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2年前に「ロシア語の表記揺れはなぜ起きるのか」っていう増田を書いた増田だけど、みんな覚えてるかな?
今回は最近話題のウクライナの固有名詞の日本語表記についての話をするよ!
ロシア語やその他の多くの言語で、иは「イ」の音を表す文字だよ! でもウクライナ語では違うんだ!
手元の教科書を見てみると、「ゥイー 母音字。[イ]より奥に舌を引き,唇を横にして出す」(『ニューエクスプレス ウクライナ語』10頁)って書いてあるよ! そうだね、日本語で表記する上ではロシア語のыみたいになるんだね! ローマ字ではyで表記することになってるよ!
問題は、「ウィ」って表記するとややこしいことだね! 人名のМикола (Mykola)を「ムィコラ」と書くか「ミコラ」と書くかってことだね! きちんと数えたわけじゃないけど、ロシア語のыよりもウクライナ語のиの方が使用頻度高そうな気がするよ! 原語に敬意を払って「ウィ」と書くか、日本語の読みやすさを取って「イ」と書くか、究極の選択ってやつだね!
ちなみに「ムィコラ」はロシア語でいう「ニコライ」のことだよ! ロシア語の「ダニイル」はウクライナ語では「ダヌィロ(Данило)」、「ウラジーミル」は「ヴォロディムィル(Володимир)」になるね! 「ダニロ」や「ヴォロディミル」とどっちがいいと思う?
そういえば、ロシア語のыは日本語では「ウイ」って書くことも多いね! 「チェルノブイリ」も、Чернобыль (Chernobyl’)のыを「ウイ」って書いてるね! それに倣うならВолодимирも「ヴォロディムイル」って書くべきかな? うーん、チェルノブイリを「チェルノブィリ」と書くようにした方が早いかな! ちなみにウクライナ語ではЧорнобиль (Chornobyl’)だから「チョルノブィリ」だね!
ьの説明を覚えてるかな? そうだね、同じ文字がウクライナ語にもあるけど、ロシア語と同じで無視されやすいんだね!
ロシア語の苗字でよく見かける語尾に「~スキー(-ский)」っていうのがあるけど(本来は形容詞の形だね! 個人を識別するために「○○の」っていう形容詞をつけてたのが苗字として定着したのかな?)、ウクライナ語だと-ськийになるよ! そうだね、ьがあるから「ス」じゃなくて「シ」になるんだね!
ということは、ウクライナ語的に表記するなら「~シキー」か「~シクィイ」になるべきだね! иをどう表記するかは上に書いたように色々な考えがあるけど、少なくとも「~スキー」にはならないね! 「~スキー」って書いてる時点でロシア語読みだね! Зеленськийは「ゼレンシキー」か「ゼレンシクィイ」だね!
ウクライナ語はロシア語だとьが入らないところにьが入ることがあるよ! 東部の都市の名前も、ロシア語だと「ドネツク(Донецк; Donetsk)」や「ルガンスク(Луганск; Lugansk)」だけどウクライナ語だと「ドネツィク(Донецьк; Donets’k)」に「ルハンシク(Луганськ; Luhans’k)だもんね!(ウクライナ語とベラルーシ語ではгはガ行じゃなくてハ行になるよ!)
ロシア語だとあんまり見ないけどウクライナ語だとよく見かける綴りがцьだね! ツァ行の子音цにьがついてるから「ツィ」って書くべきなんだろうけど、言いづらいよね! 学術論文とかでは「ツィ」と書くべきだと思うけど、新聞とかの一般向け媒体で「チ」って書かれてても仕方ないかな!
語末に置かれたв (v)はロシア語でもウクライナ語でも無声化するよ! ロシア語ではこれを「フ」って書くことになってるけど、ウクライナ語だと「ウ」の音になるから「ウ」って書いた方がいいね!
だからロシア語で「ハリコフ(Харьков; Khar’kov)」と書かれる地名はウクライナ語だと「ハルキウ(Харкiв; Kharkiv)」になるんだね!
語末とかで無声化したvを「ウ」って書くことになってるスラヴ系言語は、他にスロヴェニア語やスロヴァキア語があるよ! ベラルーシ語はそもそも綴りを変えてў (ŭ)って書いちゃうから逆に迷わないね! ベラルーシ語だとハリコフじゃなくて「ハルカウ(Харкаў)」になるね! なんでそうなるのかについては「なぜアザレンカはアザレンカなのか」も読んでね!
ウクライナ語にはїっていう文字があるよ! この文字はйのうしろにіを続けた発音を表すんだ! йは半母音/j/で、іは母音「イ」だね! つまりїは/ji/の音を表すわけだよ!
半母音/j/ってのは、要するに日本語のヤ行の子音にあたる音だね! ということは、їは日本語でいうとヤ行イ段の音ってことになるね!
……それ「イ」じゃね?
ただ、いちおう「йのうしろにіを続けた発音」なわけだから、「イイ」や「イー」と書くという考え方もありうるんだよね! そう書くと元の綴りがわかりやすくなるよね! іを「イ」で、їを「イー」で書くことにすると元の綴りがわかりやすいかも?
実はウクライナの国名はウクライナ語だとУкраїнаなんだよね! їを「イー」で書くなら「ウクライーナ」にすべきなんだけど、「ウクライナ」が定着しちゃってるから「ウクライーナ」と書くのは違和感があるね!
じゃあ、ここでウクライナの首都の名前を見てみようか! ロシア語ではКиевで、これはそのまんま「キエフ」で問題ないね!
ウクライナ語ではКиївって綴るんだ!
ここまで書いた色んな論点が詰まってることがわかってもらえると思うな! иは「イ」か「ウィ」か? їは「イ」か「イー」か? 語末のвは無声音の「ウ」だけど、発音よりも原綴を重視して「ヴ」と書くべきか?
仮に「иは『ウィ』、їは『イー』、語末のвは『ウ』」で書くなら「クィイーウ」になるね! 「иとїはどっちも『イ』、語末のвは『ウ』」とするなら「キーウ」だね!
仮に「チェルノブイリ」のようにиを「ウイ」と書くなら「クイイウ」とか「クイイーウ」もありかもね! ごめん、やっぱなし! さすがに不自然すぎるね!
個人的には、日本語母語話者の発音のしやすさを考えると「キーウ」が一番いいんじゃないかと思うんだけど、表記法には好みってやつがあるからね! どうしても「クィイーウ」じゃないと、という主義の人もいるかもしれないよね! 日本語表記をめぐる議論は最終的には不毛な争いになっちゃうからね!
実は、ウィキペディアでは十数年前にウクライナをめぐる喧々諤々の論争があったんだよね! ウクライナ関係記事の表記をウクライナ語で表記しよう! という動きが出てきたんだけど、иを「ウィ」で書く派の人が主導してたもんだから、日本語母語話者には発音しづらい項目名ばかりになった頃があったんだ!
たとえば、みんなも世界史の授業で「フメリニツキーの乱」について習ったことがあると思うんだけど、乱を起こしたフメリニツキーはウクライナ語ではХмельницький (Khmel’nyts’kyi)って綴るんだ! そう、иを「ウィ」で書くと「フメリヌィツィクィイ」になるんだよね! 読みづらいね! 一時期ウィキペディアのウクライナ関係記事はこんな感じの表記だらけだったんだ!
さすがにこれは、ということで今は「フメリニツキー」表記になってるけど、これもおかしな話だよね! 記事には「ボフダン・フメリニツキー」って書いてあるけど、それ何語なのかな? Богданを「ボフダン」と読むのはウクライナ語だけど、「フメリニツキー」はロシア語だよね! ちゃんぽんになってるね! せめて「ボフダン・フメリニチキー」か「ボフダン・フメリニツィキー」だよね! ちゃんぽんにするくらいならロシア語で「ボグダン・フメリニツキー」って書いた方が幾分かマシなんじゃないかな?
増田が中二病をこじらせてた頃は「は~? ウクライナ語の『и』は『ウィ』ですが~?」みたいな感じで「フメリヌィツィクィイ」みたいなややこしい表記を推してたんだけど、最近「一般人にとっての可読性も大事だよな……」という気持ちになることも増えてきたよ! だから「クィイーウ」に「フメリヌィツィクィイ」じゃなくて「キーウ」や「フメリニツィキー」でもいいと思うよ! でも「クィイーウ」「フメリヌィツィクィイ」派も間違ってるわけじゃないよ! 音楽性の違いってやつだね!
法的には、ウクライナの国家語はウクライナ語だよ! そこには疑問の余地はないね! だからウクライナに属するものはすべてウクライナ語で書くべきだというのはひとつの見識だよね!
一方で、ウクライナの住民の何割かはロシア語を母語にしているんだ! 彼らも代々のウクライナの住民だよ! っていうか、ゼレンシキー大統領も母語はロシア語だよ! ある意味、ロシア語は「少数言語」という立ち位置なんだよね! 島国じゃなくてだだっ広い平原だから、どういうふうに国境を引いても内側に少数派が残っちゃうんだよね!
ロシア語は侵略者の言語であると同時に、ウクライナの少数派の言語でもあるんだ! 「ウクライナに属するものはすべてウクライナ語で書くべき」というのは、ちょっと意地悪な言い方をすればウクライナ・ナショナリズムの主張なんだよね! たとえば、在日コリアンの李さんや金さんが、自分は「い」や「きむ」だと言っているときに、「ここは日本なのだから日本語読みで『り』『きん』と表記すべきだ」と主張する人がいたとしたら、みんなはどう思うかな?
もちろん、何度も言うけどウクライナ語で貫徹するという方針も間違ってないよ! ロシア語での表記はロシア・ナショナリズムやロシア中心主義じゃないの? と言われたら反論できないしね! ただ、「ロシア語読みを使うべきじゃない」みたいな強い言い方を目にしちゃうと、ん? それってどうなの? とは言いたくなるよね! まあ、増田は色々考えた上でだいぶ前から「キーウ」って書くことにしてるけど、今頃になってロシア語読みはけしからんとか言い出した人たちについては眉毛によだれビチョビチョにして見ちゃうよね!
あ、「キーウ」は現代の話ね! たとえば歴史上のキエフ・ルーシとかについては、「キエフ」でいいと思うんだよね! その頃はまだ東スラヴ系民族は「ルーシ」という比較的同質性が高い集団で、それがロシア・ウクライナ・ベラルーシ・ルシンに分かれていったのは近世~近代以降の話だからね! 本当は教会スラヴ語のКꙑѥвъに準拠した表記にすべきなのかもしれないけど、教会スラヴ語には詳しくないから読み方がわからないや!
ちなみに「ロシア」も「ベラルーシ」も「ルーシ」が語源だよ! 「ルーシ」はこれら諸民族にとって共通の過去なんだよね! 雑な喩えになっちゃうけど、ロシア人にとってのキエフは東日本出身者にとっての奈良みたいなものだと考えるとわかりやすいと思うよ!
ところで、昔はウクライナのことが「小ロシア」と呼ばれてたわけだけど、これはもともとは蔑称じゃないよ! 古典時代のヨーロッパには、近い方を「小」、遠い方を「大」と呼ぶ用法があったんだ! 東アジアの「大小」の感覚で考えてはいけないんだね! アナトリア半島が「小アジア」と呼ばれるのはヨーロッパから見て「近い方のアジア」ってことで、グレートブリテン島の「グレート」はフランスのブルターニュ半島より遠くにあるから、つまり「遠い方のブリタニア」ってことだよ! 現在のポーランドには「マウォポルスカ県」と「ヴェルコポルスカ県」があるけど、それぞれ「小ポーランド」に「大ポーランド」って意味だよ! なのでかつてルーシの中心だったキエフの辺りは「小ロシア」って呼ばれてたんだね! まあ、近代以降は侮蔑的なニュアンスになっちゃってるみたいだから、使わない方がいいけどね!
正直めちゃめちゃ憤ってるよ! 今回のプーチンの行いには欠片の理もないよ! 侵略どころか、ウクライナ人という民族の存在を否定しようとするなんて、ウクライナ人を民族として認めたソ連よりも退行してるよ! 70近くになって怪しい歴史認識に目覚めるとか、実家の親なら笑い話になるかもしれないけど核保有国の独裁者だとちっとも笑えないよ!
ロシアから見てNATOの東方拡大は脅威なんだ、だからロシアのウクライナ侵攻は仕方ない、と言ってる人たちもいるけど、どう考えてもおかしいよね! 仮にそれを是とするなら、日本にとって中国の軍拡は脅威なんだから韓国に親中政権ができたら日本は韓国に攻め込んでもいい、みたいな話になっちゃうよね! 狂ってるよね!
でも、その憤りをロシア人やロシア文化に向けるのは絶対に間違ってるよ! 拉致問題への憤りをコリアンやコリア文化に向けてる人たちと一緒だよ! 普通に人種差別だよ! そういう人たちはプーチンの行いを非難するのもいいけどまず自分の差別意識と闘うべきじゃないかな?
ロシア文化もウクライナ文化も、どっちも尊重されるべき文化だよ。ウクライナ文化の擁護はロシア文化の否定じゃないよ。ウクライナ人やウクライナ文化の存在を否定しようとする侵略者は否定されるべきだけど、それがロシア人やロシア文化への否定に繋がってはいけないよ。
増田はどちらの文化も好きだよ。だから本当にこんな事態になってしまって悲しいし、ロシアの若者を非道な侵略戦争に送り込んだ連中には相応の報いがあることを祈っているよ。
yiみたいな発音、ロシア語についてもЕは正確にはyeなんだけど、日本語的に普通なエとなるЭよりも頻度高いのをいちいち日本語で言いづらいイェと表記するのクッソしんどいみたいな話に帰するよね…
国際的な転写法でも、Еは普通にeで、Эに特別な記号を当ててることが多いもんね! иは頻出するから扱いが難しく、一律で「イ」にしちゃうというのも可読性の面からは合理的なんだよね!
BBC,CNNとか見てるとキエフをキーウって言うようになったのはいいけどウクライナをユークラインって言ってて、これだから英語話者は…、ってなる。
英語話者がウクライナをユークレインって呼ぶのは日本をジャパンと呼ぶようなもんだから、そこは気にならないかな! そんなこと言ったら、日本人も「スペイン」「ポーランド」「クロアチア」「ギリシャ」「オランダ」「アルメニア」「メキシコ」って言えなくなっちゃうしね!
日本人があーだこーだ言ってても始まらん。駐日大使とかに、決めてもらったら良いんじゃないか? 国名とかは基本的に、相手からの申し出があって初めて変更って手続きだし。
これは「日本語母語話者がウクライナ語の音を表記する上で、どういう仮名遣いが適切か」って話だから、ウクライナ人じゃなくて日本人の問題だよ! もちろんウクライナ人には口を出す権利があるけど、基本的には日本人が主体になって決めるべきことだよ!
ちなみに駐日ウクライナ大使館はウクライナ語表記の指針を出してるけど、これまで日本のウクライナ研究者たちが使ってきた慣用とは明らかに異質で、可読性も微妙だから、ぶっちゃけ専門家のあいだでは黙殺されてるよ! 慣用表記はトップダウンで決まるものではなくて色々な議論を経て徐々に決まっていくもので、「明らかな間違い」は排除されるべきだけど「間違いではない表記」は何種類も存在するんだよね!
っていうか、国名の変更は、あくまでも「政府が在外公館の名称として定める国名」を法文上どう書くかという話であって、民間の慣用表記とは無関係だよ! たとえば、日本の外務省は長らく「ヴィエトナム」って表記を使ってきたんだけど、日本の慣用表記は一貫して「ベトナム」だったよね! つまり、外務省の呼称とその社会における慣用表記はまったく別なんだね!
(国名表記の移り変わりについてはいくつもの研究があるけど、たとえば、「ロシア」などの主要な国名表記がどんなふうに成立してきたかを論じた『外国地名受容史の国語学的研究』っていう本が面白かったよ!)
『ベニスの商人』が『ヴェネツィアの商人』になったという話は聞かないから、芸術分野での慣用表記はまた別なんじゃないかな!
あっ詳しい人が居たから教えてエロい人!お菓子屋のMorozoffはどうしてMorozovじゃないの?あとgoncharoffも。
昔は綴りを無視して発音に忠実なfって書いてたってことだと思うよ! 「転写」と「翻字」の違いだね! 詳しくはググってね!
言語に忠実に表記しようとする努力や議論があるだけで偉いよ。英語はめちゃ乱暴やし。ウクライナはユークレイン、ハルキウはカルキヴ、クリミアはクライミア、英語アルファベットで読むだけ。
クリミアはクライミアでもいいんじゃないかな! ロシア語だとクルィム(Крым)、ウクライナ語だとクルィムかクリム(Крим)、クリミア・タタール語だとクルム(Qırım)だから、「クリミア」って時点でもう西欧の呼び方なんだよね!
みょんなことからタダ券を貰ったので、東京芸術劇場でやってる「冬のライオン」(舞台「冬のライオン」公式サイト|佐々木蔵之介主演)を見に行った。
舞台を見るのは10年ぶりくらいかも、増田は普段アニメしか見ないので俳優さんとかは全然わからない。「冬のライオン」は歴史ものらしいのでちょっと面白そうかなと思った。歴史は多少興味があるので。
東京の劇場ということは上野にあるアレに行けばいいんだろと思ったら、あっちは文化会館という名前の別の施設で、芸術劇場は池袋にあるらしい。事前に確認しておいて良かった。
主人公はウィリアム征服王の孫で後のリチャード獅子心王やジョン欠地王の親父であるヘンリ二世。彼がある年のクリスマスに家族を集めて、相続問題に片を付けて、ついでにあわよくば妻のエレノア(エレオノール)と離縁して愛人のアレー(アデル)と結婚しようとするところから話が始まり、結局まあほとんど話が進展しないまま話が終わる。余談だけどアレーの名前がアレーなので、あれと言ってるのかアレーと言ってるのか時々わからなくなった。
ヘンリ二世がなんていうか高田純次にドラマ版の露伴先生の演技を混ぜたような人物。狡猾ではあるのだけれど、高田純次だから、この人がいるだけでどんな深刻な話をしていても場がコメディになってしまう。
よく知らなかったけどこの人の相続権て母ちゃんのマチルダ経由で来ているんだな。アキテーヌは奥さんのエレオノールが持ってきたものだし、女性の持ってきた土地で成り立ってる国という感じだ。
元々舞台作品なんだけれど、映画化されたものが有名なようで、ヘンリ二世を扱うときには度々引き合いに出される(たとえば世界史の窓:ヘンリ2世)。
ところでお前らポスターと全然衣装も雰囲気も別物じゃねーか。表紙詐欺にもほどがある。息子2人とフランス王なんかスーツだし、ジョンに至ってはヤンキーみたいな格好してる。エレノアなんかグラサンつけて登場してくるし、中世どこ行った。こんなんやで(https://twitter.com/tliw_2022/status/1497195310422323206)いやでもメガネにスーツのリチャードはそれはそれで格好が良かった。
前半は妻と愛人と3人の息子(ジョンとリチャードの他に影の薄いジェフリーというのが居る)にフランス王がそれぞれに相続権やフランスの領土を獲得しようと互いに陰謀を巡らせては即座に破綻したりする。わりとドタバタコメディの趣が強い。日常会話のように互いに陰謀を企てるので真世界アンバーとかが好きな人は面白いかも。セリフがわりと早口なのと陰謀ゲームの局面がコロコロとめまぐるしく変わっていくので、今誰が何を企んでいるのかちょっと把握しきれなかった。まあ、後半になってみるとこれらの陰謀ゲームは一旦全部リセットされるので覚えきれなくてもあんまり問題は無かったのだけれど。
休憩を挟んで後半に入ると、これまでのドタバタコメディが段々とシリアスさを増してくる。2クールもののアニメの2クール目のよう。前半は登場人物が全員嘘の上に嘘を塗り重ねていたので誰が何を言っても本音ではないというのが明らかだったから、のんきに笑っていられたのだけれど。後半になると段々とその嘘が剥がれてきて、痛ましいまでの本音が見え隠れするようになる。後半の最初の方ではまだ結構笑ってる観客も多かったけど、いやこれはちょっと笑えなくないかと思ったりした。かなり露骨に親に対して愛してくれと叫ぶもほぼ完全に無視されるジェフリーの空気っぷりとか相当悲しかったと思う。まあそういう泣き笑いの境界みたいな展開が続く。
終盤、愛人のアレーがヘンリに対して、私と結婚して子供が欲しいなら、その子供の将来の安全保障のために今いる息子を全て殺せと持ちかけ、ヘンリ自身もだいぶ悩んだ結果せやなと応じ、子供たちの方もいろいろあった結果、親父をやっちまおうと考えるのだけれど…………この家族の愛の形というのは、わかりにくいけれどこういう形でずっと表現されていたのかもしれないなあという感じでおしまい。子供を殺そうとするヘンリを黙って見ているアレーはなかなか迫力があって良かった。
終わってみると、結局の所この劇は、ヘンリの家族がヘンリから愛を得ようともがく姿を描いた劇だったのかもなあと感じた。ヘンリのほうも根っこの所では家族みんなをそれなりにちゃんと愛しているのだけれど、まあ普段が陰謀一家なのでかなり土壇場にならないと家族の間に本当に愛があるのか誰にも解らないという。
ある程度世界史・人物史に興味があって学んできた人間なら、この説明が一番得心がいく気がする
https://www.fnn.jp/articles/-/321106
プーチン大統領に「2つの恐怖心」 強硬手段を止められない理由を専門家が読み解く
欧米諸国の猛反発の中で軍事侵攻に踏み切ったプーチン大統領。その絶対的な権力を築いてきた歩みを振り返ると、胸に秘める「2つの恐怖心」が浮かび上がってきます。
熱心な愛国主義者だった父に育てられたプーチン大統領。大学卒業後には、ソ連の国家保安委員会「KGB」へ。情報員として滞在していたのは、当時ソ連の影響下にあった東ドイツ。その最中の1989年、ベルリンの壁崩壊が起こります。
首都ベルリンを東西に分けていた壁が崩壊し、翌年の90年に東西ドイツが統一されました。さらに、91年にはソ連が崩壊。母国の激動を目の当たりにしてきたプーチン大統領。その胸中を、ロシア情勢に詳しい筑波大学の中村逸郎教授はこう推し量ります。
プーチン大統領にとって、ソ連が崩壊するというのは自己否定なんですね。そういうことが再び起こるんじゃないかという恐怖というものをずっと抱きながら、今日まで至っているわけなんです。
強硬姿勢の背景には、若かりし日に刻まれた崩壊への”恐怖心”が見え隠れするといいます。一方でプーチン大統領は、国内で絶対的な政治基盤を築いてきました。
大統領に就任したのは2000年。「強いロシア」を掲げると同時に自身の強さを打ち出すイメージ戦略も巧みに使い、世論の支持を獲得。2021年には大統領の任期を定めた憲法を改正し、自身が最長で2036年まで大統領に就くことができるようにしました。
実際、支持率は2022年1月には69%と、これまで60%台で推移してきているのです。その中で過去を振り返ると、2014年のクリミア侵攻時は原油価格が低下。経済が苦しかったということもあったかもしれませんが、攻撃をすることで“強い祖国”にという方針に、国民は一定の支持を示しました。
その結果、支持率は約20ポイント上昇し88%までに。20年以上トップに居続けるプーチン大統領の思惑として、アメリカに負けない強いロシアを作りたいという気持ちが人一倍強いことを中村教授は指摘しています。
しかし、その盤石にみえる長期政権の陰で、ここ数年は反対勢力の動きも活発化していました。2021年1月、プーチン大統領と敵対する反体制指導者・ナワリヌイ氏が自身の取材をもとに「プーチン御殿」を告発しました。
大統領が秘密裏に建設を進めていたと指摘するその内部には、豪華な装飾が施されているほか、スケートリンクやカジノ施設などを備え、価値は1000億円を超えると言います。一説では、プーチン大統領の総資産は22兆円にのぼるとの証言も。告発を受けたプーチン大統領は即座にこの邸宅との関係を否定しましたが、批判の声もくすぶりました。
そうした中で、プーチン大統領はもう1つの恐怖心を抱いていると専門家は言います
プーチン大統領に対して「もう飽きた」「もういい加減にしてくれ」というような気持ちが、特に20代30代の人たちの中に広がっています。支持率が低下傾向にある中で、プーチン大統領は大変な恐怖感を持っているわけです。つまり、自分に国民が歯向かってくるという恐怖心を持ち出すわけなんです。
支持率低下への恐怖…。それを解消するため、ある方法をとっていると中村教授は指摘します。
プーチン大統領は、自分の意に合わない人はどんどん排除していく。または毒殺を使って死に追いやるという政治手法をこれまで約20年間とってきています。
プーチン大統領は関与を認めていませんが、ロシアではこれまで政権に批判的な人物が何者かの襲撃を受ける事態が相次いできました。
「プーチン宮殿」を暴露したナワリヌイ氏は、2020年8月に何者かによって猛毒の神経剤で襲撃されているほか、当局による度重なる拘束を受けました。そして、2006年にはチェチェン紛争を巡ってプーチン大統領を批判してきたジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤさんが射殺される事件が発生。
さらに、ロシアの元スパイで、プーチン大統領を批判していたアレクサンドル・リトビネンコさんも同じ年にロンドンで何者かに毒殺されました。そして今…。
今回ウクライナ侵攻することによって、国民たちの目を外に向けようというところに、実はプーチン大統領の思惑があるわけです。スパイ時代に学んだ政治手法、つまり目的の為には手段を選ばないという、スパイ活動の基本中の基本というものを今、プーチン大統領は取っています。
「目的の為には手段を選ばない」ことを軸にプーチン大統領は行動しているというのです。さらに、「アメリカに負けない強いロシアを作りたいという気持ちが人一倍強い」こともプーチン大統領の思いとしてあると中村教授は指摘します。
そして、政治・経済・軍事にトップは存在するが、実質ロシア全体を掌握しているのはプーチン大統領であり、国内では彼を誰も止められないのではないかと話しています。
最初にホモサピエンス人とネアンデルタール人からやって、だんだんキリスト教の成立、ゲルマン民族の大移動、ロシア革命、ソ連崩壊まで一通り見ていくと今日の国際紛争の流れが分かる。
Vtuberの「親分」であり一種のアイコンであったキズナアイが長期活動停止する。
https://www.youtube.com/watch?v=GTa2HxIsBPM
キズナアイについては、ここまで続けてきたこと、重圧に耐えたこと、運営会社が多少の問題を起こしつつも、アイさん個人は真面目な行儀の良さを貫き続けてきたことなど、十二分に尊敬に値する。
だが、彼女のアーティスト的な活動や広報活動が、どうもビビっとこないな、というもどかしさはずっとあった。
彼女の当初からの特徴は、「昔の萌え声イメージを更に誇張した甲高い喋り声と、ちょっと隙のある垂れ目のキュート系美少女」だ。
だが彼女がバーチャルYoutuberのアイコンとして有名になるにつれ、「クールで格好良くてシリアスで未来的なアーティスト」という雰囲気を纏うようになったが、この二つが最後までマッチしなかったというだけのことだ。
キズナアイのキュートとクールの噛み合ってなさが特に分かりやすいのが、歌声だ。
キズナアイの音楽活動では、世界的に人気なコンポーザーたちから、とびきりに格好いいトラックを作ってもらっている。
EDM系が多すぎる感はあるが、まあそれはそれとして、かっこいい音作りだ。
だがそのクールなトラックに、キズナアイは「キズナアイとしての歌声」をちゃんと乗せる。
Perfumeやベビメタも、世間に沢山あるアニメキャラとして歌われているキャラソンも良いものは沢山ある。
だがキズナアイの声は、普通のアニメキャラとしてもなかなかないないくらい高いトーンで発されるので、不自然になったり、ちょっと声を伸ばそうとした時にカスカスになったりが目立ってしまう。
こんなに大規模になるなんて思っていなかった活動初期に、キズナアイの声として超高いトーンで声を発してしまったことが、ずっとついて回ったように感じる。
声をやっている春日望さんにとってもっと自然なトーンで歌えたらどれだけよい曲になったろうと思ってしまう。
また、キズナアイのアー写が、元がかわいい系なのになんとかクール系の雰囲気を出そうとした結果なんだか辛気臭い感じになっていじられまくったのだが、これも根は一緒である。
https://twitter.com/aichan_nel/status/1081532242491392003
歌もダンスも仕上げてきているし、ライブの裏方も普段の動画や配信の裏方も力を込めてくれている。
全世界の、老若男女に受け入れられるには、可愛いアイドルではなくクールでシリアスでSuper Kawaiiなアーティストの方がいいはず、と考えたのはわかる。
だが、初期からのキズナアイのデザインや声質を保ったままその方向にかじを取るのは、持ち味を殺すことに他ならなかった。
キズナアイの声のトーンが、春日望さん本来の声を生かせる程度のアニメ声だったなら……。
「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら世界史は変わっていた」という言葉があるが、それになぞらえてこう言おう。
キズナアイの声がもう少し低かったら、バーチャルタレント史は変わっていた。
キズナアイのスリープ中、キズナアイのDTM用音源が配布されるそうだ。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2202/26/news053.html