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2023-08-08

九州進学校男女差別地域差別

とあるフォロワー鹿児島から久留米まで新幹線通学をしている女子中学生報道引用して、「鹿児島ラサール男子校女子教育機会が奪われているのを放置し、鹿児島性差別的なところだ」という話をしていて、いやいやいやいややってなってしまった。

九州男尊女卑であるという偏見の目でこのニュースを見るとそう見えるのだろう。

九州進学校事情に多少詳しい人からすれば、それはただの偏見による観測なのだ

以下、九州進学校事情説明しよう。

そもそも論として九州男子校は少ない。

そして、九州進学校花形は二つの私立進学校例外を除いて、たいていの地方と同じように各県の公立トップ高たちだ。福岡であれば修猷館熊本であれば熊高(くまたかと呼ぶ)、鹿児島であれば鶴丸といった県立トップ進学高たちだ。

東日本学校のように一高が実質男子校、二高が実質女子高のような伝統もなく、主要な公立進学高校はもちろん共学だ。


男子高の数をwikipedaから拾って数えたのでみてくれ。

北海道 公立2 私立3

東北  公立1 私立1

関東  国立1 公立15 私立51

東海  私立7

関西  私立17

中国  私立4

四国  私立0

九州  公立2 私立5


異常でしょ関東。というか、北関東公立男子校群なんなん。よっぽどこっちの方が女子教育機会奪ってるだろ。

九州公立2は鹿児島にあるらしいが、どちらも共学化が決まっているようだ。

一応、種明かしをすれば、公立は前述の通りだが、九州私立男子校が急減したのはここ20年の動きだ。

かに私が20年前に中学受験たころは頭のいい女子は受けるところがほとんどなくて、塾のトップクラスにいた自分も塾の講師同級生女子に「女子なんて勉強したって入るところないだろ」とか暴言を吐いていたのも観たことある(今考えると本当にひどい環境だった。暴力もあったし)。そんな環境で、塾の実績作りのためとはいえ、桜陰に合格した子もいたのは今考えると本当にすごいことだ(その子公立中→県立トップ高→東大と進んだ)。

ところが、少子化最前線九州地方、生徒募集に苦労した各校は次々と共学化し始める。その中でもエポックメーキングだったのが、ラ・サールと並ぶ九州私立進学校の雄・久留米大学附設高等学校の05年の共学化だろう。結果として、周りの学校が共学化し偏差値が上がる中(単純に募集できる対象者が倍増するのだから)、附設より低いレベル男子校進学校ほとんど共学化することとなった。その数少ない例外の一つがラ・サールだ。とはいえラサールを除き、主要進学校ほとんど共学化している。

その証拠ネットから拾ってきた九州東大合格ランキングがこれだ。


ラサール(私立男子校)

久留米大附設(私立・共学)

熊高(公立・共学)

修猷館(公立・共学)

大分上野丘(公立・共学)

佐賀西(公立・共学)

青雲(私立・共学)

鶴丸(公立・共学)

福岡(公立・共学)

筑紫丘(公立・共学)

明善(公立・共学)

福大大濠(私立・共学)

大分豊府(公立・共学)

大分東明(私立・共学)


元々地方なので公立が強い地域だし、附設、青雲、大濠私立組が共学化したことによりずらりと共学が並ぶ。

比較として首都圏のものも載せておこう。


開成(私立男子校)

筑駒(国立男子校)

麻布(私立男子校)

聖光学院(私立男子校)

渋幕(私立・共学)

駒場東邦(私立男子校)

桜蔭(私立女子校)

日比谷高校(公立・共学)

栄光学園(私立男子校)

横浜翠嵐(公立・共学)


改めてみてもひどい。

よくこんな地域に住んでいる人が九州に向かって「女子教育から排除」しているなんて口が利けたものだなぁ~と思うのだが、そのことを指摘すると東京の人たちは「男子校は悪いことではない」「優秀な女子高もある(1校しか入ってないやんけ!)」、「九州には〇〇という性差別があり~」とか話をそらし始めるのだが、今は中等教育男女差別の話をしているんですよ。関東女子中等教育における後進地区って認めろよ。東大女子比率下げてるのおめーらじゃねーか、と思うのだが。。。


というわけで、冒頭の鹿児島から久留米新幹線で通う私立中学生の話に戻る。件の私立中学生鹿児島から久留米大附設まで新幹線で通っているわけで、それ自体はもちろんひえ~~という話なのだが、そもそも論として附設やラ・サールレベル私立学校九州にこの2校しかないのだ。

普通に考えればわかるとおり、久留米鹿児島が通学圏内にない九州の人たちだって多い。そのため九州の主要私立進学校はだいたい寮を持っている。ラサールは6割、附設は3割が寮生のようだ。ところが、附設は男子しかない。というわけで、件の女子中学生鹿児島から新幹線で通うことを選択したのだろう。

もちろん、ラ・サール男子校であることや附設が女子寮を持っていないことが女子教育排除に繋がっていると言われたら全くその通りなのだが、一私立高校にそこまで負担を求める(特に女子寮の増設)のはいくら何でも厳しいだろう。だいたい関東国立男子エリート進学校という何故国税をつぎ込まないといけないのかよくわからない存在に比べれば、ラ・サールや附設だけに罪を被せるのはアンフェアだろう。

当たり前の話だが、九州の他に同レベル学校がないのだから、附設やラサールへのアクセス可能性を九州の人に平等担保すること自体不可能だ(寮に入ると授業料と合わせて月10万程度になり、経済的負担できる家庭は多くないだろう)。そもそも関東とは違い九州中学受験する人は親が教育熱心な一部の家庭だけだし、附設やラサールという二つの例外を除けば、たいていの田舎と同じように県立トップ校に行って、いい大学に行くというのが九州の人の普通エリートコースなのだ。その環境を背景にすれば、この事実を持って九州は最高レベル教育から女子排除している!というのはさすがにナンセンスだろう。

もちろん、大学進学の時点で男子東大目指すけど、女子は九大や地元国立でいいでしょう、という話は今でもあるだろうし、女子医学部志向が強い(九州全体としても医学部志向は強い)。医学部も悪くはないが、東京で知見を広めることもいいのにな、と思うのだが、就職家業・本人の志向問題もありなかなか難しい。

九州世帯の平均収入が低く、それが大学進学率にも影響をしている。

九州ももちろん教育における男女差別存在する。それは解決すべき問題だ。

とはいえ鹿児島大学進学率は43.6%、東京都69.8%だ。こんなにひどい地域格差は見もしないのに、鹿児島から久留米に通う女子中学生ニュース一つで九州男尊女卑だと吹き上がる。ここまで述べてきたとおり、九州中等教育において少なくとも「制度的」には、女子教育の機会はある程度担保されている。もちろん、制度ではないところに差別はあるだろうが(女子はそんな勉強せんでええ的な)、男子校が進学実績トップにずらっと並び「制度」すら保証できない関東に比べればはるかにマシだろう。特殊な一中学生の例をあげて、九州男尊女卑的な偏見を用いて煽るのは地域への差別以外の何物でもないろう。

昔、はてなで許される唯一の差別地域差別です、というブコメを見て本当にその通りだなぁ、となったのだが、地域への差別格差にも少しは目を向けてもらえませんかね。

 
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