はてなキーワード: 老犬ホームとは
犬猫の寿命が長くなって介護の話はよく見かけるようになった。老犬ホームとかデイケアの広告も見かける。犬猫常駐の老人ホームあったらいいのにな…
話がズレそうになったのは今から書くことがつらい出来事で批難されるの必至だからだ。でもペットを安楽死させた事例は検索してもなかなか見つからない。ほとんどは「安楽死寸前だったのが…」という介護譚だ。
もちろん安易に「飼えなくなったので安楽死させてください」はダメだと増田も思う。でも長年連れ添ってきたペット、家族の一員としか言いようのない存在が「回復見込みのない状態で恐怖と苦痛でしかない検査・治療を受け続ける」事態を止められるのも家族だけだ。
うちには20歳オーバーの猫がいた。元野良。ガリガリの子猫を「このままだと死んじゃうから」と押し付けられた。仔猫用ミルクや良質のペットフードのおかげで強健に育ち18歳くらいまでは病気知らず。ここ2年は甲状腺の病気で投薬(朝晩)と自宅点滴(週2)と血液検査(月1)をしてきた。
気が強い猫だからあらゆる手段で薬を拒否するのをこちらもあらゆる手段で飲ませにかかり、最近は粉にした錠剤をオブラートに包み無理矢理顎を開けさせて放り込み飲み下すまで顎を押さえつける方式になっていた。それでもやっぱり薬がイヤな猫は飲み込んだあとも涎垂らしたり、意志の力でゲロしたり毎日バトルだった。人間なら100歳近い婆ちゃんに悪いと思いつつ、薬を飲まなければつらくなるのだから、と拝むような気持ちで続けていた。
昨日の朝6時頃、へんな音で目覚めた。誰かがパイプを引っ掻いているみたいに音。見に行くと猫がえづいていた。なんか喉に詰まったものを吐き出そうと必死に空咳をしては後ずさる。口を開けたまま肩で息をしている。猫飼いなら誰でも知っているが猫の口呼吸はマジやばい。配偶者によると夜寝た時はふつうで明け方頃急にこうなったという。
かかりつけの獣医は9時半開院。ちょっと待てないのでネットで検索して24時間救急に連れて行った。(この時点で7時半)。猫の検査結果やいつもの薬も持って行った。獣医によるとX線だと詰まっているものは見えない。食道が異常に拡張している。胃まで空気でパンパンで呼吸が入らない。応急措置として鼻からチューブで空気を抜く、水分補給の点滴をして酸素室で回復を待つことに。
このあと院長?らしき先生と今後について話た。おそらく誤嚥性肺炎。高齢なので麻酔や手術はできない。酸素飽和度が低いので酸素室から出せない。誤嚥を避けるために強制給餌後15分立位にさせないといけない、等々。もし全てがうまくいけば2-3日で好転、そうでなければ長期入院。ケアが大変なので1日5-6万円プラス検査、薬代かかる、と。
金額にもビックリしたけど(ここは24時間な分高額なのは有名なので)うちの猫がずっと酸素室やケージに入れ続けられるのが耐えられなかった。(しょうがないけど)犬も一緒でワンワン吠えているし知らない人ばかり。さっき見せてもらったら酸素室の中でパニック起こしてまんまるな目をして苦しいのに逃げようとペットシーツを掘ったり歩き回っていた。猫にとっては急に戦場に連れてこられたようなものだろう。
「ウチに連れて帰れませんか…」せめて家で看取ってやりたい。「酸素室から出せない状態では帰宅を許可できない。車の中で死ぬほど苦しむから。それなら家族が来て安楽死させる方がまだ…」
安楽死。
先に口に出したのは院長?の方だった。コトバには魔力がある。思えばあの時心が決まったのかもしれない。
家に帰り配偶者と相談した。神経質な、いわゆる「幻の猫」で配偶者と自分にしか甘えない猫だった。あの猫のことは獣医よりも自分たちがよく知っている。「20年も頑張ってくれたのだから、もうこれ以上つらい状態から解放してやろう」それが結論だった。6歳とかあるいは10歳なら、投薬やケージレストを嫌がらない猫だったら別の結論もあったのかもしれない。でもただ症状がすこし緩和するために何日も入院し、帰宅できたとしても酸素室に強制給餌の日々で安らかに過ごせるとは思えなかったから。
午後の面会時間に配偶者と赴いた。若い女の先生は「朝からだいぶ回復して歩き回ってますよ!」「CTとったら詰まっているものがわかるかも」と積極治療を勧める。でも酸素室の中の猫は瞳孔が開ききった状態でゼェハァしていた。獣医が歩き回る、というのはパニックしているから。ニャアと鳴きました、というのは威嚇しているから。見ていて胸が張り裂けそうだった。ごめん、こんな辛い思いをさせてごめん。もうこれはうちの◯◯じゃない、酸素室で無理やり生かされている怯えた獣だ。(すべての猫がそうだという訳ではありません、あくまでもその時感じた事なのでご容赦を)
配偶者が女医さんと話した結果、安楽死を認めてもらった。酸素室から出して抱っこさせてもらった。処置台の上で寝ている姿を見ればやはりうちの猫。20年間一緒に過ごした唯一無二の猫。外だとほとんど呼吸ができなくてぐったりしているところに、足につけた点滴から薬剤を注入する。いいですね、と念押しされたので頷いた。薬が回るに連れて凝り固まっていた身体が柔らかくなった。もう一つの薬剤を入れる。静かに、まるで熟睡しているみたいな猫の心音を聴き、瞳孔を調べて女医さんは「亡くなりました」と言った。
今まで自宅で看取った猫たちは死ぬ直前もがいたり、すごい唸り声を発したりしたのでこんなに静かな往生ははじめてだった。明け方に誤嚥?してからはじめて安らかな姿になった。
獣医の中でも安楽死はやりません、という人が多い(かかりつけ医もそっち)。この病院も「回復が見込めない、著しい苦痛がある等の場合」が原則な中、安楽死措置をしてくれた事を感謝する。まだ生きられたかもしれない【いのち】を奪った!という批判は飼い主の自分たちが負う。
(追記)誤嚥性肺炎はあくまでも仮の診断。レントゲンに映らなかったので何がどこに詰まったかを確認するにはCT必要。麻酔かけられないからうまくCTとれるか保証ない。仮に気管に詰まっていたとして気管支鏡手術のためには設備のある病院に転院必要とのことだった。