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2022-01-15

紅の豚ちょっとおもしろくなるかもしれない話

設計中のフィオとポルコの会話は、翼と飛行艇知識があると意味が少し変わってくるかも・・・

注意)これは元増田が色々聞きかじった情報を書き連ねたものです。

間違いが多数あると思うので、みんなコメントで訂正してくだしあ

翼のはなし

現在戦闘機もジャンボジェットも “高揚力装置” 可変翼 を採用している。

詳細は各自ググっていただければと思うが、簡単説明すると

低速時は翼の面積を広くして揚力を大きくし

高速時は翼の面積を狭くして揚力を小さくする機構のことだ。

高揚力装置 可変翼 が無いと

高揚力装置 可変翼 があれば、低速で離着陸ができるし、上空でどんどんスピードを出すこともできる。

しかしポルコの飛行機は、まだそんな機構が無い時代

よって、設計とセッティング最初に決める必要があった。

端的に言えば

低速で離着陸できるけど上空でスピードを出せない
スピードが出せるけど離着陸も高速でないとできない

の2択から、いい塩梅の間を探っていくことになるわけだ。

飛行艇のはなし

そこで丘の飛行機乗りと飛行艇乗りの話になる。

飛行艇には浮かぶためのでかい足があり、タイヤよりも空気抵抗前面投影面積)が大きくなってしまう。

しかし、飛行艇は滑走路をより長く取ることが可能だった(海なので物理的な意味で)。

そのため昔は、高速セッティング場合空気抵抗がネックになるとしても飛行艇のほうが有利と言われていた。

でも水上を高速で離陸できるまで走り回るのって波があったら大変そうだし、

逆に着陸も高速で水に突っ込んでいかないとなのできっと怖いよね。

フィオとポルコのはなし

以上の知識があると、次の会話の意味が少しわかる

フィオ「こんな過激なセッティングでよく水から飛び立てるわね」

ポルコ「難しいのは離着陸のときだけだ。スピードに乗れば粘りのある翼だ」

フィオは、若い技術者特有の「この人スゴイ!」という感情が見える。

だがこの過激なセッティングは離着陸の時に命の危険があり、戦闘時も誰よりも高速で飛び回るためやっぱり危険

(離陸シーンでやけにスピード描写がされているのも多分コレが理由

それで飛行艇に長年携わる人間からすれば、危ないヤツ、頭がおかしい、ただの死にたがりにしか見えないのだろう。

他の飛行艇乗りが、ポルコを嫌っている本当の理由なのかもしれない。

ただしピッコロおやじは除く。あの人もいい性格してるよね。

まとめ

設計シーンの最後で、ポルコは翼の取付角を修正してもらっている。

コレも高速向けセッティングだ。

フィオは恐らく前の飛行機と同じ速度域で設計したはずなので、より危険飛行機になっている。

これが熟練技術者なら止めるなり苦言を呈するなりするのであろうが、

フィオ若さと憧れゆえにそのとおりに作ってしまったのだろう。

飛行機に関するこの豆知識を得ると、

憧れるフィオと、死にたがっているポルコ。

過激なセッティング飛行機を軸にしつつ、

そのすれ違いが垣間見えるシーンだと感じられるような気がするのである


追記

さっそくツッコミ感謝

ラップだね。そういう機構をまとめて可変翼だと勘違いしてた。

とりあえずカッコいいので高揚力装置で書き直します。

2021-07-04

ツール・ド・フランスの楽しさ【本日無料放送

ツール・ド・フランスに関する増田を書いたところ興味を示された方が少しおられましたので、私が考えるツール・ド・フランスの楽しさを少しずつご紹介できればと思います。うまく伝わるとよいのですが。

なお、私なんかの雑な解説よりもはるかにキチンと書かれた解説文献がネット上にはごろごろあります。内容が少し古いのですが JSPORTS の「ツール・ド・フランスを知るための100の入り口:Vive le Tour!」などがオススメです。

https://www.jsports.co.jp/cycle/tour/tour_100/

どんなレース

100年以上の歴史を持つ、世界最大の自転車ロードレースです。町から町、村から村へと移動しながら3週間かけてフランスを一周するというコンセプトの催しです。tour は英語ツアーではなくフランス語の「一周」。定冠詞をつけて le Tour と言えばフランスではツール・ド・フランスを指します。たぶん。

お祭りであり、競技でもある

だんじり祭りのようなもの」という対比が腑に落ちると支持を集めていましたが、さりとて完全に形式的行事というわけでもなく、UCI(国際自転車競技連合)では最上位の格式を与えられたれっきとした国際競技です。勝者には多くのポイントが与えられ、テニススキーのようにランキングされます

お祭りムードなのはツールの規模や歴史がそうさせているのであって、観客にとってはお祭りだけれど選手たちにとっては重要な(そして最も栄誉のある)国際試合です。

バーチャルフランス観光

世界配信されるツールの中継は観光立国フランス観光案内の側面も持ちます

選手たちの熱戦のあいあいまに風光明媚フランス国土景観雄大アルプスピレネー大自然中世のたたずまいをそのまま残す町並み、古い城塞寺院等の生映像がこれでもかと挿入されますレースの流れはいまいちわからないという人でも、数機の空撮ヘリを駆使して送られてくるそうした風景を眺めているだけでもまったく飽きさせることがありません。

ステージレースのしくみ

自転車ロードレースには、一日で終了する単発の「ワンデーレース」と、数日かけて開催される「ステージレース」があります

ツール・ド・フランス代表されるステージレースは一日一日のレース独立したひとつレースで、その都度優勝者がひとりいます(これをステージ優勝といいます)。が、それとは別に、すべてのステージを通して通算ゴールタイムが最も短かった人が総合優勝となり、基本的にはこの総合優勝がそのレースもっと名誉のある成績となります

ツール・ド・フランスステージレースの中でも最長のもので、途中で2度の休養日を挟みつつ全21ステージを戦います

同時進行する複数レース

勘のいい方なら、ステージ優勝と総合優勝はそれぞれ個別に狙うことができることにお気づきでしょう。

その通り、総合優勝を狙うほどの実力がない選手でもステージ優勝は狙えるし、逆に、大会最後まで通算トップタイムを維持できれば、必ずしもステージ優勝を獲らなくても総合優勝することができます

このように、同じひとつレースを走っているように見えても「ステージ優勝したい選手」と「総合優勝したい選手」とが入り混じって走っていて、それぞれの思惑、それぞれの戦略、それぞれに警戒すべき競争相手がいるという重層構造ステージレースにはあるのです。

各賞がさらレースを熱くする

総合優勝ステージ優勝のほかにツール・ド・フランスには「ポイント賞」や「山岳賞」といった名誉も同時進行します。

毎日コースにはそれぞれチェックポイントが設定されていて、そこを上位で通過すると通過順に応じた点数が与えられます

ポイント賞はスプリンター(短距離を全力疾走する力にすぐれた人)のための賞で、ステージ中間の平地や、平坦なステージのゴール地点に点数が設定されています

山岳賞はその名の通りクライマー山登りが得意な人)向けの賞で、上りのしんどさに応じて点数が設定されています

これらの各賞争いのゆくえもレースの進行に奥行きを与える要素となっています

個人戦のように見えて実はチーム戦

ツール・ド・フランスには総勢184名の選手エントリーしていますが、マラソンなどのように「個人参加が184名」ではなく、「8名チームが23組」です。

23のチームは

「ウチはめっちゃ強い選手がひとりおるけん、こいつを総合優勝させたるんや」

「ウチは総合優勝を狙えるような選手はおらんけど、ステージ優勝をいくつかカッさらうつもりやで」

といったように、それぞれに異なる思惑を持って大会に参加しています。こうした目的意識の違いから、あるステージでは空気のようにおとなしくしていたチームが別のステージでは突然はりきりだす、といったことがあります

エースアシスト

このように、どのチームも「ある選手を勝たせる」ことを目標としてチームを作り、作戦を練っています。8人で参加していても、ステージ優勝も総合優勝もワクはどっちみち1人なので、たった1つのそのワクをチーム員8人に互いに競争させて争わせるよりも、かつぐ1人を決めて残りの7人でその選手バックアップしたほうが勝率は上がりますよね。

かつぐ選手エースといい、バックアップする選手たちをアシストと言います

エース格の選手はふだんはアシストたちから様々なサポートを受けながら自分ポジションを守り、ここぞと言う時にその実力でライバル勝負します。

アシスト格の選手自分の体力やタイムと引き換えに(いわば捨て駒として)エースサポートしつつ、出番がなければ体力を温存したり、エースの出番がないステージならステージ優勝を狙って名前を売ったり、というスタンスレースに参加しています

空気抵抗集団走行

マラソンなどと違い、自転車ロードレース集団走行します。これは空気抵抗と大きな関係があります

前面投影面積の自乗に比例とかそういう難しい話は省略しますが、とにかく平均時速40km/h以上という自転車レーシングスピードにおいて、もっとも大きな走行抵抗は「空気抵抗」です。

そしてこの空気抵抗は誰かの真後ろを走ることで劇的に軽減することができます。これをスリップストリームとかドラフティングといいます

時間距離となる自転車ロードレースでは、誰かが風よけとなって先頭を走り、みんなでその後ろをついていく省エネ走行します。たまに風よけ役となる選手を交代しながら、身を寄せ合うようにして走ります

集団の人数が多ければ多いほど、すなわち風よけ役となる交代要員の数が多ければ多いほど集団走行メリットは大きくなるので、敵対関係にあるチーム同士でも「今は一緒に走ってたほうがトクだよね」と利害が一致することになり、敵同士なのでまるで味方同士のように全員で仲良く集団走行をすることになります

レースの中でもっとも大きな集団をメイン集団とかプロトンと呼びます

(7/6:今日読み返して間違いに気づきましたが「前面投影面積の自乗に比例」ではなく空気抵抗は「速度の自乗に比例」です)

典型的レース展開《平坦ステージ

平坦基調コースでは、多くの場合「ゴールスプリント」がステージ優勝を決めることになります。瞬発力と最高速度に優れたスプリンターたちがゴール前の数百メートルをお互いに肩をぶつけながら猛ダッシュして着順を争う、とてもエキサイティング勝負の場面です。

なので、有力なスプリンターを擁するチームの目標は「我がチームのスプリンターをゴール前まで無事に・いい位置で連れて行くこと」になります

しかゴールライン200km先です。スプリンターをゴール前まで無事に連れて行くことが目標のチームばかりだと、レースは終盤近くまで非常にのんびりと穏やかな集団走行になってしまます

そこで、抜け駆けを狙う選手が出てきます。長距離比較ハイペースで走ることに秀でた選手たちがステージ優勝を狙って一発「逃げ」を打つのです。

たいていの場合逃げ集団は数名から20名ほどの小集団で、「逃げたい」という思惑の一致した色んなチームの選手から構成されます敵対関係にあるはずの選手同士ですが、「メイン集団から逃げる」という利害関係が一致している間はお互いに協力し合って、メイン集団を突き放そうとします。

一方、メイン集団スプリンターを勝たせたい人たちの集まりですから、彼らをまんまと逃げおおせさせるわけにはいきません。ただ、上でも書いたとおり集団は大きければ大きいほど有利です。なので、逃げ集団をいつでも捕まえられる位置に泳がせておいてほどよく追いかける、という展開になります

なぜ逃げを許さずに早々に捕まえてしまわないかと言うと、捕まえてしまって集団ひとつにまとまってしまうと、またそこから逃げを打とうとする選手が出てきて、そのたびに追いかけたりなんだりの悶着があってペースが乱高下し、大事スプリンターを消耗させてしまうからです。

逃げ集団は多くの場合ゴール寸前でメイン集団にとっ捕まってしまます。これはレース力学しかたのないことなのですが、それでもなお逃げ屋が逃げを打つのはなぜかというと、「絶対にとっ捕まるとは限らないから」です。風向きの変化など様々な要因によってメイン集団が思うように逃げ集団との差を詰められないことがたまにあり、「確率は低いものの狙ってみる価値はある」くらいの勝機があるのです。

典型的レース展開《山岳ステージ

今日放送時間が迫ってしまいました。とりあえずここまでで一旦投稿します。後ほど続きを書き足していきます

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山岳ステージは峠道の上り坂をコースのメインに組み込んだステージです。1つのステージでの標高差(垂直方向への移動)が2000mから3000m以上にもなりますツール・ド・フランスではアルプスピレネーのふたつの山岳地帯が必ず日程に組み込まれていて、大会ハイライトとなります

当然ながら山岳賞争いが展開しますが、同時に総合優勝候補同士のぶつかり合いになるのが山岳ステージの見どころです。

まず山岳賞を狙うクライマーたちが集団を抜け出してヒルクライム競争します。一方、メイン集団では総合優勝を狙う選手同士がガチンコ直接対決をし始めます。先頭と後方でふたつの戦いが同時進行するような感じです。

ヒルクライム走行速度が低くて空気抵抗があまり問題とならないため、アシストを動員した集団走行メリットが少なく、チーム力よりも個人の登攀力が勝負の鍵になります山登りの得意な、あるいは調子のいい総合優勝候補にとって、そうでないライバルをふるい落とすチャンスなのです。

集団の中で体力を温存する(ある意味サボる)ことができない山岳ステージでは選手ひとりひとりのコンディションの良し悪しが表面化するというのもひとつの見どころかと思います

閑話休題(7/6)

書いたのはおとといなんだけど今ごろになってブクマがつき始めたぞ?

しばらくブクマトラバもまったくなかったので投げ出しちゃったんですよね。寄せられたコメントを見る限り、現時点でも読んでくださっているのはすでにサイクルロードレースをよくご覧になっている方々ばかりのようなので、紹介記事という体裁ではありますのんびりと書き足していきます

マイヨ・ジョーヌのゆくえ

しくみの項で述べたとおり、ステージレースの最終目標総合優勝です。各ステージのゴールタイムの合計がいちばん短かった人。

総合タイムは毎ステージ加算されていきますので、第1ステージから先は常に「今のところ持ちタイムいちばん短い暫定首位」が一人いて、この選手は真っ黄色ジャージを着て走ることになっています。いつでもどこでも、あの選手が暫定トップなのね、ということが一目瞭然です。この黄色ジャージマイヨ・ジョーヌといい、ツール・ド・フランスはこの黄色ジャージ争奪戦解釈することもできますね。

緒戦第1ステージをいいタイムステージ優勝すればまずはリーダージャージを着られるので、序盤のうちは総合優勝など全然狙っていない選手が着用するなどリーダージャージのゆくえは流動的です。

ですが、レースも中盤に差しかかってくると各チームの本命選手たちが総合タイムの上位を占めるようになり、ジャージ争奪戦様相が濃くなっていきます

2位以下の選手トップ選手から突き放されないように、トップ選手ライバルに出し抜かれないように、互いが互いをマークしながらレースを進めることになります

リーダージャージを着てしまえば、あとはずっと2位の選手にぴったりくっついて走ることできればタイム差は縮まらないのでそのまま総合優勝できてしまいそうな気がしますが、これは半分正しくて半分正しくありません。

リーダージャージ防衛の基本戦略はたしかにそれなのですが、必ずしもそう簡単に事は運びません。アシストに守られながら集団のままゴールできるステージばかりではありません。大会中1~2回設定されるタイムトライアルのステージは一人ずつ走るので駆け引き余地がありませんし、山岳ステージではアシストを使い果たした本命同士の一騎打ち複数チームが包囲網を敷いてリーダーに波状攻撃をかけたりと、リーダージャージを奪い取るチャンスは時おり訪れます

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中継が始まったので今日はここまで

 
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