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はてなキーワード: ミックスゾーンとは

2023-01-26

ハプニングアイランド

船着場のあたりが騒がしくなってきた。そうか今日は週に一度の<ご新規さん便>がやって来る日だ。ざわつくバーの店内。この島に来て間もない男性陣が窓の外をチラチラと眺めている。自分はそんな奴らを視界の隅に置きつつ、バーテンのジュン君にハイボールのお代わりを頼んだ。「そういえば今日の便の男女比って聞いてる?」「いやぁ、ボクらのレベルでは全然教えてもらえなくて。先週は女だらけでしたよね。今日反動男祭り便じゃないですか?」「でもね、スレた女より話せる男がいた方がむしろ楽しいんだよな。シャバの状況も聞けるしさ」

「そういえばダンさんはここ来てどれくらいでしたっけ?」「もうかれこれ半年かな。だいたいのことはやり尽くしたし、そろそろ後半の過ごし方を考えないと。。」ふとその瞬間、残してきた家族のことが一瞬頭に浮かんだ。いつものことだ。そろそろ30になる娘は元気だろうか?結局孫の顔を見ることなく島に来てしまった。別れの瞬間の嫁の顔。長年連れ添った男が目の前から消える喪失感と、この先に降りかかる筈の苦難から解放される安堵の入り混じった表情。「アタシは島には行かないよ。あなたと違ってまだまだ健康だし、細く長く生きるのがアタシの母からの教えだからアナタの一括年金大事に使わせてもらうわね」

窓の外を眺めていたテーブル席の男の一人が小さく呟く。「おお、若い女が来た。なんとなく高岡早紀に似てる」島のNPO事務所に隣接したこバーは、チェックインに向かう行列通り道なのだ。ちらりと外に目をやると30人くらいの集団の中に黒髪ロングで物憂げな表情をした一人の女性の姿を確認できた。おそらく40半ばくらいだろうか。今晩のウェルカムパーティーで男達が必死に群がる様子が想像できてしまう。あとは彼女女性専用ゾーンへの入所を希望しないのを祈るのみだ。噂によるとそこはガーデニングペット同居とレズビアンメインコンテンツでまるで昔の修道院みたいなところらしい。男女の夜這い乱交がはびこるミックスゾーン(我々がいるところだ)とは大違いだ。

ダンさーん、マコちゃんとは最近どうなのよ?」後ろからの声に振り返るとバスローブを着たリンちゃんがイタズラっ子な目つきをして笑ってる。もう50過ぎなのにぱっちりメイクで妖艶なフェロモンが漂う。毎日ジムで鍛えてる尻はそこそこのボリュームで、上陸まもない頃の俺も相当に世話になった。なんでもシャバにいた頃は新体操コーチをしていたらしい。あまりドSっぷりに辟易して最近は疎遠だけれど。「あのね、専属契約を結んだけどさ、やっぱりお互い他に目移りしちゃって、そろそろ大部屋棟に戻るよ」「わーい、そしたらまた一緒に遊べるね。今週末にコスプレダーツ大会やるからそれまでに是非!」

やりとりをカウンターの端で聞いてた爺組のヒロさんが声をかけてくる。「ダンさんやっぱりモテるね。俺なんか全然ダメだよ。島に行けば毎日酒池肉林だって聞いてここ来たけど騙されたよ」「いやだ、そのセリフ聞き飽きたわ。ヒロさん、マヨさんにたまに抜いてもらってるじゃん。シャバじゃご法度行為だよ」この島で女性相手にされない男性は<爺組>と呼ばれ、島に常駐する介護スタッフが定期的に性的サービスを行うことになっている。バーテンのジュン君も女性棟にある秘密の部屋へ時折通ってるそうだ。詳しいことは決して教えてくれないけど。

そのジュン君が訊いてくる。「ダンさんって明日のアツシさんのお別れ会ます?でも今週入って毎日から酔っ払ってて、このままだと胴上げもできない感じですよ」「ああ、先週のサトルさんもそうだったね。最後挨拶くらい綺麗にできないもんかなぁ」いやいや、皆知っている。社会的に一度死んでこの島に来たとしても、島の友達が明るく見送ってくれたとしても、おのれの肉体と意識がこの世から永遠になくなることへの恐怖からは誰も逃げられない。そんなの最初から分かっていたことだ。

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運悪く就職氷河期にブチあたり、大学卒業後も居酒屋アルバイトで食いつないだ。ルックスがそれなりに良かったせいか女性にはモテデキ婚の上30前に父親になった。家族を養うために佐川急便入社。30代を仕事子育て、それと時々の風俗いであっという間に駆け抜けた。そして自分が40を過ぎた頃、父親認知症になって全てが変わった。

もともとアルコールに溺れていた父の症状進行は早かった。自宅での介護を選んだ母の選択も悪かった。尤も施設に関しては公営老人ホームが入居2年待ちという状況で他に選択肢は無かったのだけれど。日中ヘルパー訪問や週2回の入浴サービスは助かったが、日に日に父が人格を失っていく中で、夜間の排泄介助や頻発する徘徊に母のメンタルも音を立てて崩れていった。父から激しく暴力を振るわれた夜「もう限界です」そう言い残して母は自ら命を絶った。父を道連れにして。

ちょうど仕事で腰を痛め退職したタイミングとも重なり、俺のアルコール依存生活が始まった。ブームになったフードデリバリー業務委託を始めたが、時間の融通が利き過ぎる為かオンとオフの境目が曖昧になった。両親の死から数年後のある朝、二日酔いで自損事故引き起こし入院中の検査認知症初期と診断された。飲み過ぎで脳が縮み始めているそうだ。父と全く同じじゃないか。嫁と娘の反応は冷たく、嫁から離婚を仄めかされた。

そんな中、限界まで膨張した社会保障費(老人医療介護年金生活保護)を削減するために、政府が新しい法律を成立させたことを知った。<令和の島流し>と呼ばれるこのプログラム政府指定するNPOによって運営され、島に上がる人間安楽死を1年以内に受け入れることと引き換えに、労働から解放と、衣食住と適度な快楽アルコール島内自由恋愛性的サービス等)が保証され、家族に対しては1000万円の一括年金支給される。絶望状態にあった俺はこれに応募し、審査を経て半年前に上陸を果たしたのだった。

ちなみに上陸後のプログラムから離脱は完全に不可能だ。島にはネット郵便もなく、家族とのやりとりは一切遮断される。死亡後の通知も無しだ。一方でプログラム参加者の様子は政府によってモニタリングされ、NPOスタッフによる虐待がないことが保証される。これらはプログラムの安定運営と将来の参加者獲得のための必須事項であり、国会における法案審議の最も大きな争点であった。なお今の国会では安楽死の即時実行を条件とした一括年金3倍増プラン議論しているらしい。

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ダンさん、何だかボーっとしてるよ!」リンちゃんの声でやっと我にかえる。「私も見たけどさっき来た女の人綺麗だね。週末のダーツに来ないかな。でも今晩誰かに食べられちゃうかー」ふとテーブル席の男性軍団を見ると、早速ひそひそと作戦会議をしているようだ。そうそう、ここは通称ハプニングアイランド>。プログラム応募者の中でも性的欲求が著しく強いグループが連れて来られる島なのだ(他の島のことはよく知らない)。ミックスゾーン場合、爺組・婆組を除く殆どの男女が同性を除く全員と関係を持っているだろう。

そしておそらく政府モニタリングした我々の性行動は全て詳細にデータ化され、将来の社会運営を担う人工知能粛々とインプットされている筈である。「そうだね、今からでもマコちゃんに話をつけて今晩に備えるかな。でも自分性癖としては他の男に散々やられた後、最後に優しく上書きしたいタイプなんだよね」「そうね、ダンさんって究極の寝取られ派だもんね。ミスターNTRさん」ふと顔を上げるとカウンターの向こう側でジュン君がニヤニヤと笑ってる姿が目に入る。その目の奥は不思議なくらい冷徹に澄んでいて、まるで我々の会話と表情を片っ端から読み取ろうとしてるかのようだった。

(このストーリーは今年の初夢で見た内容を元にしていますTwitterで連ツイスレッドが表示されない問題が発生してるのでコチラに一時保管)

2021-07-27

悲報大坂なおみコロナ禍の国民へのお言葉なし

金メダル候補として期待されていたが、まさかの敗退。落胆の色は濃く、試合直後は大会義務付けられている取材エリアミックスゾーンを通過せず、会場外へと向かった。ここを通らない場合は、最大2万ドル罰金可能性もあり、現場は騒然となった。

待機するメディア担当者大坂が会場外へ出たことを説明。一方で一切の取材に応じなかったこから日本協会関係者が「戻します」と説明するなど、混乱が生じた。

その後、大坂エージェントが負けてもミックスを通ることを知らなかったと説明。その後、20分経過してから会場に戻るなど、ドタバタとなった。

再び戻って来たミックスゾーンでは涙をみせ、ショックを隠せなかった。「大会に出場したメリットはあった。プレーして良かった」と語り、残念だったか問われて「はい」とうなずいた。



自分のことしか考えてなかった模様

 
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