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2021-09-25

酒税法の読み方(ひいては法令の読み方)

ちょっと話題になってる酒税法の読み方について。

まずカクテルがを作ることが原則酒税法に引っ掛かるっていうのは第43条第1項にある。

酒類に水以外の物品(当該酒類と同一の品目の酒類を除く。)を混和した場合において、混和後のもの酒類であるときは、新たに酒類製造したものとみなす。ただし、次に掲げる場合については、この限りでない。(以下略

ここでは、酒+何かの混合が酒類製造にあたる、と言っている。これ以前の条で、酒類製造特別許可必要と定めているので、一般には禁止されるというわけだ。

で、第1項を読み取ると、次のようなことは酒+何かではあるけれども、酒類製造にあたらないということが分かる。

  • 酒+水
  • 酒+同じ種類の酒
  • 「次」に列挙されているもの

で列挙の内容を読むとウイスキーブランデーの混合とかは何故か許されてるんだけど、リキュールとか炭酸水とかは出てきてないから、ハイボールとかジントニックカシスオレンジとかカルーアミルクみたいなカクテル自分で作ることは「酒類製造にあたる」、という話になる。

ここまでが第1項だけの読み取りの結果。

次に水割りはじゃあ酒+水だからいいのかというと、これは第5項で改めて酒類製造にあたるとされている。

第一項の規定にかかわらず、酒類製造場以外の場所酒類と水との混和をしたとき政令で定める場合を除く。)は、新たに酒類製造したものとみなす。(以下略

この(政令で定める場合を除く。)っていうのは絶対読み逃してはいけない記述で、面倒でもこの政令を探して読まなければ正しい解釈はできない。

今回の場合酒税法施行令第50条第7項に書いてあって、ざっくり言うと「すげー濃い水割り」とかがOKだよーってことになる。(正確には条文をちゃん確認してね)

まりここまでの条文だと薄い水割りはやっぱりダメ

あとハイボールダメ

ここで終わったらバーとか居酒屋が困っちゃうので、次に読むべきなのが第10項。

前各項の規定は、消費の直前において酒類と他の物品(酒類を含む。)との混和をする場合政令で定めるときについては、適用しない。

ここも「政令で定めるとき」を絶対読み飛ばしたらだめ!

これは酒税法施行令第50条第13項を読む。

(略)酒場料理店その他酒類を専ら自己営業場において飲用に供することを業とする者がその営業場において消費者の求めに応じ、又は酒類消費者が自ら消費するため、当該混和をするときとする。

これらを合わせて読むと、酒場で作るカクテル自分が飲むために作るカクテルは、飲む直前に作るならOK、となる。良かったね。

でも鋭い人なら、待てよ、では自宅でカクテルを作って奥さんに飲ませるのはナシなのか?と考える。

これは国税庁法令解釈で、同居親族に飲ませるのは自ら消費することに含む、とされているらしい。

ところでこれではまだ自宅で漬け込む梅酒などは許されていない。

自宅での作り置きがOKとなる根拠は第11項。

前各項の規定は、政令で定めるところにより、酒類消費者が自ら消費するため酒類と他の物品(酒類を除く。)との混和をする場合(前項の規定に該当する場合を除く。)については、適用しない。

この適用条件には「消費の直前」がないので、作り置きもできる。しかし自ら消費するためなので酒場では出せない。

でもここでも注意すべきなのが、「政令で定めるところにより」だ。

政令を探しに行くと、酒税法施行令にこの条が適用できる条件として「酒類と混和をする物品は、糖類、梅その他財務省令で定めるものであること。」というのが書いてある。

今度は「財務省令」だ。

酒税法施行規則を見る。ここで、「その他財務省令で定めるもの」とは穀物類とか葡萄とかアミノ酸とか以外の物品がOKってことがわかる。

したがって、葡萄を使うサングリアの作り置きはダメってことがようやくわかるわけだ。

これは第11項の読み取りであって、第10項(消費の直前)は葡萄関係ないので、作ってすぐ飲むサングリアOKということになる。

今回はちょうど酒税法話題になったからちょうどよく説明できたけど、普段業務でこういう法令の読み取りばっかりやってるんだよね。

法律って一個の大元の条文だけだと絶対読み取れないから、施行令を読んで、施行規則を読んで、法令解釈まで確認してようやく考え始めることができる。

なんか自分のやろうと思ってる行動のために法令を読む必要ができた時は、上記のように抜けなく読み取れるよう、十分注意してね。

 
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