含蓄セサル素文句ノ羅列ニシテ畢竟乙丙丁ハ警察官ノ外形ヲ強固ニ構ヘツツ其実体トシテハA等自己不都合ナル社会分子排除セントスル為ニ活動シタレル暴力団構成員ノ如キモノナリテ乙丙丁ノ行ヒシ事モ畢竟人定質問其他ノ外形ヲ構ヘツツ窮極ハ素文句ニヨル脅迫及ヒ暴力ニヨリテAニ不法ノ行為ヲシタルモナルコト明ニシテ甲乙丙丁ノ行為カ諸犯罪規定構成要件ニ該当スル事ハ云フ迄モナク一々詳細ニ説明スルノ要ナシ要スルニ被告人甲ノ行為ハ仮刑律第六十八条ノ虚偽通報罪同法百十一条脅迫罪乙丙丁ノ行為ハ同法七十七条警察官詐称罪同法二百五十六条ノ監禁罪軽犯罪罰則一号十三号ノ付キマトヒ罪ニ各該当スルモノニシテ甲ヲ三年ノ軽懲役乙ハ其性格比較的犯情カ軽キニヨリテ五年ノ重懲役ニ処シ丙丁ハ単ニ警察官制服所謂コスプレヲ為シ人定質問其他モ単ニ口ニ任セテ吐ク迄ノ物ナル上実体ハ単ナル暴漢ニシテ単ニ虚構ヲ吐クニ留マル乙ニ比シテ犯情カ重シト評価サルルニ依テ丙丁ヲ十年ノ重懲役ノ処ス事トス検事論告ハ其ノ理由アリ弁護人Bノ所論ハ理由ナク採用シ難シ

 依テ刑事訴訟法三百三十三条ニ則リテ主文ノ如ク判決

 明治元年三月二十日 宮崎地方裁判所延岡支部

2009-11-28

書類送検についてのkentultra1氏の誤解

元増田です。

自動なわけがないだろ。大嘘。実際は、逮捕+身柄送検に匹敵する「犯罪かそうでないか」の分水嶺

というブコメがついているのを見て、なぜここまで強固に思い込んでしまっているのか怪訝に思っていたんですが、コメント主kentultra1氏のブログを見て納得。

http://d.hatena.ne.jp/kentultra1/20090307

こういうエントリを書いてたんですね。

この「瀬戸大橋光ケーブル切断」の書き込み程度で「警察沙汰」になること自体不当だ!という考えから、捜査・(書類)送検が一連の「不利益処分」のようなものだと思い込んだまま、あるいはこの件をきっかけにそう思い込んでしまい、それを前提に警察署電話をかけるに至ったということかな。

そして、電話を終えて、「書類送検(という不利益処分を)したことについて納得のいく説明がない!児島署の連中は何もわかってない!」という思いを強めてしまったように見えます。

でも、警察官の「お兄さん」と「おじさん」とのやりとりを読むと、たしかに「捜査を始めちゃった以上、書類送検をしないで済ますということはできないんだよ」的な説明はされていないようですが、それを確認するための質問もkentultra1氏からはないし、警察側が誤解を助長する積極的な説明をしているわけでもない。

よく解らないまま、人を送検して良いのかというのは大きな問題ではある。

という問題意識をせっかくもっていたのであれば、警察電話した際に、それを正面から尋ねていれば、この今年3月の時点でkentultra1氏の誤解は解けていたかもしれない。惜しい。(警察が「こういう手続だ」と噛み砕いて説明してくれたら、の話だけれども)

「こんな増田ゴミ記事なんて参考になるか!ソース出せソース!」ということであれば、もう一度児島署に問い合わせてみるなり、何でもいいのでリアルソースに当たってみるといいと思う。

批判する対象については、ちゃんと調べてからに越したことはないよ。

ネットの実情を知らずにこんなくだらんことを大事にしやがって!」というような批判をするなら、なおさら。

 

で、その後この件がどうなったのかググってみましたが、不起訴になったのかどうか、続報が見当たりませんでした。事案からすれば、まず間違いなく不起訴になるべき事案だとは思いますが。

 

もう一つ、やや誤解かなと思うブコメもあったので一緒に。

unknownmelodies 確かに逮捕と同一ではないけど。「起訴するかどうかは、全部、検察で判断する」から、後で逮捕もありうるはず

たしかに、書類送検した後で、改めて逮捕となる可能性はゼロではないです。少なくとも制度上禁止はされていない。

でも、捜査の流れからすると、あまり、というかまずありえない事態。

警察検察裁判所、という順でフィルターがかかる。つまり、警察が一番「こいつ処罰したれ」という網を広くかけていて、それに検察ダメ出しをするという構図なわけです。基本的・相対的にですが。

なので、警察で「身柄事件にする必要はない」という前提で、自分のところで捜査を終えて検察に送った(書類送検した)後、検察のほうで、「これは逮捕しなきゃダメだろ」という判断に至る場合は、通常はまずありえないといえます。

ありうるとすれば、書類送検後に余罪が発覚したような場合に限られるでしょうね。

いずれにしても、「書類送検という手続それ自体が何か不利益な効果を生むものなので、警察は可能であればそのような措置をとるべきでない」という考えがまったくの誤解である、という元エントリ趣旨との関連は小さい論点です。

 

【追記20091128】

早速ご本人からブコメいただいたので返答を

そんな役人理屈で、不当に送検された者の不利益はどう回復されるのか。

役人理屈」と言われても、「立件して捜査を開始したら送検まではオートマチック」である以上、「ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします」としか警察は言えないんじゃないかと。

結果的に不起訴になろうとも、犯罪の嫌疑を受けて「警察沙汰」にされること自体、被疑者扱いされる人にとっては手間と精神的苦痛を伴うものではあるけれども、それを否定したら、じゃあ世の中の治安はどうやって守るねん、という話に。

結局、kentultra1さんの不満というのは、「書類送検」段階に向けても意味がないんですよ。批判を向けるべきは、「立件」(捜査を開始)した段階。いくら通報厨からの電話メールを受けても、該当スレの流れを見たら、「あー、こんなの本気じゃないに決まってるだろ」と見抜けよ、と。そういう意見には私も反対ではない。

警察フィルタ機能がないならポリにお世話になった酔っぱらいは全員送検されているのか?

「酔っ払った」だけで何か犯罪に該当するわけでは、ない。だから、警察検察が「犯罪があると思料」することはありえない。「捜査」がそもそも開始されない。

酔っ払いは、「保護」の対象になるだけ。

警職法第3条と、「酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」第3条をそれぞれご参照。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO136.html

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO103.html

「トラ箱」の根拠法がこれらね。

だから、「ポリにお世話になった酔っぱらいは全員送検されて」いない。

酔っ払って、暴行、傷害、器物損壊、公務執行妨害なんかを働けば、逮捕されて「留置場」に入れられる。

でも、逮捕はされても、常に「身柄送検」になるとは限らない。酔っ払っての悪さで、酔いが覚めたら反省して、身柄引受人もすぐ来てくれるような人なら、在宅事件に切り替えて、勾留請求はしないで釈放。

でも、そういう場合であっても、「書類送検」だけはきっちりされます。検察庁から呼び出しがかかって、「任意の取調べ」を一度受けます。で、悪質じゃなければ不起訴。ちょっと悪質だと、略式起訴罰金納めておしまい)。

 
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