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2021-11-21

培養肉”で霜降り和牛割烹料理

超一流の料理人かつ経営者培養肉に乗り出している

心強いと思う

優秀な人ほど未来をみているなあ

培養肉”で霜降り和牛割烹料理

2021年11月21日 0時01分

1950年代に描かれた手塚治虫漫画ジャングル大帝」の中で、動物たちの共食いをやめさせるために人工の肉である「人造肉」を作る場面がある。

そこからおよそ70年。

いま、その技術現実のものになろうとしている。

培養肉”のいま

筋肉細胞培養して増やし、固めることで肉にする“培養肉”の技術

ここ10年で飛躍的に研究が進んだ。

きっかけは、2013年オランダ研究チームが発表したハンバーガーだった。

パテに、細胞培養して作られた牛肉が使われていた。

培養肉のハンバーガー

ただし、作るのにかかった値段は総額3000万円以上。

大量生産は難しいものの、培養肉が料理として使えることを示し、世界を驚かせた。

いま研究が盛んなのがイスラエルだ。

ことし6月鶏肉培養肉を大量に作ることができる工場誕生した。

画像提供:Future Meat)

細胞培養するためのタンクを7基備え、1日に最大で500キログラム培養肉の製造可能になった。

こうした技術によって、ハンバーガーのパテ1枚にあたる100グラムの原価が3.9ドル日本円にして450円ほどにまで下げることができたという。

画像提供:Future Meat)

国内販売許可がおりていないため、食べられるのは従業員だけ。

ルール作りが進められているアメリカでの販売を目指している。

さらに先を行くのがシンガポール

すでに一般販売が始まっている。

去年、政府鶏肉培養肉の販売世界で初めて認可。

画像提供:GOOD Meat)

アメリカ食品企業ホテルレストランで、培養肉をつかった料理提供している。

価格は一皿およそ2000円。

チキンライスワッフルなどの料理を楽しむことができる。

スマートフォンからデリバリーの注文も可能だ。

(GOOD Meatの担当者

「今、培養肉を扱う企業は爆発的に増えています世界食肉市場は巨大で、私たちの力だけでは足りないので、今、多くの企業が参入して来ていることをとても心強く感じています

食糧危機

世界中で培養肉の研究が進んでいるのはなぜか?背景には、世界規模の人口増加がある。

世界人口は、2050年には97億人に達するとされている。

お祝いの日に「焼き肉」を食べにいく家庭もあるかもしれないが、経済的に豊かになると肉の消費量が増加するとも言われている。

人類が食べる肉の量は、2050年には2010年と比べて1.8倍に増えるという予想もある。

これに対して、既存畜産では飼料となる大量の穀物や水が必要になるため、拡大が難しい。

食肉からタンパク質摂取が難しくなる「タンパク質クライシス」が近い将来訪れるという懸念もある。

こうした畜産業では足りない部分を賄うために「昆虫食」や「植物性代替肉」、それに「培養肉」などの新しい技術が注目を集めている。

畜産業とともに食料を支えていこうというものだ。

アメリカコンサルティング会社は、2040年には、世界食肉市場の6割が「培養肉」と「代替肉」になり、培養肉の市場規模は69兆円になると試算している。

培養液中の鶏肉細胞

培養肉は、牛や鶏などの動物から少量の細胞を取り出して、動物の体の外で増やして作る。

広大な土地必要ないため、将来、安く大量に肉が作れる可能性があると期待されている。

日本では、大型研究プロジェクトムーンショット研究開発制度」などで培養肉の研究を国が後押ししている。

太陽エネルギー駆動源、藻類栄養源とした培養工場イメージ 画像提供:インテグリカルチャー)

和牛培養肉”を目指す

現在大量生産可能なのはハンバーグなどに使われる「ミンチ肉」にとどまっている。

ただ、毎日ハンバーグではもの足りなさも感じるかもしれない。

そこで日本研究者が目指しているのが、サシの入った和牛のような培養肉。

ステーキのような構造をもったお肉だ。

大阪大学松崎典弥教授は、ことし8月和牛と同じ構造もつ培養肉を作ることに成功したと発表。

松崎教授

細胞の繊維だけかき集めてハンバーグ状にしているが今の培養肉の主流です。でもそれではステーキにはならないんです」

松崎教授が注目したのは、和牛肉の構造

肉は、繊維状の赤身脂肪、それに血管などが複雑に絡まっている。

繊維自体を作ればいいのではないかと考えたのだ。

しかし、立体的な構造細胞で作るのは手作業では難しかった。

そこで目をつけたのが3Dプリンターだ。

3Dプリンター

特殊な容器の中に細胞を入れ込み形状を保ったまま細胞どうしを融合させる手法を開発。

筋肉脂肪、血管、それぞれの繊維を作ることに成功し、これらをくみ上げることで、和牛と同じ構造もつ1.5センチほどの大きさの培養肉を作ることに成功した。

(できあがった培養肉)

この方法画期的なところは、赤身脂肪割合自由に変えることができるところにある。

将来的に家庭にある3Dフードプリンターで肉が作れるようになれば「お母さんは胃がもたれているからきょうは脂肪を少なくしよう」とか「高校生長男サーロインで」などと、気分によって作る肉を調節できると期待されている。

ただ現段階では繊維をくみ上げる作業は手作業で行っていて、松崎教授は、メーカーと協力しながら、自動ステーキ肉を作る装置の開発を目指している。

松崎教授

「いまは、すべての行程を食べられる成分で作っていないので、食べることができません。ただ和牛と同じような構造ができたので、食べたらおいしいと思います。これから先にいくためにはスケールアップをしないといけませんし、自動化の装置開発もしなきゃいけません。細胞を大量に培養する技術必要になります。まだまだ新しい技術開発が必要です」

料亭コースの1品に

研究は、日本ベンチャー企業でも進んでいる。

大阪にあるダイバースファームは、肉を寄せ集めたチキンナゲットではなく、焼き鳥で使うようなかたまり鶏肉培養肉を作る研究を進めている。

ダイバースファーム 島村雅晴副社長

副社長島村雅晴さんは、独自技術鶏肉培養する方法確立

できるのは薄いシート状の鶏肉だが、それを重ね合わせることで、4センチ四方で5グラムほどの大きさの培養肉を作ることに成功した。

ただ、この大きさでも制作費は10万円。

提供できるようになるにはまだまだ研究必要だとしている。

鶏肉培養肉)

実は、島村さんは星の数で店を評価する世界的なガイドブックに選ばれるほどの腕をもつ料理人だ。

培養肉に興味をもったきっかけは、市場での変化にあった。

いま、特定の種類の魚が手に入らなくなっているのだ。

また漁獲高が減っているというニュースも聞いたり、仕入れ先の養鶏業者から飼料の値段があがり、経営が厳しい」といった話も聞いたりしてきた。

(ちゅう房に立つ島村さん)

そうした中で、細胞から培養することで肉を作る培養肉であれば、今の環境を守りながら、新しい食の選択肢も増えると感じ、取り組みを始めたのだ。

国のプロジェクト代表を務める東京女子医科大学清水達也教授研究室にも出向き、勉強した。

その中で、研究がメインの大学ではなかなか“食べる”ところまでたどり着けないことを感じ、清水教授を通じて再生医療研究者を紹介してもらい、ベンチャー企業を立ち上げた。

島村さんは、みずから作った培養肉をコース料理の中の一品に加えようと試作を続けている。

培養肉は血が通っていないため、コクを出すためにみそを加えてつくね制作

かぶらとシメジ、まごいも、金時にんじんゆずを加え、あんかけをかけた料理などを作っている。

培養鶏肉つくねのべっこうあんかけ

島村さんによると、培養肉はこれまでになかった薄さの鶏肉を作れるほか、骨が多くて食べることに適さなかった魚や、絶滅危惧される種類の魚の肉を増やすこともできるという。

さらに、無菌状態でつくれることから、生の鶏肉レバーなども気軽に食べられるようになるのではないかと期待している。

常連客の中には、培養肉の料理が食べられることを楽しみにしている人もいるらしい。

島村さん)

お客様提供する食品なので、すべてを分かっておきたいので自分研究も行っています。まだちょっと食べることができないですが、少し培養肉にも興味を持っていただけるような機会ができればなと思って、議論が始まっていくきっかけを提供したいと思っています

安全性は?

これまで大阪大学ベンチャー企業の例を紹介したが、食べられないの?と疑問に思った方もいるかもしれない。

察しのとおり、日本では販売のためのルールが十分に整備されていない。

培養肉に関わる基準ができていないためだ。

日本では去年10月、農林水産省のフードテック官民協議会の中に、培養肉のルールについて検討する細胞農業ワーキンググループが立ち上がった。

また、実用化に向け法整備安全基準策定を進める議員連盟設立に向けた動きもある。

細胞農業研究事務局吉富愛望アビガイル広報委員長によると、主な論点は5つだ。

1. 安全性基準

2. 食品表示基準

3. 畜産業との共存細胞知財

4. 名称

5. サスティナブル基準

消費者にとって特に重要なのは安全基準だ。

培養肉は作り方が企業によって異なる。

最終的な商品には、既存食品食品添加物として認められていないものが入っていなければいいのか。

製造過程ではそうした成分を使っていいのか。

消費者が受け入れられる基準検討しなければならない。

また、消費者培養肉だということをどう表示するのか。

日本品質の高いブランド牛があり、畜産農家の細胞知財をどう守るのか。

社会に受け入れられる名前は。

持続可能な食かどうかをなにで判断するのか。

論点はたくさんある。

多摩大学 ルール形成戦略研究細胞農業研究事務局吉富愛望アビガイル広報委員長

「超高齢化社会が訪れる日本では、健康意識して食生活送らないといけない人がいる。また、これまで動物愛護の観点でお肉を食べなかった人に対しても培養肉は需要があるかもしれない。日本はい食材がたくさんあるので、培養肉のもとになる質の高い細胞が手に入り、ブランド化ができるかもしれない。日本がいないところで新しい肉の世界基準が決められてしまわないように、ルール作りを進めたい」

科学技術振興機構の湯口玲子副調査役は、培養肉が普及するためには、情報の透明性が重要だと指摘する。

培養肉が社会に受け入れられるために必要なこととして、2つポイントがあります。まず製造過程自体安全ものであるかどうかということを、きちんと消費者の皆さんに伝えて理解いただけるかという点です。それからもう1点が、培養肉の原材料が体に取り入れて大丈夫ものであるということを、きちんと証明できるかどうかというところです。いずれにしろ消費者と作る人とのコミュニケーション重要な点だと考えます

綿密なコミュニケーション

研究が進む培養肉。

迫るタンパク質危機に対しての選択肢の一つとして、大きな可能性を感じた。

一方、専門家が指摘しているように、消費者がどのように培養肉を受け入れるのか、また、畜産業との関係がどうなるのか、しっかりと議論することが重要だ。

人口増加に伴う食糧危機への対策は待ったなし。

しっかりと議論を深めて、納得できる基準を定め、産業を育てていってほしいと思う。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211121/k10013354981000.html

 
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