はてなキーワード: スイス国立銀行とは
かつてスイス国立銀行(中央銀行)の総裁を務めたヒルデブラント氏は、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)が開催されているダボスで行われたブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「率直に言って、年内緩和の可能性は全くないと私は思う。これについての市場の見方は誤っているだろう」と述べた。
ヒルデブラント氏はインフレ率が数十年ぶりの高水準から急低下すると予想するが、世界の中銀はインフレ率を2%へと抑え込み、物価上昇予想を決して再燃させないよう取り組むだろうとも語った。「見られるとしたらせいぜい、ある種の一時休止だろうが、今はそれもまだだ」と述べた。
同氏は「かつての大いなる安定期には、インフレを抑制しても、それ以外は順調だった。今はインフレを制御することは、実体経済にダメージを与えなくてはならずリセッション(景気後退)を引き起こすことを意味する。これは回避できない」と説明。「物価安定を取り戻すことは本質的にリセッションを伴う」と指摘した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-16/ROKRF7DWLU6801
日本時間の先週木曜の夜に、スイス国立銀行が、ここのところ3年も続けてきたスイスフランの対ユーロでの上限を撤廃すると発表したせいで、わずか5分くらいの間に、スイスフランが暴騰して、その後、暴落。一時、為替がめちゃくちゃになりました。
要は、1ユーロ=1.2フランを割りそうになると、スイス国立銀行が、本気で介入して、スイス・フランを売りまくって、1.2フランを割らないように死守するという政策をここのところ取ってきたので、投資家にとっては、かなり安全な投資だったわけです。1ユーロが1.2フランに近づいてきたところで、フランを売っておけば、ほぼそこよりフランが上がることは、スイス国立銀行が許さないので、リスクはかなり限定的で、あとは、フランが下がるのを待つという定石だっただけです。
ところが、その上限が撤廃されたわけですから、まあ、大変なことになりました。ほぼ一瞬で、スイスフランが40%くらい上昇したんです。で、その後すぐに30%くらい下がると。対ユーロだと、わかりづらいので、対円でいうと、発表直前に1スイスフランは114円だったのが、発表直後に+47円の161円に。一瞬で40%上昇。その直後、135円近辺まで一気に下がりました。
この破壊力は前代未聞で、証券会社にもよりますが、1ロット(10万通貨)買っていたとすると、4,700万円の儲け。逆に1ロット売っていたとすると、4,700万円の損。
FXというのは、証拠金為替取引と言って、口座にいれた額の25倍分、(法人や海外口座だと)何百倍分の通貨を取引することができます。日本の証券会社の場合には、口座に入れておいた額よりも多く損をしてしまうと、その差分を請求される仕組みになっています。
個人が日本の証券会社で、スイス・フラン1ロットを売ったり、買ったりするためには、売買する通貨の代金の4%の証拠金が必要(=証拠金の25倍の取引が可能)なので、1スイスフランが114円の場合、45万6000円の証拠金が必要なので、だいたい50万円くらいの資金が口座にあれば、1ロット売ることができるということになります。上がると思って、下がってしまった場合には、口座に預けている金額から、損をしている分が差し引かれて、証拠金が計算され、証拠金の維持率(本来必要な証拠金の額に対する現在の証拠金の割合)が、50%、つまり売買額の2%を切ると、追加の証拠金(追証)としてお金を入れてくださいという連絡がきて、さらに、(証券会社によりますが)通貨価値が下がって、証拠金維持率が30%、売買額の1.2%を切ると強制的にそのタイミングで決済されます。
理論上で言えば、本来必要な証拠金の30%を残した状態で、決済されるとすれば、そもそも口座に入れたお金が減って終了(今回のケースだと口座に13万円くらい残る、50万円入っていたとすれば、37万円の損)となるのですが、これもタイムラグがあるため、相場が急激に動いた場合には、ロスカットしたときに、さらに損失が増えているということがあるというわけです。今回のように歴史的にも稀なくらい急激だと、当然、ロスカットも間に合いません。
案の定、間に合わず、最悪のケースだと、スイスフランを1ロット売っていて、50万円しか口座にいれてなかった場合、4700万円損がでて、4,650万円を追加で請求されるのです。
突然、数千万、人によっては、億の利益が出た人がいる一方、証券会社から、数千万、数億のお金を請求されている人が今回はたくさんでているようです。
殆どの人は、そんなお金は払えないので、おそらく、自己破産をされる方が続出すると思われます。主婦の方が、お小遣い稼ぎで100万円の資金でやっていて、数千万円を請求されて自己破産となれば、奥さん名義の財産はそっくりなくなります。共有名義でマンションでも買っていたら、住むところもなくなってしまいます。
請求しても、自己破産されてしまったとしたら、証券会社は、それ以上の回収はできません。一方、儲けが出た人には、支払わなければなりません。となると、証券会社も体力によっては、危なくなってきます。すでに、海外では、業務を停止したところもあるようです。
FXの会社は、一般の株を取り扱う証券会社に比べて、設立のためのハードルが低いので、ベンチャー企業が子会社で設立しているケースが多くみられます。今回の件で、今後大きく損失が出る場合、親会社やグループの収益にも大きく影響を与える可能性もあります。潰れるFX会社がでたりすると、我先にと、資金を引き上げる人が増えるので、信用不安から、取り付け騒ぎに発展し、恐慌を引き起こさなければいいなと、祈るばかりです。