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日本経済新聞(1月18日電子版)の「世界の格下げ2割増、22年501社 米金利上昇響く」を興味深く読んだ。
同記事は《世界の企業の信用力回復が鈍ってきた。2022年に社債の格付けが下がった企業(金融除く)は501社と21年に比べ2割増えた。米国を中心とした金利上昇で債務不履行(デフォルト)リスクが高まり、低格付け企業の格下げが目立った》に始まり、米格付け会社S&Pグローバル・レーティングによる社債発行企業の格付けリストが紹介されている。
生活雑貨の米ベッド・バス・アンド・ビヨンドは22年7月にシングルBプラスからシングルBマイナスになり、11月に選択的デフォルト(SD)になった。ドラッグストアの米ライト・エイドも1年でシングルBマイナスからSDに下がった。ちなみにウクライナ鉄道はトリプルCプラスからダブルCとなった。世界の格下げ社数は2年ぶりに増加した。
一方で格上げ企業もある。高級ブランド・コングロマリットの仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンはシングルAプラスからダブルAマイナス、大手ホテルチェーンの米マリオット・インターナショナルはトリプルBマイナスからトリプルB、半導体の米エヌビディアがシングルAマイナスからシングル Aにそれぞれ格上げされている。
ウクライナ鉄道は格下げとなったが、ロシアによる軍事侵攻に晒されているウクライナのソブリン債(国債や政府機関債)はどうなったのか。やはりシングルBからトリプルCプラスに格下げとなった。
では国別のソブリン債格付けはどうなのか。実は筆者の手元に昨年12月現在の主要格付け会社による一覧表がある。以下、紹介する。
S&P社格付け=トリプルA:ドイツ、カナダ、ダブルAプラス:米国、ダブルA:英国、フランス、韓国、シングルAプラス:日本、中国、ダブルBプラス:ギリシャ、ダブルC:ロシア。ムーディーズ社格付け=トリプルA:米国、ドイツ、カナダ、ダブルA2:フランス、韓国、ダブルA3:英国、シングルA1:日本、中国、アイルランド、トリプルB1:スペイン、トリプルB3:イタリア、ダブルC:ロシア―である。
見落としてはならないのは、我が国が両社格付けランキングで共に韓国を下回っていることだ。
次に格付け調査から除外された金融業界の現状を見てみよう。先週末の1月13日までに米金融大手各社の22年10~12月期決算が明らかになった。米銀最大手のJPモルガン・チェースの12月期決算は純利益が前の期比22%減の376億ドル(約4兆8000億円)だった。バンク・オブ・アメリカが前の期比14%減の275億ドル、シティグループも32%減の148億ドルだ。資産運用会社最大手のブラックロックは純利益が前年同期比23%減の12億5900万ドル(約1600億円)であった。
各社軒並みに大幅減益である。さらに17日には22年10~12月期決算で純利益の前の期比48%減112億ドル(約1兆4000億円)を発表した米投資銀行最大手のゴールドマン・サックス(GS)が3200人の大規模人員削減を決定した。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め方針の堅持と今年後半期の米景気後退懸念が高まったことで、世界に冠たるGSは消費者向け金融ビジネスを大幅に縮小することを余儀なくされたのだ。
米投資銀行の一方の覇者であるモルガン・スタンレーもまた純利益が27%減の110億ドルとなった。同社も昨年12月に約1800人の人員削減を発表している。
こうして見てみると、「MMT(現代貨幣理論)幻想」の終焉に直面した日本の先行きは一体どうなるのか、心配が募るのは筆者だけではあるまい