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2021-06-04

スペックの1人1台PCを生徒は使わない! 高校GIGA情報科教員が語るICT

https://www.watch.impress.co.jp/kodomo_it/special/1326404.html

スペックの1人1台PCを生徒は使わない! 高校GIGA情報科教員が語るICT環境整備のポイントとは

――「公立高校で生徒1人1台のPCを5年間活用して分かったこと~Windowsメリット~」レポート

提供

日本マイクロソフト株式会社

赤池淳子

2021年6月2日 06:45

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GIGAスクール構想によって、すでに1人1台を経験した中学生高校に進学しているが、高校の1人1台環境整備はこれからであり課題となっている。高校では2022年からプログラミング教育を含む「情報I」が必修化されるほか、2024年度の大学入学共通テストからはCBT方式の導入も予定されており、ICT環境整備は急務である

日本マイクロソフト5月15日学校関係者に向けて高校での1人1台活用テーマにしたオンラインセミナー公立高校で生徒1人1台のPCを5年間活用して分かったこと~Windowsメリット~」を実施した。登壇したのは、東京都の「ICTパイロット校」としてGIGAスクール構想の前から1人1台環境に取り組んできた東京都三鷹中等教育学校(以下、三鷹中等教育学校)の能城茂雄教諭プロジェクト担当者として5年間にわたる活用の中で得られた知見や、様々な実践ノウハウ披露された。

東京都三鷹中等教育学校での1人1台活用の様子(能城教諭提供

ICTパイロット校」における1人1台のPC整備、5年間の遍歴

東京都三鷹中等教育学校 情報科 能城茂雄 主幹教諭

三鷹中等教育学校は、中1から高3まで6年間を通して学ぶ公立中高一貫校。1学年160名で、計960名の生徒が学んでいる。同校は平成28年からの4年間、東京都教育委員会からICTパイロット校」として指定され、1人1台環境における教育効果検証に取り組んだ。

1〜2年⽬:高校生はスマホに比べて性能が劣るPCの利⽤率が徐々に低下

初年度となる平成28年度は、中学生全員と教員に合計560台の端末が導入された。機種は、富士通WindowsタブレットARROWS Tab Q506/ME」。中学生使用することを考慮し、堅牢性を重視した「文教モデル」が選ばれた。また2年目は、導入済の端末は生徒の進級とともに端末も持ち上がり、新1年生には「ARROWS Tab Q507/PE」が配備された。

能城教諭は2年目の振り返りとして、「この頃から、生徒の使用にはPCスペック重要であることが分かってきた」と述べた。特に高校生の場合スマホの持ち込みや使用許可しているため、高性能なスマホに比べて、スペックが劣るPC利便性を生徒が感じられず、利用率の低下につながるというのだ。「高校生だから性能の低いパソコンで良いという考えは間違っており、大人でもそうしたパソコン仕事で使うと不満が出る。これは高校生も同じであり、生徒たちも学びに使う道具が不便であれば使わない」と能城教諭は述べた。

スペックPCは、高校生が所持しているスマホより不便。そんな高校生に対して、低スペックPCでも良いという考えは間違っていると能城教諭

3〜4年目:PCスペックを大幅アップし、生徒のPC利用率が上昇

こうした経験を踏まえて、3年目・4年目の機種選択時には、学校要望としてスペックを充実させてもらうよう、教育委員会にも届けた。その結果、「私たち意見を受け入れてもらい、PCの性能を大きく上げてもらった」と能城教諭一般オフィス使用するのにも十分なほどの高性能モデル富士通Windowsノートブック「LIFEBOOK P728/S」が導入された。

これにより、生徒たちがサッと端末を取り出して、調べ物やまとめる作業がしやすくなり、授業での活用頻度もアップ。「生徒たちがPCを使って”やってみたいな”と思えることをできるようになったほか、教員も新しい学びに挑戦できるようになった」と能城教諭は話す。

3~4年目に配備された「LIFEBOOK P728/S」。CPUストレージ等が性能UP

5〜6年⽬:PC教科書辞書ノートと同じように学習活動に使う「⽂房具」に

その後、4年間のICTパイロット校としての取り組みに一区切りがつき、同校は5年目に新たに「Society5.0に向けた学習方法研究校」として研究指定を受けた。能城教諭は4年間の検証を振り返り、現場では「PCスペックが導入効果に大きくかかわる」と判断スペックが高いPCほど生徒の学習深度への効果は高く、メンテナンス性などでも有利だったと話す。

教諭らは、こうした意見教育委員会に主張し続け、現在の中1・中2年には「Surface Go 2 LTEモデル」が導入された。CPUには同機種の中で最も高性能なインテル Core M3が搭載。メモリーは8GB、ストレージSSD 128GBを選択し、十分すぎるくらい快適な動作可能になった。能城教諭は「GIGAスクールで導入されたような端末では、ICT活用した新しい学びのカタチを実現できない」と述べ、ある程度のスペック必要性を説く。

令和2年度・令和3年度に配備された「Surface Go 2 LTEモデル」。CPUにはSurface Go 2の中でも最も高性能なインテル Core M3を搭載

実際、導⼊されたSurface Go 2では、「⽣徒たちは教科書辞書ノートを出すようにPCを出して学習活動を⾏なうことができている」と能城教諭。同時に教員⽤のPC平成28年度に導⼊されたタブレットPCから、生徒と同じSurface Go 2に変更。教員から評価も⾮常に良いという。

通信環境から保守契約教員働き方改革まで……1人1台PC運用ノウハウ

能城教諭の5年間の取り組みから、これから1人1台PC運用を始める学校が学ぶべきことは多い。当日語られたいくつかのノウハウを紹介しよう。

コロナ禍のオンライン授業も乗り切れるLTE環境

三鷹中等教育学校インターネット環境は、LTEが活用されてきた。具体的には生徒1人あたり7GBのパケットシェアパックで利用。1040人分で合計約7TBの通信可能となっており、コロナ禍の活用を含め、これまでパケットが不足したことはないそうだ。

大人より荒くなるPCの扱い。導入時に何らかの保守契約必須

ハードウェアについては、決して故意に壊すわけではないが、登下校や学校生活の中で故障一定数発生すると能城教諭。生徒の負担なく修理できるようにするため、「初期導入時に何らかの保守契約必要だ」と同教諭

ICT支援員の需要は高い。毎日の常駐が無理でも定期的なサポート

三鷹中等教育学校場合専任の「ICT支援員」が1名派遣され、ハードソフトに関するトラブル不具合対応毎日の常駐が難しい場合でも、定期的に支援員のサポートが受けられる体制が望ましい。

教員会議もペーパーレス化、コロナ禍の遠隔会議スムーズ

教員にも1人1台PC配備されたことで会議も変化。ペーパーレスで行なうことになり、教員資料PDFで提出し、それを管理職がまとめて出席者に送信会議前にコピー機渋滞したり、資料を綴じるのに時間を取られたりという手間がなくなった。これによりコロナ禍の遠隔会議スムーズ実施できたようだ。

教員会議もペーパーレス化し、作業時間の軽減にもつながった

教育委員会と協議を重ね、子どもたちの将来を見据えた端末を選ぶ

能城教諭GIGAスクール構想で導入されたスペックの端末について疑問を呈し、「子どもたちが大学に進み、社会にでて仕事としてPCを使うことになったとき果たしてその経験子どもたちの良い経験になっているでしょうか」と訴えかける。学校ソフトウェアやOS操作を教えることが役割ではないが、子どもたちの学びが良い経験になっているかを考える必要がある。能城教諭らは、どういう端末が子どもたちの将来にとって力になるのかを考えながら、教育委員会と意思疎通を図り端末の整備と運用を進めているという。

1人1台PCがあっても、「コンピュータ教室」は欠かせない。その理由は?

1人1台環境が進むとコンピュータ教室はもういらないのではないか、という議論が起こりがちだが、能城教諭はこれを否定する。むしろ、生徒各自の端末とコンピュータ教室にある高性能なPCの“使い分け”が重要になり、「時代に応じたプログラミング技能習得や、動画編集などのクリエイティブ作業に取り組もうとすると、どうしても高性能なPCは欠かせない」と語る。

現在三鷹中等教育学校には「第1CALL室」と「第2CALL室」があり、2教室で合計80台の高性能なデスクトップPCが整備されている。情報の授業で利用するほか、能城教諭が出勤する時間から最終下校時間まで、生徒が自由に利用できるようになっている。パワフルなPCや大画面、高速ネットワークを求める生徒でコンピュータ教室は常にいっぱいだという。

1人1台PC配備されると、コンピュータ教室役割はより重要

パワフルなPCがあるコンピュータ教室メリットに生徒が気づきはじめる

生徒たちの利用は、「Adobe Photoshop」や「Adobe Premiere Pro」など写真編集動画編集用途コンピュータ教室を利用するケースが多いようだ。同校ではコンピュータ教室PC 80台すべてにAdobe Creative Cloudが導入されており、生徒たちはパンフレットや小冊子の作成部活動紹介の動画制作学習発表のプレゼンに盛り込むショート動画などを作成しているという。クリエイティブ作業コンピュータ教室PCを使うなど、生徒たちは自分タブレットPCとパワフルなPCをうまく使い分けているようだ。

1人1台環境を導入する前は、総合的な学習探究時間など、様々な教科でコンピュータ教室使用し、常に取り合いになっていたようだが、導入後は、多くの教科活動普通教室実施できるようになった。結果、コンピュータ教室用途を、ここでしかできないクリエイティブ活動に舵を切れたという。

新しい学習指導要領を見据えた環境整備の必要性

冒頭でも記述したとおり、各高校では現在2022年から必修化が始まる「情報I」の準備が急ピッチで進められている。学校には「情報I」の教科書の見本が届き始めているそうだが、その内容は、アルゴリズムプログラムとして表現、さまざまなライブラリの利用、APIなどの機能プログラム修正関数を用いたプログラムなど多岐にわたる。

この内容を、果たして1人1台PCで学べるのか。または教師も教えられるのか。プログラミングの小さな文字をどういうふうに伝えるのか、マルチメディア系の教材を使うときの授業準備はどうするのか。「これらを考えたときに、必ずコンピュータ教室必要だと言える」と能城教諭は述べる。

情報I」の学習内容に対応するため、実習環境の整備が進められている

さらに同校では、一般的なコンピュータ教室だけでなく、「生徒たちが憧れるようなすばらしいスペックPCがあれば、よりクリエイティブ活動ができるのではないか」と考え、アドビ社やインテル社との共同研究で「メディアラボ」も開設。

CPUインテル Core i7、メモリー32GB、グラフィックカードNVIDIA GeForce RTX 2060 SUPERを搭載。4K31.5型ディスプレイを備え、制作ソフトとしてAdobe Creative Cloudが導入済みというハイスペック環境を8台用意。動画編集クリエイター養成講座を行なうなどの取り組みも始めており、生徒たちが自由作品制作できるような環境提供し始めた。

あこがれのハイスペックマシンが並ぶ「メディアラボ」を開設

動画編集の集中講座を行なうなど、よりクリエイティブ活動にも対応

こうした取り組みを振り返り、能城教諭は改めて、これからの新しい学びには「1人1台PC」と「コンピュータ教室」の両方が必要であり、そのどちらも生徒の自由な発想に応えられる十分なスペック必要だと話す。

「1人1台環境は、生徒たちにとって非常に魅力。個別最適化された学びなど、1人1台のPCがあることによる学習の変化、メリットは必ずある。それに加えて、プログラミングクリエイティブ作業大学入試でも、Society5.0時代に向けてもますます重要になってきた。1人1台PCも、充実したコンピュータ教室も、新しい時代に即した学びによって、生徒たちの情報活用能力を育成することが、私たち現場教員の願いだ」と能城教諭はまとめた。

 
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