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25%削減公約達成、排出量10億トン購入必要
【ベルリン支局】日本が鳩山政権の公約通り、「2020年の温室効果ガス排出を1990年比で25%削減」を達成するには、京都議定書以後の13年~20年の8年間に海外から10億トンもの排出量購入が必要となることがドイツ銀行がこのほどまとめた報告で明らかになった。
今日の排出量の相場をあてはめると、10億トンの調達には1兆7000億円の費用がかかる計算だ。
ドイツ銀行の報告は、鳩山政権が導入を目指す国内排出量取引制度が日本全体の排出削減に果たす役割を分析した。その結果、電力や製造業など産業界は90年比で35%の削減を義務づけられる見通しとなった。報告の試算では、産業界は必要な削減約15億トンの3分の2に当たる10億トンを海外から購入するシナリオが現実的との結論となり、日本の需要増で、世界の排出量相場が押し上げられる可能性も示した。 最終更新:10月5日20時12分
ますます無理筋じゃねえか。
鳩山首相がCO2を25%削減する「鳩山イニシアティブ」を高らかに宣言し、世界各国がそれを賞賛するのをみて、経済学者ってどこの国でも無視されてるんだなと思った。Mankiw blogの読者ならご存じのように、世界の主要な経済学者は、排出権取引よりも環境税のようなピグー税のほうが効率的で公正だと主張しているのだが、政治家にはまったく理解されない。それどころか、この二つが代替的な政策手段だということさえ認識してない人が多い。民主党のマニフェストに至っては、
•キャップ&トレード方式による実効ある国内排出量取引市場を創設する。
•地球温暖化対策税の導入を検討する。
と併記する支離滅裂なものだ。この両方を同時に実施することは不可能である。たとえば、あるCO2排出企業が、その排出権を他の企業から買って排出量をまったく削減しなかったら、どうするのだろうか。その企業に環境税を課税したら二重負担になるから、企業は購入した排出権を政府に買い取れと要求するだろう(つまり排出権取引は無意味だ)。もし課税しなかったら税の公平に反するので、税務署は許さないだろう。
排出権取引はアメリカの一部の州で実施されているが、それを考案したCrockerも「これはローカルな制度で、国際的な排出権取引は不可能だ」と反対している。排出量の正確な測定やペナルティが実施できないからだ。おまけに、それは政治的にも不可能だ。排出権取引でもっとも重要なのは排出量の割り当てだが、それを決める科学的な根拠がなく、政治的な紛争になりやすいからだ。
欧州は「鳩山イニシアティブ」を賞賛しているが、オバマ大統領は数値目標を明言しなかったし、中国など途上国は先進国の責任だと主張している。日本が負担してくれるのは他国にとって結構なことだから、鳩山氏がほめられるのは当たり前だ。たとえば日本の企業が中国に何兆円も出して排出権を買うのは、ゼロ成長の国が8%成長の国に巨額の開発援助をする結果になり、とても国民の支持を得られないだろう。
かといって国内だけで「鳩山イニシアティブ」を実現しようとすれば、政府の推定にも示されているように、新車の90%をハイブリッド車にし、ガソリン価格を数倍にし、すべての住宅を断熱住宅に改築するよう義務づけるなどの大規模な統制経済が必要で、GDPは3.2%も下がる。これはどう考えても実現不可能な目標である。
物理的に不可能な目標を掲げ、「大和魂さえあれば何とかなる」と国民を鼓舞するのは、前の戦争に日本が突っ込んでいった時を思わせる。経営工学の専門家である鳩山氏が、かつて研究した経営資源の最適配分という合理的思考を忘れて、政治的な大向こう受けをねらったのだとすれば、経済学も経営学も大した学問ではないのだろう。
追記:鳩山首相は記者会見で「温暖化は人類の生存が脅かされる問題だ」と発言したが、これは誤りである。IPCCの予測でも、100年後に平均3℃程度上がるだけで、人類の生存には何の影響もない。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/95b9471cdbc2cfa7586819692f132421
鳩山首相がCO2を25%削減する「鳩山イニシアティブ」を高らかに宣言し、世界各国がそれを賞賛するのをみて、経済学者ってどこの国でも無視されてるんだなと思った。Mankiw blogの読者ならご存じのように、世界の主要な経済学者は、排出権取引よりも環境税のようなピグー税のほうが効率的で公正だと主張しているのだが、政治家にはまったく理解されない。それどころか、この二つが代替的な政策手段だということさえ認識してない人が多い。民主党のマニフェストに至っては、
* キャップ&トレード方式による実効ある国内排出量取引市場を創設する。
* 地球温暖化対策税の導入を検討する。
と併記する支離滅裂なものだ。この両方を同時に実施することは不可能である。たとえば、あるCO2排出企業が、その排出権を他の企業から買って排出量をまったく削減しなかったら、どうするのだろうか。その企業に環境税を課税したら二重負担になるから、企業は購入した排出権を政府に買い取れと要求するだろう(つまり排出権取引は無意味だ)。もし課税しなかったら税の公平に反するので、税務署は許さないだろう。
恒例のThomson-Reutersの予想によれば、今年の医学・生理学賞の候補に小川誠二氏(濱野生命科学研究財団小川脳機能研究所)があげられている。張出のスウェーデン銀行賞の候補は
* Ernst Fehr & Matthew J. Rabin(行動経済学)
* William D. Nordhaus & Martin L. Weitzman(環境経済学)
ここで挙げられているMartin L. Weitzman先生によると、環境税によって環境負荷を減らすよりも、排出権取引によって環境負荷を減らすよりも、両方使った方が効率がいいよって言うのが結論なんですけど・・・・・・(論文はここを参照: http://www.jstor.org/pss/2296698)。
ノーベル経済学賞を取ろうとしている先生の経済学は無視して、自分の意味不明な論理で主流の経済学を馬鹿にするのはもうやめた方がいいんじゃないですか。
これらをどう転換するか
後の平成オイルショックである。成功すれば世界でも有数の環境大国になることは間違いない。失敗すれば目も当てられないことになるのは必至。
【政策目的】
○課税の根拠を失った暫定税率を廃止して、税制に対する国民の信頼を回復する。
○2.5兆円の減税を実施し、国民生活を守る。特に、移動を車に依存することの多い地方の国民負担を軽減する。
【具体策】
○ガソリン税、軽油引取税、自動車重量税、自動車取得税の暫定税率は廃止して、2.5兆円の減税を実施する。
○将来的には、ガソリン税、軽油引取税は「地球温暖化対策税(仮称)」として一本化、自動車重量税は自動車税と一本化、自動車取得税は消費税との二重課税回避の観点から廃止する。
【所要額】
2.5兆円程度
42.地球温暖化対策を強力に推進する
【政策目的】
○国際社会と協調して地球温暖化に歯止めをかけ、次世代に良好な環境を引き継ぐ。
○CO2等排出量について、2020年までに25%減(1990年比)、2050年までに60%超減(同前)を目標とする。
【具体策】
○「ポスト京都」の温暖化ガス抑制の国際的枠組みに米国・中国・インドなど主要排出国の参加を促し、主導的な環境外交を展開する。
○キャップ&トレード方式による実効ある国内排出量取引市場を創設する。
○地球温暖化対策税の導入を検討する。その際、地方財政に配慮しつつ、特定の産業に過度の負担とならないように留意した制度設計を行う。
○家電製品等の供給・販売に際して、CO2排出に関する情報を通知するなど「CO2の見える化」を推進する。
【政策目的】
○国民生活に根ざした温暖化対策を推進することにより、国民の温暖化に対する意識を高める。
○エネルギー分野での新たな技術開発・産業育成をすすめ、安定した雇用を創出する。
【具体策】
○全量買い取り方式の再生可能エネルギーに対する固定価格買取制度を早期に導入するとともに、効率的な電力網(スマートグリッド)の技術開発・普及を促進する。
○住宅用などの太陽光パネル、環境対応車、省エネ家電などの購入を助成する。
【政策目的】
○住宅政策を転換して、多様化する国民の価値観にあった住宅の普及を促進する。
【具体策】
○リフォームを最重点に位置づけ、バリアフリー改修、耐震補強改修、太陽光パネルや断熱材設置などの省エネルギー改修工事を支援する。
○建築基準法などの関係法令の抜本的見直し、住宅建設に係る資格・許認可の整理・簡素化等、必要な予算を地方自治体に一括交付する。
○正しく鑑定できる人(ホームインスペクター)の育成、施工現場記録の取引時の添付を推進する。
○多様な賃貸住宅を整備するため、家賃補助や所得控除などの支援制度を創設する。
○定期借家制度の普及を推進する。ノンリコース(不遡及)型ローンの普及を促進する。土地の価値のみでなされているリバースモーゲージ(住宅担保貸付)を利用しやすくする。
○木材住宅産業を「地域資源活用型産業」の柱とし、推進する。伝統工法を継承する技術者、健全な地場の建設・建築産業を育成する。
【政策目的】
○1次エネルギーの総供給量に占める再生可能エネルギーの割合を、2020年までに10%程度の水準まで引き上げる。
○環境技術の研究開発・実用化を進めることで、わが国の国際競争力を維持・向上させる。
【具体策】
○世界をリードする燃料電池、超伝導、バイオマスなどの環境技術の研究開発・実用化を進める。
○新エネルギー・省エネルギー技術を活用し、イノベーション等による新産業を育成する。
○国立大学法人など公的研究開発法人制度の改善、研究者奨励金制度の創設などにより、大学や研究機関の教育力・研究力を世界トップレベルまで引き上げる。
【政策目的】
○国民生活の安定、経済の安定成長のため、エネルギー安定供給体制を確立する。
【具体策】
○エネルギーの安定確保、新エネルギーの開発・普及、省エネルギー推進等に一元的に取り組む。