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2021-05-14

anond:20210514171426

『Dr. STONE』には寄り道エピソード的に「食の改善」ターンがあるんだけど、さすがに考証がしっかりしてて、前農耕期の採集狩猟文化に近い村落社会で穀類(高純度炭水化物)を栽培させる、砂糖を作る、メイラード反応を積極的に使う、などの手法を持ち込む…という流れでそのあたりを描写していた。このへんは、おそらくまだ接したことのない人類であれば十中八九「今までに食べたことがない美味しいもの」と感受され感動されると思う。特に糖。動物だって感応するものなんだから人間だって好きになるに決まってる。

望郷太郎』では、主人公が野生の蕎麦を麺にして動物性の出汁にひたして食べる、という料理を同じく狩猟採集文化から農耕文化への移行期の奴隷仲間に振る舞う、という表現があって、これも味蕾にグルタミン酸受容体があることを考えればまあまあ割と説得力あるかなって。

未開の連中に高純度な炭水化物・糖・アミノ酸・メイラード反応などをガツンとぶつける、ってレベルを超えた「現代的な美味しい料理」の導入は、文化文脈によってはぜんぜん受け付けられない可能性も高いと思う。そもそも現代日本人世界的に見ても味覚に関する許容度・好奇心が相当強いほうだと思う。これまで自分滞在したことのある発展途上国の大半では、一般市民の多くは「食べたことのない料理を食べてみたい/試してみてもいい」という意識を持ってなかった。

2021-03-14

anond:20210314105214

エヴァ故郷に対する庵野監督望郷と訣別として受けとったよ。

三部作最後でも実写で映画館写すとかやってたよね。

この映画を見たあと即刻で「庵野秀明・宇部興産」で検索して読みふけってしまった。

2020-10-28

それでも,あなたは恵まれている

親がまともであることは,ほかの何よりも幸運なことだと自覚されたほうがよい。

おそらく,自分が親に恵まれていることはわかってはいるだろうが,それでも総合的に判断して自分は恵まれていないと感じているとすれば,それは高望みというものだ。

元増田境遇を見ていると,自分に近いものを感じる。

自分は南のグリーンランド県の出身だが,バスなどを乗り継がない範囲に1つでも高校がある時点で,おそらく増田の方がやや都会の生まれといっていいだろう。

自分も,勉強ができる子は馬鹿にされがちな地域で生まれ公立高校に進み,予備校などには通わず大学受験をどうにかした。

ただ,自分が恵まれていた点として,うちの両親は大卒で,おそらく元増田の親よりもさらに少し学問理解があった。

おかげで,自分東大に入れた。

おそらく,努力元増田以上にしてきたとは思うが,それはあまり本題には関係がないだろう。努力ができるかどうかも,環境に負うところがかなり大きい。

元増田東京人間自分比較するときに,なぜか当たり前のように東大慶応などの(学歴的に)上澄みの人間比較しているが,もちろん彼らは東京では当たり前の境遇というわけではない。

自分田舎比較的ましな親にあたったから,仮に東京に生まれても東京の中でましな方の親にあたるのでは,というのは,都合の良すぎる仮定というものだ。

単に都合の良い妄想がしたいのであれば,東京でかつ教育理解のある親の元に生まれたい,などと中途半端なことは言わずビルゲイツの子に生まれたいとでも考えたほうがすっきりするだろう。

東大多数派を占めているのは関東進学校の子で,そこに地域差があるのは確かだが,田舎出身人間は少数派とはいえまれとは言えないほどには多い。

それ以上に大きな環境の偏りというのは,やはり親だ。自分が多少なり相手の背景を知れる程度に会話をした東大生で,親が学問学歴価値見出していないという者は,一人しかいなかった。

結局のところ,都会に生まれたところで,親がまともでなければ人生は相当厳しくなる。

地域格差は確かに存在する。自分もその点では大いに苦労してきたし,都会の人間をうらやむ気持ちは大いにある。

ただ,都会の人間もそのほとんどは総合的には自分より恵まれていない環境にあるのだとも思っている。うちの親ほどまともな親はあまりいないので。

元増田も,その点はもっと重く考えたほうが良い。あくまで文の印象のみから判断だが,あなたの親は客観的に見て相当に「当たり」で,ほかの不遇を補って余りあるものだ。

最後に,元増田は「都会は田舎を見捨てている」と考えているようだが,それは端的に言って完全な誤りだ。

東京は,おぞましいほどに出生率が低い。東京のみでは人口再生産はまったく成立していない。

元増田のように優秀な人材田舎から引きずり出すことを前提として存在しているのが,東京という都市だ。

都会は田舎を見捨ててはいない。まだまだ田舎から搾取する気満々だ。

あん田舎搾取されちまえという気持ち望郷の念が,自分には半々ある。

https://anond.hatelabo.jp/20201026003439

https://anond.hatelabo.jp/20201027203138

2020-10-02

神が活動をやめた

自CPの神が創作をやめて半年ぐらい経った。

から大好きな神だったけど、最近活動もめっきり減っていて、たまに絵を描いたりツイートしてくれるだけで御の字!という感じだった。

そんな神が、コロナ禍に入ってからものすごくメンタルをやられているようだった。

何が原因かなんて知らない。ツイートの内容からプライベートなことのように思えたし、仕事とか、家族だったかもしれない。

そうしてある日、神は自ジャンルでの活動をやめると宣言した。

こういう時世の中で以前のように楽しい気持ちになれない、と。自CPの事は大好きだから身の回りの事が落ち着いたら戻って来るかも。と。

とっても悲しかったがこういう事もあるよなあ、と私はただ神に健やかな日々が訪れることを願った。

相互フォロワーだったけど、気づいたらブロックされていた。まあそれもコロナの影響なんだろう。

色々大変な事が起こっている時にソシャゲとかアニメ見てワイワイしている人間が許せなくなるのもわかる。

自分はこういう時世だからこそ元気な雰囲気でいようと努めていたけど、癇に障る人もいるかもな。

そして神が居なくなって数か月が過ぎ、神は健やかな日々を少しでも取り戻せたかな、絵を描くのもさっぱりやめてしまったのかな・・・。なんてふと思い出す事があった。

pixivおすすめユーザーに神が表示されていたのでチラりと望郷のような心地でそれを開いた。

!!!!!!!!!全然違うジャンルめっちゃ元気に活動してる!!!!!!!!!!!!!!!!!

私はこの時「神、元気でよかった~!」という優しい気持ちと、「コロナ関係なかったやんけ」という気持ちと、「私の事嫌いでブロックしただけちゃうか?」という虚の気持ちで踊った。

いや、実際「ジャンル飽きたからやめます」というよりは「プライベート事情でやめます」という方が角も経たないですよね。

私の事が嫌いでジャンルやめたまでいくと考えすぎかもしれないが、多分嫌われてはいたっぽいなという感情で遠くを見ている。

神が元気でよかったな

2020-01-28

冬の歌といえば

思い浮かぶのが、


の3曲である。どれも青森県関係している。

秋田でも山形でもなく、青森

雪の深さや寒さの厳しさなら、秋田山形も同等なのに。

青森には、歌心をくすぐるなにかがあるのか。

実際行くと、しゃれたパッケージ名産品の土産物がたくさんあったりする。

おしゃれ感を全面に出すことにためらいのない青森

そんな青森嫉妬する私は、岩手県民。

朴訥で謙虚を良しとする岩手県民。

そろそろ宮沢賢治を脱却してもよいのではないか

2019-09-25

このマンガタイトルを教えてくれ

最近読んだマンガなんだがタイトルが思い出せない。

覚えていることは

主人公金持ちおっさん(どこかの財閥役員?)

地球規模の災害が起きて主人公世界でただ一人?生き残る

家族(妻と子)で異国の冬眠装置に入るも二人共死亡

日本を目指す

断片的ですまない

[追記]

山田芳裕の「望郷太郎

本当にありがとう!!!

2019-07-19

京アニ

京アニ犯行に対する傍観者の反応に危険もの嫌悪感を感じたんで書く。

Twitterを見ていると世界でも最高峰アニメーター33人だとか、日本アニメ産業の根幹を揺るがす事態だとか、戦後最悪の放火殺人みたいな反応ばっかだ。

かに彼らの作品は素晴らしいし、多くの人を救ったともいえる。

しかし、それでもこの言い方は間違っている。

いかお前。人の死は統計ではない。

死んだのは有能アニメ制作者の労働力33単位ではない。

経済とか数字上での被害凄惨さを周知するのはマスコミにでもやらせればいい。

人の死を被害額やら人数の大小で語るのは、人を数でとらえるということ。それでは強制収容所管理人と同じだ。

お前の親友恋人家族、親、子供、だれでもお前に近しい人にお前はそんな言葉をかけるのか。

彼らの業績のすばらしさはもちろん分かってる。だがお前は彼ら一人一人を、作品価値づけるのか。

私たちは、一人一人の被害者を、33人という均質な集団ではなく、ひとりひとり名前を持つ33個人33通りの殺され方をしたと考えるべきだ。

想像力を働かせるんだ。ある名前を持ったひとりの人に、その人の死に、お前が向き合うんだ。大衆を煽る必要はない。お前なりに一人一人と真剣に向き合う、一人一人を真剣に痛むことが大切なはずだろ。

最後引用して終わる。作者の石原吉郎シベリア収容所生活を送った経験を持つ。

望郷と海

ジェノサイドのおそろしさは、一時に大量の人間殺戮されることにあるのではない。そのなかにひとりひとりの死がないということが、私にはおそろしいのだ。人間被害においてついに自立できず、ただ集団であるにすぎないときは、その死においても自立することなく、集団のままであるだろう。死においてただ数であるとき、それは絶望のものである。人は死において、ひとりひとりその名を呼ばれなけらばならないものなのだ

2019-06-02

天使 焦燥 関係 粘着質 羽 形而上 幽霊 屋上 薄紫 規範 妄想 屍体 女 無表情 残酷 迷走 陰核 夜 過去 驟雨 矢 憂苦 母親機会 意図的 破瓜 斜陽 無防備 脳髄 充実 無力感 果実 紅潮 神聖視 震動 無数 裸 花壇 懐疑 判断 舞台裏 悲傷 不意 免罪符次元 谷間 消極的 筆跡 刺激 黄金分割 幻覚 同等 慟哭 饒舌 望郷 下半身 肉塊 恍惚 否定 白墨 時間 淫液 支配 居心地脊髄 射精 変貌 御法神 緊張 視界 吐息細胞 苦痛 五官 断続的 証明 断片 逆撫 肉孔 孤独感 屹立 階段 保健室笑顔 給水塔 非道 快楽 我侭 近道 思春期 容赦 世界 気怠 猫 憧憬 休館日 淫猥 怪物 口腔 空 同化 圧力 感覚 網膜不思議 悲鳴 存在 弔問客 赤面 標本 無言 潤滑油 芳醇 自分 一瞥 凝視 液体 過信 雑木林 命運 陰鬱 神秘警報 放物線双眸 一筋 凶裂 突然 舌先 狭間 廊下 透過速度 秘肉 空虚 朦朧 天国 躊躇 煙草 錯覚 悲鳴 唯心的 収縮 自意識 忽然 不可能輪郭 彼岸 絞 無念 緋色 毛根 蠢 足早 脆弱 緩急 阿頼耶識 経緯 媚薬高潮 情事 性的衝動 違和感 構成 堕落 動悸 胸元教師 妖艶 複雑 子宮崩壊 硬直 整理 辟易 肉壷 発端 膨張 一抹 長髪 対峙 奥底 好奇心 警告 曖昧 払拭 偶像 人形 正反対柔肌 後悔 磁力線 重心 出血 不変 障害 役割 邪気 艶 窓際 凄絶 土埃 小水 焦点 符合 脚立 抵抗 拒否反応 維持 消毒 昼 必死勃起 蜜 金網 触発 混沌 丁寧 記憶 漆黒 満足感 激怒 抗議 汗 着席 飛沫 初恋 驚愕 眼鏡 白濁 益体 戦慄 相似形 特有 殴打 淫情生物学 逡巡 天然 理由 邪魔者 非才 縁石 悲願 努力 暴言 施設 尋常意味心 平静 隘路 裏手 肉 反射的 義務 渇望 肉感 気配没頭 自涜 皮肉 夕闇 津液 空白 様相 奇妙 卵 顕現 同居 溶解 不安 絶頂 才能 露呈 叙情陳腐 懸命 痙攣 粘膜 密集 安堵 接点華奢 分解 喉仏 自覚 水滴 歪曲 無情 沈黙 質感 橙 講釈 先端 素直 具象 高揚感 無駄 準備室 感心 残留 陽光 閲覧 司書 彷徨実習授業 夕刻 根拠 吐露 連日 相応 無彩色 悲哀 偏在 容易 耳元 焦慮 隙間 落第 狂熱 理性 源泉 出入口 清楚 積極的 搬入 消失盲信 慎重 苦悶 満喫 愉悦 軌跡 脳裏 悪意 恋人 贖罪 内臓 蔵書 一緒 羞恥 熱気 溜息 虚言 透明 不可思議 動揺 拒絶 間髪 柑橘乱暴 視線 接合部 供物 指定席 浄化 嗜虐心 単語 永遠 花心 境界線 解体理論武装 本棚 地獄 器官 呪詛 几帳面 縄尻 精神 翼蔽雑然 雰囲気 将来 畏怖 迷走 蹂躙 憎悪 懊悩 侮辱 如実 脳髄 下腹部 雛鳥 黒板 愁嘆 衝突 陶酔 中途半端 別離 痛覚 眩暈 子供 霧散狂騒 性交 言葉少女 さよならを教えて 天使 焦燥 関係 粘着質 羽 形而上 幽霊 屋上 薄紫 規範 妄想 屍体 女 無表情 残酷 迷走 陰核 夜 過去 驟雨 矢 憂苦 母親 機会 意図的破瓜 斜陽 無防備 脳髄 充実 無力感 果実 紅潮 神聖視 震動 無数 裸 花壇 懐疑 判断 舞台裏 悲傷 不意 免罪符 次元 谷間 消極的 筆跡刺激 黄金分割 幻覚 同等 慟哭 饒舌 望郷 下半身 肉塊 恍惚 否定 白墨 時間 淫液 支配 居心地 脊髄 射精 変貌御法神 緊張 視界 吐息細胞 苦痛 五官 断続的 証明 断片 逆撫 肉孔 孤独感 屹立 階段 保健室 笑顔 給水塔 非道 快楽 我侭 近道 思春期容赦 世界 気怠 猫 憧憬 休館日 淫猥 怪物 口腔 空 同化 圧力 感覚 網膜不思議 悲鳴 存在 弔問客 赤面 標本 無言 潤滑油 芳醇 自分 一瞥凝視 液体 過信 雑木林 命運 陰鬱 神秘警報 放物線 双眸 一筋 凶裂 突然 舌先 狭間 廊下 透過速度 秘肉 空虚 朦朧 天国 躊躇 煙草 錯覚悲鳴 唯心的 収縮 自意識 忽然 不可能 輪郭 彼岸 絞 無念 緋色 毛根 蠢 足早 脆弱 緩急 阿頼耶識 経緯 媚薬高潮 情事 性的衝動 違和感 構成 堕落 動悸 胸元 教師 妖艶 複雑 子宮崩壊 硬直 整理 辟易 肉壷 発端 膨張 一抹 長髪 対峙 奥底 好奇心警告 曖昧 払拭 偶像 人形 正反対 柔肌 後悔 磁力線 重心 出血 不変 障害 役割 邪気 艶 窓際 凄絶 土埃 小水 焦点 符合 脚立 抵抗 拒否反応維持 消毒 昼 必死 勃起 蜜 金網 触発 混沌 丁寧 記憶 漆黒 満足感 激怒 抗議 汗 着席 飛沫 初恋 驚愕 眼鏡 白濁 益体 戦慄 相似形 特有殴打 淫情 生物学 逡巡 天然 理由 邪魔者 非才 縁石 悲願 努力 暴言 施設 尋常意味心 平静 隘路 裏手 肉 反射的 義務 渇望 肉感 気配 没頭自涜 皮肉 夕闇 津液 空白 様相 奇妙 卵 顕現 同居 溶解 不安 絶頂 才能 露呈 叙情陳腐 懸命 痙攣 粘膜 密集 安堵 接点 華奢 分解 喉仏 自覚 水滴 歪曲 無情 沈黙 質感 橙 講釈 先端 素直 具象 高揚感 無駄 準備室 感心 残留陽光 閲覧 司書 彷徨 実習授業 夕刻 根拠 吐露 連日 相応 無彩色 悲哀 偏在 容易 耳元 焦慮 隙間 落第 狂熱 理性 源泉 出入口 清楚 積極的搬入 消失 盲信 慎重 苦悶 満喫 愉悦 軌跡 脳裏 悪意 恋人 贖罪 内臓 蔵書 一緒 羞恥 熱気 溜息 虚言 透明 不可思議 動揺 拒絶 間髪 柑橘 乱暴視線 接合部 供物 指定席 浄化 嗜虐心 単語 永遠 花心 境界線 解体理論武装 本棚 地獄 器官 呪詛 几帳面 縄尻 精神 翼蔽 雑然 雰囲気将来 畏怖 迷走 蹂躙 憎悪 懊悩 侮辱 如実 脳髄 下腹部 雛鳥 黒板 愁嘆 衝突 陶酔 中途半端 別離 痛覚 眩暈 子供 霧散 狂騒 性交 言葉少女 天使 焦燥 関係 粘着質 羽 形而上 幽霊 屋上 薄紫 規範 妄想 屍体 女 無表情 残酷 迷走 陰核 夜 過去 驟雨 矢 憂苦 母親 機会 意図的破瓜 斜陽 無防備 脳髄 充実 無力感 果実 紅潮 神聖視 震動 無数 裸 花壇 懐疑 判断 舞台裏 悲傷 不意 免罪符 次元 谷間 消極的 筆跡 刺激 黄金分割幻覚 同等 慟哭 饒舌 望郷 下半身 肉塊 恍惚 否定 白墨 時間 淫液 支配 居心地 脊髄 射精 変貌 御法神 緊張 視界 吐息細胞 苦痛 五官 断続的証明 断片 逆撫 肉孔 孤独感 屹立 階段 保健室 笑顔 給水塔 非道 快楽 我侭 近道 思春期 容赦 世界 気怠 猫 憧憬 休館日 淫猥 怪物 口腔 空 同化圧力 感覚 網膜不思議 悲鳴 存在 弔問客 赤面 標本 無言 潤滑油 芳醇 自分 一瞥 凝視 液体 過信 雑木林 命運 陰鬱 神秘警報 放物線 双眸 一筋凶裂 突然 舌先 狭間 廊下 透過速度 秘肉 空虚 朦朧 天国 躊躇 煙草 錯覚 悲鳴 唯心的 収縮 自意識 忽然 不可能 輪郭 彼岸 絞 無念 緋色 毛根 蠢 足早脆弱 緩急 阿頼耶識 経緯 媚薬高潮 情事 性的衝動 違和感 構成 堕落 動悸 胸元 教師 妖艶 複雑 子宮崩壊 硬直 整理 辟易 肉壷 発端 膨張 一抹長髪 対峙 奥底 好奇心 警告 曖昧 払拭 偶像 人形 正反対 柔肌 後悔 磁力線 重心 出血 不変 障害 役割 邪気 艶 窓際 凄絶 土埃 小水 焦点 符合 脚立抵抗 拒否反応 維持 消毒 昼 必死 勃起 蜜 金網 触発 混沌 丁寧 記憶 漆黒 満足感 激怒 抗議 汗 着席 飛沫 初恋 驚愕 眼鏡 白濁 益体 戦慄 相似形 特有殴打 淫情 生物学 逡巡 天然 理由 邪魔者 非才 縁石 悲願 努力 暴言 施設 尋常意味心 平静 隘路 裏手 肉 反射的 義務 渇望 肉感 気配 没頭 自涜 皮肉夕闇 津液 空白 様相 奇妙 卵 顕現 同居 溶解 不安 絶頂 才能 露呈 叙情陳腐 懸命 痙攣 粘膜 密集 安堵 接点 華奢 分解 喉仏 自覚 水滴 歪曲 無情 沈黙質感 橙 講釈 先端 素直 具象 高揚感 無駄 準備室 感心 残留 陽光 閲覧 司書 彷徨 実習授業 夕刻 根拠 吐露 連日 相応 無彩色 悲哀 偏在 容易 耳元 焦慮隙間 落第 狂熱 理性 源泉 出入口 清楚 積極的 搬入 消失 盲信 慎重 苦悶 満喫 愉悦 軌跡 脳裏 悪意 恋人 贖罪 内臓 蔵書 一緒 羞恥 熱気 溜息 虚言 透明不可思議 動揺 拒絶 間髪 柑橘 乱暴 視線 接合部 供物 指定席 浄化 嗜虐心 単語 永遠 花心 境界線 解体理論武装 本棚 地獄 器官 呪詛 几帳面 縄尻 精神翼蔽 雑然 雰囲気 将来 畏怖 迷走 蹂躙 憎悪 懊悩 侮辱 如実 脳髄 下腹部 雛鳥 黒板 愁嘆 衝突 陶酔 中途半端

2018-05-28

[]李煜

937年に生まれる。

中国五代十国時代の「南唐」の第三代国主

政治に関しては全くの無能だったが、芸術家としては優れた才能を見せ、華やかな宮廷で贅沢をしながら素晴らしい詞を作っていった。

彼が作らせた文房具は、いまなお中国史上最高の品質と謳われ、後世の文人たちに珍重されている。

また、お気に入りの宮女の足を縛って、黄金で作られた蓮の花の上で踊らせたことがあり、それが「纏足」のはじまりであるという。

当然ながら国としては衰退し、あっけなく宋に攻め滅ぼされて、幽閉された。

その後、彼の詞は深い憂愁と望郷の念とが入り交じる作風へと変化し、皮肉にもさらに高く評価されることとなった。

978年、李煜の詞を聞いて激怒した宋・太宗に、あまりの苦しみに身体を何度も折り曲げて死ぬという「牽機薬」という毒を盛られて亡くなった。

2018-04-05

anond:20180405124230

おまえこ蝿の王混同してないか

大人も女もいない気の合う男友達だけの共同生活」はある種のユートピアだよ。

もちろん仲間割れだとか望郷の念だとかは描かれるけども。

2018-03-09

クラブかに来るマンさん

フロアじゃないが、所謂クラブで働いている

世間的にクラブってイケイケで全てが上手くいってるリア充が来てるって思われているけど、実はちょっと違う

男性は確かにそういう人が多めなんだけど、女性リア充なんだけど、むしろ不安とか多めの子が多い。キョロ充?なんていうか、自分に自信の無い子

クラブに行ってるってステータスが全てなんだろうね。無理してる感がありあり、若さでどうにかしてる

そういう子が年取った時どうなるんだろう?バブル世代以上の望郷の化物になりそう。プライドだけ高い

2017-11-24

オルタナけが新のJ-POPなのだ

テンプレをなぞることこそがJ-POPだという嘘が広まったのはいからだろう。

まだJ-POPが元気だった頃にJ-POPの頂点に居たのはいだってオルタナだった。

新しい時代を作り出そうとする熱さと、それでも捨てきれない定番コード呪縛にも似た安寧と望郷、その混ざりきらない二色刷りのメロディーが人々の琴線をかき乱したのだ。

今のJ-POPは死んでいる。

定番は祝福として受け入れられそこには金の臭いが染み付き、新しさを生み出すことは儲からない面白くない知らない興味が無いと捨て去られた。

もうここには何もない。

VOCALOIDが何故あそこまで流行ったのかを考えて欲しい。

あれが最後の光だったからだ。

あんものしか光が残っていなかったのだ。

あれほど星が輝いていたのにいまや満天は全て闇だ。

ビードロのような滑らかさも、墨汁のような艶めかしさもない、無の黒だ。カラーコードが全て0で埋められた黒だ。

この世界に再び誰か光を照らしてくれ。

2017-10-28

なんで日本男性歌謡曲歌唱力が下がり続けてるの

藤山一郎西城秀樹ミスチルDragon Ash→アレキサンドロス→神様、僕は気づいてしまった

「こいつは本当に上手い!」と思える奴が出てこない。秦基博でさえも。

もっと小林旭熱き心にとか、細川たかし望郷じょんがらとか、そういうの聴いて勉強した方がいいよ。

日本の文化品質は低きに流れてる。指導者がいない、というより、マーケット評価である僕たちの耳が腐って来てる。ノーベル賞取れなくなる遠因は文化品質の低下、ひいては、大衆意識の低さにある。

突然変異を待って座して死ぬのを待つか、お前が坂本龍馬になるかだ。

2017-06-04

吾輩は都会育ちである

田舎はまだ無い。

都会で生まれ都会で学び都会で働いてきた。

私の人生走馬灯のように振り返った時、田舎風景が映るのは家族学校行事で遠出をした時だけである

それでも私には田舎への懐かしさがある。

小高い丘に囲まれた小さな村。

広がる田園風景の中に木造家屋がチラホラと見えるだけの人口密度の極めて低い通学路。

ずっと先の都会へと線路を延ばす滅多に電車の来ない小さな駅。

そういった光景を見ると懐かしさがこみ上げ、望郷と呼べるような感情が胸の内側からゆらりと吹き出してくる。

何故だろう。

私は田舎を持っていない。

それでも私は田舎に懐かしさを感じる。

テレビ映画世界田舎を見ると、自分もそういった何にもない世界から本数の少ない電車を乗り継いでここまでやってきたかのように錯覚する。

不思議だ。

故郷を思う時、心に浮かぶのは、自分が過ごしてきた都会の景色よりむしろ、そうやってメディアによって植え付けられた田舎なのだ

都会育ちの人間が何故田舎に懐かしさを感じるとは、メディアの力とは本当に恐ろしい。

自分という人間の中にある価値観の何割がそういった脚色によって構築されているのだろうか。

2016-06-07

クレヨンしんちゃんばっかりおかしくないですか?

知名度の問題なのか。




日本型リーダーはなぜ失敗するのか」

も買ってました。


舛添氏は,平成23年10月福岡県内の書店で,コミッククレヨンしんちやん北与野

博士編」 , コミックイナズマイレブンSPECIAL<1> 」 , クイズ本「ひっかけク

イズ最強イジワル王への挑戦」 , クイズ本「大人にはないしょだよ超スペシャル版ひっ

かけクイズ」 ,児童書幽霊屋敷レストラン」を購入し,それらの代金は,新党改革支部

から書籍代金として支払われた。なお,その際, 「ヤマの記憶山本作兵衛聞き書き」 , 「筑豊炭田に生きた人々望郷の想い近代編」 , 「緒方竹虎リベラルを貫く」 , 「筑

前の国学者伊藤常足と福岡の人々」も一括して購入されている。

舛添氏は, 「クレヨンしんちゃん北与野博士編」などコミックや「ひっかけクイズ

強イジワル王への挑戦」などクイズ本について, 「児童保護者から子供が悪い言葉

いをまねたり,テレビクイズ番組などを見て勉強しないので困るので,政治の力でなん

とかなりませんかとの陳情を受けたことから,実際にコミック等でどのような表現がなさ

れているのか,また, クイズ番組教育に役立たないものなのかを確認するために,購入

した。 」と説明している。

http://big.assets.huffingtonpost.com/20160606masuzoe.pdf

とのこと。

児童保護者から子供が悪い言葉遣いをまねたり,テレビクイズ番組などを見て勉強しないので困るので,政治の力でなんとかなりませんかとの陳情を受けたことから,実際にコミック等でどのような表現がなされているのか,また, クイズ番組教育に役立たないものなのかを確認するために,購入した。 」

よくわからない。

保護者が、クイズ本やクレヨンしんちゃん2002年のもの)の言葉かいが悪いから「政治でなんとかしてくれないか」と要望されたから買った?ってことかな。

舛添が言葉かいが悪いというのは考えにくい。クイズ番組に舛添がでている可能性もある。

クイズ番組教育に役立つかなんて「クイズ番組次第」である。くだらない豆知識ばっかりのクイズ番組もあるし。

さて、クレヨンしんちゃんが「下品であることは否定しない。

最近そこそこのクオリティで”ぶりぶり”ざえもんが復活したし、ケツだけ星人、親に向かって「みさえ」と呼び捨て、女たらし、

それでも(一時的には放送ストップしてたが)放送され続けている。映画もいい作品多い。

下品なことがダメであること、それを教えてそれでも子供下品なことを言うおかしさを教えたり、家族愛などクレヨンしんちゃんの根幹を伝えることはできないのか。

私は政治の力でクレヨンしんちゃんの素晴らしさを伝えてほしい。

2016-05-23

マスターキートン第8話。 遥かなるサマープディング

第8話は太一の父が出る大平の妻パトリシアの話。

お父さんおじいちゃんあなたたち2人には共通欠点があります。2人とも奥さんに逃げられそのくせ今でもその女性に未練タラタラ

2人智也が女性の肝心の部分が分かっていないのよ。この先老後のことを考えてみて。1人で寂しく生きていくつもり。そんな孤独で不幸のお父さんとおじちゃん思った私はどうなるの。

2人ともどうやったら別れた奥さんを取り戻せるのか5輪仲良く暮らすためには何をすべきかそれがこの合宿テーマよく考えてね。

大平が語る波楽しいあの思いでは側の話太一が語る母親の味は様プリンパトリシアイギリス南部メッカ亀屯家のお嬢様でなんていうか気品に満ち溢れていたと言う話

冥界の王プルートの妻、プロセルビなはとてもやきもち焼きでプルート恋人だった様子横の香りのする草に変えてしまった。でも本当はプロセルピナは2人の関係に行く嫉妬たわけでは無い。

プルートの端プロセル大日方とミンスは同じ要請国の出身ミンス12海外要請国と行き来することができた。明子は要請国の香りを運びプロセルピナ彼女の家を書くたびに嫌ます望郷の念に駆られて言った。その思いを高めるためにミンス奥さんに変えてしまおうがそれでも来ないきれず彼女はとうとう故郷に帰ってしまった。

プルートの端プロセル大日方とミンスは同じ要請国の出身ミンス12海外要請国と行き来することができた。明子は要請国の香りを運びプロセルピナ彼女の家を書くたびに嫌ます望郷の念に駆られて言った。その思いを高めるためにミンス奥さんに変えてしまおうがそれでも来来来れず彼女はとうとう故郷に帰ってしまった。

物の本にもミント香りには思い出をより強く保つ好きな奴があるとされている。母さんが突然許すに帰ってしまったのは13の女道楽のせいではなく。

美しいだろうこれが日本の秋だよ。これが百合子の故郷の秋なんだ。でもおばあちゃんの故郷ミント香りをするところだったんだ。

と言うわけでここまでで一環が終了。一家の時点で男ってこと言うわけでここまでで一環が終了。一環の時点でここまで情報量があったのかとびっくりしますね。あとこの作品が初めて出たのは1989年だそうです。私まだ生まれてねーじゃんすごいなぁ

2016-05-21

http://anond.hatelabo.jp/20160521100204

きらきら瞬くものぼんやり眺めていると望郷に浸りやすい。かも

あとはオレンジっぽい金色、青っぽい銀色なんかもいい感じに浸れるかな

望郷

ノスタルジーって掴み所がなくて好き。

どこか懐かしくて、なんか心がキュンとするような、指先が少し熱を帯びて、ほんの少しだけ涙腺が緩みそうな、どこか暖かくて、それでいて不安な胸騒ぎを呼び起こしそうな。

景色匂い、音、時間。いろんな場面で不意に現れるノスタルジー。はっと息を飲んだ途端、あの不安定感覚に襲われて、でもずっとその感覚に浸っていたいと願ったり。

ブリキおもちゃ遊んだ記憶なんてなくて、それなのにブリキおもちゃを目にすると訪れるノスタルジーって植え付けられた偽物なんだろうな。でもそれすらも好き。

2016-03-30

直木賞とったと言うので、湊かなえ読んだ

個人的見解ネガキャンしようとかステマしようとか言う気はない


読んだのは「望郷」と「Nのために」、ネタバレはしない

感想としては、自分にあわなかったな、という感じ

なんというか、上記の作品根底にあるのは中高生の頃のくすぶった感情文学にした、という印象を受けた

中高生の頃はまわりを見下していて、大学生デビューして華やかではないが以前の私ではないぜ、と思ったら故郷にかえったらそうでもなかった

みたいなストーリーが一貫して感じる


まあ、そういう感情は誰しも抱くのかな?というところで、それを文学として昇華したことが評価されたのだろうな、と感じている

が、それが故に過去に人を見下していたのだ、みたいなフラッシュバック読み手に与えるし、共感してしまうので、どんどん卑屈になってしま自分がいる

卑屈なおばちゃんの話を聞いているとどんどん鬱々としてくるが、そんな感じ


確かに結末は面白いかもしれないけど、途中がつらいのでもう読みたくないなと思いました

2016-03-14

望郷

「おじいちゃん、この増田ってブックマークなに?」

 孫にブラウザブックマークを見られた。どうやら古いブックマークが残ってたようだ。

増田?」

 私はその響きに、何か懐かしいものを感じ、「どれ、ちょっとアクセスしてみようか」と孫に言った。

「ああ…」とため息がもれる。

 果たしてそこに表示されたのは、私が半世紀以上も前に入り浸っていたサイトだった。

「これはね」と孫に、かつての故郷を紹介する。

はてな匿名ダイアリーって言うんだよ。みんなが名前を隠して話をするんだ」

 孫はいまいちピンと来ないような顔だ。

「昔は流行ってたんだよ。国会で議題になったこともあったんだ。おじいちゃんが20才くらいの時だったかな」と言うが、孫はやはり興味を持てないようで、「へー」とだけ言って、すぐに電脳空間での遊び場へと消えていった。

 それにしても懐かしい。私は久しぶりに何か投稿でもしようかと思い、適当投稿を眺める。

 しかし、最新25件の投稿を見て、私はかつての故郷の現状を知る。

 投稿は一日一件。内容は全て同一人物のものだろう日記

 トラックバックブクマも無い。

「これでは、ただの日記帳じゃないか…」と私は思わず呟いていた。

 はてな匿名ダイアリーはただの日記帳じゃないハズだ。

 どうでもいいことを一大事のように騒ぎ立てたり、ほんとうは興味のない政治話題を煽ったりする場所なんだ。

 そう思い、私は落胆した。

 とはいえ、一瞬でも懐かしい思いをさせてくれたお礼として、その最新の日記ブクマをして、ブラウザを閉じた。

 あれから一か月経ち、ふと増田のことが気になった。まだ彼は日記を書いているのだろうか。そう思い増田を開く。

 トップページを見た瞬間、私は稲妻に打たれたかのように固まってしまった。

 更新が途絶えていた。

 最後投稿は、私がブクマをした投稿だった。

 その瞬間、私は理解した。

 彼は満足したのだ。私のブクマによって。

 彼はまぎれもなく増田だった。ブクマを求めて投稿を続ける増田だった。

 投稿の内容など関係ないのだ。日記だろうと、政治について語っていようと、求めるものは一つ。ひたすらにブクマを求めることこそが、増田増田たる所以だったのだ。

「こんなことに、今更気付くとは…」私はそう呟いた。

 だから私たちは、ブクマを求めていたのだ。

 だから私たちは、ブクマをし続けていたのだ。

 あれから、今も私のブクマには、彼の日記が残っている。

2015-11-08

屍者の帝国

 伊藤計劃はディティールの作家だった。

 はっきり言ってしまえば、虐殺器官トリックハーモニーアイディアも、SF観点からするとさして目新しいものではない凡庸ものだ。

 にも関わらず、「夭逝天才作家」として祭り上げられる以前から○○おじさんを含むめんどくさい連中に評価されている理由は何かと考えると、ディティールの積み上げる圧倒的なリアリティにあるのだと思う。

 虐殺器官に出てくる心理マスキング処理、ハーモニーに出てくるアマゾンめいた個人評価スター、これらは今現在からの延長線上の未来として演算される現実的もので、一部の組織企業内では既に現実のものとして実装されているものであろう。

 彼の死から早6年、彼の最後作品である屍者の帝国が、Project itohの最初映像作品として公開される、それも彼が最も愛した映画という形をとってだ。

 6年間、それはあまりにも長い時間でした。僕らの好きだった計劃さんは、どうしようもなくめんどくさい(そして愛すべき)はてダ映画おじさんという存在から、いつの間にかに「夭逝天才作家」という世間を騒がすアイドルになっていてProject itohなるもの始動してしまう始末。

 それでも、それでも、Projectに苦虫を噛み潰したような表情で立ちすくむ○○おじさんたちも、御大小説映像化されることには公開される前は素直に喜んで胸のときめきを抑えきれなかったはず、そう公開される前は。なんなんですか、いざ公開されたとなればハダリーたんのおっぱいとか階差機関に対する言及はあれども映画のものに対しては皆口をつぐみ挙句の果てに「地獄はここにあるんですよ」と指差す始末。

 はっきり言おう、○○おじさんたちは生前の計劃さんから何も学んでいないと。

 映画批評っていうのはレビューではない。もっと体系的だし、少なくともウェブに溢れる「面白い」「つまらない」といった感想程度のゴシップではない。

 批評とはそんなくだらないおしゃべりではなく、もっと体系的で、ボリュームのある読みものだ。もっと厳密にいえば「〜が描写できていない」「キャラクターが弱い」「人間が描けていない」とかいった印象批評規範批評の粗雑な合体であってはいけない。厳密な意味での「批評」は、その映画から思いもよらなかったヴィジョンをひねり出すことができる、面白い読み物だ。

 だから、こいつは映画批評じゃない。まさに印象批評的で、規範批評的で、それはすべて、ぼくが紹介する映画を魅力的に見せるためにとった戦略だ。

 面白い映画面白かった、という。

 このページでいろいろ書いていることは、結局そういうことだ。

「おかえり、フライデー

 人間は死亡すると、生前に比べて21g体重が減少することが確認されている。それが霊素の重さ、いわば魂の重さだ。我々は魂が抜けた肉体に擬似霊素をインストールすることによって死者を蘇らせる。

 原作は我らが伊藤計劃、そして円城塔。といってもたった30枚の遺稿は映画化にあたってオミットされている。メディアミックスなるもの今日当たり前のものになりつつあるのに、なぜかこと映画化に関しては地雷であるという評価が当然のものになりつつある、特にマンガアニメ原作付きのものに関しては顕著だ。本作もその類に漏れず、○○おじさん達から大変な不評を買ってしまっているが、伊藤作品映像化という観点からすれば私は十二分に楽しむことができる傑作だと思った。

 原作付き映画に何を期待するかは人によってそれぞれ違うが、原作ストーリー通りに話が展開するだとか、セリフを忠実に再現するだとか、冒頭の30枚を残すだとか、少なくとも私はそういったことには重みを置かない。小説には文字の、映画には映像の文法がそれぞれあるのだから、単に忠実に再現するだけでは翻訳として成り立たないし、少なくともメディアミックスとしての価値はない。それは原作ファンを称するクラスタに向けた言い訳に過ぎず、怠惰姿勢だと思う。

 文字とはすなわち情報であり、映像もすなわち情報である。その違いがどこにあるかというとtxtファイルwmvファイルの容量を比べるまでもなく、圧倒的な情報量にある。つまり同じシーンを描写するにあっても、映像化のためには不足する情報を画面に徹底的に描き込まなければならない。では不足する情報をどこから補ってくるかといえばやはり原作であるのだが、単に帰納演算に基づいて情報を付加すると、あたかjpeg画像を拡大したように荒く違和感を感じるものになってしまう。そこで映像化にあたっては、原作を入念に読み込み世界観理解したうえで、原作存在しなかった情報を加えることでディティールを明確にする。一方でその情報量が過剰であるが故に、人は文字を3時間追うことができても、映像を3時間観ることは困難なのもまた事実現実的には予算だとか尺の問題だが)。そこで行われるのは物語圧縮である。先に述べた情報の付加と異なり、如何に情報量を減らさずに短い時間に収めるか、如何にディティールを残したまま圧縮できるかが肝になる。

 こうして完成した映像作品は、個々人の頭の中に存在する「原作」とは違ったものとなっているので、ほぼ確実に違和感を与えることになる、場合によってはそれが不評の原因になるかもしれない。だが、ここであえて言わせてもらえば、その違和感こそがメディアミックスとしての醍醐味であって、映画を見る楽しみの観点であろうと。

 私はかつて植民地だった地域によくある上海租界のような場所が好きだ。それは現実宗主国建築物を現地にある材料で模したまがい物に過ぎないのだけれども、望郷の念からか過剰に演出されたそれらの建物は本物のフランスイギリス建物より本物らしく見える。例えるなら歌舞伎女形女性より女らしいようなものだ。

 映像化された屍者の帝国に、私は原作より原作らしいもの、あるいは書かれることがなかった、この世界線には存在しない真の原作面影を感じることができたと思う。

 ボンベイにたむろする屍者の労働者、○○おじさんにも大好評だった圧倒的なディティールの階差機関、白く荒涼としたカザフスタン目黒雅叙園相撲浮世絵ジャパン映像化に際して付加された情報量についてだけでも映画として申し分ない。かつて彼が愛していた世界観型の映画のように、産業革命時代に屍者技術なるもの存在した場合どんな世の中になるかというSF観点なif、たったひとつの嘘による世界構築がなされている。

 「あなたにもう一度逢いたかった、聞かせて欲しかった、あなた言葉の続きを。」

原作ではフライデー円城塔で、ワトソン伊藤計劃にあたる。彼が残したテキストを読み足りない情報を補って、作家伊藤計劃脳内にエミュレートして続編を書くという行為を考えれば当然の配役である小説エピローグで、彼岸に渡ったワトソンを思ってフライデーは自らの意思を持ち動き出す。一方、映画ではその立場が逆転して、ワトソン円城塔フライデー伊藤計劃にあたり、旅の目的伊藤計劃の復活である映画の文法としては旅の目的明確化だが、○○おじさんにとっての不評の元凶となる改変だ。BLノイタミナだとdisる気持ちもわからなくはないけど、ヴィクター書記を手に入れて伊藤計劃を復活させるという話が映像化第一弾として公開されることに意味を感じる。

 冒頭にも書いたが伊藤計劃小説は言ってしまえばそんなでもないし、同じようなものを書ける人は出てくる。けど、彼の映画批評のような愛と薀蓄に溢れた文書を書ける人はもう出てこないような気がする。それでも彼がもし生きていればこの映画をどう評論しただろうか、死んだ彼がこの映画を見たらどう評論しただろうか。

 あなたはここにいるわ、そう思えるような文書をみんなもっと書いて欲しい。

2015-03-06

http://oimoimomomo.sakura.ne.jp

 ねねは、清正の主たる秀吉の、糟糠の妻だ。

 清正がまだ虎之介と呼ばれた幼い頃から、正則と共に実の子のように可愛がってくれた、所謂母のような存在だった。

 ねねの存在があったからこそ、今この肥後25万石を納める加藤清正があると断言して良い。清正や正則と言った子飼いの将が、他の古参の将兵を差し置いて高禄を食める身分になれたのは、一重にねねによる推挙があったからだ。

 だからこそ清正は、大坂城登城する機会があればねね――いや、北政所となった彼女のご機嫌伺いを欠かさなかった。

 この度の出仕もそうだったはずだ。

 しかし、実はいつもといささか様子が違った。

「清正、今日あなたに紹介したい人がいるのよ」

 簡単な挨拶を済ませた(と言っても、ねね自身が堅苦しい挨拶を好まないので、形式だけのものでさえなかったが)すぐ後に、ねねが言った。

 一体なんだと訝る清正だが、それを面には出さずにただ頷くいた。

 ねねが名を呼ぶ。

 はい、と返事があって、軽い衣擦れの音が耳に入った。「……清正」

 聞いたことのない声が、清正の名を呼ぶ。しかも呼び付けで。

 何事だ、と眉をしかめて声の方向を無遠慮に見た清正は、ますます仏頂面になった。

 現れたのは、年若い娘だった。全くもって見覚えもなければ、呼び捨てにされる筋合いもない。

 とっさにねねの方に視線をやったが、彼女はただにこにこと笑っているだけで何の説明もなされない。

 そうこうしているうちに、娘が清正に駆け寄ってきた。

「清正!?え、本物…」

「おねね様」

 娘の手が清正の身体に触れようとした瞬間、耐えかねて清正は声を上げた。

 清正の拒絶する態度がわかったのか、そう言った瞬間娘は手を引っ込めてぴたりと止まる。

「…あの、説明していただけますか」

 少し不機嫌そうに清正が言うと、ねねはやや困ったような顔をした。ついで苦笑を浮かべて、おいで、と娘に向かって手を差し伸べる。

 すると娘は何の疑問もなくねねの隣に座った。ねねの隣…つまり上座だ。

 いよいよもって清正は訳が分からなくなる。

 恐らくこの天下で二番目に権力を持っているのは彼女関白秀吉の正室、北政所だ。

 余談ながら、秀吉が小身だった頃から夫をよく助けていた彼女に、秀吉は頭が上がらない。また、ねねは豊臣政権の内政や人事も把握し、秀吉によく助言している。秀吉の目に見えないところをねねがカバーしているような格好で、彼女によって取りたてられた者も少なくない。

 雌鳥歌えば家滅ぶという故事もあるが、ねねはそんなものは知らぬとばかりに、秀吉を、国政を支えたのだ。

 ともあれ。

 そんな女性の隣に、図々しくも座れるようなこの小娘とは一体何だ。清正の疑念ますます膨れ、とどまることを知らない。

 さまざまな想像をする清正に、ねねが弾けるように笑い声を上げた。

「やだよ、清正。そんなに怖い顔をしちゃ」

「いえ、…そのようなことは」

「ごめんね、何も説明しないで。紹介したかったっていうのは、この娘のこと。夢子っていうのよ」

 その夢子が一体何なのだと、清正は喉元まででかかった言葉を飲み込んだ。

 無意識視線を動かすと、娘が清正を凝視しているのが目に入る。

 居心地の悪さを覚えて目を逸らすと、清正はねねの次の言葉を待った。

 若干いらいらとする清正に、ねねはどこまでもマイペースかつ笑みすら浮かべて楽しげだ。

「実はね、清正。もの相談なんだけど――」

 紡ぎだされたねねの言葉に、清正は絶句した。

 *** ** ***

 意味が分からない。

 というのが清正の正直な本音だった。納得出来ない。出来るわけがない。

 何故こうなった、と清正は頭を抱え込みながら――隣を歩く娘をちらりと盗み見た。何も考えてなさそうに、少し楽しげに、弾むようにして歩くこの娘。

 着物が変だ。丈が短すぎる。しかし、貧しいから丈を詰めていると言う風でもない。汚れてもいないし擦り切れてもいないし、何より露出した肌には貧困を表すものが何一つとしてなかった。思えば、南蛮人着物の形に近いものがある。

 夢子、というこの娘。

 ねねによると、突如として光の中から現れたという。そこからしてまず、信じることが出来ない。しかし、ねねは清正の大恩人。ここは素直に信じることにした。

 しかし、百歩譲ってこの娘が光の中から現れたとしよう。問題はその次だ。

 この娘が、今から4、500年先の世界からやってきたということ。

 ねねは信じたらしいが、清正には無理だ。第一、4、500年の未来がどうなっているか想像もつかない。

 秀吉やねねは、その人柄と広すぎる懐ゆえか、この怪しすぎる娘を稀なる客人としてもてなしているらしいが、清正には無理だ。

 なのに現状、清正はねねからこの娘を押し付けられてしまった。いや、“押し付けられた”というのは表現が悪い。ねねは無理にとは言わなかった。『出来れば』という表現をした。そして、他ならぬねねの頼みだから断れなかったのは、清正だ。今更この決定を覆していては男が廃るどころか、大恩をあだで返すことにもなりかねない。

 とは言っても、薄気味悪いとは思った。

 なんの変哲もない娘であるが、口を開けばおかしなことしか言わない。

 清正とこの娘が来世では恋人である、とか

 娘は初めから、清正のことを知っていた。

 ねねや秀吉との会話から発展していったらしい。どのような詳細があったかは知らないが、ともかく、娘が“会ってみたい”と言ったそうだ。

 そして今日に至った。

 ねねの言い分としては、『故郷をとても懐かしんでいるから、かりそめとは言え、知った人間の元で過ごすのが一番だろう』とのこと。暗に、その恋人とやらの役をしろと命ぜられているかのようだ。

 何より、本人の希望が強かったらしい。

 今はおとなしいが、先ほどまではうるさいくらいだった。

 清正、清正、と全く見知らぬ人間(それも小娘)から呼び捨てにされるのは、少々我慢がならない。

 しかし、ねねの頼みを断ることは出来ないし、粗略に扱うことも出来ない。お願いよ、なんて手を合わせて頼まれたら断るなんてとんでもない。

 (まったく、人がいい)

 と思わないでもないが、そんなねねが好きだからと思えばそれ以上は何も言えない清正だった。

 ともあれ、“客人の接待”と思えば良い。

 屋敷に戻れば、部屋を確保し、家臣侍女に説明をしなければならないのだが、なんと言ったものか。

 色々と考えをめぐらして、改めて面倒なことになったと思いながら清正は屋敷を目指したのだった。

 ともあれ清正の行動は早く、“北政所から客人をお預かりした。丁重に扱うように”とし、あとは黙殺していようと考えた。

 ねねは、可能ならそばに置いてあげて欲しいと言ったが、機嫌を取れとは言っていない。

 清正には他にも仕事があるし、この娘にばかり構ってはいられないのだ。

 そうやって放置して、半月まりが過ぎたときだった。

 自室にて政務を執る清正は、こっそりと忍び寄ってくる気配を察知した。

 普通なら何者だと人を呼ばうところだが、こんな白昼堂々、しかも気配だだ漏れでやってくる諜者がいるものか。何より、戦時でもないというのに。

 何だ、と思っていると障子戸の向こうから声がかけられた。

 一応返事をすると、控えめに開けられる。暫くぶりに顔を見た、あの娘だった。

 文机に向かう清正を一瞥すると、どこか忍ぶようにして部屋に入ってくる。

政務中だ」

 一言断ると、分かっていると娘はしゃあしゃあと言った。だったら早く出て行けと心の中で思った清正だ。

 娘はそんな清正など構いもせず、部屋の隅にちょこんと腰掛けると、どこから取り出したのか本を膝の上に置いて読む体勢を作った。

邪魔しない、静かにしてるから。いいでしょ?」

「…勝手しろ

 出て行く気配がないところを見ると、清正は嘆息をついてそう答えた。

 初めは娘の視線が清正に寄せられていたが、暫くするとそれもなくなる。

 しかし時折思い出したように娘の瞳が清正を見つめ、逸らされる。

 当然のように会話はなく、わずかな物音さえ許さないそこは沈黙に包まれた。

 それは、次の日も、その次の日も、その次の日もずっと続いた。

 こっそりとやって来ては声をかけ、部屋の隅で本を読む。

 読み終わっても出て行かず、ぼうっとしているか清正の後姿を眺めている。

 そんな日が、続いた。

 (何だ?)

 と清正は訝ったが、その疑問をぶつけるわけでもない。

 別に何かの邪魔になるわけでもなし、放っておくことにした。

 一度など、あまりにも静かで動く気配さえないので振り返ってみると、娘は打掛を布団代わりに部屋の隅で丸まって眠っていた。

 清正は呆れる思いだったが、これを機にと思って気配を忍ばせて近寄ってみた。観察ばかりされているので、観察し返してやろうと。

 よほど寝入っているのか気配に疎いのか、清正が近づいただけでは起きる様子も見せない。

 畳の上に、短い(当代比)髪が散らばっている。

 肌は白く、身体には傷ひとつなく、教養はないくせに読み書きは出来る。行儀作法は全くできていない(どころか常識にも乏しい)が、やはり下層民ということはないらしい。

 小さい顔だと、清正は己の掌と比べて思った。清正のそれで顔面が覆えるのではないかと、興味本位でそろそろと手を伸ばした時。

 折悪しくも娘が目を覚ました。

 慌てて清正が手を引っ込めると、娘はゆっくりと身体を起こして何をしているのかと尋ねる。

 狼狽した清正が正直に答えると、一瞬娘は目を丸くし、ついで笑った。

「同じことしてる」

 誰と、と問えば清正、と娘は答えた。清正が変な顔をして困惑を示すと、娘は手を振って違うと言った。

「私の恋人。来世のあなた?かな」

 それを境に、清正と娘は少しずつ会話をするようになった。

 といっても、大体にして娘がしゃべり清正が相槌を打つという格好。内容も大したことはない世間話から、二人の共通の人物である秀吉やねねのこと。この話題になると、清正も少しばかり言葉を話した。

 だが、一番多いのは“清正”のことだ。――娘の恋人であるという、清正のこと。これは、半ば娘の独り言のようにして語られることが多い。

 回想するように、懐かしむように。

 そして、いとおしそうに。

「……清正、今何してるのかなぁ」

 最後はいつもそれで締めくくられる。

 初めは興味なさそうに聞いていた清正であったが、次第にどんな人間なのか気になりだしてきた。娘の言うことには、清正と同姓同名で背格好人相もそっくり、声まで似ていて性格も類似しているとか。

 そして何より、娘が“清正”を愛していると言う。

 単純に、どんな男なのか気になった。

 しかしある日から、娘が清正の居室に来なくなった。

 最初は放っておいたが、こない日が三日、四日と続くと何かあったのだろうか思うようになった。

 七日連続でそれが続いたとき、とうとう清正は立ち上がった。

 それとなく家臣の者に聞いてみると、屋敷の外に出ているとのこと。供もつけずに。

 放っておこうかとも思ったが、よくよく考えてみると、あの娘は北政所から預かった客人だ。白昼、秀吉のお膝元である大坂武家屋敷で、妙な物がいるわけはないが、万が一ということがある。何より

あんな調子で他の者に話しかけていては、それが事情を知らぬ人間だったら命がいくつあっても足りない。清正は慣れたが。

 考えあぐねた末、清正は娘の部屋を訪れることにした。事情を聞いて、必要があれば供をつけさせるよう、釘をさすつもりだった。

「供もつけずに、屋敷を抜けているらしいな」

 突然の清正の来訪に、娘は驚いたようだったが、開口一番の清正の言葉もっと驚いたようだ。

 しかし驚いたのも一瞬で、はて、と言うように首をかしげてみせた。

「お供ってつけなきゃダメなの?」

 この調子だ。

 清正がため息を吐くと娘は、何よ、と戸惑ったような顔をする。

「だめも何も、普通身分の高い女性は供回りをつけずに出歩いたりしないもんだ」

「でも、私別に身分が高いわけじゃないし」

「それでも、北政所から預かった客人だろうが。お前に何かあっちゃ困るんだ」

 どこまでも暢気そのものといった娘に呆れながら清正が言うが、彼女はまるで聞いてはいない。

 嬉しそうな顔で、

「清正、私のこと心配してくれたの?」

 などと言い出す始末だ。呆れ果てたヤツだ。

 そんな言葉黙殺して、清正は話を先に進めた。

「とにかく、今度から外へ出るときは供をつけろ。世話役侍女がいるだろ」

あやのさんとお絹さん?」

「お前が勝手にふらふら出歩いて、怠慢だと叱責されるのはその二人だからな」

「え?!そんな、怒らないでね!私が勝手に…」

「これからはそうするな言ってるんだ。大体、何しに行ってんだ」

 清正の問いに、娘は、どこかもじもじしてはっきりと答えない。

 答えたくないのなら、と踵を返そうとした清正の裾を捕まえて、娘が、犬!と答えた。

「…散歩してたら、子犬が捨てられてたの。かわいそうだから、餌やりに行ってただけ」

 別に怪しいことしてないよ、と娘は付け加えたが最初から疑ってはいない。

 そうすると、確かに家臣の言葉と一致する。屋敷を出る前に厨によって、弁当を作ってもらっているというから尚更だ。


 俺も焼きが回ったかな、なんて清正は歩きながら考えた。

 供回りはなし、私的な用事で家臣を連れまわすことは出来ない。ごく軽装に身を包んだ清正は(といって、普段から質素であるが)、娘と二人で通りを歩いている。

 どんどんと入り組んだ道に入って行き、しまいには神社のようなところについた。

 こんなところもあったのか、としげしげと周囲を見渡す清正の視界の中で、娘が境内に走っていく。

 清正が娘の後を追うと、太い木の根元に、布に包まれ子犬がいた。生後三月といったくらいか、すでに顔つきは成犬のそれに近づいている。

 娘はそれを撫で、声をかけた。すると子犬の方も懐いているのか、かがんだ娘に飛びつきじゃれ付いた。

 子犬と戯れる姿は、無邪気そのものだ。そしてその笑顔は、今まで見たこともないほど輝いている。本来はこのように笑うのだろうかと清正は思った。

 むっつりと考え込む清正の名を、娘が呼ぶ。

「ねえ、清正も触ってよ。もう、可愛いんだよ、人懐っこくて」

 懐いているのは餌をもらったからだろうと思ったが、清正がアクションを起こすより先に、子犬の方から清正の足元にじゃれ付いてきた。

 今まで特別犬猫に何か思ったことはなかったが、懐かれて悪い気はしない。

 清正が屈んで手をかざすと、子犬は喜んでそれを舐める

「ほら、可愛いでしょ!名前はね、黒いからクロ」

「…まんまだな」

「いいでしょ、別に

 つっこみを入れた清正に、娘は少しばかり頬を膨らませて抗議した。

 暫く無言で犬を眺めていた清正だが、立ち上がって帰るかと娘を促す。

 一瞬、娘がなんとも言えないような瞳で清正を見たが、何も言わなかった。最後にクロをひとつ撫でて、また来るねと呟く。

 清正は腰に手を当てて、そんな様子を見ている。

 名残惜しそうにする娘に、やれやれ嘆息を吐いてから

「飼うんじゃねえのか?」

 と一言尋ねた。

 すると、弾かれたように娘が顔を上げ、清正を凝視する。

 清正がそれ以上何も言わないところを見ると、娘はありがとうと叫んだ。

「クロ、今日は一緒に帰れるんだよ!」

 娘の言葉に、クロは分かっているのかいないのか、一声鳴いた。

 *** ** ***

 ふと、通りがかった清正の目に、縁側に座り込んだ娘の姿が入ってきた。

 わざと足音を立てて近付くが、娘がそれに気づいた様子はない。相変わらず気配に疎いヤツだと清正は思う。

 娘は、縁の下に座っているクロを撫でながらぼんやりと空を見上げている。

 その視線の先、見事な満月があった。

 ――月からやって来たナントヤラ、というわけでもあるまい。

 しかしその横顔には、そこはかとない哀愁があって、望郷の念に駆られているのは明白だ。

 清正はそんなことを思って、羽織を娘の頭からかぶせるように掛けた。

 それでようやく、娘は清正に気づき、こちらを向いた。

「こんなところでぼんやりしてると、風邪引くぞ」

 清正が声を掛けると、娘は羽織を肩から掛けなおしてありがとうと呟いた。

 そして清正を見上げて、微笑む。

「優しいね

「…別に。おねね様から託された客人に何かあったら事だからな」

 嘘は言っていない。清正がむっつりとして言うと、娘は肩をゆらしてクスクスと笑った。

 そんな笑顔にほっとした己に気づいた清正は、誰から指摘されたわけでも、ましてやその安堵を悟られたわけでもないのに、

 (別に

 と心中言い訳をしている。一体誰のための弁明か。

 そんな狼狽を誤魔化すようにして、清正はどうしたんだ、と言葉を紡ぐ。

「月なんか眺めて。ゲンダイ、とやらが恋しくなったのか」

 紛らわすために適当に吐いた言葉であったが、娘は頷いた。

「分かる?さすがは清正、一心同体ね」

 なんでそうなるんだ、と清正は呆れたように口を閉じた。

 一瞬でも心配した自分が損だ。

 むすっとした清正に構わず、娘は言葉を続けた。

「あのね、考えたことがあるのよ。聞いて。…今、目の前に居る清正と、…あなたのことね。あなたと、私の恋人の清正は、やっぱり違うなって」

「当たり前だ。俺は俺以外の何者にもなった覚えはない」

「それは、そうだけどさあ」

 彼女曰く、清正は“来世の恋人”らしい。

 そして彼女の住まうニジュウイッセイキとやらには、清正とそっくりの“清正”が居て。…なんて途方もない話。

「でも、やっぱり似てる」

「…前にも聞いた」

「しゃべり方もね、むっつりした顔もね、全部全部。ご先祖様かな?それとも前世の姿かしら。不思議だわぁ…」

「俺は、俺だ」

 伸ばされた手が、清正の手に触れた。

 控え目な手つきは、清正の手の重さを測るように軽く持ち上げたあとさっと撤退していった。

「やっぱり、ここは戦国時代なのかぁ…。そうよね、あなた戦国武将で、私のことをお世話してくれたおねね様っていうのも、…北政所様ってやつみたいだし」

「だから最初からそう言ってるだろ」

「そうね。あなたは、清正!っていうよりもはや清正様って感じだもの呼び捨てなんて恐れ多いわ」

 と言うものの、娘は清正を呼びつけにする。

 当初それに抵抗があったものの、慣れとは恐ろしいものだ。今の調子で娘が“清正様”なんて言おうものなら、かゆくて仕方がないだろう。

 娘の話は続く。

「私の“清正”は、なんかちょっと尻に敷かれてる感じはあるし、似ててもやっぱり別人ね」

 どこか苦笑気味に娘が言う。

 清正はどこか違和感を覚えた。清正を呼ぶときのそれと、彼女の。。。清正を呼ぶ声音はまるで違うのだ。

 心なしか、清正の顔から表情が消えた。

「…お前の清正とやらは、よほど腑抜けらしいな」

 違和感をかき消すようにそう呟くと、娘がくわっと睨みつけてきた。

「そんなこと言わないでよ!別に腑抜けじゃない」

「女の尻に敷かれる男なんて、腑抜けだろ」

「そんなことない!っていうか、秀吉さまだっておねね様の尻に敷かれてるでしょ」

「愚弄する気か?!」

「愚弄じゃないもん、本人が言ってたの!“わしゃあねねには頭が上がらんでの~”って」

「……」

 想像するだにかたくない。それゆえ、清正は反論言葉を失った。

 黙りこんだ清正に、娘はすこしばかり申し訳なさそうにした。

「まあ、気分を害したのなら謝るけど。…でも、“清正”を他の人からそんな風に言われるのは、いやだなって」

「悪かったな」

「いいよ。そりゃあ、大名あなたから見たら取るに足らないかも知れないけど、それでも“清正”はい旦那様なんだからね。恋愛面ではちょっとヘタレだけど、それ以外だったら男らしいし、指圧うまいし、ノート超きれいに取るんだから!」

「そーかよ」

「そうよ」

 少しばかり意味の分からない言葉もあったが、清正は適当に流した。

 しかしそんな清正に構わず、娘は大いに胸を張る。自分のことのように誇らしげだ。

「まあ、オカルトちょっと苦手でちょっと照れ屋だけど、料理は出来るし、朝も起こしてくれるし、本当に結婚したいくらい最高なのよ。清正の作るモヤシ炒め、食べたいなぁ…」

「清正は、俺だ」

「そーだけど、でもあなた料理できないでしょ」

料理なんて女の仕事だろ」

ジェンダー!“清正”はそんなこと言わないもん。むしろ『お前料理、味薄すぎるんだよ。俺が作る』とか言ってくれるんだから。最高よねえ、ホント

「だから、俺が清正だ!」

 鼓膜をびびりと揺るがすような清正の声に、娘はびくりと肩を揺する。娘どころか、縁の下のクロまでもピンと耳や尻尾を立てて驚いている。

 覚えず大声を出してしまった清正は、彼女の反応でわれに返った。口をつぐみ、たまらず目を逸らした。

「…悪い」

「いや、大丈夫

 (何を馬鹿なことを)

 清正の心中、後悔の大嵐だ。こんな詮無いことで怒鳴っても仕様がないというのに。

 大体何を苛立っているのだと自問しかけて、清正ははっとした。

 一方で娘は、清正の胸中など少しも知らず悩ましげなため息を吐き、帰りたい、とこぼしながらクロを撫でている。

「お前とのお別れはさびしいけどね。きっと清正が責任持って育ててくれるから安心しな。…清正は、何してるんだろうか」

 清正は、その瞬間意識がとんだように錯覚した。

 無意識に繰り出した手が、娘の手を掴んでいる。驚いて清正を振り返る彼女の肩を、もう一方の手ががっちりと掴んで離さない。

 目を丸くした娘が何事か言葉を紡ぐより先に、清正が言った。

「俺は、ここに居る」

 清正の正面の丸い瞳の中に、清正の姿が映りこんでいる。そして、恐らく清正のそれにも彼女の姿が。

 言葉も出せずに固まっていた娘であるが、子犬が膝にもっとと言うようにじゃれ付いてきた拍子に、金縛りが解けたようだ。

 少し恥ずかしそうに目を逸らしてから、苦笑し、娘はかぶりを振った。

「…参ったな。少しドキッとしちゃった」

「清正は、俺だ。俺が清正だ。。。。。」

「でも、…私は、“清正”じゃないとダメだ。だってね、私の好きな清正は、あなたみたいにびしっと決められない。でも、そういう清正が、私は好きだから

夢子、」

 恐らく初めて、名前を呼んだ清正に娘が目を見開いた。

「…名前、知ってたんだ」

 当然だと、清正が答えようとしたまさにその瞬間。

 すっと娘の身体の輪郭がぼやけた。ぎょっとする清正の前で、娘の身体は色を失い、後ろの風景が透けて見えるまでになった。

「あ、来た。タイムリミットだ」

「どういうことだ…?」

「帰れるみたい。清正“様”、これまでお世話になりました。豊臣ご夫妻にもよろしくお伝えくださいませ。…クロ、元気でね」

 もう随分と薄くなった身体で娘はクロの身体に触れる。感触がないのか、クロは不思議そうな顔をするだけで。

 羽織が、ばさりと音を立てて廊下に落ちた。

 清正は思わず捕まえようとして手を伸ばしたが、透き通るだけで掴むことは出来ない。

ありがとう。清正の所に、帰るね」

 その言葉最後に、清正の前から人一人が消えた。「…っオイ!」

 蛍がいっせいに飛び立ったような光の残像だけを残して。

 どこか呆然として、清正は廊下に落ちた己の羽織を拾った。確かに暖かい。――体温はほのかに残っていると言うのに。

 何もなくなった虚空を見つめていると、縁の下からクロが顔を覗かせて鼻を鳴らす。主の不在を嘆いているようにも見えた。

 無意識に手を伸ばしてそんな子犬の頭をなでると、清正はぽつねんと言葉をこぼした。

「…清正って誰だよ…」








 ~fin

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