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2021-10-07

水餃子中国人おもてなし

子供の頃、宝物のビックリマンシールそっちのけで貪った『コウくんのお母さんの水餃子』を死ぬ前にもう一度食べたい - Togetterブコメを読んで、いろいろ思うことがあったのでつらつら書く。旧満州出身アラサー日本永住者です。

水餃子について

中国のご家庭では手作りが多いが、テイクアウトもある。ただし我が家では「外の水餃子は何が入っているかからいから」という理由で一度もテイクアウトしたことがない。

作る頻度が高い割にご家庭ごとの味にもばらつきがあり、私の母などはいまもこれ!という領域にたどりつかないらしく、YouTubeを見て餡を研究している。

また、日本のように、キャベツor白菜豚肉、というフォーマットは決まっておらず、セロリピーマンズッキーニ小松菜等々、汁気のない野菜ならなんでも入る(試したことはないが、トマトを入れる餡もあるとか)。私のお気に入りは、ニラ・炒り卵・春雨干しエビの餡。もちろんにんにくは入れない。

件の記事ではお母さんが作っていたが、我が家では餃子といえば家族総出で作るもの小学生のころまでは餡を父、皮の生地を母、皮作りは私、包むのは父母、と分担されていた。水餃子はしっかり包まないと、茹でる際に餡が流れ出てしまうので、包むことができるようになったのは中学生以降だった。

で、一度に作る量も多い。餃子サイズにもよるが、大人ひとり頭20個ほど食べ、残りは冷凍するか、茹でて食べ切れなかったぶんを翌日焼餃子にする(これが日本焼餃子とはまた違って、もちもちした皮がカリっとしておいしいのだ)ので、3人家族なら50〜60個は作る。皮を寝かせる時間カウントしなければ、餡を作り始めてから茹で終わるまで30分弱で済む。

祖父餃子大臣だった母方の実家では、餃子を作るとなると必ず子や孫を電話で呼び寄せるため、一度に100個以上作ることもめずらしくなかったと思う(餃子以外のおかずも出る)。

中国人のおもてなしについて

先程母方実家の例を挙げたが、中国人にとって、餃子といえば、大勢人を集めて食べるもの日常的にも食べるが、中国人に「いつ餃子を食べますか?」と聞けば、返ってくる答えは八割方、「旧正月」だと思う。

旧正月といえば、家族が全員集まり大勢でにぎやかに食事をするイメージである。一度、餃子を作る、となれば、たくさん作って、大勢で食べて、何ならお客さんにおみやげとしてタッパーで持たせて……なんてイメージが、餃子にはつきまとう。

父を筆頭にコミュ障が3人寄り集まった我が家例外ではなく、父と母は兎角、他人を家に呼んで、餃子を食べさせたがる。人生ほとんどを日本で過ごしている私は、流石に客好きのマインドは受け継がなかったが、それでも、父母のお客様が家に上がるのも、餃子をたくさん作るのも大好きだ。

ところで、知り合いの、90過ぎた日本人男性から、ある日こんなエピソードを聞いた。

曰く、「壮年の頃に、30代の中国夫婦と知り合った。二人は日本への国費留学生で、夫と私はともに書が趣味ということもあり、友人としてよく親しみ、年賀状のやりとりをした。夫妻は、何度も、晩御飯を食べていってください、と私を家に招いた」。

「それで?」

「いや、お邪魔したことはなかったよ」

そのおじいちゃまに、なぜ、と聞く気は起こらなかった。聞けばよかったのだと思う(なお、ご老人は勿論ご存命である)が、聞く勇気が湧かなかった。ただ、心がすこしひんやりした。日本人って、やっぱりすこし冷たいのかもしれない。

からコウくんのお母さんは、たくさんの小学生男子たちが美味しそうに餃子を食べてくれてうれしかったのだと思う。ほんとうに。

 
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