はてなキーワード: 去っていく男とは
一応、参拝くらいは丁寧にやろうとする。
「えーと、二礼二拍手だっけか」
「どこかで一礼も必要だったはず」
しかし、そのやり方を誰も覚えておらず、賽銭箱の前でまごつく。
携帯端末でネット検索すれば分かるかもしれないが、そこまでして調べたい意識だとかは俺たちにない。
そんな俺たちに助け舟を出したのは、同じく参拝に来ていた男だった。
「最初は賽銭をゆっくり入れます。鈴は鳴らさなくても大丈夫です」
羽織から手を覗かせると、男は自然な所作で参拝をやってのける。
俺たちは、それを見よう見まねでやってみた。
「なんだか、もっと複雑だった記憶があるんだけど、こんなに簡単だったっけ」
「神社によりけりですね。本当はもっと長い方法があるのですが、参拝客向きではないとして一礼一拍手にしているようですね」
「本当はどうやるの?」
「ここの神社の場合だと、まず一礼一拍手をして賽銭を捧げて鈴を鳴らします。これで神を呼び起こすわけです。そして再び一礼し、次に八拍手して神を讃えます。ここで祈りを聞き入れてもらうための賽銭を入れます。一度目に入れた賽銭よりも金額を多めにすると良いでしょう。そして再び一礼ですが、この時は前屈運動じゃないかってくらい深々と……あ、徹底するなら禊も最初にやっておくべきですね」
「ややこしいなあ」
だとしても覚える気力が湧かないし、一般人はそういう所のホームページなんて見ようとも思わない。
もし覚えられたとしても、ひとつひとつ丁寧にやっていくと数分はかかるぞ。
「そんな理由で、やり方決めちゃっていいの?」
「作法は、あくまで手段にすぎませんから。神を敬い、讃えるために祈ることが大切なんです」
頭は丸めていないが、実はどこかの宗派だったりするのだろうか。
「それでは、私はこれで」
弟は目が線になるくらいに細めて、去っていく男性の後ろ姿を凝視する。
「んー……どこかで見たことがあるような」
正直、俺もデジャブを感じてはいたが、あまりジロジロ見るのもどうかと思って避けていた。
弟に言われて、俺とウサクもようやっと気づいた。
「ああ、そうだ!」
ましてや、初詣に他宗教の施設を利用するなんて思いもよらないし。
「あの感じからして、かなり定期的にやってるっぽいぞ」
「まあ歴史的に見ても、新興宗教は既存の宗教をつまみ食いしたがるものだ」
以前、どこかで「生活教は他宗教にも寛容です」だとかのたまっていたが、単に節操がないだけじゃないのか。
俺たち兄弟は呆れ気味だったが、ひとりウサクだけは少し神妙な面持ちをしていた。
そして突拍子もないことを言い出した。
加害者:50~・男
内容:立ち読みしていたら脚に違和感。振り返ると被害者の足元にうずくまり足をなでている初老男有り。目が合った瞬間加害者は素早く店を出る。被害者は恐怖で動けず立ち尽くす。落ち着いたところで店員に相談しようにも加害者はすでに脱出済みだった。泣き寝入り。
加害者:30代・男
内容:尻・股間を撫でまわされる。恐怖で固まっていると耳元で「かわいいね」と言われ、加害者が降車するまで続く。泣き寝入り。授業で冤罪かなんかの話になったときにふざけてエピソードトークとして笑い取ってたけど、二人きりになったときに「キッツかったなあドンマイ」っていたわったら何とも言えない顔してた。
【3】妻から聞いた
内容:夜0時くらいに国道沿い歩いてたら後ろからスカートめくられてお尻をつかまれたらしい。とっさに振り返るとダッシュで去っていく男性。泣き寝入り。
しばらく動揺して動けなかったそうだが俺に一報くれたので迎えに行って家まで送った。
【4】友人から聞いた
内容:当時なにをされているのかもよくわかっていなかったそう。複数回あったらしい。しかしなんとなく母親には言えなかったらしい。ほどなく両親離婚。今も一部の友人と旦那さんにしか言ってないらしい。
母であるわたしも、父もゲームが好きなので、もちろん息子もゲームが好きになりました。
普段からよく任天堂のゲームを楽しんでいる彼は、当然のごとく「ペーパーマリオ カラースプラッシュ」のCMに目を留めました。
ギルガルドはよく考え、何度もCMの映像を自分の3DSで確認し、値段も調べて、自分の貯金箱の中身を何度も数えなおしてから私のもとにやってきました。
もじもじ言いよどんだ末に、ペーパーマリオで遊びたいとぼそぼそと話すギルガルド。
自分のお金で買うからいいでしょう。宿題もちゃんとやる。習い事にもきちんと行くから、お願いです、と。
結果ペーパーマリオは前日中にWiiUにダウンロードされ、発売日の放課後から冒険が始まりました。
最初のうちは「負けるかもしれないバトル」に挑むのを躊躇し、
励ましているうちに「マリオがやられてしまうかも」という恐怖に打ち勝つようになり、
敵を軽やかに倒して物語を進めていくようになりました。
マリオの冒険の相棒は、今回はペンキーというペンキの精で、とても表情豊かなキャラクターです。
マリオはいつも無口なので、サポートキャラは饒舌になるものだったけれど、
よく怒ったし、よくしゃべったし、時には笑い、呆れ、一緒に温泉に入ったりもして、
すみませんここからはゲームのネタバレなので、プレイされている途中、予定の方はもう読まない方がいいと思います。
ペンキーは物語の舞台であるイロドリタウンを守るガーディアンなので、
すべてを黒く塗りつぶす悪意の塊をあの小さな缶の中に飲み込んで、遠い空の向こうに去ってしまうんです。
ギルガルドはその光景を見て、少しだけ悲しく思ったようでした。
そのあとに始まるエンディングはパレード仕様で、とても明るく楽しく、クリアしたと強く感じられる華々しさでした。
クリア後もギルガルドは、まだコンプリートしていない要素があるからとプレイを続けていたのですが、
二日後の夜に、おやすみなさいと言った後になぜか母のもとへやってきました。
どうしたのかと尋ねても、なにも言わない。そのうちに、急に大きな声で泣き始めました。
最後の戦いのほんの少し手前の状態のまま、カラースプラッシュの世界は続いていますから。
強く焼き付いて離れないようなのです。
ペンキーがすべてを引き受けて去ってしまったことが、どうしようもなく寂しくて、
けれど、最後にひとかけらの未練も見せずに去っていく男気に心が打たれて、
簡単な気持ちで「寂しい」と言ってはいけないと感じ、それが苦しかったのかなと母は感じました。
普段はいれてあげない布団の中でギルガルドを抱きしめ、いろんな言葉をかけて慰め、
どうやって書いたらいいのかわからないというギルガルドでしたが、
自分の思ったことを素直に綴ればいいと話すと、ノートに下書きをし始めました。
下書きだけは見せてもらいました。
表情をころころかえる姿を思い出す。
また二人で一緒に旅ができるといいね。
こんなことがつらつらと書かれておりました。
どこに送ったらいいのか迷いつつ、結局任天堂あてに手紙を書いて出しました。
母も読んでもらえればいいなと考えていました。
すると先日、返事がきたのです。
マリオとペンキーがプリントされた紙に、ちゃんとギルガルドあての返事が書かれた手紙が、かえってきたんです。
ギルガルドは最初自分で全部読めるといいましたが、何度も見返してから、わからない漢字があるから読んでほしいと頼んできました。
一緒になって読んで、母も泣きそうになり、ギルガルドも泣きそうになりました。
ゲームの感想を手紙にして送るなんて、初めての経験でしたが、こんな風に返してもらえるとは思ってもみませんでした。
「ペーパーマリオ カラースプラッシュ」は、8歳のハートを成長させてくれる素敵なゲームでした。