はてなキーワード: 書体とは
これが、日本語だったら、「フリガナ振っておいてやれよ」って話になるけど、欧米だとそういう手段が無いよな…。(発音記号でフリガナ振ったりするの?) - yas-mal さんのブコメ
https://b.hatena.ne.jp/entry/4712408202690256034/comment/yas-mal
『原神』The Game Awardsで「ジェンシン」とうっかり読み上げられる。全世界目撃の言い間違え、声優や公式もイジる始末 - AUTOMATON
https://automaton-media.com/articles/newsjp/20211211-185534/
あるんですよこれが。
発音リスペリングは、外国語の発音、あるいはスペルが不規則であったり発音の推測が困難な単語の発音を非形式的に示すために
使用される。 この場合、例えば強勢や音節を示すために、以下のように書体を変えたり、約物を使用したり、
"Diarrhoea"(下痢) は DYE-uh-REE-a と発音する。
例えば。
アメリカのR&Bデュオ“Zhané”は発音リスペリングすると「Jah-Nay」。片仮名表記で「ジャネイ」。
“Pronounced Jah-Nay”とアルバムタイトルにもなってる。
https://m.media-amazon.com/images/I/41B57QREKGL._AC_.jpg
アメリカのラッパー“Wale”は発音リスペリングすると「WAH-lay」。片仮名表記で「ワーレイ」。
「書体」って言ってね。
社内で勉強会やってる、内容は基本的に業務に直結したもの、フォーマットはフリー
先日、Aさんが発表担当だった
内容自体は自身の経験した業務に基づく対象業務システム概観というところでまあ普通だったんだが
フォントは一貫して太くて丸い書体で、これだけならまだ許容もできるが、パワポのスライドの右端に鳥居のアイコンがずっと表示されてた
なんだそれ宗教臭い、と笑い飛ばしてツッコミできれば良かったんだが、誰も突っ込まなかった
いや、ヤバイ宗教に足突っ込んでても個人的に楽しんでる分にはこちらがどうこう言う話ではない
パワポ初心者でネットの大海から拾ったパワポ資料をもとに作ったが、スライドマスタの変更・アイコン画像の削除が出来なかった、というだけなら良いのだけど
https://note.com/arisan_designer/n/n77e068511f5c
こちら、フォントの歴史の話が珍しくホッテントリまで上がってたんで、まあちょっと嬉しくなったんで。
まあフォントはみんな好きなんで、いろいろブコメつくんだけど、まあ「知ってても何の役に立つんだ」「海外仕事するとき以外無用知識」的な「半端にイキってんじゃねーよ」的コメとか「読みづらい文字死すべし」的「デザインは理論原理主義」、「小林章さんが全て言い尽くしてる」っていう「有識者権威主義」はたまた「〇〇が好きなフォントです!」的「無邪気なフォントLOVER」がそれぞれワイワイいって、「で、どうすりゃいいんだ」ってなかなか意見が出んよね。
まあわっしもそんなに決定版的回答出せるほどの絶対的知識ないんだけど、現場で選んでるときの一例だせれば「ほーん」てなるかなって。
元記事の歴史的な背景知ってるときに、有効な例っていくつかあって
なんかは役に立つよなと。
時代性的なことで、有名な例としてスターウォーズのポスターのフォントとしてTrajanが採用されてたりするんだけど、あれは見た目がトラッドでかっこいい以上に、スターウォーズが年代記的英雄譚、言ったら「サーガ」だから背景的にもバチっとハマってるってのがある。
Trajanは碑文から発見された文字にインスパイアされて作られた文字なんで、言ったら最古のグループのフォント(まあそこをイメージして作られたんだけど)で、伝説にはピッタリよねと。
あと、Frutigerなんかはシャルル・ド・ゴール空港のサイン用書体として開発されたっていう経緯があったりして、デザイナーのアドリアン・フルティガーの作ったフォントはシステマチックなラインナップ展開を考えた作りで、近代性・工業性を表現できる書体かなって思う。
まあでも同じ人が作ったやつでデザイナーがより好きなのはAvenirかなー、円形とか直線とか、かなりジオメトリックなエレメントを持ちつつ、ちゃんと人間が描いた字として読みやすいから、意味と画面の平面構成的美しさがバーンと同時に目と頭にくるんだよね。
和文欧文混植の話は、厳密に000年だから、みたく同時代性に合わせるってより、それぞれのなかで相対的な「トラッド・モダン」のポジションを持ってるものを組み合わせた方がしっくり来るよと。
たとえばA1明朝で、A1についてる英文だともうちょっとニュアンスが足らんよなー、もっと優雅さをだして落ち着きと伝統性出したいよね、なんか欧文フォント組み合わせたいってなったとき、A1明朝ってのは、リュウミンなんかよりより伝統的ムードを強調して作られた書体なんで、時代性として相対的に古いと理解できる。
で、欧文はなにがマッチングするかと言うとローマンの中でも古いやつの決定版のGaramondなんかは合う。
ここら辺は頭で「時代性があう」からだけじゃなく、エレメントとして、和文の場合は漢字とかなの大きさの差や、「ふところ」なんていわれる「田」みたいなエレメントの狭さと、欧文のベースライン・ミーンライン間の幅と、アセンダー・ディセンダーラインの比率を見て、これが大きければ、要はクルっと丸まった部分とシュッと縦に伸びてる部分が差が大きい、「ふところ」の狭い和文フォントと似てるね、ってなって、「あいつら上手くいきそうじゃない?」ってなるわけ。
あと、和文の伝統的なものを意識したフォントは、縦組みに使いやすくなってるので、はらいの方向が斜めだったりして、こう言う斜めのながれは、欧文ではOの字の一番細い部分を縦に結んだ線が垂直か斜めかに対応している。
斜めになってるローマン体は相対的に古く、伝統的で、ここも合わせるときに見所かなー。
組版の専門家だよ。ブックマークとかで行間のリクツが知りたいという旨があったので、簡単にまとめるよ。
なお、行間に限らず、日本語組版に関する専門的な知識は『W3.org 日本語組版処理の要件(日本語版)』に載っていてタダで読めるよ。
この文書は『JIS X 4051 日本語 組版規則』を下敷きに、超のつく専門家がwebの世界向けにまとめたやつだよ。
この知識で書籍の本文組版がきっちりできちゃうよ。印刷周りの知識と組版ソフトを扱う技術もいるけどね。
これから書くのは、組版の専門家としての意見で、PowerPointとかプレゼンとかの専門家の意見ではないよ。
結論を先に書くよ。
単位は%の行送り。例えば150%と書いたときは、文字サイズが10pointのとき、行送り150%は15point、行と行の間の空白は5pointという意味だよ。
・行数が3行以下
>125〜150%が目安だよ。
・行数が4行以上
>150%が目安だよ。
・行数が3行以下
>150%が目安だよ。
・行数が4行以上
>175〜200%が目安だよ。
・行長が30文字程度
>200%が目安だよ。
>行長が長すぎるよ。
・同じ条件でも、行間は横組みよりも少し広めにとる方がいいよ。
・上の例より少しだけ行間は狭くていいよ。
・背景色とコントラストが弱い文字色を選んだときは、行間を少し広めにとった方がいいよ。
・見出しと本文の間は、本文同士の行間と同じか、それ以上はとらないといけないよ。
・違う本文同士の間は、本文の行間よりも広くとらないといけないよ。
「パワポの日本語の行間」の話に絞るけど、和文の行間を決定する要素は、大雑把に分けると下記のようになるよ。
・書体
・行長
・行数
・与えたい印象
書体は、文字の造形のことだよ。「游ゴシック Bold」とかがひとつの書体だよ。
日本語の文字は原則として「正方形」の中に収まるように作られているよ。
日本語の組版では、基本的にこの正方形をみっちりと横に並べて行を作るよ。
字面が広い書体ほど(≒「黒い」行ほど)、行間を狭く組めるよ。つまりBoldなら行間をより狭くできるよ。
これは直感的じゃないと思うけど、「行間>文字間>一文字中の空白」という順位でスペーシングを行って文字列を認識している、人間の知覚の都合で経験則的にこう決まっているよ。
下の順位の空白が狭くなれば、上の順位ももっと狭く取れるというリクツだよ。
行が長いほど、行間は広げる必要があるよ。なぜなら、行が長いほど行の頭に戻ったとき、見失う可能性が高いからだよ。
行間が広ければ、行の頭に戻るときにも、呼んでいる行を見失いづらいという経験則からこう決まっているよ。
行の多さのことだよ。
行が多いときの方が、少ないときより行間を広くとる必要があるよ。
行数が少ないときに行を見失うことはないから、行間を狭くできる、というリクツだよ。
組版において、行数が少ないものは普通「見出し」か、または修飾的要素だよ。
普通は見出しは4行を超えないから、ここではそれを目安としているよ。
人間は文字の並び方だけでも、違う印象を知覚することがあるよ。
例えば、普通はしないけど行間を0%(文字が縦にも横にもギッチギチ)になってるとき、緊張感を覚える人が多いよ。
逆に、詩の本を組むときは行間を極端にゆったりさせて組むことがあるよ。
化粧品とか、高級品を扱うときは、大抵行間は広めにとるよ。格調の高さを表現する狙いがあるよ。
一方で、広告なんかでは狭くとることが多いよ。緊張感を与えるためだよ。
基本的に、見出し、特に大見出しは狭めに組んで、注意を引きつけることが効果的なことが多いよ。でも実際の案件を見ないことにはなんとも言えないよ。シン・ゴジラの御用学者みたいな言い回しになってしまった。
>行長31文字以上は長すぎるよと言われたら大概の文庫本(小説)はアウトでは!?
・縦組みの場合は最大52字程度
・横組みの場合は最大40字程度
を目安としているよ。
しかし実際には、ここまで長い例はそんなにはないよ。例に上がってる文庫本は縦組みで、多くて40字程度の行長だよ。
横組みの書籍でも、40とはいかず大抵30字程度の行長に設定されている例が多いよ。この記事ではそういった慣例を考慮して数字を設定したよ。
勝手に更に補足。
書体には同じデザイン「ファミリ」という概念(この場合の「游ゴシック体」)があって、同じファミリの中で太さ違いや斜体などのバリエーションがある。
で、コンピュータフォントもそういう設計にしているのだけど、Windowsの多くのソフトは同じファミリの中から「標準」「太字」「斜体」「太字斜体」の4つしか選べない(大昔から引きずっている仕様)。
よって、それ以上のバリエーションを作りたい場合は、ファミリ名自体を「游ゴシック体 Light」「游ゴシック体 Regular」「游ゴシック体 Medium」みたいにして使えるようにするしかない。
のだけど、それだと不便(本来使えるはずの太字ボタンとかの意味が無くなる)なので、一番普通な標準と太字のペアであるRegularとBold(同語反復的だけど)を特別に「「游ゴシック体」というファミリにして、そこだけは太字ボタンで切り替えられるようにしてある。
游ゴシックRegularが普段使いには細いというのは同感だけれど、印刷の本文を組む前提の太さ表記(本来游ゴシックは印刷向け)なので仕方ないかなと思う。
(でもパワポでいつもMediumとBoldの組を使ってるのでほんとめんどい……)
なお、同じフォントファミリでも、多ウェイトが扱えるソフト(Adobe製品とか)では全ての太さが一つのファミリとして見えたりする(小塚フォントとか。游ゴシックもたぶんそうだけど確かめていない)。
「フォントの関係性はそんなのだったの!?」リアルに9割の人が気づいていない「游ゴシック」の話
https://togetter.com/li/1662198
のブクマ
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/togetter.com/li/1662198
わかりづらいとかキョトーンな人が散見されたので、蛇足とは思うけど解説をこころみる。
正直なところ説明として元ツイがいちばんシンプルだと私は思うので、この解説は元ツイが言ってることを別の言い回しで回りくどく言い換えるだけになる。つまり逆にわかりにくいかもしれない。
なお私は発端のツイートのひとではない。善意のいちハテナーである。
さらに言えば私は組版の専門家でもない。仕事で多少フォントを扱う機会がある程度の素人+毛である。
まず、コンピューターの画面に映し出される「太字」には2種類ある。
ひとつは、最初から太字としてデザインされた書体。いわばネイティブ太字。
フォントの名前のお尻にBold とかBlackとか、BとかEBとかDBとかくっついてるのがそれ。
ここではこれを便宜的に「真Bold」と呼ぶ。
もうひとつは、もともと太字ではないフォントをワードやパワポが表示上の工夫で太く見せているだけの太字。
同じ字を少しずらして重ねたり、輪郭を太らせたりして、その場で機械的に修飾して太く見せている。
これが元ツイの言う「偽Bold」。
真Boldと偽Boldを比較すると、これはもう圧倒的に真Boldのほうが美しい。
真Boldは人間がバランス良く調整してデザインしているので、議とか鬱みたいに字画が混み合う字でも線が重なったり窓がつぶれたりしない。
同じ名前でウエイト(=太さ)の異なる書体を比べてみると、パッと見は太さが違うだけのようだけれど、よく見ると実は線の通り道が少しずつ変えてあって、太さが違っても同じスペースの中にぴっちり収まっている。スペースが同じなのだから、線が太くなればなるほど、線の「芯」は全体として少し内側を通らなければいけない、という理屈はわかってもらえると思う。
https://k-tai.watch.impress.co.jp/img/ktw/list/1227/592/000.jpg
いっぽう偽Boldは、もともと第三者の手で機械的に太らされることを考慮していないので、強引に太らせると線が重なったり窓が埋まったりして潰れる。つまり見栄えが悪い。
偽Boldを使わないこと、これに尽きる。
元ツイは游ゴシックで偽Boldが使われてしまう条件を例示している。
「游ゴシック Light」と「游ゴシック Medium」、このふたつは文字列を選択して Ctrl+B などで太字化すると偽Boldになる。
無印の「游ゴシック」(実体は游ゴシック Regular)は、 Ctrl+B などで太字化するとそこだけ「游ゴシック Bold」(つまり真Bold)に切り替わる。太字のところだけ違う書体が使われるのである。
ワードやパワポで真Boldと対になっている普通の太さの字は無印游ゴシック(=游ゴシック Regular)なのだけれど、この書体、本文(太くない普通の字)として使うにはいささかウエイトが軽すぎて読みにくいのである。Webページで使うとカスレたりして嫌われている。
元ツイの言うように「游ゴシック Medium」と「游ゴシック Bold」の組み合わせがもっとも体裁がいい。と思う。
ワードやパワポは書式の定義で見出しに「游ゴシック Bold」、本文に「游ゴシック Medium」を指定しておくことができる。
でも、たとえばこのように文中に太字強調を混ぜたい時がめんどくさい。Mediumを Ctrl + B で太字にすると偽Boldになってしまうからだ。太字にしたいところだけいちいち「游ゴシック Bold」を選んだり、無印游ゴシックを選んで Ctrl + B する必要がある。どうにかならんもんか。
游ゴシック Bold は、90%の平体をかけると俺たち昭和のおっさんが慣れ親しんだ写研の石井太ゴシックそっくりになる。
同人誌の表紙などで昭和テイストを出したい時に試してみるといいよ。字詰めは広め、カタカナの字詰めは一文字ずつしっかり整えると石井感が出ます。
あとごめん、これ読んだ人は誰かこの増田のURLを上のブクマに貼ってください。俺が貼るとanonymousじゃなくなってしまう
パワポに長々した文章を書くことはあまりないと思うけど、それでも2~3行以上の文を載せる時は「行間隔」にちょっとこだわるだけで飛躍的に見栄えが良くなります。
ツールバーで選べる行間隔には「1.0」、「1.5」、「2.0」、「2.5」…と誰が使うんだバカというようなプリセット値が並んでいるけれどこいつらは無視して、「行間隔のオプション」から「1.25」や「1.33」といった日本語を割り付けるのにイイ感じの固定値を入力しましょう。
※追記。すみません。ここがそんなに注目されると思ってなくて雑に書きましたが、1.25とか1.33とかは、私が行間隔を設定するときによく使う数字の例で、特に根拠はありません(それぞれ1/4行、1/3行)。
同じ1.25でもフォントによって空き具合の印象が異なるので(フォントの背の高さは様々だから)、一概に「和文フォントならズバリこの数値がよい」というのは決められないのです。文章量やレイアウトにもよりますし。
要は、具合を見ながら行間隔を任意に手入力することもできるよ、というアドバイスです。
いま、私たちは情報の多くを文字から受け取っています。メディアの中心が印刷物からスクリーンに変わってもなお、文字がコミュニケーションのひとつの要であることは変わりません。
「My MORISAWA PASSPORT わたしの“推し”フォント」では、さまざまなジャンルのデザイン、その第一線で活躍するデザイナーに、文字・フォントをデザインワークのなかでどのように位置づけ、どのような意図・考えで書体を選択しているのかをインタビュー。あわせて、「MORISAWA PASSPORT」“推し”フォントを紹介いただきます。
第1回は、グラフィックデザインをベースに平面から立体、空間まで幅広くデザインを展開する色部義昭さんにお話を伺いました。
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色部義昭
東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了後、株式会社日本デザインセンターに入社。2011年より色部デザイン研究所を主宰。
主な仕事にOsaka MetroのCI、国立公園ブランディング、市原湖畔美術館・須賀川市民交流センターtetteなどのVIとサイン計画から、パッケージ、展覧会デザインまで、グラフィックデザインをベースに平面から立体、空間まで幅広くデザインを展開。
目次
ブランディングやサイン計画を中心にデザインを手がける色部さん。
個性も違えば役割も異なる、多種多様な仕事のなかで、文字、書体はどういった働きをするものと捉えて取り組んでいるのでしょうか。 web
いま、私たちは情報の多くを文字から受け取っています。メディアの中心が印刷物からスクリーンに変わってもなお、文字がコミュニケーションのひとつの要であることは変わりません。
「My MORISAWA PASSPORT わたしの“推し”フォント」では、さまざまなジャンルのデザイン、その第一線で活躍するデザイナーに、文字・フォントをデザインワークのなかでどのように位置づけ、どのような意図・考えで書体を選択しているのかをインタビュー。あわせて、「MORISAWA PASSPORT」“推し”フォントを紹介いただきます。
第1回は、グラフィックデザインをベースに平面から立体、空間まで幅広くデザインを展開する色部義昭さんにお話を伺いました。
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色部義昭
東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了後、株式会社日本デザインセンターに入社。2011年より色部デザイン研究所を主宰。
主な仕事にOsaka MetroのCI、国立公園ブランディング、市原湖畔美術館・須賀川市民交流センターtetteなどのVIとサイン計画から、パッケージ、展覧会デザインまで、グラフィックデザインをベースに平面から立体、空間まで幅広くデザインを展開。
目次
ブランディングやサイン計画を中心にデザインを手がける色部さん。
個性も違えば役割も異なる、多種多様な仕事のなかで、文字、書体はどういった働きをするものと捉えて取り組んでいるのでしょうか。
「私は文字を素材と捉えて使っています。文字情報というのはあらゆるコミュニケーションに使われるものなので、あるブランドのための書体をひとつ選んだら、目に見える部分以外の情報も発信していくことができます。
たとえば、ブランドが人の身体だとしたら、書体は血液のようなもので、ブランドの隅々にまで意思やフィロソフィーといったものを循環させていくことができる。書体はそういった要素を担っている重要な素材だと思っています」
目に見える部分以外の情報も担う書体。それはつまり、ブランドやメッセージをより正確に、ふさわしいトーンで伝えるための役割を書体に持たせているということになります。
こうしたとき、色部さんはどのような視点、プロセスで書体を選んでいくのでしょうか。
「書体を選ぶときは、ロゴなどが決まっていればそれと同調する書体にするかコントラストのつく書体にするかで考えます。先に書体から考えていくような場合は、施設や部屋の名前といった大事なワードを候補になる書体で打って、イメージに近いトーンのものを比較していきます。
書体を選ぶ基準というのはプロジェクトごとに異なりますが、書体を選ぶことは自分のデザインのなかで楽しみな部分ではあります。クライアントやブランドにはそれぞれの個性がありますから、それを見極めて書体を選び抜くことが大切です。理想的にはプロジェクトごとに、毎回、違う書体を使いたいと思っています。
書体が決まった後は、それをターゲットのイメージに合わせて、どう組むか、レイアウトするか、アレンジするかを考えていきます。ただ、このときはタイプデザイナーによって作られた書体を自分なりにどう活かして使っていこうか、楽しんでいる部分もありますね」
“ブランドの血液”としての書体。多くのメディアにそのフィロソフィーを浸透させるためにはいま、フォントとしての文字は欠かせないものになっています。
「ロゴは点として存在するものですが、書体は線になり面を構成するものとなるものです。
MORISAWA PASSPORTとTypeSquareのように、デスクトップ用のフォントからWebフォントまで、共通のフォントが使えることで、サインからWebまで同じトーンで展開できるということは大事な要素だと思っています。
使いやすい書体をあらかじめ決めておくとか、いい書体、悪い書体という判断は自分のなかには持ってはいません。ブランディングではクライアントの個性やプロジェクトの性格に最適な素材であるかどうかが最も重要だと考えています」