はてなキーワード: マイルスとは
http://anond.hatelabo.jp/20150216002609
ジャズは好きだし、有名な盤も聴き切れてはいないが結構聴いてきたと思う。
だれだれが奏でるどうこうしたフレーズ、とかそういう小難しいことをジャズ演奏者や愛好家はよくいう。
もっと直感的に音楽を本能で楽しんでもいいのではないかとよく思うんだけど、
ジャズを知らない人がちょっと興味あるとか、ジャンルの幅広げてみたいくらいの気持ちの人にはもうちょっとキャッチーな感じのジャズをすすめられたらいいなと思う。
自分はポップス、パンクやロックなどの演奏を経てからジャズの世界にやってきたので、聴き始めた頃を思い出してみると、
やっぱりキャッチーなメロディや、分かりやすい(笑)ジャズはすごく聴きやすかった。
Horace Silverとか、Cannonball Adderleyとかね。
例えばだけど、全くジャズ聴いたことない友人にHigh Fiveすすめてみたら、聴きやすくて気に入ってくれてたよ。
相手が取り敢えず聴いてみたいのか、ど定番を聴きたいのか、求める回答によってすすめたいのは違うから、
誰々がいいとか具体的に書けないけど、
ジャズはクラシックみたいにごにゃごにゃとソロがぶわーっと続いて何やってるかよくわかんない小難しい感が
ハードル高くさせてるとなんとなく思うので、
ライトな感じで求めてる人もいるんじゃないかとずっと思っている。
○○も聞いたこと無いの?みたいなジャズミュージシャンとの会話はもう勘弁して欲しい。
現代のジャズミュージシャンも面白い人たくさんいるから、そういうのも紹介する記事とかもっと読めたら嬉しいな。
具体的に誰がどうと書けなくて本当に申し訳ないけど。
http://anond.hatelabo.jp/20150214223556
これからジャズ聴きたいっていう人に俺がオススメできるアーティストを10人選ぶならこんな感じ。
マイルスがジャズの歴史の中心にいたことは間違いないのだが、彼のサウンドは案外ジャズ初心者にはとっつきにくい。マイルスがジャズの最先端を切り開いて、偉大なフォロワーたちがそれをうまく消化&昇華してスタイルを定式化させていったのであって、そうして洗練されていったものを聞いたほうが入りやすいと思う。俺は今プロでやってるが、若い頃マイルスを聞いてもピンとこなかった。「マイルスを理解できなきゃ本物じゃない」という雰囲気があったから、マイルス分かってるフリしてたけどな。リズムセクションの凄さだけは強烈だった。さんざんジャズをやってきた今マイルスを聞いて初めて彼の音楽の時代性が分かり、当時いかにインパクトがあったのか、そして彼がどれだけ偉大なバンドリーダーだったのかが分かる。まあ、こういうリストでマイルスを入れるのはお決まりなので、10位に入れておく。
50年代 https://www.youtube.com/watch?v=OcIiu1kQMx0
60年代 https://www.youtube.com/watch?v=x_whk6m67VE
70年代 https://www.youtube.com/watch?v=ryiPO1jQdaw
80年代 https://www.youtube.com/watch?v=4qoNZnWcb7M
風変わりなアーティストだが、その独特なサウンドは好きな人もいると思う。不協和音のようでもあり、全体としては調性に収まっている絶妙のバランス感覚。変てこりんな曲もあれば、ものすごく美しい曲もあって、頭の中を見てみたいと思う一方、まあ感覚が爆発してるアーティストってのはこんな感じだよなとも思う。挙動不審系のパフォーマンスを見ているような面白さもあり、演技なのか本気なのか分からないところがある。モンクはそれを形のある一つのスタイルとして定義できたところがすごい。ジャズミュージシャンの間では別格扱いというか、特別な地位を占めている。
https://www.youtube.com/watch?v=KshrtLXBdl8
この人はすごいよ。メロディーを紡ぎ出す感覚、その一瞬にしか生まれないサウンドを追求する即興へのこだわり、小節をまたがってフレーズを自由自在に展開させるオープンなタイム感、これらを曲の枠組みが明確なスタンダード曲上で展開することで分かりやすさを担保するバランス感覚、それらの全てを可能にする素晴らしいゲイリー・ピーコック(ベース)とジャック・ディジョネット(ドラム)の存在。ただ、彼のもう一つの特徴である「うめき声」には最初戸惑う人も多いと思われるので8位としてみた。ちなみに慣れるとそのうめき声が彼の粘っこい右手のメロディと絶妙に絡み合って彼の音楽の一部に聞こえてくる。マイルスから「天才であるってのはどんな気分だ?」とからかわれたってエピソードがある。すげーレベルの話だ。
https://www.youtube.com/watch?v=io1o1Hwpo8Y
ジャズがエレクトリック系やフリー系に進化していった中で、「ジャズのルーツ」であるニューオリンズ音楽に立ち返り、それをベースにモダンなハーモニーや複雑なポリリズムを取り入れて新たなジャンルを切り拓いた人。ジャズとクラシックの両方でグラミー賞を取ったというとんでもないトランペットの名手でもある。美しい音色と安定したテクニックは卓越している。彼が確立した、「トランペットが張り詰めたソロを吹く背後でピアノとドラムが複雑なポリリズムで組んずほぐれつのインタープレイを展開する」というスタイルは初心者にも迫力があるはず。ちょっと難解な印象も受けるかも知れないが、その場合は彼の率いているリンカーン・センター・ジャズ・オーケストラのニューオリンズ風サウンドを楽しむと良いよ。
https://www.youtube.com/watch?v=poZWg-pVboE
https://www.youtube.com/watch?v=ZBJ-MmTA-eU
ギターが入ってねえなと思ったので、メセニーを入れておく。怒るジャズファンもいるだろう。入れるならウェス・モンゴメリーだ、ジョー・パスだ、ジム・ホールだ、と。まあ確かに、メセニーはフュージョンっぽいサウンドだし、ジャズを構成する重要な要素のうち「ビバップ」や「ブルース」があまり感じられないとも言える。しかし彼の音楽には、聞いていて映画のワンシーンあるいは夢でみたどこかの草原が思い浮かぶような、ビジュアルな美しさがある。その辺は彼の音楽を支えてきたキーボードのライル・メイズの空間的サウンドによるところが大きいが、それがメセニー自身の音楽観、独特なソロフレージングと音色と相まって、ジャズを次のステージに進化させたクレジットはあげていいと思う。音楽理論的には結構複雑なこともやっているのだが、あまり感じさせない。特に変拍子へのアプローチは素晴らしく、「口ずさめる変拍子」「心地よい変拍子」を確立している。その辺の聞きやすさでオススメしておく。
https://www.youtube.com/watch?v=ApI-zA6suXE
https://www.youtube.com/watch?v=gDLcttSAVS0
エレクトリック・ベースの弾き方に革命を起こした人。管楽器並みのソロフレージング、ハーモニクスを使ったカラフルなコード演奏などでベースの役割を大きく変えた。細かい音符を自在に刻む指弾きのグルーヴ感は圧倒的。作曲家としても素晴らしい名曲を多く残している。途中からクスリ漬けになってしまって最期は悪態をついていたところを警備員に殴られて死ぬという劇的な人生だったが、ジャコが好きな人はそういう破滅的な「危ない」ところも愛していると思う。俺はそうなる前にシンガーソングライターのジョニ・ミッチェルと共演している頃の演奏が一番好きだが。
https://www.youtube.com/watch?v=Hbr0hXkArWg
https://www.youtube.com/watch?v=TgntkGc5iBo
ディーク・エリントンでもいい。ビッグバンドを一つ入れておこうと思ってな。本当はサド&メル(現在のヴァンガード・ジャズ・オーケストラ)と言いたいところだが、やっぱり若い頃にサド&メルのビッグバンドを聞いて最初はピンとこなかったから、初心者には勧めないでおこう。ベイシーとか、まあ当時のビッグバンドは、やっぱりグルーヴ感がすごい。当時のダンスミュージックだからね。彼らは四六時中ああいう音楽に専念できてギャラもがっぽり稼いでたから、現代の我々が付け焼刃でビッグバンドやってもそうそう敵わないのが辛い。アレンジ良し、テクニック良し、アンサンブル良し。逆にいうと、そういう時代性もあるから、少し古臭く感じるところはある。俺は好きだけどね。
https://www.youtube.com/watch?v=TYLbrZAko7E
https://www.youtube.com/watch?v=4ZLvqXFddu0
現代ピアノジャズのサウンドを確立したと言っていい人。彼がコードを弾くときの和音の積み上げ方はマジで音楽大学の教科書に載ってるんじゃないかと思う。そういう理論の部分以外でも、彼のやや哀愁を帯びた内省的な音楽性や、ピアノ・ベース・ドラムと対話するように自由に展開する演奏スタイルはとても理知的で面白く、それで多くのファンを惹きつけてると思う。まあ、小説とかにも登場するし、あまり多くを語る必要もない。聞け。
https://www.youtube.com/watch?v=GQwhHdXGFwA
https://www.youtube.com/watch?v=Jl5GDXb2fwQ
https://www.youtube.com/watch?v=FTlKzkdtW9I
やはりジャズに入りやすいところとして一番無難なのは女性ヴォーカルだが、問題は誰を入れるかだ。本当はカーメン・マクレエ、サラ・ヴォーン、エラ・フィッツジェラルドといった鉄板の定番を入れたい気もするが、今日現在聞くジャズヴォーカルとしては、ちょっと粋でオシャレな、それでいて正統派のスウィング感をもっていて、テクニックも表現力もあり、ルックスも良く、きっちりセールスも出しているダイアナ・クラールを押す。ただ、このリストの中ではやや異色と言えるかも知れないので、サラ・ヴォーンなどのリンクも貼っておこう。こう言っておきながら、俺は「ダイアナ・クラールが好き」と言うジャズファンには警戒の念を持って、本当に彼女の実力を分かっているのか、うわべだけのシャレオツさで聞いているのかを探ることにしている。
https://www.youtube.com/watch?v=dJHXQAs9vlk
https://www.youtube.com/watch?v=5cZG2WnXPgk
https://www.youtube.com/watch?v=4VHWw9G6_UU
現代テナーサックスのサウンドを確立した人。コードの細分化と再構成、次から次へと繰り出される音の洪水が特徴の一つで、マイルスからは「お前、全部の音をいっぺんには吹けないぞ」とからかわれたとか。まあ、俺としてはそういう音の洪水の部分よりも、ややかすれたような彼のサックスの音色が特徴的で、ひたすら高みを目指す修行者のような人柄を連想させて、聞く人の心に引っかかるんじゃないかと思ってる。「コードの細分化を究極まで突き詰めた先にあったのはコードの制約を取っ払うことだった」という彼のサウンドの進化も悟りの境地に達した聖者を思わせるというところもある。マッコイ・タイナー(ピアノ)とエルヴィン・ジョーンズ(ドラム)もコルトレーンのサウンドをともに作り出す中で新たなスタイルを確立した。この全体のサウンドが俺は大好きなので1位押し。
https://www.youtube.com/watch?v=Lr1r9_9VxQA
https://www.youtube.com/watch?v=xr0Tfng9SP0
https://www.youtube.com/watch?v=YHVarQbNAwU
https://www.youtube.com/watch?v=-mZ54FJ6h-k
以上。
(承前)
http://anond.hatelabo.jp/20150214223556
――スティーヴ・レイシーは独立独歩のソプラノ・サックス奏者です。サックスといえばアルトかテナーだった50年代からソプラノを吹いていました。
Evidence (1961) http://youtu.be/X9SBzQw2IJY?t=5m42s
( ・3・) 面白いテーマの曲だな。真面目な顔で冗談を言っているような。
――セロニアス・モンクが書いた曲です。レイシーはモンクの曲をたくさん演奏しています。一方、ハリウッドやブロードウェイの曲はとりあげない。レパートリーに関しては人文系の古本屋の主人みたいなところがあります。
( ・3・) みすず書房とか白水社とか、そういう本ばかり並んでいるわけだ。
――白水社といえば、レイシーはサミュエル・ベケットと面識があって、ベケットのテクストに基づいた作品も発表しています。
( ・3・) 「真夜中だ。雨が窓に打ちつけている」
――「真夜中ではなかった。雨は降っていなかった」――と、ベケットごっこはともかく、演奏はどうでしょう?
( ・3・) まっすぐな音だな。あまりヴィブラートをかけない。アタックの瞬間から音程の中心を目指している。必ずしも正確な音程というわけではないけれど。ソロのとり方としては、テーマとの関連性を保って、構成を考えながら吹いているように聴こえる。言うべきことだけを言って余計なことはしゃべらない。
――そういう点では、プレイヤーの資質としてはマイルス・デイヴィスに近いのかもしれません。マイルスとも少しだけ共演したことがあるのですが、もし正式にバンドに加わっていたら歴史が変わったかも。 [6]
Reincarnation of a Lovebird (1987) http://youtu.be/FbaKNB4cIlc
――こちらは後年の録音。ギル・エヴァンスという編曲の仕事で有名な人がエレピを弾いています。この人も指だけ達者に動くのとは対極にいるタイプで、柔らかい音色で中和されていますが、ずいぶん込み入った和声です。
( ・3・) そこらじゅうで半音がぶつかってるな。
――でも美しい。
――昔、レコードを扱う仕事をしていたので確信をもって言えるのですが、日本でいちばん人気のあるジャズ・ミュージシャンはビル・エヴァンスです。マイルス・デイヴィスよりもリスナーの裾野は広いかもしれません。
( ・3・) 俺でも『ワルツ・フォー・デビー』を持ってるくらいだからな。でもどうして「とりあえずエヴァンスを聴け」みたいな風潮になってるんだ?
――まず、彼がピアニストだということ。もしベース奏者だったらここまでの人気は得られません。それから、ロマン派や印象派に慣れた耳で聴いても違和感がないこと。ジャズに関心がなくてもエヴァンスは聴く、というケースは大いにありうるでしょう。最後に、みもふたもない言い方ですが、彼が白人で、細身で、眼鏡をかけていたこと。
( ・3・) 知的で繊細に見えるのな。
――知的で繊細なジャンキーでした。もっとも、最後の要素はなかったことにされがちなのですが……。
――はい。エヴァンスやチェット・ベイカーに深く共感してしまう人は、モルヒネの代用として聴いているのではないかと思います。「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」という有名な曲をとりあげたいのですが、エヴァンスの前に、まず歌の入ったものから。フランク・シナトラのヴァージョンです。
My Funny Valentine (Sinatra, 1953) http://youtu.be/z9lXbgD01e4
( ・3・) 金の力に満ちた声だな。His voice is full of money.
――マフィアを怒らせるようなことを言わないでください。折り目の正しい編曲で、ポップスとしては非の打ちどころがありません。ボブ・ディランの新譜はシナトラのカヴァー集らしいのですが、ディランが子供のころにラジオで流れていたのはこういう音楽です。当時のアメリカ人にとっては、ほとんど無意識に刷り込まれた声と言っていいでしょう。
My Funny Valentine (Baker, 1954) http://youtu.be/jvXywhJpOKs
( ・3・) 出た、いけすかないイケメン。
――チェット・ベイカー。午前三時の音楽です。もう夜が明けることはないんじゃないかという気がしてくる。どんな曲か覚えたところで、エヴァンスを聴いてみましょう。
My Funny Valentine (Evans and Hall, 1962) http://youtu.be/ReOms_FY7EU
( ・3・) 速い。
――速い。そしてちょっと信じられないクオリティの演奏です。ジャズではいつでも誰でもこれくらいできて当然かというと、そんなことはないので安心してください。
――別のテイクではちがうことをしているので、ほとんど即興だと思います。決まっているのはコード進行だけ。
( ・3・) コードの構成音をぱらぱら弾いてもこうはならんわな。自分の頭の中にあるモチーフを発展させるのと、相手の音を聴いて反応するのと――そういう意味ではチェスに似ている。
――この演奏は一対一ですからね。集中力は同じくらい必要かもしれません。しかも持ち時間はゼロという。互いに相手の出方を読んでいるうちに一種のテレパシーが起こって、3分50秒あたりにはふたりの脳がつながっているような瞬間があります。
( ・3・) このギターを弾いてるのは?
――ああ、忘れていました。ジム・ホール。偉大なギタリストです。悪魔に魂を売って人並み外れた演奏技術を手に入れるというブルースの伝説がありますが、ジム・ホールの場合は魂ではなく頭髪を犠牲にしました。
( ・3・) また好き勝手な話をつくって……。
――いえ、本人がそう語っています。ジミー・ジューフリーのバンドにいたころ、どう演奏すればいいのか悩んで髪が薄くなったと。 [7] でも、髪なんていくらでもくれてやればいいんですよ。肉体は滅びますが芸術は永遠です。
( ・3・) ジミー・ジューフリーって、あのドラムのいない現代音楽みたいなジャズをやってた人か。そりゃ大変だったろうな。
持参したCDを一通りかけて、そろそろ日が傾いてきた。彼はライナーノーツをめくりながら「はーん」「ふーん」などとつぶやいていたが、夕食の邪魔にならないうちにおいとましたほうがよさそうだ。
「もう帰るのか?」
「そうか。わざわざ悪かったな。よし、ちーちゃん、お客様にご挨拶だ」
彼はそう言って猫を抱き上げたが、ちーちゃんは腕をまっすぐにつっぱって、できるだけ彼から離れたがっているようだった。
「きょう持ってきてくれたCDは、うちに置いていっていいからな」
「置いていっていい?」
「だってほら、いちど聴いただけじゃよく分からんだろ。そのかわりと言ってはなんだが、シュニトケの弦楽四重奏曲集を貸してやろう。何番が優れていると思うか感想を聞かせてくれ」
まだCDは返ってこない。「返してほしけりゃ取りに来い」と彼は笑うが、その目はハシビロコウのように鋭い。ただ来いというだけではなくて、また別のCDを持って来させる魂胆なのだ。わたしはどうすればいいのだろう? ただひとつの慰めは、彼の娘さん――父親との血のつながりが疑われるかわいらしさの娘さん――の耳に、エリック・ドルフィーやオーネット・コールマンが届いているかもしれないということだ。サックスを始めた彼女の頭にたくさんのはてなが浮かばんことを。
http://www.nicovideo.jp/mylist/34787975
[2] http://www.nytimes.com/2009/10/18/books/excerpt-thelonious-monk.html
[3] http://nprmusic.tumblr.com/post/80268731045/
[4] Frederick J. Spencer. Jazz and Death: Medical Profiles of Jazz Greats. University Press of Mississippi, 2002. p. 36. "A diet of honey is not recommended for anyone, and especially not for a diabetic, or prediabetic, patient."
[5] http://www.furious.com/perfect/ericdolphy2.html "'Eric Dolphy died from an overdose of honey,' arranger/band leader Gil Evans believed. 'Everybody thinks that he died from an overdose of dope but he was on a health kick. He got instant diabetes. He didn't know he had it.'"
[6] http://www.pointofdeparture.org/archives/PoD-17/PoD17WhatsNew.html
[7] http://downbeat.com/default.asp?sect=stories&subsect=story_detail&sid=1111
わたしの職場に、自他ともに認めるクラシック・マニアがいる。近・現代の作曲家は一通り聴いているというが、中でもお気に入りはスクリャービンで、携帯の着信音とアラームには「神秘和音」が設定してあるくらいだ。
その彼が、最近、急にジャズに興味を持つようになった。なんでも娘さんが部活でサックスを始めたのがきっかけらしい。彼の机には娘さんの小さいころの写真が立てかけてあるが、父親と血がつながっているとは思えないかわいらしさだ。パパだってジャズくらい分かるんだぞ、ということにしたいのかもしれない。
彼はわたしがジャズ・ギターを弾くことを知っている。音楽に関して(だけ)は寛容なので、各種イヴェントの際には有給を消化しても嫌な顔ひとつしない。
「ちょっと私用なんだが」と彼は言った。「こんどの休みは空いてるか? お前の好きなジャズのCDを10枚くらい持ってきてくれ。うちのオーディオで聴こう」
「CDならお貸ししますよ」とわたしは答えた。特に予定はないが、できれば休日はゆっくり寝ていたい。
「まあそう言うなよ」と彼はつづけた。「プレゼンの訓練だと思えばいい。ジャズの聴きどころを存分に語ってくれ。昼はうなぎを食わせてやるぞ。それとも――」
「それとも?」
「もう有給は当分いらないということか?」
こうして、わたしは休日をつぶして彼の家を訪ねることになった。どのCDを持っていくかはなかなか決められなかったが、一日でジャズの百年の歴史を追いかけるのは無理だと割り切って、わたし自身がジャズを聴き始めた高校生のころ――もう15年も前の話だ――に感銘を受けたものを選ぶことにした。マイルス・デイヴィス『カインド・オブ・ブルー』、ビル・エヴァンス『ワルツ・フォー・デビー』、ジョン・コルトレーン『ジャイアント・ステップス』はもうコレクション済みだということだったので、それら以外で。
手土産の菓子と20枚ほどのCDを抱えて最寄駅に着くと――結局10枚には絞り込めなかった――彼の車が目に留まった。
「きょうは夕方まで家に誰もいないからな。気兼ねしなくていい」
「そうでしたか」
「いるのは猫だけだ」
「猫? 以前お邪魔したときには見かけませんでしたが」
「公園で拾ってきたんだ」
「娘さんが?」
「いや俺が。子供のころに飼っていた猫とよく似ていたものだから」
ノラ猫を拾う人間と、ショスタコーヴィチの交響曲全集を部下に聴かせて感想を求める人間が、ひとりの男の中に同居している。この世界は分からないことだらけだ。
「ちーちゃん、お客様にご挨拶だ」と彼は居間の扉を開けながら言った。ちーちゃんと呼ばれた白い猫は、こちらを一瞬だけ見るとソファのかげに隠れてしまった。そそくさと。
「ご機嫌ななめだな。まあいい。そっちに掛けてくれ。座ったままでディスクを交換できるから。いまコーヒーを淹れてくる」
――これ以降は対話形式で進めていきます。
( ・3・) さっそく始めよう。
――マイルスについてはご存じだと思いますが、次々に作風を変化させながらジャズを牽引していった、アメリカの文化的ヒーローです。デューク・エリントンはマイルスについて「ジャズのピカソだ」と述べました。
――はい。その作品の後に注目したいんですが、60年代の半ばに、ウェイン・ショーターというサックス奏者がマイルスのバンドに加わります。この時期の録音はひときわ優れた内容で、ジャズのリスナーやプレイヤーからはヒマラヤ山脈のように見なされています。
Prince of Darkness (1967) http://youtu.be/-wckZlb-KYY
( ・3・) ヒマラヤ山脈か。空気が薄いというか、調性の感覚が希薄だな。テーマの部分だけでも不思議なところに臨時記号のフラットがついている。
――主音を軸にして、ひとつのフレーズごとに旋法を変えています。コードが「進行」するというよりは、コードが「変化」するといったほうが近いかもしれません。
( ・3・) ピアノがコードを弾かないから、なおさら調性が見えにくいのかもしれないな。
――はい。余計な音をそぎ落とした、ストイックな演奏です。
( ・3・) 体脂肪率ゼロ。
――マイルスのバンドには一流のプレイヤーでなければ居られませんから、各々が緊張の張りつめた演奏をしています。
Nefertiti (1967) http://youtu.be/JtQLolwNByw
――これはとても有名な曲。ウェイン・ショーターの作曲です。
( ・3・) テーマで12音をぜんぶ使ってるな。
――覚めそうで覚めない夢のような旋律です。このテーマがずっと反復される。
――ボレロではスネア・ドラムが単一のリズムを繰り返しますが、こちらはもっと自由奔放ですよ。ドラムが主役に躍り出ます。
( ・3・) おお、加速していく。
――テンポ自体は速くなるわけではありません。ドラムは元のテンポを体で保ったまま、「そこだけ時間の流れ方がちがう」ような叩き方をしています。
( ・3・) ドラムが暴れている間も管楽器は淡々としたものだな。
――はい。超然とした態度で、高度なことを難なくやってみせるのが、このクインテットの魅力ではないかと思います。
Emphasis (1961) http://youtu.be/QRyNUxMJ18s
( ・3・) また調性があるような無いような曲を持って来よって。
――はい。この曲は基本的にはブルースだと思うのですが、テーマでは12音が使われています。ジミー・ジューフリーというクラリネット奏者のバンドです。アメリカのルーツ音楽と、クラシックとの両方が背景にあって、実際に演奏するのはジャズという一風変わった人です。
――ドラム抜きの三人のアンサンブルというアイディアは、ドビュッシーの「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」に由来するそうです。
( ・3・) いいのかそれで。ジャズといえば「スウィングしなけりゃ意味がない」んじゃなかったのか?
――スウィングしたくない人だっているんですよ。といっても、ベースはフォー・ビートで弾いていますが。
( ・3・) これが録音されたのは……ええと、1961年か。ジャズもずいぶん進んでいたんだな。
――いえ、この人たちが異常なだけで、当時の主流というわけではありません。さっぱり売れませんでした。表現自体は抑制・洗練されていて、いかにも前衛というわけではないのに。同じ年のライヴ録音も聴いてみましょうか。
Stretching Out (1961) http://youtu.be/2bZy3amAZkE
( ・3・) おい、ピアノの中に手を突っ込んでるぞ。(3分16秒にて)
――まあ、それくらいはするでしょう。
( ・3・) おい、トーン・クラスターが出てきたぞ。(4分16秒にて)
――それでも全体としては熱くならない、ひんやりした演奏です。
――さて、次はエリック・ドルフィー。作曲の才能だったり、バンドを統率する才能だったり、音楽の才能にもいろいろありますが、この人はひとりの即興プレイヤーとして群を抜いていました。同じコード進行を与えられても、ほかのプレイヤーとは出てくる音の幅がちがう。さらに楽器の持ち替えもできるという万能ぶり。順番に聴いていきましょう。まずアルト・サックスから。
Miss Ann (1960) http://youtu.be/7adgnSKgZ7Q
( ・3・) なんだか迷子になりそうな曲だな。
――14小節で1コーラスだと思います。きちんとしたフォームはあるのですが、ドルフィーはフォームに収まらないようなフレーズの区切り方でソロをとっています。1小節ずつ意識して数えながらソロを追ってみてください。ああ、いま一巡してコーラスの最初に戻ったな、とついていけたら、耳の良さを誇ってもいいと思いますよ。
Left Alone (1960) http://youtu.be/S1JIcn5W_9o
――次はフルート。
( ・3・) ソロに入ると、コード進行に対して付かず離れず、絶妙なラインを狙っていくな。鳥の鳴き声というか、メシアンの「クロウタドリ」に似ている。
――鳥の歌に合わせて練習していたといいますから、まさにメシアンです。あるいはアッシジのフランチェスコか。ほかにもヴァレーズの「密度21.5」を演奏したり、イタリアのフルートの名手であるガッゼローニの名前を自作曲のタイトルにしたり、意外なところで現代音楽とのつながりがあります。
参考 Le Merle Noir (Messiaen, 1952) https://youtu.be/IhEHsGrRfyY
It’s Magic (1960) http://youtu.be/QxKVa8kTYPI
――最後にバスクラ。吹奏楽でバスクラ担当だったけど、主旋律で活躍する場面がなくて泣いてばかりいた方々に朗報です。
――いえ、当時、長いソロを吹いた人はあまりいませんでした。
( ・3・) バスクラ自体がめずらしいという点を措いても、独特な音色だな。
――村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』にこんなくだりがあります。「死の床にあるダライ・ラマに向かって、エリック・ドルフィーがバス・クラリネットの音色の変化によって、自動車のエンジン・オイルの選択の重要性を説いている……」
( ・3・) どういう意味?
――楽器の音が肉声のようにきこえる。でも何をしゃべっているのかはよく分からないという意味だと思います。あと、ミニマリズムの作曲家のスティーヴ・ライヒはバスクラを効果的に使いますが……
( ・3・) 「18人の音楽家のための音楽」とか、「ニューヨーク・カウンターポイント」とか。
――はい。彼はドルフィーの演奏を聴いてバスクラに開眼したと語っています。 [1]
――真打登場です。サックス奏者のオーネット・コールマン。50年代の末に現れて、前衛ジャズの象徴的な存在になった人です。といっても、難しい音楽ではありません。子供が笑いだすような音楽です。ちょっと変化球で、70年代の録音から聴いてみましょう。
Theme from Captain Black (1978) http://youtu.be/0P39dklV76o
――ギターのリフで始まります。
( ・3・) あれ、ベースがおかしなことやってるな。キーがずれていくぞ。
――はい、各パートが同時に異なるキーで演奏してもいいというアイディアです。イントロのギターが床に立っている状態だとすると、ベースは重力を無視して、ふらふらと壁や天井を歩きだす。
( ・3・) 複調を即興でやるのか?
――どのていど即興なのかはわかりません。コンサートに行ったことがあるのですが、譜面を立てて演奏していましたよ。でも、別にダリウス・ミヨーに作曲を教わったというわけではなくて、アイディアを得たきっかけは些細なことだったんじゃないでしょうか。たとえばサックスが移調楽器であることを知らなかったとか。「なんかずれてるな、でもまあいいか」みたいな。
( ・3・) それはいくらなんでも。もし本当だったら天才だな。
Peace (1959) http://youtu.be/bJULMOw69EI
――これは初期の歴史的名盤から。当時、レナード・バーンスタインがオーネットを絶賛して、自分がいちばんでなければ気のすまないマイルス・デイヴィスがたいそう機嫌を損ねました。
( ・3・) さっきのに比べると普通にきこえるが……
――1分40秒あたりからサックスのソロが始まります。集中してください。
( ・3・) (4分12秒にて)ん? いま、俺の辞書には載っていないことが起きた気がするな。
――ここはいつ聴いても笑ってしまいます。そのタイミングで転調するのか、脈絡なさすぎだろうって。ソロをとりながら、いつでも自分の好きな調に転調していいというアイディアです。
( ・3・) 言うは易しだが、真似できそうにはないな。
――どの調に跳んだら気持ちよく響くか、という個人的な経験則はあるはずです。突飛な転調でも、「これでいいのだ」といわれれば、たしかにその通り、すばらしい歌ですと認めざるを得ません。
――お昼はうなぎだと聞いておりましたが。
( ・3・) そのつもりだったんだが、いつの間にか値段が高騰していてな。「梅」のうなぎよりも、うまい天ぷら蕎麦のほうがいいじゃないか。
――この人も、オーネット・コールマンと同じくらい重要なミュージシャンです。テキサス出身のオーネットに対して、セシル・テイラーはニューヨーク出身。都市と芸術の世界の住人です。ピアノを弾くだけではなくて、舞踊や詩の朗読もします。これは1973年に来日したときの録音。
Cecil Taylor Solo (1973) http://youtu.be/X7evuMwqjQQ
( ・3・) バルトークとシュトックハウゼンの楽譜を細かく切って、よくかき混ぜて、コンタルスキーが弾きましたという感じだな。70年代にはずいぶん手ごわいジャズも出てきたんだ。
――いえ、テイラーは50年代から活動しています。チャック・ベリーやリトル・リチャードと同じ世代。この人が異常なだけで、当時の主流ではありませんが。さっきも似たようなことを言いましたね。
( ・3・) このスタイルでよく続けてこられたな。
――継続は力なり。2013年には京都賞を受賞して、東京でもコンサートがありました。
( ・3・) どうだった?
――会場で野菜を売っていたので、買って切って食った。
――文字通りの意味なのですが、それについては別の機会にしましょう。演奏の話に戻ると、混沌と一定の秩序とがせめぎあって、台風のさなかに家を建てている大工のような趣があります。「壊す人」というよりは「組み立てる人」です。また、あるフレーズを弾いて、復唱するようにもういちど同じフレーズを弾く箇所が多いのも特徴です。
( ・3・) いちどしか起こらないことは偶然に過ぎないが、もういちど起こるなら、そこには何らかの構造が見えてくるということか。
参考 Klavierstücke (Stockhausen, rec. 1965) http://youtu.be/mmimSOOry7s
――きょう紹介するのは北米の人ばかりなのですが、デレク・ベイリーは唯一の例外で、イギリス人です。さっそく聴いてみましょう。これも日本に来たときの録音。
New Sights, Old Sounds (1978) http://youtu.be/nQEGQT5VPFE
( ・3・) とりつくしまがない……。
――そうですか? クラシック好きな方には思い当たる文脈があるはずですが。
( ・3・) 無調で点描的なところはヴェーベルン。でも対位法的に作曲されたものではないみたいだ。あと、初期の電子音楽。ミルトン・バビットとか……。
――模範解答です。
( ・3・) でも即興でヴェーベルンをやるというのは正気の沙汰とは思えんな。
――即興の12音技法ではありません。それは千年後の人類に任せましょう。ベイリーがやっているのは、調性的な旋律や和音を避けながら演奏することです。最初に聴いたマイルス・デイヴィスも緊張の張りつめた音楽でしたが、こちらも負けず劣らずです。文法に則った言葉を発してはいけないわけですから。
( ・3・) 「どてどてとてたてててたてた/たてとて/てれてれたとことこと/ららんぴぴぴぴ ぴ/とつてんととのぷ/ん/んんんん ん」
――ちょっと意味が分かりませんが。
( ・3・) 尾形亀之助の詩だ。お前も少しは本を読んだらどうだ。それはともかく、こういう人が観念的な作曲に向かわずに、即興の道に進んだのは不思議な気がするな。
――いちプレイヤーとして生涯を全うしたというのは重要で、ベイリーの音楽はベイリーの体から切り離せないと思います。彼の遺作は、病気で手が動かなくなってからのリハビリを記録したものでした。
( ・3・) プレイヤーとしての凄みが音楽の凄みに直結しているということか?
――はい。技術的にも高い水準のギタリストでした。無駄な動きのない、きれいなフォームで弾いています。気が向いたら動画を探してみてください。
( ・3・) まあ、ギター弾きのお前がそう言うなら上手いんだろうな。
――楽器の経験の有無で受け止め方は変わってくるかもしれません。ジャズ一般について言えることですが、鑑賞者としてではなく、その演奏に参加するような気持ちで聴くと楽しみも増すと思いますよ。
ベイリーの即興演奏(動画) http://youtu.be/H5EMuO5P174
参考 Ensembles for Synthesizer (Babbitt, 1964) http://youtu.be/W5n1pZn4izI
――セロニアス・モンクは、存在自体が貴重なピアニストです。生まれてきてくれてありがとう、とお母さんみたいなことを言いたくなる。
( ・3・) 初めて聴く者にとっては何のこっちゃの説明だな。
――とてもユニークなスタイルで、代わりになる人が思いつかない、くらいの意味です。まあ聴いてみましょう。
Everything Happens to Me (Monk, 1959) http://youtu.be/YW4gTg3MrrQ
( ・3・) これは彼の代表曲?
――いえ、そういうわけではありません。モンクの場合、どの演奏にも見逃しようのない「モンクの署名」が刻まれているようなものなので、わたしの好きな曲を選びました。有名なスタンダードです。最初に歌ったのは若いころのフランク・シナトラ。
Everything Happens to Me (Sinatra, 1941) http://youtu.be/ZWw-b6peFAU
――1941年の録音ですが、信じがたい音質の良さ。さすがスター。さすが大資本。これがヒットして、多くのジャズ・ミュージシャンのレパートリーになりました。ちなみに曲名は「僕には悪いことばかり降りかかる」というニュアンスです。恋人に手紙を送ったらさよならの返事が返ってきた。しかも郵便料金はこちらもちで、みたいな。もうひとつだけ聴いてみましょう。
Everything Happens to Me (Baker, 1955) http://youtu.be/UI61fb4C9Sw
( ・3・) このいけすかないイケメンは?
――チェット・ベイカー。50年代の西海岸を代表するジャンキーです。シナトラに比べると、ショウビズっぽさがなくなって、一気に退廃の世界に引きずりこまれる。で、モンクの話に戻りますが――
( ・3・) ショウビズではないし、退廃でもない。
――もっと抽象的な次元で音楽を考えている人だと思います。
( ・3・) 素材はポピュラー・チューンなのに、ずいぶん鋭い和音が出てくるな。
――調性の枠内で本来なら聴こえないはずの音が聴こえてくると、デレク・ベイリーのような無重力の音楽とはまた別種の怖さがあります。幻聴の怖さとでもいうべきか。さいごにぽつんと置かれる減5度の音には、「聴いてはいけないものを聴いてしまった」という感じがよく出ています。
( ・3・) 減5度はジャズでは珍しくないんじゃないのか?
――はい。でも、その音をどう響かせるか、その音にどういう意味を持たせるかというのは全く別の問題です。そういう音の配置に関してモンクは天才的でした。
( ・3・) カキーン、コキーンと石に楔を打ちこむようなタッチで、ピアノの先生が卒倒しそうだが。
――意図的に選択されたスタイルだと思います。プライヴェートではショパンを弾いたりもしていたそうですよ。 [2]
( ・3・) 見かけによらないものだな。
――小さいころから必死に練習すれば、いつかはマウリツィオ・ポリーニの水準に達するかもしれません。しかし、ピアニストとしてモンクを超えるというのは、端的に不可能です。それがどういう事態を意味するのか想像できませんから。
( ・3・) 四角い三角形を想像できないように、か。
――アンドリュー・ヒルは作曲・編曲に秀でたピアニストです。『ポイント・オブ・ディパーチャー』というアルバムが有名ですが、録音から半世紀を経たいまでも新鮮にきこえます。ペンギンブックスのジャズ・ガイド(なぜか翻訳されない)では、初版からずっと王冠の印が与えられていました。
( ・3・) 英語圏では別格扱いということか。
――ヒルは若いころ、ヒンデミットの下で学んだという話もあるのですが……
――誇張も混ざっているかもしれません。ヒルの経歴は、生年や出身地も事実とは異なる情報が流れていたので。
Refuge (1964) http://youtu.be/zquk2Tb-D6I
( ・3・) 何かひっかかるような弾き方のピアノだな。
――ヒルには吃音がありました。 [3] 言いたいことの手前でつっかえて、解決を先延ばしにするような演奏は、しばしばそのことに結びつけられます。
――ヒテーシンガク?
( ・3・) ほら、メルヴィルの『モービー・ディック』で、神秘的な白鯨の本質については語れないから、迂回してクジラにまつわる雑学的な記述が延々とつづくだろ?
――どうでしょう。アナロジーとしては分からなくもないですが。
( ・3・) 形而下の世界に戻るか。あれ、このサックス奏者、さっきも出てきたんじゃないか? (2分58秒にて)
――エリック・ドルフィー。共演者の共演者を辿っていくと、きょう紹介する人たちはみんなつながっています。
( ・3・) デレク・ベイリーも?
――はい。セシル・テイラーと共演していますし、この次に紹介する人ともアルバムを出しています。
( ・3・) なんだかドルフィーに耳を持っていかれてしまうな。
――圧倒的です。ねずみ花火のような軌道と瞬発力。数か月後に死ぬ人間の演奏とは思えません。
( ・3・) すぐ死んでしまうん?
――はい。ドラッグでもアルコールでもなく、ハチミツのオーバードーズで。正式な診断ではありませんが、糖尿病だったといいます。 [4][5]
( ・3・) ハチミツって、くまのプーさんみたいなやつだな。――ん? いまミスしなかったか? (6分36秒にて)
( ・3・) やり直しになるんじゃないの?
――ジャズは減点方式ではなく加点方式ですから。ミスがあっても、総合的にはこのテイクが最良という判断だと思います。
http://anond.hatelabo.jp/20150124220256
ビッグバンド形式でのジャズはこの時代でフォーマットができあがったっぽい
1940年台からバードとかディズとかマイルスとか、一流のセンスを持つ若者がバンドから抜けだして裏で切磋琢磨する場所ができた
ここでジャズって言葉が変化して「一流のセンスを持つ若者が集まって切磋琢磨する遊び場」って意味でも呼ばれるようになったと私は理解してる
(違ってたら教えてほしい)
それから1980年台くらいまでいろいろジャズに派閥ができたりしたけど、
「おれのほうがもっとうまくできる」っていう奴らがジャズって遊び場で自分なりの才能を持ちよって、
競い合いながら「おれの考えた最強のジャズ」のフォーマットをグイグイ生成していったって感じ
1910年台から1980年台までいろいろ作られたフォーマットが、伝統芸能的に現代まで受け継がれてってしまってるよね
元増田のセレクトは昔の時代のフォーマットのものばかりだから、古臭いのは構造上どうやっても避けられない問題だと思う…
マイルスも分かってたよね
時代が進んで、一流のセンスを持つ若者にとって、ヒップホップって場所が一番ジャズしてる場所だったってこと
スポーツというのはデリケートなものであり、下記のような二面を持っていると考えている。(※これはスポーツだけではないとも思う)
私は、下記の両面を行動に組み合わせたものに、成果が出ると考えている。
①Numberを見ていて、この1000本ノックがもたらす、ゾーンの世界というのを
見た覚えがある。フラフラになるまで練習を繰り返す、あるいは、清水宏保の
ように恐ろしい練習で、ブラックアウトするまで自分を追い込み、ゾーンの世界を
体験して返ってくるという練習をして、高めていた。
しかし、それは大会前までに終わっていることではないのだろうか。それ以降は調整状態なのだから、
リラックスして、楽しんで、それで①の状態をx1.2ぐらいにできればよいぐらいのものではないのか?
「中田英寿はアトランタオリンピックで耳が一人だけ柔らかかった=緊張したりものおじしていなかった」という状態。
國母氏が、反省してまーすで、物議をかもした。
礼儀がなっていない。彼を見て、不快だから、条件反射的に叩いている人いますけども。。
私には、当時から、とても、アホでrudeだから、馬鹿にしているというより、ただ注目を集める場で、
彼なりの不満(オリンピックのみに注目するメディア、X-game見に来いよ)の怒りを露出させたのでは。
あるいは彼なりの普通のリラックスしたパフォーマンス。メディアバカだし。
そもそも、スポーツ(特にセンスを要するような競技)において、功績を挙げている選手がスゲーアホで、
頭脳がダメっていう発想がよくわからない。純粋まっすぐな一直線の努力が身を結ぶケースってこの時代に大分絶滅している気がする。
国威掲揚と捉えている人って多分大会前に努力が終わっている事を知らない気がする。
俺もないっす。だから学びたい。
生きてりゃ、〆どころと、羽目外すところって、そもそも気づきません?
ある所まで、ストレスがんがん掛けてそれを続ける事が、効果生みます?
その出せなかった悔しさをバネに頭脳的に頑張るといった、心構え実は無いのではない
だろうか?
オリンピックはマイルストン、それはアスリートにとって大事なマイルストン、
でも彼らはその日常を多大な努力を払って、世界レベルに到達している。
マイルストンまでの調整、そこでのリラックス、これは我々はむしろ見習うべきことであるし、
我々は彼らの努力や、身を結ばなかった場合の失敗に関して学ぶことはあっても、税金だしているんだ、メダル取れねーってどいうことだっていう前に、沢山あなたの
これの欠点はセックスの最中は常に相手を冷静に観察したり考えたりしてるので、中折れしやすいこと。
ただ相手の満足度は高い。
自分はそんなに気持よくないし、めんどくさい。
それから感想を聞く時は「○○は気持ちよかった?」ときくのではなく「どれが気持よかった」を聞く。でないと回答にノイズが混ざりやすい。
聞かなくても冷静に反応を観察してたらわかるけど。
「マイルストンを通過したら、戻らない」とあるように、相手がもうダメになったら自分がいけなくても終了するのは重要。
大体2、3回で相手のポイントや相性が分析できる。
だから飽きる。
好きな子とだったら何年しても楽しくて飽きない。
俺はこんな感じなんだけどおまえらはどうなんだ?
http://anond.hatelabo.jp/20090606035828
ああいうスレで「>1で氏にますたwwww」みたいな事をやってる奴らっていうのは三木道三の事をヒットチャートくらいでしか知る気はないってだけなんだけど、じゃあモトマスダだって自分が興味関心のない話題、例えば、ガンダムの型番とか、AKB48の現役全メンバーの名前を挙げろとか、夏への扉の背表紙に書かれたSF番号を答えろとか、ウメダモチオが飼ってる犬の名前とか、ダンコーガイが取締役やってた会社の名前とか、マイルスデイビスがブルーノートレーベルで出しているアルバムタイトルと、セッションメンバーはとか、そういう事に何も見ないで回答出来るのかと小一時間問いたい。問い詰めたい。
自分が好きな事を、他人も同じように知っているなんていう事のほうが少ない。「うはwwwマジ氏らねえwww余裕で氏ねるwww」と言う人のほうが圧倒的多数なんだよ。そしてそういう事を言っている人というのはからかっているのでもなんでもなくて「知らない」という事実を口にしているだけなんだ。
そこに「からかっている」という眼差しを感じ取った瞬間に、モトマスダは「マイノリティとしての屈辱」を勝手に創出し、そして勝手に傷付いているに過ぎない。逆に言うならば、もし「うはwwwマジ知らないww」という言葉が傷付ける事を目的に発せられたのだとしても「無知だという事を言いたいのですね、わかります」という態度で受け流してしまえば良いだけの事でしかない。マジョリティであるという事が正しさの証明になるわけではない。どんなに多くの人が「知らない」と言おうとモトマスダの中にある「三木道三が好き。彼は偉大だ」という気持ちに変わりはないだろう?だとしたら「知らない」という彼らとあなたは全く別の文化に住んでいるという事が証明されたに過ぎないではないか。
「からかわれた」とう心理は、マジョリティ・マイノリティの問題に収斂していく。多くの人が「知らない」と言ったに過ぎない事を「からかい」だと感じるのは「知らない=メジャーではないものは存在自体が恥ずかしい」という文脈の上に成立するのであるのだが、そうした事を明示されてもいないのに「感じ取る」のは、モトマスダの中にも同様に「知らない=メジャーではないものは存在自体が恥ずかしい」という感覚が存在しているからではないだろうか。
(一続きの文章なのであるが、増田だからという理由だけで4分割。長いと読まれないので。
因にこの一連が最後の書き込みである。もう神みたいに3日後に復活はしない。神に誓う。ってか8日後に神の子が生まれたらしい。
「王様」だって言っているのに何故か「神」って呼ばれる。「神に近い!」神って何なんだ?括弧の中が長いので以上。)
で、クリスマスですが、三年前は「とても特別な日です。」と教えられ、二年前は「この日に大いなる意義を与え過ぎました。」と言われ、
去年は「今年は日本人の庶民が、心から楽しむ事が出来る、最後のクリスマスだなんてファックだ。フランス人はネズミの肉を喰らってでも祝う。」
今年のアンサーを待ってますが、「20世紀最後のクリスマスです。」だと予想されます。
ガキの頃21世紀への憧れを随分と刷り込まれました。結局何も変わらなかったと最初は嘆いていたのでしょう。
ですがそれは1つの事実を気付いていない者の言い分です。
「20世紀が終わる」というのは去年あたりからようやく効力を発揮したマジックワードでしょう。
マイルスもニルヴァーナも、そしてマイケル・ジャクスンも不在のクリスマスは今年が最初だからです。
http://anond.hatelabo.jp/20091216231359
〜T/H
V/Oついでにマイルスが大学をやめた時にマイルスオヤジが言っていたのは...。
「マイルス、窓の外の鳥の鳴き声が聞こえるか?自分の鳴き声が無いモッキンバードさ。
他の鳥の鳴き声はなんでも真似るが、自分の鳴き声が無いんだ。
あんなふうになるなよ。自分だけのサウンドを身につけることが一番大事なんだぞ。
自分自身に正直にな。やるべきことはわかってるんだろうし、お前の決心を信じるよ。
金は独り立ちするまで送ってやる、心配するな。」
〜『マイルス・デイビス自叙伝1』より〜T.H.
マイルスって男はやってる事や服装はメチャクチャなんだが、アレはアレで発言が控えめな男だと思う。
何より育ちが良い。当時の黒人にしては稀な大学に通っていたボンボン。しかも田舎者だった。
ここで出会ったのが運の尽きと言うのだろう。
1から10までストリートの作法をマイルスに叩き込んだその人こそ
チャーリー・パーカー。愛称「バード」。
それにしても「鳥」とはデカく出たもんだ。
しかしワタシはこの「バード」が自称なのか、誰かがとって付けた物なのか...。
知らないで居るし、別にそんな事に興味は無い。
全部マイルスが自叙伝で語っている通りだったと何の疑いも無く信じている。
鳥は幾多の夜、何処までも天空を舞い上がった。
そしてある夜に、精魂尽き果てて地の底に落ちたのだと。
〜T.H.
「大文字」「小文字」などと言えば何とでも成るが、俗流解釈においてもフロイト〜ラカン精神分析は未だ強大である。
「シェーマL」をパクったモデルを何度見させられたか解らないが、
「鏡像に依り、対象が歪められる」などと小難しく言わなくても、
「体調に依って物の見え方が違い、一定しない」という事は良くある...。
と言うか、体調はダイレクトには関係しない。自己愛の事である。
「盲目的に過大評価する/過小評価する」などは有って当たり前なので、
この度合いが極端過ぎるのが許せない方は正直「批評」なんて物を見ない方が良い。
「“生まれて初めて惚れた女”があまりに眩し過ぎ、堪え難い享楽で自らがダメになると思い全力で逃げた」
そんなワタシが言っているので間違い無い。
だから天使ジュリエット・グレコは今日も綺麗なままだ。
〜T.H.
大学入って軽音サークルに顔出してビビったのが、ロキノンジャパンで表紙を飾っているくらいのミュージシャンでも「マイナー」だと思い込んでいる奴に会ったことだった。それも複数名。「自分より音楽詳しい人に初めて会った」って、君が話題に出した固有名詞って、タワレコだったら全店でパワープッシュされてるくらいの奴等じゃん? そりゃ東北地方じゃ学年に一人しかファンがいなかったかもしれんけど、普通に都心部ならメジャーだろ、そんなん。それぐらい想像力働かせろよ。あ、そんなことも想像できない鈍感さだからここにいるのか。はははー。メンゴメンゴ。
んで、そういう奴等と差異化を図ろうとする奴等が挙げる名前も、サブカル野郎御用達の大御所だったりしてね。ふーん、ザッパ好きなの? ウォン・カーウェイの映画で知ったんだー、へー(死ねばー)。へー、最近クラブ通いが楽しい? ふーん。アンダーワールドはアンセムですかー(死ねばー)。ジャズにハマってる? マイルスはやっぱりエレクトリック・マイルス時代がいい? へー(死ねばー)。ナゴム好き? はー。人生は最高なんですか。へー。卓球はベルリンでイベントもやってて凄い? ケニシは神。へー(死ねばー)。スターリン? 頭脳警察? いっぺんでいいからラリーズが聴いてみたい? ジャニスでも行けばいいんじゃん? 東京にいるんだしさ(死ねばー)。へー、ハードコア好き? ナパームデスが凄い? 何、まだ一曲が短いとかいう話はネタに出来るんだー(死ねばー)。プログレ? へー。クリムゾンのブートが凄い? できるもんなら60年代と70年代にヨーロッパにいたかった? へー(死ねばー)。最近ハルヒが熱い? I'veはいい曲書いてる? へー(死ねばー)……みたいな。
勘違いして欲しくないけど、別に個々の音楽が好きなことはどうでもいいのよ。勝手に好きであればいい。好きなものは好きだからしょうがない。
ただ、それを自慢気に差異化ツールに使う割にぬるいアホは全て死ねばいいと思うだけ。マニアック気取るならその場の誰もを置いてけぼりにするくらいわけのわかんないネタを使えよ、と。ぬるいことしてんじゃないよ、と。