はてなキーワード: 削除合戦とは
「便所飯」とは、昼休みに一緒に食事する相手のいない学生が、ひとりでいる姿を周囲に見られないよう、トイレの個室にこもって食事をとることである。
都市伝説とみなす向きもあるが、ネットでは実体験がしばしば語られている。2年ほど前の2chでは「便所飯」スレッドが流行っていた。
Wikipediaに「便所飯」の記事が登録されたのもその頃であり、激しい削除&投稿バトルが繰り広げられた。削除派の言い分は、「便所飯」なる行為は一般的にその存在が認識されておらず、Wikipediaに掲載するに値しないというものであった。これに対し、掲載派は、小説やマンガ等の資料を援用しながら、「便所飯」が以前から行われていた行為であることを示そうとしていた。
現在、Wikipediaからは「便所飯」の記事は削除されており、「便所飯」なる現象はネットの奥底に葬られたかと思われた。だが、今日の朝日新聞夕刊(大阪版)を見て驚いた。なんと、「便所飯」がデカデカと記事になっていたのである。
http://suzuka.mine.nu/nijiup/upfiles/niji12456.jpg
記事の執筆者は、社会学者の辻大介氏である(阪大准教授)。「便所飯」現象についての辻氏の解説は秀逸であり、一読に値する。「若者たちが恐れているのは、ひとりでいること自体よりむしろ、そこに向けられるピア・グループ(同輩集団)の視線なのである」、「限られた関係の中で友達を作らねばならず、それに失敗した者は、孤独だけでなく、『友達のいない変な人』という烙印の視線にも耐えなければならない。二重の意味で疎外されるのである。その視線から逃れる場所は、それこそトイレの個室くらいしか残されていない」。
いまや「便所飯」現象は、国立大学の教授が全国紙に紹介するまでになった。Wikipediaでの削除派に先見の明がなかったことは明らかである。