はてなキーワード: モンゴルマンとは
電車を利用する時に必ずすることがある。駅のホームの端っこから端っこまで歩いて、ホームにいる人の顔を見ていく。電車に乗ると、同じ車両に乗っている人の顔を観察していく。ただし、同性には興味ない。異性の顔を見ていく。
不細工、不細工、不細工、不細工、不細工、不細工、不細工。あー、今日もハズレだ。
私は美少年が大好きだ。美少年を見ていると、それだけで癒されて幸せな気持ちになれる。
残念なことに私の最寄り駅で美少年は滅多に見かけないが、たくさんの人が利用している新宿駅になると、結構な確率で見つかる。というより、見つけるまで粘る。わざと新宿へ行く用事を作っては、駅に人が溢れ出す五時ごろからホームに張り、来る人来る人の顔を確認する。
不細工、不細工、普通、チャラ男、不細工、勘違いオシャレ野郎、長髪の不細工、ただの男前……。
単なる男前は駄目。美形でも遊んでそうな男だったら駄目。ヒゲが生えてても駄目。オッサンは論外。好みの子が見つかるまで電車には乗らない。何時間でも粘って、見つけたらその子と同じ車両に飛び込む。各駅だろうが急行だろうが、行き先が私と全く違おうが関係ない。
その子が立っていたら、私も近くに立ってじっと観察する。まずは可愛い顔。次に細くてセクシーな身体。ズボンの中に納まっているその顔には不釣合いの立派な男性器を想像して、また顔に戻る。そして、想像する。この子の裸を。抑えきれない性欲に、性器を屹立させている様を。快楽を求めて己が性器を一生懸命弄んでいるところを。
これだけで満足できれば良いんだけど、やはり彼の身体に触ってみたいという衝動に駆られる。私は電車の揺れを利用して、そっと彼の身体に手の甲を当てる。
至福の時。
ああ、できることなら彼の身体を思い存分触りたい。お腹、お尻、股間を撫でまわして彼がどんな風に身体を反応させるのか、美しい顔がどう表情を変えるのかが見たい。
私は彼を裸にひん剥いて、彼が恥ずかしがる姿を堪能する。彼は初めて女性に露出する性器を手で隠し、顔を赤らめる。だが、この後に起きる快楽への期待に、彼が性器を手では納まりきれないほど固く太く勃起させてるのを私は見逃さない。私は彼の手をほどくと、優しく性器を撫でまわし、おもむろに口に咥える。私のフェラチオによって起こる今までにない快感に、彼は嬌声を上げ、舌が這いずるたびに身体をビクッと反応させるだろう。そして、暖かな白い液体を私の口の中に放出する。それはどんな液体よりも濃厚で、甘くしたたかで、麗しい。彼はこれだけじゃ満足できず、さっきまで恥ずかしがっていたにも関わらず、裸のまま私に抱きついてくる。そして、勃起した性器を押し付けてくる。「もっと気持ちよくしてほしい」。美少年が快楽を求める姿ほど美しいものはない。
だけど、これを実現することは絶対に叶わない。私と美少年の接点は電車に乗り合わせただけ。私は話しかけても告白しても「他人」以上の関係に発展することはないだろう。「変人」の烙印を押され、他人以下になる可能性すらある。それに美少年はモテる。おそらく既に彼女がいる。私の妄想を実行している人間がいると考えると、気が狂いそうになるが仕方のないことだ。この時だけ、世間から蔑まれている買春援助交際親父を羨ましく思う。彼らはお金を出すと言えば、自分の好みの異性とセックスすることができるのだ。私がいくらお金を出したって、美少年は裸になってくれないだろう。それをタダで思い存分やっている奴がいる……。
そんな変態でどうしようもない私でも、神様は見捨ててくれないのだな、という出来事が起きたのです。
ある男の子と出会いました。その子はおそらく15弱くらいの年齢で、顔は中性的で、髪はサラサラの直毛で肩まで伸ばしていて、身体は首が細く華奢、七分丈のズボンから見せる生足がセクシーな、まさしく美少年といった感じの男の子。その子と出会ったのは普段私がテリトリーにしてる駅のホームではなく、最寄り駅近くにある古本屋のブックオフででした。何気なく入ったこの店で、その子が立ち読みをしていたのです。
こんな美少年が私が住んでいる街にいたなんて!!
私の身体に衝撃が走りました。こんなに可愛い子を今まで見逃していたなんて。そして、今このチャンスを逃したら一生この子とは再会できないような、そんな予感がしました。私はブックオフという場所もあって、昔読んだキン肉マンに出てきたあるセリフを思い出した。夢の超人タッグ編において、タッグを組もうとバッファローマンがモンゴルマンに宛てた手紙の文面です。
史上最強の男が史上最強の男をさそいにきた
キン肉マンと組んだのも一度なら私と組むのも一度
機会が二度君のドアをノックすると考えるな
機会が二度君のドアをノックすると考えるな
何か行動を起こさなきゃいけない。幸か不幸かここは少年漫画のnot100円コーナー棚。一番立ち読み客が多く、人の行き来も多い通り。つまり「近づいても怪しまれない」。私はこの状況を利用し、彼の真横に立った。棚を眺めるフリをして彼の横顔をチラチラと見る。あぁ、可愛い。横顔を楽しんだ後はこの棚にはなかったというフリをして、隣の棚を見ようとさりげなく移動。彼とすれ違う際に、手の甲で彼に触れて感触を楽しむ。さらには彼の真後ろに立ち、そっと顔を近づける。彼のすぐそばにある空気を吸ったり嗅いだりしているだけで、言い様の無い興奮が私を襲う。こんなに近くにいて、その気になれば手を伸ばして抱きしめたりもできるのに、これぐらいしか出来ない自分の無力さを痛感しながらも、心臓は破裂するんじゃないかというほど大きな音を立てる。私はここである一つの決断をした。
彼が立ち読みを終えるまで待ち、尾行をしよう。どこに住んでるかを突き止めよう。
私はひたすらに待った。彼が本を閉じ、棚に入れるたびに歓喜し、他の本を取り出すたびに落胆した。二時間ほど立っただろうか。ついにその時が来た。彼が本を閉じ、棚に入れる。そして……歩き出す! その顔は……棚に向いていない! つまり、もうこのコーナーには見切りをつけたということだ。他の本を取り出すつもりで歩いていない。しかし、まだ浮かれてはいけない。他のジャンルの棚に移動する可能性だってある。彼の歩く通りの先、抜けて右に曲がったら小説、CD等の棚だ。左に曲がったら、出口。どっちだ!? どっちに曲がる? その足は……左に向いた。よし!!
一定の距離を保ち、真正面でしっかり彼を見据えたい気持ちを抑えながら、有らぬ方向に視線を向け、視界の端っこで彼の動きを必死に追う。嫌な予感が頭によぎる。……もし彼が自転車だったらどうしよう? 私は徒歩でこの店まで来た。彼に自転車を乗られると、尾行はかなり難しくなる。
そして、その想定は不幸にも的中した。私が外に出た瞬間、自転車の鍵を外そうと腰を屈めている彼の姿が見えた。マズい! このままじゃ尾行は不可能になってしまう。混乱と錯綜で頭を揺らす。時間は無い。1秒以内に決断を下せ。諦念は全てやり切ってからだ。やれ、探せ、鍵のかかっていない自転車を。私と彼を繋ぐ神様からの贈り物を。
自転車置き場に並んでいる自転車群に目を滑らせる。私がいつもしている、男の顔を見て美少年か否かの判断を瞬時に下すやつの応用だ。こんなところでこれが役に立つとは。
鍵ついてる、ついてる、ついてる、ついてる、ついてる、ついてる。
ダメだ、一つもない。神様、私を見捨てるのですか。こんな御時世に鍵をつけずに自転車を置いている人はいないのだ。かくなる上は実力行使か。頭に二つの実力行使が浮かぶ。一つは鍵を壊すこと。無理だ。私にキーチェーンを引きちぎるほどの腕力は備わっていない。道具を用意する時間もない。そうこう考えているうちに、彼はサドルにまたがり、ペダルを漕ごうとしている。キーチェーンが引きちぎれない以上、もう一つの実力行使に出るしかない。
私は走った。遮二無二走った。追いつかないように、気づかれないように必死に走った。息を切らしても辛くはなかった。むしろ、激しい充実感があった。こんなに自分が頑張っているのは、初めてかもしれない。
彼が住んでると思われるマンションに辿りついた。走りきってから自分が息も絶え絶えになっていることに気づく。彼はマンションの一階をスペースにしている駐輪場に自転車を置きに行き、私は身を潜め、深呼吸をする。置いて戻ってくる間に息を整えていた方が良いだろう。彼が戻ってきた。エレベーターに乗るようだ。
彼が乗車ボタンを押すタイミングに合わせて、私もエレベーターの扉の前に行く。どこに住んでるかを確認するには、一緒に乗るしかない。エレベーターの扉が開き、彼が中に入る。その振り向きざま、彼と私の目が合った。彼が私を見ている。私を見ている!! 嬉しさに一瞬足を止めてしまうが、慌てて中に入る。彼は階数ボタン近くの位置に立ち、私はその後ろで奥の壁に寄りかかるようにして立つ。彼の手が六階を押すのが見える。そうか、六階に住んでるのか……そう思っていると彼は予想外の行動に出た。
私の方に振り向くと口を開き、こう言った。「何階ですか?」
彼の声を初めて聞き、あまりの興奮に息が詰まった。彼が私に話しかけている! こんな嬉しいことがあるだろうか。同時に焦りだした。迂闊だった。エレベーターに乗ったら何階で下りるか聞かれるに決まっているが、そんなこと考えてなかった。ここで素早く答えないと怪しまれる。咄嗟に「五階です」と答えた。返答と同時に静まり返るエレベーターの中で、これがなかなかの明答だったと気づいた。私は彼が住んでるところを調べるのが目的だが、「同じ階です」と言うわけにもいかない。彼の下りる階より上の階を選んでいたら、彼がどの部屋に住んでるかが判らず仕舞だ。しかし、下の階ならどうだろう。彼より先に下りることで、私は階段を使って彼の居住階にまで登り、どの部屋に住んでるか確認することができる。そして、それなら一つ下がベストということになる。ニヤリとほくそ笑む。運は私を味方した。
彼の住んでいる部屋を確認した私は、廊下側の窓から中を覗こうと試みるが、残念なことに深緑色のカーテンに遮られて何も見えない。諦めて玄関を写メで撮り、部屋番号と苗字をメモ帳に書き記す。正直ガッカリしていた。何か戦果が欲しい。彼の私物を手に入れたい。しかし、部屋に入ることはできない。何かないだろうか。しょせん私は他人で、彼に何の干渉もできない無力な存在なのだろうか。走り行く自転車を追ってまでしたのに。……自転車? そうだ、自転車がある!
勇み足で階段を降り、駐輪場に向かう。駐輪場で辺りを見回す。あった。折りたたみ式で小さ目、車体が青色の可愛い自転車だ。これに間違いない!
自転車に近づき、ハンドルを握る。間接的に彼を手を握っているのかと思うと、高揚感でいっぱいになり胸が高鳴る。このまま自転車そのものを盗るか? いや、折りたたみ式で小型でも、流石にそれはできない。だったら、盗むところは一つだ。彼のお尻が密着していた、自転車のサドル。それしかない。
私はサドルの高さを調節する金具に手をかけ、ゆっくり慎重に、くるくると回す。金具を限界までゆるくしてから、サドルを上に引くと、ポンと音がして抜けた。あまりにもあっけない作業。だが、その成果は果てしなく大きい。美少年がお尻を密着させていたサドル! 私はサドルを思いっきり抱きしめ、頬擦りをした。これは間接的だが美少年のお尻に頬擦りしているのと一緒である。さらに、お尻の柔らかい肉が触れているであろうところに舌を這わせた。あぁ、私は今、美少年のお尻に舌を這わせているんだ。柔らかで弾力のある尻の肉を楽しんだ後は、そっと悪戯心をだし、中央の大事な秘部をちょんと舐める。「あぁっ!」と悶える喘ぎ声が聞こえてきそうだ。
まだまだ楽しみ様はいくらでもあるが、ここではこれくらいにしておこう。私はサドルを胸に抱えて、家に帰った。
サドルを抱えたまま、ベッドに寝転がり、これからについての妄想をする。家はわかった。今後どういう行動をしていこうか。マンションの前に張り、出てくるのを待って尾行しよう。どんな学校に通っているのか、何が趣味なのか、どこで遊んでいるのかを調べ上げよう。当然家族も調べる。家族構成を覚え、顔を頭に入れたら、父親、または母親の出すゴミ袋を持ち帰る。郵便物を調べたらもっと彼のことを知ることができるだろう。
神様は私を見捨てていなかった。とてもステキなプレゼントをしてくれた。あまりの嬉しさに、笑いがこみ上げてきた。神様、ありがとう。私は今とても幸せです。