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2021-05-04

マクガフィンについて【2021/05/06誤字訂正】

 フランケンハイマー監督映画RONIN』は、ソ連崩壊の余波が残る90年代作品であるソ連崩壊した頃は、生活に困ったソ連の元・軍関係者兵器第三世界テロリスト密売する可能性や、ソ連という敵を失ったことで欧米諜報機関人間リストラされる可能性が取り沙汰されていて、そのような世相が同作品には反映されている。

 ロバート・デ・ニーロ(主人公)、ジャン・レノらが演じる「ソ連崩壊に伴って仕事を失った東西諸国諜報機関の元・工作員たち」が、アイルランド人らしき女性からリクルートされて、フランスニース滞在中の元・ソ連関係者と思しき男たちの持ち歩いている「怪しいジュラルミンケース」を強奪する非合法ビジネスに挑む…という話である

 このジュラルミンケースを巡る争奪線として物語は進行するが、その中身が何なのかは最後まで明かされない。ただ「非合法な真似をしてまで欲しがる人間たちが存在するような『物騒な何か』なのであろう」とだけ、観客には理解される。しかし、そのような理解物語の進行には十分なのである。この映画におけるジュラルミンケースのような、物語進行上の小道具マクガフィンと言う。

 マクガフィンマクガフィンとして機能しうるのは、物語の語り手と観客が「世界観」や「状況認識」や「常識」を共有しているかである新聞ニュースを通じて、冷戦下における東西諜報機関の暗闘や、北アイルランド返還要求してテロ活動をしていたIRA存在ソ連崩壊に伴う兵器拡散危機などについて既に了解しているからこそ、たとえジュラルミンケースの中身が判明しなくても、観客は物語を読み解くのに支障が無いのである。ちなみに、主人公たちをリクルートするアイルランド人らしき女性が、物語の冒頭で主人公たちに対して「私はディアドラ」と名乗る。これは、日本人に擬えると「私は花子」と言うぐらい「平凡な名前すぎて逆に偽名クサイ」という描写とのことである。「アイルランド人」らしき人間が「偽名」で接触して「非合法ビジネス」を依頼してくる。となれば、90年代フィクションにおいては「IRAか?」と推測するのは観客にとって極めて自然な成り行きであった。このような社会的知識認識を持たない人間が『RONIN』を観ると「何だかよく分からない話だった」となるかもしれない。

 さて、海賊漫画について言及したところ「『海賊王』の定義がハッキリしなくても、マクガフィンなのだから問題は無い」との意見が見られた。しかし、端的に言えば『海賊王』はマクガフィンとして機能していない。何故ならば、物語世界法則や状況に関する「確固たる土台情報」が与えられておらず、ジャンプ読者は共通認識を持っていないかである

 海賊漫画は、政治・経済軍事警察法律社会体制キャラの強さの根拠尺度海賊稼業が成り立つ社会の仕組みなど、全てにおいてアヤフヤである

 海賊漫画に比べると、まだ『パイレーツ・オブ・カリビアン』の方が、海賊冒険物語としてはマシな方である。それが成立するのは何故かと言えば、以下のような「世界認識」が朧げながら観客に共有されているかである

 我々の世界での海賊歴史は、ヨーロッパのような国々があり、中南米アフリカアジアのように植民地とされた地域があった。海賊たちは、国家の軍や警察の力が及びにくい地域で略奪・誘拐などを行い、時には国家から許可を受けた「下請け業務」として海賊業務を行っていた(このような海賊船は、所謂piratesではなく「私掠船privateer」と呼ばれて区別される)。

 国家下請け業者としての海賊が成り立っていたのは、ヨーロッパの国々が互いに覇権争いをしていたかである競争相手国の船が、私掠船にとって獲物であった。

 覇権争いをしてまでも植民地にした地域には、金銀や宝石鉱山が有ったり、香辛料農産物の産地であったり、サトウキビコーヒーなどのプランテーション農園を作って労働力に使う現地住民がいたり、宗主国がそこに侵出する様々な経済的動機があった。

 植民地域と本国との間で行われる貿易関税を逃れて密輸するのも、海賊仕事の一つであった。

 海賊が略奪した貴金属貨幣や物品、誘拐した人間を欲しがる人間が、宗主国植民地域に「顧客」として存在し、また略奪や誘拐ビジネスで富を手に入れた海賊が消費活動を行なって、植民地域の経済圏に金を落としたからこそ、海賊稼業も成立していた。

 海賊は、社会から孤立しては成立しなかった。

 このような大まかな共通認識が観客にあるからこそ映画パイレーツ〜』も成立するのである。これに比べたら、如何に海賊漫画がアヤフヤなまま連載を続けて、本来は連載初期に描いておくべきであった、読者が物語を読むための足掛かりにするべきことを何も描いてこなかったのが一目瞭然である

 「パンピレホニョンに俺はなる!」と言うだけではマクガフィンにはならない。

【2021/05/06誤字を指摘して下さった方、ありがとうございます。】

2021-04-01

[]放任の乱

幌生家の足軽大将、地弥呼と海賊大将、摩利砲鐸が衆人環境

書物侮辱したと受け取られる行為を働いたことに端を発する戦乱は

関係者の間で和睦が成立した後も各地で炎をあげ続けていた

さながら、

山名宗全の没後にも貿易港での細川氏への恨みを晴らさんと京に居座った大内氏のような

応仁の乱が終わっても山名から播磨を取り戻そうと戦い続けた赤松氏のような

戦意に溢れすぎた人間がたくさんいたかである

戦乱に乗じて自らの勢力を拡大したいだけの野伏まで参入して

状況は酷く混沌としていた

かねてより幌生家は領民の行動に注意を促すことが少なく放任気味であった

こたびの戦においても私掠船行為自主的に始めた領民への制止が出されたのは

騒動勃発からしばらく時間をおいてのことだった

なお、幌生家そのものは表向きなんら反応を示していない

このような放任の期間が戦乱の拡大にどれほど寄与たか

評価簡単ではないが危機管理の例として興味深いものがある

なお、中つ国地方の幌生家においては既に混沌常態化しており

一足先に代替時代突入していたとの説が主流となっている

 
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