「一方的行為」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 一方的行為とは

2015-06-16

 以下便宜国鉄の例をとり、両者を対比してみる。

(一) 国鉄国家行政組織法に定める国の行政機関ではなく、したがつてその職

員も国家公務員ではない。これに対し林野庁は言うまでもなく、右組織法に定める

国の行政機関であり、その職員は一般職に属する国家公務員である

(二) 国鉄職員に対しては日本国有鉄道法(以下国鉄法という。)第三四条第二

項により、国家公務員法適用全面的排除されているが、林野庁の職員に対し

ては前述のとおり公労法第四〇条により、一定範囲国家公務員法規定適用

排除されているのみで、一般的には同法が適用されている。

(三) 任免について国鉄職員の場合には国鉄法第二七条において、その基準の大

綱を示すにとどめ、その具体的規律については国鉄の定めるところに一任している

のに、林野庁職員の場合には、前記のとおり国家公務員法第三章第三節および人事

規則八-一二によつて、職員の採用試験、任用手続等がきわめて詳細かつ具体

的に規定されており、林野庁に一任されている部分はきわめて少ない。

(四) 降職および免職事由についてみると、林野庁職員の場合には、国家公務員

法第七八条第四号において「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又

は過員を生じた場合」と規定されているのに対し、国鉄職員の場合には国鉄法第二

九条第四号において「業務量の減少その他経営上やむを得ない事由が生じた場合

と、ことさら私企業的色彩の強い降職および免職事由が定められている。

(五) 懲戒事由についてみると、林野庁職員の場合には、国家公務員法第八二条

第三号に「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」と定めら

れ、林野庁職員の公務員たる性格を明らかにしているのに対し、国鉄職員の場合

懲戒事由を規定した第三一条第一項にかゝる規定を欠いているし、その他の点で

国鉄法にはその職員を「国民全体の奉仕者であるとは規定していない。

(六) 一般服務関係については、国鉄職員の場合には国鉄法第三二条が職員は法

令および業務規程に従い全力をあげて職務遂行に専念すべき旨を定めるにとどま

るのに対し、林野庁職員の場合には国家公務員法第九六条において「すべて職員は

国民全体の奉仕者として公共利益のために勤務する。」ものであるとの根本基準

を明らかにしているほか、上司命令に対する服従、信用の保持、秘密の厳守、職

務への専念、政治的行為制限私企業から隔離、他の業務への関与制限等(国

公務員法第九八条ないし第一〇四条国家公務員として特殊な勤務関係に応ずる

ものと解される詳細な規定が設けられている。

債務者見解については裁判例として参照すべきものに次のものがある。

(一) 東京地方裁判所昭和三〇年七月一九日判決

行政事件裁判例集第六巻第七号一八二一頁)

(二) 東京地方裁判所昭和三八年一一月二九日判決

判例時報第三六四号一四頁)

 以上のように債権者らが全く同質的ものであると主張する三公社職員の勤務関

係と、林野庁職員の勤務関係との間には、実定法規の上で本質的差異が認められ

るのである

 しかして、債権者らに対する本件配置換命令は、すでに述べたとおり国家公務員

法第三五条人事院規則八-一二(職員の任免)第六条にもとづいて行われる公権

力による一方的行為であるから、いわゆる処分性を有し行政処分としての性格を有

するといわなければならない。(公労法第八条第二号は各種の人事事項に関して当

事者自治による決定を認めているがこれはあくまでも所定の人事権行使に関する基

準について団体交渉等を認めたものであつて、その基準適用して具体的、個別的

に行われる人事権行使一方的行為であることに消長をきたすものではない。)

四、(一) 債権者らは、林野庁職員に労働基準法適用され、同法施規則第五

条に就業場所に関する事項等を労働条件として明示することを規定していること

を挙げ、林野庁職員は私法的労働契約関係にあると主張するが、同条の規定労働

条件に関する事項(基準的事項)について、使用者にその内容の明示義務を課した

ものであつて、このことと個別的、具体的措置がいわゆる共同決定事項であるかど

うかとは別個の問題である

 ところで任命権者ないし使用者が、個別的具体的人事を決定する最終的権利を保

有することは、公務員関係である私企業における労働関係であるとを問わず一般

是認されているところである労使関係運用の実情及び問題点労使関係法研

会報告書第二分冊一一四頁)。

 これについてみると、国家公務員として任用された以上は、任免、分限、服務お

よび懲戒等の勤務関係の具体的内容は国家公務員法によつて任命権者が一方的に行

いうるのであつて、個々に職員の同意を要しないものであり、また配置換命令につ

いていえば、任命権者が国家公務員法第三五条の欠員補充の方法として、その権限

範囲内で職員をいかなる官職に任命するかは自由裁量であつて、それは任命によ

つて勤務官署が異ると否とを問わず、任用関係本質および内容からいつて改めて

個々的に同意を要しないのである。そしてこのことは、例えば労働基準法施行規則

五条第一〇号の休職に関する事項が明示事項とされているが、具体的な適用に当

つては、国家公務員法第七九条により職員の同意をうることなく本人の意に反して

も任命権者はこれを行いうることからみても明らかである

 それゆえ、就業場所に関する事項が労働基準法にいう労働条件明示事項であつた

としても、林野庁職員の個別的、具体的な配置換命令は、職員と任命権者との間の

合意によつて定めるのでなく、国家公務員法適用によつて任命権者の権限によつ

て行われるものである。したがつてこのような行為は、同意をうるための労働契約

上の労働条件の変更を求める私法上の意思表示ではなく、公権力による一方的行為

であり、行政処分といわなければならない。

(二) なお債権者らのあげる地方公営企業職員の解雇に関する裁判例は本件事案

に適切でない。すなわち地方公営企業職員と公労法の適用される五現業職員との間

には、その性質に関し法律上明確な差異がある。

 その一例をあげれば、地方公営企業職員については、政治的行為制限もなく

地方公営企業法第三九条第二項による地方公務員法第三六条適用除外)また、

行政不服審査法適用もない(地方公営企業法第三九条第一項による地方公務員法

第四九条および行政不服審査法適用除外)。

 したがつて、地方公務員法による処分に対して人事委員会または公平委員会に対

する不服の申立をすることができず、これらに対する審査請求は一般私企業と同様

裁判所あるいは労働委員会へすることが許されるにすぎない。これに対し五現業

職員については、すでに述べたように政治的行為制限国家公務員法第一〇二

条)があり、また不服申立に関する規定(同法第九〇条ないし第九二条の二)もそ

のまゝ適用され、不利益処分としての審査請求は、国家公務員法所定の要件を備

え、公労法第四○条所定の範囲内で人事院に対し申立てることができるのである

このことは五現業職員の勤務関係公法関係であり、これにもとづいてなされる任

命権者の措置行政処分であることと切離して考えることはできないのである

五、以上の次第で、本件配置換命令行政庁処分にあたり、民事訴訟法による仮

処分をすることは許されないから債権者らの本件仮処分申請は不適法として却下

るべきものである

第五、申請の理由に対する答弁

一、申請の理由一、の事実は認める。および二、の事実中(一)の事実は認める。

二、(二)の事実債権者a・bが組合分会執行委員であつた事実組合青年婦人

部が債権者ら主張のとおりの役割を果すべきものとされていること、債権者aが債

権者ら主張のとおり採用され勤務していたこと、債権者bの学歴および勤務歴は認

めるが、債務者債権者らの組合活動嫌悪して不利益な人事移動を行い支配介入

したこと、および債権者らに転任できない事情存在することは否認する。その余

事実は知らない。

 申請の理由(三)・(1)の事実中、農林技官e・f・m・i・j・kがそれぞ

れ主張のとおり配置換えになつたこと、農林技官gが債権者ら主張の事務所に配置

換えになつたこと、は認めるが、右fが当時執行委員であつたこと、および右gの

配置換えになつた日は否認する。その余の事実は知らない。右gが配置換えになつ

た曰は昭和四〇年三月二五日である

 申請の理由(三)・(2)の事実中、配置換を行うに際し、昭和三六年以降ほゞ

隔年職員調書をとり、これに転勤希望一の有無を記載させていることは認めるが、

その余の事実否認する。

 同(3)の事実中、債権者ら主張の会議において、主張のような討議事項が提出

されたことは認めるがその余の事実否認する。右討議事項は一署長が提出したも

のにすぎず、当該会議においてもその後の会議においても全く討議の対象とはされ

なかつた。討議事項については、署長側から提出された討議事項は、そのまま会議

資料にのせ、これを配付する方針であるために討議事項として登載され配付したま

でのことであるしかも、右討議事項には債権者ら主張のような事項が含まれてい

たにも拘らず、これを秘密文書として取扱うことさえしなかつたことは、債務者

してこれを全く歯牙にかけず、まともに問題としようとする意思のなかつたことを

裏付けものである。また、実際においても、その後の配置換において、学習運動

考慮された事実は全くないのみならず、すでに二年以前の出来事で本件とはなん

らの関連もない。

 申請の理由三、(一)・(二)の事実中、総務部長会見および署長会見の席上に

おいて債権者ら主張のような発言があつた事実は認める。債権者ら主張の大会の準

運営債権者らが不可欠の存在であること、および事務引継ができないことは否

認する。その余の事実は知らない。

 同(三)・(四)の事実中、債務者債権者らの希望があれば組合青年婦人部大

会において新役員が改選されるまで赴任を延期してもよいと言明したこと、および

本件配置換命令債権者らの家庭生活破壊するものであることは否認する。その

余の主張は争う。

二、本件仮処分申請ば必要性を欠き、却下を免がれない。

 すなわち、債権者c・bは昭和四二年四月一七日、債権者aは同月一九曰それぞ

れ新任地に赴任し業務についている。

 従つて本件は本案訴訟において争えば足りるのですでに仮処分必要性は消滅し

ている。

 債権者らは、新任地への赴任が臨時的ものであることを保全必要性の要素で

あるかのように主張するが、保全必要性は、本件配置換命令効果として形成

れた権利関係によつて結果的に生ずる不利益、すなわち、著しき損害等が生ずる場

合に認められるもので赴任の異状性は仮処分必要性の要素とはなり得ない。

 また、債権者らは、本件配置換命令の結果組合活動自由が阻害される旨主張す

るが、組合活動は新任地においても行いうるものであるし、債権者らが主張する前

任地における組合活動に関する整理等の残務は、もともと債権者らとは別人格の組

前橋地方本部福島営林署分会および白河営林署分会に関する事情であつて、債権

者らについての仮処分必要性判断するための要素とはなり得ない。

 仮りに右残務整理に関する主張が、債権者らについての仮処分必要性に関する

ものとして可能であるとしても、本来組合活動は勤務時間外に行わるべきものであ

り、とりわけ残務ということであれば限られた業務であるから、新任地においても

時間外に処理することは可能であるしか組合執行機関は数名の執行委員をも

つて構成されその業務も特殊専門的業務でなく、共通性を有するものであるから

執行委員一名が欠けたゝめ余人をもつて代え難い業務が残存するとは考えられな

い。よつて他の執行委員に残務を引継ぐことは任期中途で異動した場合通常行われ

ていることであり、本件のみそれが不可能であるとする理由は見当らない。

 右の理は組合青年婦人部の役員についても、また妥当するところである。加えて

以上によるもなお債権者らが組合残務を処理しなければならないという特殊事情

あるとしても、必要最少限の日時について業務上支障のない範囲で新任所属長の許

可をうけて休暇によりその事務を整理することも可能であるから右主張もまた主張

自体失当である

第六、疎明関係(省略)

昭和四三年三月一二福島地方裁判所判決

2014-03-20

クリミア独立について国際法観点から書いてみる

 つい先日クリミア独立宣言を行い、さらロシア併合を決定しました。

 ここはてなでも一連の流れを受けて様々な議論が巻き起こっていますが、本稿ではクリミアウクライナから独立した件に絞って、国際法観点から分析していきたいと思います併合の是非については触れません。あくまでも、分離独立した件についてのみです。なお、筆者はこの分野に明るくないので、間違いがあれば遠慮なく指摘してください。

 「旧ソ連時代以来ウクライナ共和国内の自治共和国として存在していたクリミア2014年3月11日に行った独立宣言の是非について」

新たな国家の成立とは

 新たな国家が成立するためには、(i)領土(ii)住民(iii)実効的な政府(iv)外交能力の四つが必要であるとされています(この内(iv)は(iii)の一部として考えられることがよくあります)。とは言え、これらは絶対的ものではなく、第二次大戦後の非植民地化の過程において、実効政府要件に関しては「自決権」の名の下で緩和されることがよくありました。「自決権」とは何かというのはまた難しい話なのですが、国際人権規約共通第一条は、すべての人民がその政治的地位を自由に決定し並びにその経済的社会的及び文化的発展を自由に追求する権利定義しています。これに関連して、1960年に「植民地独立付与宣言」が国連総会で採択されましたが、その中で、植民地は、植民地住民の意志によって独立することが可能であるとしており、植民地住民の自決権を否定する"国家"は、たとえ上記の四要件を充足していても、"国家"として認められないこともありうるのです。この文脈において自決権は、政治的独立・自治達成のための根拠としてとらえられているので「外的自決権」とも称されます

分離独立

 外的があるなら内的もありそうな話なのですが、実際にあります。「内的自決権」とは、植民地住民ではなく、独立国家内部の人民自決権です。ここで注意しておきたいのは、分離独立は、元の国家存在しているという点において分裂と異なり、植民地支配からの脱却のための自決権行使ともまた違うということです。

さて、国連総会1970年に採択した友好関係原則宣言の中の一部を、少々長いですが、見てみましょう。注目すべき箇所は3/4あたりからのくだりです。

人民の同情及び自決原則

国際連合憲章にうたわれた人民の同権及び自決原則によって、すべての人民は、外部からの介入なしに、その政治的地位を自由に決定し、その経済的社会的及び文化的発展を追求する権利を有する。いずれの国も憲章の規定に従ってこの権利尊重する義務を負う。

いずれの国も、共同の行動及び個別の行動を通じて、憲章の規定に従って、人民の同権及び自決原則の実現を促進し、また、

(a)国家間の友好関係及び協力を促進すること、並びに、

(b)当該人民の自由に表明した意思妥当考慮を払って、植民地主義を早急に終了させること、

目的として、かつ、外国による征服、支配及び搾取への人民の服従は、この原則違反し、また基本的人権を否認するものであり、したがって憲章に違反するものであることに留意して、この原則実施に関して憲章により委託された責任遂行することについての国際連合に援助を与える義務を負う。

いずれの国も、共同の行動及び個別の行動を通じて、憲章に従って人権及び基本的自由の普遍的尊重と遵守を促進する義務を負う。

主権独立国家確立独立国家との自由な連合若しくは統合、又は人民が自由に決定したその他の政治的地位の獲得は、当該人民による自決権の行使の諸形態を構成する。

いずれの国も、この原則作成にあたって上に言及された人民から自決権並びに自由及び独立を奪ういかなる強制行動をも慎む義務を負う。かかる人民は、自決権行使の過程で、こうした強制行動に反対する行動をし、また抵抗をするにあたって、憲章の目的及び原則に従って援助を求めかつ受ける権利を有する。

植民地その他非自治地域は、憲章上、それを施政する国の領域とは別個のかつ異なった地位を有する。憲章に基づくこうした別個のかつ異なる地位は、植民地又は非自治地域人民が、憲章とりわけその目的及び原則に従って自決権を行使するまで存続するものとする。

前記パラグラフのいかなる部分も、上に規定された人民の同権及び自決原則に従って行動し、それゆえ人種信条又は皮膚の色による差別くそ領域に属する人民全体を代表する政府を有する主権独立国家領土保全又は政治的統一を、全部又は一部、分割又は毀損しうるいかなる行動をも承認し又は奨励するもの解釈してはならない。

いずれの国も、他のいかなる国又は領域民族的統一及び領土保全の一部又は全部の分断を目的とするいかなる行為をも慎まなければならない。

 この中でも、

前記パラグラフのいかなる部分も、上に規定された人民の同権及び自決原則に従って行動し、それゆえ人種信条又は皮膚の色による差別くそ領域に属する人民全体を代表する政府を有する主権独立国家領土保全又は政治的統一を、全部又は一部、分割又は毀損しうるいかなる行動をも承認し又は奨励するもの解釈してはならない。

 の部分は、実は独立国家による領土保全を、自決権主張に対して正当化するために書かれているところなのです。独立国家人民にも外的自決権を認めようという考えもあることはあります。たとえばケベック分離事件において判示されたように、内的自決権を否定されている人民には、(i)当該実体自決権行使主体である人民」であり、(ii)「内的自決権」行使の否定が存在していれば、独立国家からの分離独立正当化される可能性がありますしかしながら、この二要件の充足は難しい上に、上記の友好関係原則宣言の規定(実はほかに所属国家からの分離独立に関する権利に触れた文書はありません!)や国家実行(チベットやビアフラなど)を考慮したら、内的自決権は、実質的には、まだ国際法上の権利として明確に認められていないといえそうです。とは言え、禁止されている訳ではなく、事実として分離独立が発生する可能性は大いにあり、実際にバングラディシュ旧ソ連諸国などの例があります

ウティ・ポシデティス原則領土保全原則

 当然のことですが、独立国家から分離独立する際に制約は存在しています

国家独立する際によく参照される国際法上の原則にウティ・ポシデティス・ユリ原則(principle de l'uti possidetis juris)があります。これはローマ法の法原則であるところの「汝の占有する状態で占有を続けよ」に由来するもので、国際法においては中南米諸国独立において、植民地時代行政区画境界線を、独立後の国境とするために用いられました。一見すると明確に思える原則ですが、実際には形式上の行政区画とは異なる実効的支配が行われていることもあるので、なかなか厄介な問題もはらんでいます。とは言え、この点に関しては既にブルキナファソマリ国境紛争事件で、法的根拠実効支配に優越するという形で決着が着きました。また、旧ユーゴスラヴィアを巡る問題では、この原則独立国家にも適応されうるという見解が示され、さら民族区分によって国境画定することは許されないとの見解も出されました。ここに、一つの制約が出てくるわけです。

 また、独立主権国家自国領域に関して領土保全原則によって守られています。この原則は、領土領域の状態がそのまま維持されるというもので、植民地以外の国家の一部領域における独立保障されないとされます国際秩序の安定性の維持がここで出てくるわけです。

 ただ、先述したケベック分離事件を踏まえたら、内的自決権の否定が存在していたら分離独立正当化される可能性は存在しています

分離独立国家に対する国家承認

 ここまでつらつらと書いてきましたが、結局最後政治の問題になります。分離独立権利として認められていようが認められていまいが、国家承認によってすべての関係性が決定されてくるからです。分離独立が元となる国家承認を得ていたのなら大きな問題になりませんが、そうでない場合第三国による承認政治問題に発展することは容易に想像がつくところと思われますコソボがまさにそうでした。

 国家承認には、第三国承認して初めて国家として認められるとする創設的効果説と、国家の成立要件を充足さえすれば国家として認められるとする宣言的効果説の二種類の学説がありますが、現代においては後者が通説となっています。なので、たとえある国が新独立国国家として認めていなくても、当該国家国家として法的に存在していることに変わりはありません。あくまでも、国家実行としての国家承認は、既存国家が新国家の成立を確認する一方的行為なのです。しかしながら、それでも国家実行上、国家承認重要役割果たしてますし、国家としての要件を充足していないのに国家承認したら「尚早の承認であるとして国際法違反になります。かつて日本満州国を巡り、尚早の承認であるとみなされたことがあります

で、結局どうなの?

 やはり欧米の分が悪いかなと。というのも、ウクライナクリミア自治共和国に対して内的自決権を否定するかのような行動をよく取ってきたからです。また、クリミア自治共和国という行政区画単位での独立を行いましたし、国家としての要件は十分に満たしているように見えます。なので、結局のところ国家承認が問題になってきます。よくコソボが引き合いに出されますが、あれは政治的理由によって国家承認がされる/されないの好例です。国連の暫定統治下にあったとはいえ、当時のコソボ国家要件を充足していたと一般(欧米社会)には評価されています(したがって国家承認を行っても「尚早の承認」にはあたらないので国際法に則ってる)。今回のクリミアの分離独立もやはり同様の構図と言えるでしょう。理論的に考えたら今回のケースにおいてもクリミアの分離独立を認めるのはもっともな話ですが、国際社会がそれをどうとらえるかはご覧のとおりです。もっとも、ロシアが介入を行っているため、正当性観点からまた別の問題が存在していることも事実です。また、その後の併合の動きを見ても、結果論ではありますが、果たして分離独立が正当なものだったか疑問符がつくでしょう。が、あくまでも繰り返しになりますが、本稿は分離独立にのみ焦点をしぼっているので、これ以上は触れません。

 繰り返しになりますが、私はこのあたりの分野には明るくないので、何か間違いがあればご指摘お願いします。

 
ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん