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2021-05-05

なぜ地方議員後援会なる組織が成り立つの

anond:20210505100500

言及エントリへの反応をみて、そもそもなぜ地方議員後援会なる組織が成り立つのかというところの認識が薄い人が多いようなので、床屋談義レベルだが一市民としてちょっと書いてみる。

増田には初投稿だし普段は長文を書かないので見苦しいところもあるかもしれないが勘弁してほしい。

なぜ後援会に入るのか

ネットではたまに「生活保護を断られても、共産党系地方議員と一緒に窓口に行けば申請が通る」という言説を見かける。

生活に困窮したときには共産党が頼りになるから支持しようという内容だ。

個々人にとってはわかりやす利益であるため、こういった投稿を行っている人の何割かは実際に共産党員であったり、その議員後援会に入っているだろう。

地方議会自民党系がなぜ強いのかというと、似たようなことをより大規模に昔から行っているからだ。

なぜ自民党系が強いのか

地方議会議員構成

ここに総務省が出している「地方公共団体議会議員及び長の所属党派人員調等」という資料がある

https://www.soumu.go.jp/main_content/000741469.pdf

都道府県議会議員に占める自民党の圧倒的な割合が見て取れる。全議員のおよそ半分は自民党所属である。圧倒的だね。

ただ、市町村議会議員構成に目を向けると、自民党より共産党、それよりも公明党所属議員のほうが多いことに気がつくと思う。無所属議員は全体の7割を占める。

もちろんこれにも理由があって、市区町村レベルだと権限的に争点にそれほど差が出ないか無所属で推薦をつけてもらって出馬したほうが国政の影響を受けにくいかである

地方議会目的

ほとんどの市町村都道府県内で近隣の市区町村人口を奪い合っているし、都道府県国内で近隣の都道府県人口を奪い合っている。

人口が増えれば需要が増え、需要が増えれば仕事生まれる。仕事が生まれれば人口が増える。

こうした循環が生まれれば地方自治体はより長く存続できるし、その状態になるように(ほとんどの)地方議員法律範囲内で頑張っている。

そしてもちろん各政党地方組織は、その選挙区出身国会議員がより多くの仕事地元に生み出すことを期待している。

利益誘導型の政治

ここまで書けば察しのいい人にはわかると思うが、自民党地方組織は他の政党よりより多くの仕事斡旋していて、市民生活の安定に寄与しているから強いのだ。

仕事斡旋というのは、公共事業仕事を創出したり、企業誘致したり、生まれ仕事に対して人員を紹介する縁故採用、今風に言うと中途採用リファレンスチェックの役割を(広島みたいな例はあるにせよ)合法的果たしてたから強いと言い換えられる。

もちろん「日本人口減ってるやんけ!地方とか壊滅じゃん!」というはてなーもいるだろうけれど、そもそも戦後から70年で人口は5000万人くらい増えているし、その間この利益誘導に世話になった人はまだまだ現役であるはてなー自身はこの仕組の世話になっていなくても、親族か友人か、縁者のだれかは利益を得ているだろう。

なぜ後援会に入るのかの段落で会員の個人的な恩について触れたけど、これは地方議員所属自民党でも共産党でも同じ問題で、支持先を変えてもらうには

自身(もしくは縁者)を助けてくれた恩人に対して、その恩人の仕事と直接関係のない問題で恩人の生活を奪う

という選択をお願いすることになる。地方議会議員の選出は直接選挙なので、よりダイレクト個人意志が反映されるのは言うまでもない。N世議員が強いのもこのためである

我々は利益誘導型の政治から決別できるのか

無理なんじゃないかな。

核融合発電みたいな実質無限エネルギー人類が手に入れれば長期的にはなしうるかもしれないけれど。

自分の家のとなりに合理的な立地だからといってゴミ処理場や保育所米軍基地発電所ができることを歓迎する人がいないように、日本より感染者数が多くて大変そうだからインド日本の確保したワクチンを優先的に融通すべきという人も見かけない。人間自分が得るはずだった(と感じた)利益に敏感だし、損を極端に嫌う。

与党は当時世界中で奪い合った高確率利益の出るオリンピックという利権国内誘導できたが、コロナ禍でそれが一気に負債の印象に転じてしまった。ワクチン確保についても国民の期待に沿えるスピード摂取が進んでいない。国民から国際的利益誘導に失敗したと判断されているのだ。

政権利益誘導に失敗したか誕生する新政権が、利益誘導を期待されていないわけがない。

じゃあ野党はどうすれば政権交代できるのか

2009年政権交代はどういう戦略で戦ったか
自身への期待値を上げる
相手への期待値を下げる

運輸と農家地方自治体への利益誘導郵政民営化地方組織の弱った自民党からの乗り換えを促し、サブプライムローン問題という日本単独では不可避の事由で攻め立てている。この手法はさすがドブ板選挙を得意とする地方地盤精通した小沢一郎で、もし小沢氏の考え通りに与野党大連立が発足していたらマニフェスト云々も有耶無耶になっているだろうしねじれ国会もないしで、その後破綻するにしてもそれぞれに政権担当能力がある二大政党制誕生していたかもしれない。

結論

いま同じ手法が取れるかというと、民主党支持率が低すぎて自民党内部に離反を促せないし、野党連立でも支持率足りないし、そもそも現状で国民に対して明確な利益提示できていない。たとえば二回目の一律十万円が本当に効くのなら与党がやるに決まっている。その層を狙っても選挙に勝てないと分析されているのだ。地方への利益誘導である GOTO も反対しまくったし、処理水問題を突けば辺野古の二の舞。民主党内の予想よりワクチンの配布が早かっただろうし、全国均等配布だから配分を問題にするのも難しい。今後は現金をぶら下げれば動くとみなしている浮動票を狙って戦っていくのだろうか?無理じゃない?都道府県利益誘導して地方組織ごと寝返ってもらわないと。

というわけでコロナ禍にあって内閣が変わる現実的路線は、次回総裁選での菅氏の辞退だろう。

余談

そもそも市区町村議員市区町村利益になることをすれば良くて、もっぱら扱うのは条例であって憲法法律ではない。

決まった支持団体のない有権者はおそらくそ区別がついていて、地方選挙憲法がとか国政がとか、明らかに権限外のことを訴えている組織票を持っていない候補者はたいてい落選する。

しか増田やらはてぶユーザーやらTwitterには地方行政と国政の区別がついていない、もしくは中央集権を支持していて地方自治がすごく嫌いなんだな、という投稿がたくさん見受けられる。

物事には理由があって結果があるのだが、大きくて抽象的で万能な仮想敵を想定していても駄目で、ちゃんと地に足ついた理由を見つけだして適切な行動を取らないと、あなたの行動に結果がついてこないよ。

脚注つかえないのか……

追記修正

 
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