はてなキーワード: エレベータとは
なぜかオタ必死だな、とりあえず反省してやりすごせよというような結論に持って行きたがる人間が多いが、そこが問題じゃねーだろ。
言っておくが俺は別にイベントなどどうでもいい。今回の事件でイベントの概要なんかを調べたが、はっきり言ってどの一部の愛好家(オタクというとやたらとつっかかてくる夏の風物詩がいるのでこういう表現をさせていただく)たちのイベントもイベントの規模に比較して小さい会場を使い余裕を持たなすぎると思うね。
事故を発生させた奴らはしっかりと失敗から学び、二度とこんな事が起こらないように(一番確実な対策はやめることだ)すべきと思うがね。
だがしかし、今回の事件で一番問題なのは阿呆なエレベータだろうが。一部の愛好家の奴らがいかにキモくてデブで風呂も入らずクソでクソがいくらくせえからといってそのクソにばかり注目してクソがくせえなどという当たり前なことをガタガタ言うのではなく、もっと根本的なところを見るべきだと思うのだが。
たとえば、同等の事故が名古屋でも起きているわけだが(同じ会社の同じシリーズのエスカレータだ)これについても走って上る事が原因の一つだといわれたが、「リーマン必死だな」「何をそんなに急いでるんだよキモス」「●●駅利用者はキチ○イ」とか言う馬鹿共はおらず(いやおったかもしらんがそれほど目立ってない)、エスカレータ屋は普通に対策をしたわけだろ。
今回もエスカレータ屋はどれだけこのことがやばい話かということについて一番よくわかっているだろうから処置するだろうが、社会的圧力があるかないかによって全然話は違ってくるだろ。つーか今回は件の会社がやり玉に挙がっただけでいくらその会社が阿呆だからといって似たような阿呆な会社は世の中にいたくさんあるのだから、生け贄にあがった阿呆な会社には自らの運の悪さを十分悔いてしっかり生け贄になってもらって、そこから搾り取られたノウハウを社会的研究などと称して開示させ、阿呆な会社みなでその血肉を喰らい貪り血をすすり、少しでも阿呆な会社が頭をよくしましょうってな方向に行くのがベストなんだよ。
こういった事が、クソがくせえくせえと騒わぎまくる阿呆共のために本当にさらにキてやがる毒ガスを見逃すような事になっては大迷惑だといっている。
といったところで原因はそれだけじゃねえ。
言ってしまえばすでに参加型でやるには規模が大きくなりすぎだし、こういった事故が起こると言うことは、会場の選定を間違っているだろうが。いつかエスカレータが阿呆な運の悪い会社が作っていたとして、いつか必ず事故が起こるとは言っても他のイベントではなくこのイベントが貧乏くじを引いたのは、運も含めて何か原因があるわけだろ? その原因分析は相応にされるべきだし、施設の制限を事細かに事前に把握して適切な誘導プランを策定するんだっていいし、主催者が悪霊に取り憑かれていて運気が下がってるんだったらスピリチュアルなジジイでもつれてこいや。
言っちゃえばこの手のイベントは毎回問題を抱えているが、運営方法が馬鹿すぎるだろ。愛好家の集まりだから金がだせねえとかいいわけを放く奴らがいるが、相応のコスト負担をせずにやって無理ならさっさと止めろ。キャパが小さいところにでっかいイベントつっこんでるんだったらさらにでかいとこ探せ。適切な会場に移れ。無いのなら作れ。それが無理なら規模の抑制ぐらいしろよ。少なくとも時間帯で開始直後に集中しないように抑え分散化させる努力をしているのかと問いたい。
それだって事実だろ? よかったじゃねえかコミケじゃなくて。ワンフェスで。ワンフェスならちゃんとした運営企業がついてるからな。なんちゃら準備会とかいうアマチュア共の集まりと、なんちゃら有限会社とかいうイベントだけやっているような虚業会社にくらべりゃいい。コミケだったらたたかれ具合はこの比じゃねえだろ。下手すりゃ終了してたね。ワンフェスは海洋堂だろ。非オタクにも認知はあるし実力がある。だからきちっと原因究明してくれるだろうよ。
今回たまたまエスカレータが一番阿呆だったからここに問題が出たとしたって、こいつが丈夫なら次に弱いところに問題が出たかも知れねえ。
そのイベントの規模が問題であって、クソがくせえのは問題じゃねえんだよ。
便所がくせえのはクソがくせえのもあるがそりゃ便所が壊れてあふれてるからだろ。そこでクソがくせえ事を問題にしたって仕方ねーだろうが。便所が壊れている事に関してクソが俺が悪うございましたすべて俺が悪いなどと反省し罪をかぶったところで原因究明が遅れるばかりでそれこそ屁の足しにもなりゃしねえよクソが。
最後に、このトラックバックツリーの大元の増田の話を引用しておく。
事故が起きないようにする防衛策と起きたあとの対応策の両面に問題があるはずなのに極々狭い視野で決め付けや陰謀論に走ったりしてるからもう見てらんない。
つまりはこういうこった。あのビックサイトは貴様ら一部の愛好家共だけが使ってるわけじゃねーし、エスカレータはあそこだけにあるわけじゃない。人ごとなんて誰もいってられねーんだよ。
少し違う視点から質問したいのですが、
施工前に設計図のチェックを国or審査機関が審査する制度って、あるのでしょうか?
個別チェックでも、形式認証でもいいので。
その認証が通っている(つまり、現行制度下で設計上の不備がないと国のお墨付きが出ている)ならば、
設計不備の問題に関しては、それを見抜けなかった国にも責任問題が出そうに思うのですが。
http://q-orbit.jp/2008/08/post_314.html
とかあるように、そこがおかしいと思ってる人はたくさんいるようです。なのに「ヲタが殺到しやがって、キモいんだよ」的に、乗り手やイベントを叩くマスコミの多いこと。こうやってまた信用を失っていくんだなあ、と思いますね。
ちなみに法律上は
建築基準法施行令 第129条の12 エスカレーターは次に定める構造としなければならない。
4 エスカレーターには、制動装置及び昇降口において階段の昇降を停止させることができる装置を設けなければならない。
5 前項の制動装置の構造は、動力が切れた場合、駆動装置に故障が生じた場合、人又は物が挟まれた場合その他の人が危害を受け又は物が損傷するおそれがある場合に自動的に作動し、踏段に生ずる進行方向の加速度が1.25メートル毎秒を越えることなく安全に踏段を制止させることができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
(社団法人エレベータ協会ページ(http://www.n-elekyo.or.jp/square/escalator_02_01.html)より)
が問題の箇所になるかと思います。
話を蒸し返すようだけど、素朴な疑問もうひとつ。
エレベーターって、重量オーバーになるとブザー鳴って「降りろゴルァ」ってアラート出すよね。
ビッグサイトのアレだって、TVじゃ1ステップに3人乗ってたことにしたいみたいだけど、実際には結構整然と乗ってたらしいじゃない。
重量オーバーになった場合は警告のひとつも出ず緊急停止もせず(したの?)いきなり自由落下みたいな速度で逆走する構造だったなんて、少なくとも私は知らなかったし、恐らくワンフェスの中の人も知らなかったっぽい。はたしてビッグサイトの施設管理の人は知ってたのだろうか。警備会社の人は?
エスカレーター業界の人にとっては常識だったのかもしれないけど、少なくとも誰もが皆知ってたことじゃないよね。
いや、今まで必要性が認識されて無かったってんならわかるんだけど。
でもこの問題って、少なくともマスゴミさんの間では今日になっても問題視されてないよね。
そのことが何より「なんでだろうね?」ではあるです。
(そもそもTVで取り上げる回数も急速に減ってる感がある。風化するの早いね!)
「エスカレーターとゆーものはだな、かくのごとくフェイルセーフがザルな構造の乗り物なんである」という事実が(エレベータのブザー並に)一般常識として認知されていれば、[だから注意して乗れ|だからまともなフェイルセーフを作れ]のどっちの方向でも構わないから、もうちょっと頭のよい管理が出来て、これまでもこれからも事故無く使えたんじゃないかな。
俺は別に「ステップ全段に人が乗る可能性があるならそれに対する対策をするべき」とは思っていないが、現実可能かどうかは別として原則的な考え方をひとつ。
たとえば車だと200キロ以上で走ると暴走するならたとえば150キロ以上スピードが出ているとなったら燃料供給を抑制するし、パソコンのCPUだって同じものだけど2.6Ghzにしか耐えられないやつ、2.88GHzまでもつやつとテストして、それぞれの使用範囲に限定するよね。
理想論としては、絶対に壊れないエスカレータというのが理想だが、それは物理的に無理。となると二番目の論としては(これも理想論だが)厳密に耐えられる負荷を計算して、それ想定以上にならないように管理するというのがある。
今回の場合もそれが問題なので、何らかの方法で、一人ずつ一列にしか乗れないようにするとか(あくまでも実現可能性を無視した原則論なので方法にはつっこまんでくれい)するのが対策として有効だと思う。
ということなので、吊り橋の例だに応えるとすれば「理想としては壊れない吊り橋を造るべきだが、現実的に無理ならば吊り橋の入り口に回転ゲートでもつけて、必ず耐えられる人数しか同時に橋の上にいないようにすべき」というのが理想論としての回答になるかと思う。安全に降った考え方の極論としては「壊れるようなことはそもそもできなくしておけ」というのが原則。(何度も言うが原則の話なので実現性はおいといてくれ)
まぁ、現実は「三人以上のったら死ぬぞ!」とかでっかく書くとか、そういう対策になるんだろう
これをエスカレータに持ってくると、全段に人が乗る可能性があるというのはそういう可能性を低くする対策をとればよいということになる。つまりエスカレータにエレベータみたく明確にでっかく乗員人数を書いて、しつっこくアナウンスするスピーカーをつけるとか、そういう知らせる対策も、対策の一つだったと思うね。
それが無いことを欠陥だとするなら、欠陥なんだろう。個人的には欠陥とかだれが原因とかそういうふうにあげつらうのではなく、事故なんだから粛々と対策してノウハウとして残していく方を重視すべきと思うけど。こんな事故、きっとどこだって発生しうるわけだし。
横だし名古屋とかシラネ。
同じメーカの同じシリーズで同じような事故が名古屋であって、それに対策しているのに似たような事故になってるのはなぜだ、って話じゃないのか。
元増田のタイトルを再掲しておくが「なんで特定メーカの製品(エスカレータ)で同じような事故がおこり、他社の製品では発生しないのか?」だぞ。同じような事故が起こっている点を問題にしているなじゃないのか。シラネって(笑)
本当に知らなければ
ぐぐればすぐ見つかるよ。
エスカレータの話をしてんのに、なんでビックサイトの集客数の話になるわけ?
デパート等のセール時の異様な混雑具合だとか、当然緊急・パニック時の動作も想定されている大規模駅とか、いくらでも条件が厳しいところはあるだろう。今回の事故の原因となった負荷は、集中したときのエスカレータの負荷なわけ。なのでたとえば1000人程の人数でも、パニックになって集中したときにも同様かそれ以上の負荷が発生するはず。人数が問題じゃない。
百歩譲って経年劣化や疲労の話を含めた人数的な話に持って行くなら、大規模駅のエスカレータとかの方がよほど日常的に高い負荷がかかってるだろ。
おまけに日本の他のって(笑) 件のエレベータ作ったの外資系なんだけど。なんで日本限定?
よって的はずれなデータ出されても全く意味がないんだが、万国博覧会なんかのデータちゃんと見てる?一日あたり25万人が数日続いている期間が存在するんだけど、最大の三日間は80万人以上入場している。まぁイベントの種類自体は違うけど、エスカレータの負荷の話をしているのに、入場者数で負荷をはかろうとするよりは近いので、あんまりにもこの増田がおもしろいので挙げておく。ついでに言うとそのイベントの入場者数、のべ人数だよね? オタクイベントが無視できない入場者数であることは事実だが、ユニークな来場者数の統計もしてないし、他のイベントよりも圧倒的に入場者数が多いというのは幻想。
視野が狭いにもほどがある。「俺のしってるところはこんなにすごいんだぜー」という話なのか。大きな事を語って自分が偉くなったように錯覚することはよくあることだが、それで本質が変わるわけではない。
人一人がもてる世界観などたかが知れているが、せめて問題の本質を見誤らないようにすべき。
恥をかかない程度には。少なくとも。
http://anond.hatelabo.jp/20080805080134
あおりじゃなくて、素で疑問な部分から。
今回の似たような逆走事件、たとえば日立エレベータとか、三菱電機とか、そういうところが作ってるエスカレータでは問題が起きておらず、この会社のエスカレータだけで発生しているという点がどうしても気になるんだが。
いや、事情に詳しい訳じゃないんだけど特殊な長大だったり、軽量化しなければいけなかったり、過酷な環境で使われるエスカレータはこのメーカしか作っていなくて、そういう特殊な場面でのみ発生するとかなのかなぁ。だけどたとえば東京都のホールなんかにも使われているけど、あっちはそんなに超大型じゃないし、美術系の施設だから、そんなに過負荷がかかるとは思えないしなぁ。
だとすると、どこかに必ず決定的な違いがあるということになると思うんだけど……。そうするとこの増田氏の
君の言う条件に適うエスカレータを作ろうと思ったら、現行の数倍の予算とスペースを使わないと駄目だ。
は全くの的外れということになるんだけど。つまり事故が起きていないエスカレータが世の中には存在するわけで……。
機械設計での経験から言わせてもらうと、強度をあげるには大型化が必須でそれは無理、という話はどうかと。
言っちゃうとその理屈「一般のビルと高層ビルは工法が同じなので、高さを増すと下はどんどん重くなって地盤沈下がおきて実現不可能」といってるのと同じだよ。
補強するのに部材の肉厚を上げるとか、そういうことしか思いつかないのは、それこそ設計の実際を知らないか、近年(といったってここ二十年以上前からやるところはやってるが)の設計計算の手法の高度化をご存じない方と思えるのだが。
まぁ、私はいつも机上論ばかりやっている人間(コンピュータを使った設計と強度計算・シミュレーション)なのでね、現場の人の言う「現場を知らないくせに」という話なのかもしれませんがね。
これが建物の設計上その大きさで設計しているから、今から変更するのは難しい、という理屈なら若干わかるが、これだって互換品はあるだろうし、言い切っちゃうほどの話じゃない。
不思議。
「全ての段に2名ずつみっちり乗ることは想定されていない」って、そんなんデパートや大型店の新規開店なんかで普通に見られる光景のはずなのに今まで問題にならなかったのが不思議。
「エスカレーターは1段のステップに2人が乗ることを想定している」らしいけど、重量制限って130kg/段らしいじゃん。80kgと50kgの夫婦が手荷物持って並んで乗るだけで突破しちゃうよそれ。
しかも重量オーバーになるとブレーキ利かずに空転しちゃうって何よ。
今回のアレ、すごい速さで逆走してるじゃねえか。
重量オーバーになっただけでこんな事故になるのに、安全機構がこんなにザルだなんて。
今までそんなん全然知らなかったぞ。
エレベータみたいに、エスカレータの利用者にわかる形で重量制限表示してあったっけ。
ビックサイトだけじゃなく、日本中の混雑店舗の従業員のどれだけがこのこと知ってたの?
普通の横幅のエスカレータに大人(デブオタ)3人詰め込むなんて物理的に無理だろよ。それを既成事実として報道するのが不思議。
どう考えても設計と啓蒙に問題あるっぽいのに、エスカレータ屋を全く叩こうとしない大手報道屋さんが不思議。
誰が誰を守りたいんだろう。
胸糞悪い。
あれはいつごろのことだったかな。たしか、大学二年の……夏、そう、ちょうどこんな季節じゃなかったか。
あのころ。
僕は純正の非モテで、学校も苦労して入ったけどすごく面白くなくて、サークルもなんかうすっぺらいやつらだな、ぐらいしか感じなくて、ひどくやさぐれていた。
丁度、ゼミ選択が来年にあったから、いろいろ調べてみたりとかしてるうちに、文系ポスドクの現実なんかもちょっとずつ理解して、研究の夢が凄まじい音を立てながら雪崩落ちたのもひとつの原因だったのかもしれない。
とにかく、僕はそんな状態で、ひとり部屋にひきこもって、ずっと安売りのアクエリアスなんかを飲んでた。
カーテンはずっと閉じたまま。部屋にともる明かりはPCのディスプレイだけ。そんな生活だった。
そんな僕が、あのときはてブのホッテントリに上がっていたこのエントリを見たのは単なる偶然だったのかもしれない。
いつものようにOperaでスピードダイアルに登録してあったニコニコ動画を見る前に、ちょっとチェックして、僕は、衝撃を受けたんだ。
そこにはまさに僕がいた。
このリスト;
- 「だって俺だけベリーハード設定なんだもん。残機も回復アイテムもないし敵は鬼のように強いし、やってられないよ」
- 「女と付き合う(結婚する)ことでかかるコストはこんだけ、対して見返りはこんだけ。割に合わなすぎる!」
- 「恋愛至上主義社会に組み込まれたが最後、俺たちは搾取され捨てられるだけなんだ。そんな社会に参加したくない」
- 「でもイケメンじゃないし」「でも結局イケメンじゃないから相手にされないし」
- 「俺のことなんかほっといてくれ」
- 「結局○○ですね、わかります」
- 「○○や△△の良さが判らないような人種なんて・・・」
- 「女は信用できねえ!」
- 「女は怖い生き物だ、嘘つきだし○○だし△△だし□□だし・・・」
- 「スイーツ(笑)」
は、完全に僕の口癖だった。
ひとつ付け加えるとするならば(このために僕は特定されてしまうかもしれないけれど)僕は「恋愛は性欲と友情の合力で、馬鹿どもはそれを勝手に勘違いして、崇拝しているにすぎない」って思ってたところだろう。
それにしても、これは、ひどく衝撃だった。
自分の気持ちが暴かれた気がしたんだ。そして、僕は、この試験期間と残りの夏休みを有意義に使う算段を建て始めた。
僕がとった戦略を、ちょっと説明してみたいと思う。
基本は単純だった。
これだけ。
ああ、あと、適当に服には気をつかった。
成人式のために買っていたスーツを着て、僕は適当に買った雑誌を参考に、高い服を買いまくった。
ポロシャツで\15,000ぐらいしたのはほんとうに辛かった。
それで、Built to spillやSpoonのCDが何枚買えるんだ。
そして、具体的な戦略に話を進めていこうと思う。
基本の戦略を守ったところで、コミュニケーションを行う相手が見つからなければ話にならないから、僕は、当時の環境を悪用する手段をとった。
試験期間は、基本的にひとりぼっちである非モテにとって苦痛の期間だった。
エレベータで一緒になったときに(僕の大学は山の中腹にあって、エレベータなどの移動手段なしには移動が辛い)、リア充とおぼしき男たちが、「試験期間なんて友人の量の差だよなー」なんてことを言ってたけれど、実際そうだと思う。
なぜひとりぼっちだと辛いのか、というと、ノートのコピーがもらえないからだ。
きちんと出席なんてしてない上友人もいない非モテには、そういう意味で辛いのだ。
だけど、僕はこれを悪用しようと思った。
ようは、試験前に、30分ぐらい早く行ってすわり、ぼくは勉強ができそうな人(できれば女子)におもむろに話しかけるんだ。
そして、基本の戦略を守りながら、「前回のノートないんだ」「貸してくれない?」って依頼する。
ノートも借りれて、女子とのコネクションも作れる。割と良い案だったと思う。
何回かは失敗したけれど、六割以上では快く貸してくれることが判明した。
僕はそんなにかっこいい外見をしていたわけじゃなかったからこのぐらいだったのかもしれない。
が、何人かの女子も「試験情報共有しない?」みたいな提案にも乗ってくれて、そのあと友人として連絡をとってる人も少なからずいる。
あと、けっこう男のほうが拒否る。
とりあえず。
ここで、コミュニケーションというものは、そんなに難しいものではなかったことが判明した。
というのも、僕はもともと関西人で、無理やりハイテンション状態を維持すれば、土曜の昼に小学校から直帰して毎日食い入るように見つめていた吉本新喜劇のリズムでコミュニケーションをとることができたから。
女の子を笑わせることすら、修練を積んだら出来るようになったし、自分がこの娘の笑顔を作ったんだ、と考えて、少し誇らしい気分にもなったりした。
ほんとうに楽しかった。今でもそう思う。
これは結構重要なことだった。
初めの試験の話で、何人か連絡を取る友人ができた。
何人かの女子は、これを自分が怠ったために連絡が遠くなった。後悔した。
作業に熱中している際に邪魔されるのは非常にうっとおしいことだ。だが、それで、相手が「つながっている感」を感じてくれるなら、そんなに悪いものではないかな、と思った。
当時は女子にだけ、この戦略を僕は適応した。だが、あとで気づいたが、男子にもこの考えは蔓延していたのだった。
「メールは十分以内」どこかでそんなものを読んだように思うが、一度男の先輩に普通はそうだろ、なんでお前は・・・なんて、切れられたことがあった。
これも、後々考えればわりと重要なことだったように思う。
二回生、ということもあったので、サークルによく出席しているのは、三回や四回の先輩が多かった。
そこで、僕はできるかぎりコミュニケーションをとることを意識した。
そうすると、もともと捨てるものも無かった僕は、何かに愛着を抱き、それを守るためにキモチワルい行動をすることもなかったので(たとえば、特定の女子にたいする愛着とか)、わりと気に入られることができるようになった。
二ヶ月程度はかかったように思うが、それだけの見入りはあった。
合コンとか飲み会とかにも呼ばれるようになり、先輩の顔を立てて適当にちょこちょこ動いていると、また声がかかるようになった。
また、その合コンから、初めての彼女が僕にも出来ることとなる。
当時考えた戦略というのは、こんなところだったと思う。
今羅列してみれば、まったく練られていない、そして何がしたいのかも見当たらない、と、ダメな点は多々出てくるが、それは当時の若さに罪をかぶせ、不問に付そう。それに、それでも十分に効果はあったから。
友人、というコネクションが出来れば、非コミュの鎧はすぐに剥ぐことができた――そんなことすら、考えないでよくなるんだから。
そして、人生初の彼女というものも、それを起点にできることになる。
それからは早かった。
大学在学中に、いくつもの女性と閨を共にした。そのうちの何割かには振られたが、そのうちの何割かは振った。
就活は穴場だった。可愛い子がいっぱいいて、内定が決まっても受け続け、友人みんなで可愛い子がいるところの情報を回しあった。
こいつだけは大事にしたい、俺が幸せにしてやりたい、と思った女性に振られたときは悲しかったし、
逆に自分がそう思われていてうっとおしくなって振ったこともあった。
だけれども。
今、自分に何が残ったのか、と考えると、どうにも胸が痛い。
僕は何も残してはこなかった。彼女達にも、何も残してはやれなかった。
また、彼女達が、僕に作ってくれたものも無かった。
マフラーは6本。指輪は無数。ジッポーは3つ。セーターを編んでくれた裁縫が大好きな子もいた(そしてマフラーの半分は彼女の手によるものだ)。
だけど、僕の心の奥底に何かを作ってくれた娘は、結局誰もいなかった。
その理由は、彼女たちとのコミュニケーションが、とても上辺だけに終始したためだ。
僕は、やはり愛というものが、性欲と友情の合力であり、その生物学的に正当な劣情を、美化するために名付けられたものだという直感を拭い去ることはできなかった。
ポップ・ソングは今でも恋愛を歌っている。
それを僕達が聞く時、僕達はいったい何を思い浮かべる?
私は、自分自身の思い出じゃないかと思う。そして、その思い出は、否応なく美辞麗句でデコレーションされている。
その時感じた感情は「レンアイ」に昇華され、まるで崇高だったもののように扱われる。
僕が出会った女の子達は、皆心のどこかでそういう慰めを得ていた。
だからこそ、終ぞ彼女達の中では、僕という像は、僕ではなかったように思う。
彼女達は、僕というレンズを通して、違う像を心の中に結んでいたのだ。
レミオメロンの劣化コピーであり、くるりのボーカルの劣化コピーであり、ジャニーズの劣化コピーであり、TMレボリューションの劣化コピーであり、そういう僕を通して、彼女達の理想像である幻想を。
非モテを語るあなたたちは気づくべきだ。
自分自身が作り出した、その鎧があなたの動きを緩慢たらしめていることの無意味さに。
非モテを批判するあなたたちは気づくべきだ。
自分自身の、その見えない鎧――レンアイという言葉で、または、空気を(読む|読まない)という言葉で、あいまいさを作り出し、そのあいまいさの中で自分自身を安住させていることの空虚さに。
そろそろ夜明けが近づいてきた。
願わくば、あの、昔のホッテントリのエントリから長々とはてな匿名ダイアリーで続き、otsuneとid:fromdusktildawnによってかき回され、ダンコーガイとココロンの参入を許し、はしごたんやハーブマイスター(2008年に増田論客としてデビュー)の人生をひっかきまわし、id:jkondoとid:naoyaの不和までを生み出し決別させ、2012年の現在に至るまで終りなく争われたあの……不利益な議論が終りを告げ、
弟に坂口安吾の「日本文化私観」や「堕落論」「続堕落論」を読んで、感想を聞きたい。
角川か新潮文庫の「堕落論」にも収録されてるけど、青空文庫に収録されてる。
「日本文化私観」
http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42625_21289.html
「堕落論」
http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42620_21407.html
「続堕落論」
http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42619_21409.html
必要は発明の母という。その必要をもとめる精神を、日本ではナマクラの精神などと云い、耐乏を美徳と称す。一里二里は歩けという。五階六階はエレベータアなどとはナマクラ千万の根性だという。機械に頼って勤労精神を忘れるのは亡国のもとだという。すべてがあべこべなのだ。真理は偽らぬものである。即ち真理によって復讐せられ、肉体の勤労にたより、耐乏の精神にたよって今日亡国の悲運をまねいたではないか。
――続堕落論
日本人が現代に於いて産み出すものが日本の文化なわけで、弟の伝統への固執も、姉の新しいコミュニティへ行けってのも、
どっちもあってるとは思う。
アドバイスしたいことは山のようにあるのですが、その辺は希望されてないみたいですので。。
少なくともこれは間違いだと思います。まずあなたのコンピュータにケーブルを指して、そこの先にモータでもつながっていれば、現実世界に影響及ぼします。
たとえばこれを動かす仕掛けも「プログラム」ですよね?
http://www.legoeducation.jp/mindstorms/
他にもエレベータの制御プログラムとか、自動車の制御を行うプログラムも現実世界に影響を及ぼしてます。
もし自動車の制御プログラムが狂って勝手に歩道に乗り上げて行ったら、もしくは人間が誤った操作をした時に修正できなかったら・・何人が死ぬでしょう。
あと自己表現欲なんですが、これはblogなりに書いていけばいいと思います。
きれいなコーディングを競い合う人々もいっぱいいると思いますし、その辺の方と交流するというのもありかと思います。
#ってか増田でこうやって問題を投げてるのも一種の自己表現ですよね。
・店入るとき、エレベータ乗るとき、「いつどんな場合でも」女性を先に……今のタイミングだったらそっちが先でいいでしょ、ってときでもレディファーストを遂行しようとする。応用がきかない。初めていく予約した店だったら自分が先に立って入って名乗ったほうがいいし、人が周りにいっぱいまってるようなエレベータで自分が前に立ってたらさっと乗って扉押さえたほうがいい。慣れてないから、そのたびにおどおどしちゃう。
・「えへへ」と声に出して笑う。
・会話のレスポンスが悪い。内心焦っていて相手の話をよく聞けてないから、意を汲み取れておらず、返す内容が微妙にずれる。
・メールの本文がいつでも「こんにちわ○○さん」OR「こんばんわ○○さん」から始まる。
それでも、頑張ってないよりはよくってほほえましいので付き合ってるんですけど。やっぱ3番目がだんだん困ってくる。やさしいいいひとなんだよ、基本的には。マニュアルと観念をだんだん薄れさせて、自然体でいないと疲れちゃうよー。と言いたくなる。
Return-Path: <direct@mini-saki.com>
Received: from gmail-smtp-in.l.google.com ([202.75.37.206])
by mx.google.com with SMTP id v39si9729804wah.44.2008.01.29.03.18.31;
Tue, 29 Jan 2008 03:18:33 -0800 (PST)
Received-SPF: neutral (google.com: 202.75.37.206 is neither permitted nor denied by best guess record for domain of direct@mini-saki.com) client-ip=202.75.37.206;
Authentication-Results: mx.google.com; spf=neutral (google.com: 202.75.37.206 is neither permitted nor denied by best guess record for domain of direct@mini-saki.com) smtp.mail=direct@mini-saki.com
Date: Tue, 29 Jan 2008 03:18:33 -0800 (PST)
From: ジェントルマン木下 <direct@mini-saki.com>
To: 俺@Gmail
Subject: 毎日土下座していますか?
Message-ID: <8O4X33M53Z.9222@mini-saki.com>>
どうも。ジェントルマン木下です。
どのくらいジェントルマンかと言うと、デートマナーマニュアルを
12冊読破し、車のドアも女性には開けさせず自分の手で開けて乗せ、
運転席にかけて行くくらいジェントルマンです。
私のジェントル魂はそれだけでは飽き足りずテーブルマナーも覚え、
そんな苦悩に満ちた日々を送っていた時、ある人物が目に入りました。
その人物はなんと女性の目の前で土下座してセックスを懇願しているのです。
そう思いながらその光景を冷ややかな視線で傍観していたのですが、
なんと女性はOKしているじゃないですか!!
ジェントルマン改め、ジェットマンに変身して
大空に飛び出しそうなくらい驚きました。実際、飛んでましたね。
そして大空を羽ばたきながら気がついたのです。私は外国かぶれな人間だった…、
そうさ日本人じゃないか…と。日本にもこんなにもジェントルマンな作法があったのだと。
その日を境に、私はありとあらゆる土下座を試してきました。なかでも一番効果があった
土下座中もドアがバタンバタンと私の体を挟み、音を立てて演出効果を高めます。
それをされた女性は必ずOKします。
あまりのジェントルマンぶりにOKせざるを得ないからです。正直なところ女性も「セックスを
する口実」が欲しいのだと思います。「あそこまでされたら仕方ないよね」って。
そして、その成功率の一番高かったところがここです。
(URL 省略)
うーん、私は初対面の男性からオマエと言われたときがあったけど、別にいやじゃなかった。
特別な感情もなかったけど親近感の表れかと解釈したから。
> 彼女が私と仲良くするときは、自分の都合良い時だけなのです。自分から食事に誘うことはないし。定時になればさっさと帰る。残業の苦労を分かち合うこともない。帰り道や昼休みなど、だらだらお互いの素地を見せ合っていくような時間を、「そういうの無駄」というように切り捨ててきた人なんだよね。べつのメンバーがお互いの為に「親身になる」時、彼女はそれをしない。仕事面では多少あるけど、それは親身になるっていうのとは違うんだよね。
定時で帰れるならそれはありふれたことなんでは。お付き合い残業ってあんまりすべきじゃないし(よほど切羽詰ったチーム作業でなければ)。お昼休みに散歩したい人もいるし、勉強してる人も昼寝してる人もいる。それぞれだったよ、うちの会社は。だからと言って仲悪いわけじゃない。同期会では仲良かったし、エレベータの中では挨拶したし。ドライであることは別に悪いことと思わないけど。お昼もいったんでしょ?「会社」なら当たり前のことだと思います。ほんとに会社なら。だけど。
増田はむしろその他が気になるんじゃない?仕事以外で「親身になる」ってどういうこと?それとタメ口は関係ないような。「都合のいいときだけ」ってどういうこと?同期なんだし距離を縮めたいと言う意思の表れならいいんじゃ。会社でいざと言うとき頼りになるのは同期だし。ほんとに「会社」なら同期らしくお付き合いした方がいいと思いますですよ。プライベートならお互いまずやることがあるような気がするけれども。
電話をとったのは、家族の長であり、一家の大黒柱を自負する失職中の夫。夫は、犯人の声を聞き、息子が誘拐された事を即座に理解すると同時に自分の命よりも大切な息子を失う未来を想像し恐怖に襲われながら、毅然とした態度で答えた。
「じゃあ、息子は諦めラメロスペシャル」
「待て。他の条件ならのもう。みのもんた以外の条件だ」
「みのもんた以外の条件はのめない」
それから夫と犯人の押し問答が繰り返されるが、犯人の要求は断固として変わらず、挙げ句には「みの」「みのも」「もんちゃん」「みもんた」などの呼び方を使い始め、夫は戸惑うばかりであった。そのやりとりはおもいっきりテレビが終わるまで続いたが、犯人は「また明日連絡する」とだけ言い残し、電話を切った。
夫は緊張と疲労でその場に崩れ落ちた。
後に夫は語る。
「腸が煮えくり返るような犯人への怒りと、首筋に氷を押し当てられたかのような息子を失うことの不安を同時に感じていました。まさに冷静と情熱の間でした。いや、とにかく、恐ろしかったです」
呪泥怨愚から二回目の電話。電話をとったのは依然失職中の夫。今度は傍らに妻が、そして周囲には警察がいた。
「何度も言わせるな。みのもんたは無理だ。息子を返せ」
「それなら取引はお終いだ」
警察からの引き伸ばしてのジェスチャーがされる。事前に犯人との会話を出来るだけ引き伸ばすよう説明を受けていた夫だったが、極度の緊張と、息子を思い一睡もできなかった事による疲労の蓄積が、彼に冷静な判断をさせなかった。
夫は受話器に向かって叫んだ。
「お終いも獅子舞もあるか! 息子を返せ! さもなくば、さもなくば」
激昂する夫に、止めようとした警察も、泣いていた妻も注目し、その後の言葉を待ったが、別段考えがあったわけでもない夫は恥ずかしそうにもごもごと呟いた。それぞれは持ち場に戻った。
「さもなくば、息子は帰ってこない。みのさんを連れて来い」
とたん、警察が動き出す。ピザ屋に偽装した刑事は傍らのラーメン屋のバイトに偽装した刑事と素早く情報を交換する。「逆探知は」「携帯電話から。近くです」「連絡!」「もうしてます」「よし」「発見しました」「早いな!」「しかし」
警察の大人数を導入した捜索により、電話開始より12分で犯人の携帯電話を発見した。
しかしそこに犯人の姿はなく。電柱にくくりつけられた携帯電話と、携帯電話にセロテープでくっつけられた糸電話があるだけだった。糸電話の向こうに犯人がいるはずと糸を辿り走り出した若い刑事は現在行方不明である。
三日目。まだ電話はかからない。
電話機の前に、腕を組む夫、泣き続ける妻、声を潜めて何事かを話し合う警察の面々が揃う。
テレビにはみのもんたが映っている。わずかに眉間に皺を寄せ、悩み相談の声を聞いている。
夫は憎憎しげに吐き捨てた。
「悩んでいるのはこっちの方だ……」
そのときだった。
顔を伏せて泣いていた妻が、電話に飛びついた。電話機を抱え、いつの間にか手に持っていた耳かきで、止めようとした警察と夫を牽制する。
妻は血走った目でどこかにコールする。やがて、コール音が止むと、妻の目はまた潤み始めた。
「みのさんですか?」
「何か、お悩みですか。奥さん」
妻は泣きながら、息子が誘拐されている事をみのもんたに話した。警察は電話を止めさせようとするが、妻は既にみみかきを半分以上耳の中に入れていて、危なくて近づけない。夫は大人しかった妻の言動に驚くばかりであった。スタジオにいた芸能人達も、突然のハプニングに騒然とした雰囲気となるが、みのもんただけが表情を崩さず、冷静な声色で相槌をうっていた。
「それで」「うん。それは酷いね」「そう」「なるほど」「奥さん、偉いよ」「わかった」
妻が語り終えた後、泣き声が止むのを待って、みのもんたはやさしく声をかけた。
「それで奥さん。どこにいけばいい?」
妻が息を呑み顔を挙げ、テレビの中のみのもんたを見た。夫も警察もモニターを凝視して、ぽかんと口を開けている。モニターの中のみのもんたは、そのどこを見ているかわからない危うげな目線で、確かに妻を見ていた。そして、みのもんたはスタジオをあとにする。テレビカメラがそれを追いかける。みのもんたは迷いなく日本テレビの階段を上っていく。みのもんたはエレベータを使わない。一歩一歩踏みしめるのが好きなのだという。そうやって生きてきたのだ、恥ずかしそうにインタビューに答えた事がはるか昔に一度だけあった。
みのもんたは日本テレビの屋上の扉を開け、吹き込んだ風に目を細める。そこには既にミノコプターが用意されている。
「呪泥怨愚だ。そのまま、真っ直ぐ東に飛べ」
突如、ばりばりという音が響き渡り、驚いて夫と妻が家を飛び出すと、黒光りするミノコプターが目の前の道路に着地するところだった。強風に目を細めながら、夫婦は見た。ミノコプターの扉が開き、そこから最愛の息子が降り立つのを。
しかし、そこにみのもんたの姿はなかった。
「息子さんが戻って、本当に良かった」
「ありがとうございます。あなた方のおかげです」
「いえ。今回警察は何もできなかった」
「そんなことは」
「そんなことはあります。奥さん。我々はあなたにしてやられてしまった」
妻のコーヒーのカップを持つ手が止まる。まだ夫は刑事の言葉を理解できない。刑事は止まった空気を振り払うように手を振り、にこやかに笑う。
「いや、奥さん。そんなに睨まないでください。私は私の見解を述べているだけです」
「ですが、聞いてください。これは刑事の独り言。ある事件の顛末です。子供の誘拐から始まったその事件の犯人は母親だった。もちろん誘拐は狂言。最初の電話も母親。パート先に記録が残っている。出たのは夫だ。意味不明な言葉を混ぜる事で、夫にばれないように工夫しているつもりだった。夫は気付かず、事態は思った方向に進む。次からは母親は電話にはでない。電話をしたのは誘拐された息子。母親は息子が誘拐された悲しみで精神に変調をきたした役を演じる。そして、茶番はテレビの中に飛び火する。全てはそのため、みのもんたを引きずり出すため。何故このような手順を踏んだのか。それはみのもんたを試す意味もあった。手の込んだ嫌がらせともとれます。でも真相はもっと捻じ曲がった所にあると思います。私がこの荒唐無稽なストーリィを思いついたのは、私がそのような荒唐無稽な思考を行う人間達を知っていたからです。その人間達は、タモリ同盟と呼ばれている」
「ふふ、ふふふふふふ」
突如笑い声を上げた妻に、夫と刑事はぎょっとする。
「失礼。あんまり面白い事を言われるから。でも、いいんです。好きですよ。そういうの」
「そうですか。一つだけ聞きたい。今みのもんたはどこに?」
「知りません。知る由もありません」
妻は窓の外を眺め、呟く。それは彼女の本当の主人が言った言葉。
「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」
「こんな形で、お呼び出しして申し訳ありません」
「いやいや、驚きました。ですが、こんな形でしか、ありえないでしょう」
「では始めますか」
「では」
互いが互いにマイクを投げつける。
太陽は真上。容赦のない紫外線が二人の男に降り注ぐ。だが二人の男は不敵に笑う。
黒いサングラスは何のためだ。必要以上に黒い肌は何のためだ。
『太陽を制するため』
男達は笑いを止める。
目の前の男は同じく覇道を歩むもの。だが王は独りでいい。
二人の昼の王は、互いに歩き出す。次第に歩みを早め、そのスピードが、空気との摩擦熱が炎となって二人のスーツを焦がす程になった瞬間、二つの影は交錯した。
20年続いた「午後は○○!思いっきりテレビ」が終了。これはその終わりに起こったことだ。
第二回ファック文芸部杯参加
あの人が「直ぐに送る」って言ってた資料がいつまで経っても届かないので、直接彼に聞きに行った。別にメールでも良かったんだけど、一日一回は顔を見とかないと、という下心を秘めて。
案の定、彼は資料の事は忘れて、同僚の人とミーティングみたいなことをしていた。彼は私を見ると、片目を瞑って、手でごめんなさいの形を作ると「机の上にあるからさ。持ってってくれる?」なんて言って笑った。
私は困った顔で「もう。しっかりしてくださいよー」とか言いながら、彼に背を向けた気がする。でも実際の私は、彼の笑顔にすごいドキドキしてしまって、廊下を歩いている間も、エレベータに乗っている間も、さっきの困った顔のつもりの私が気持ち悪くにやけてなかったか心配になったり、でも一緒に彼の笑顔も思い出してまた幸せになったり、という困ったループを繰り返して、彼の席に向かった。
綺麗に整頓された彼の机の上には、私に渡すはずだった資料が無造作に置かれていた。「私に渡そうと準備してたら、あの同僚の人に声をかけられて仕方なく」などと都合の良い感じに妄想しながら、なんとなく、私は彼の席に座ってみた。幸い、周りには誰もいない。「えへへ」などと呟いて目の前のキーボードに手を置く私。気持ち悪い。えへへ……へ。あれ、何か。
そして私は決定的な違和感の正体に気付いた。
「あの人のキーボード、"u"、"n"、"k"、"o"の四文字だけ禿げてるの……"u"、"n"、"k"、"o"の四文字だけ禿げてるのよォォーッ! "u"、"n"、"k"、"o"! "u"、"n"、"k"、"o"! "unko"! ウンコよね、これって、絶対ウンコよね! ああああああの人は仕事中ウンコばっかタイピングしてるの? 取引先に株式会社ウンコとかあったっけ? あるかァァァーッ! ボケェェーッ! この資料もたまにウンコを打っては消して打っては消して……ッ! 怖いッ! 幻滅を通り越して彼が怖いッ! どういう事! どういう事よッ! 千年の恋もさめるわッ! チクショーッ! クソッ! クソッ! クソッ!」
「お、落ち着いて、並びが駄目なだけ! 良く使う文字だし! 壁とか殴らないで! お、落ち着いて!」
第二回ファック文芸部杯参加
エレベータのボタンを押し間違えた時に、それを訂正するテクニックがあるというブログを読んだ。
僕が働いている会社のエレベーターは三菱製である。三菱の場合、キャンセルしたい[階数ボタン]をダブルクリックすることだ。
おもしろそうだ。やってみたい。悪戯とも言えないレベルだが、こういうものは試したくなる。
次の日、会社でエレベーターに乗ると、いい感じに一人だった。4000人を超える大会社の中では、3日に一度あるかないかくらいのタイミングだ。試すには絶好のチャンス。試すしかない。
何階にしようか少し迷ったが、26階を押すことにした。僕の階は18階なので、全く関係ない。26階はちなみに社長室がある階で一般の社員が降りることはまずない。
まあ、どうせすぐキャンセルするんだし、と思いつつもなぜか緊張してしまう。もしキャンセルできなかったらどうしよう、とも思ったが、その時はその時だ。
えい、と押したと同時にドアが開いた。そして誰かが乗ってきた。
僕の、昔の彼女だ。
彼女は僕の会社で社長室で働いている。秘書、とまではいかないが上の連中の面倒をかなり見ており有能と評判だ。
そんな彼女と知り合ったのは会社の忘年会。料理の注文やビールの追加など、あわただしく働く彼女に「ちょっとは座って飲みなよ。僕も手伝うからさ」
と声を掛けたのが始まりだった。そのあと、連絡先を交換し、ちょくちょく会うようになった。
付き合って半年くらいで、お互いに忙しくなってしまい、自然消滅のような形になってしまった。心残りがないわけじゃないが、僕にも彼女にもキャリアというものがあるわけで、無駄な時間の浪費はやめよう、そんなことを言った覚えがある。
男よりも自分の成長を取るような子なのだ。実際、デートをしていても、仕事の話しになることも多かった。
彼女は仕事に、スキルアップのための勉強と、忙しさは僕以上だった。ごめん、仕事で今週は会えない、ということもしょっちゅうだった。
だから、君の将来を考えると僕といるのはあまりエフェクティブではないよね、と言ったのは本心からだった。
誤解のないように言うと、僕は彼女と本当に別れたかったわけではない。ただ、なんとなく不安だったのだ。一緒にいることは、彼女にとって無駄な時間ではないだろか、と。
意外にも彼女は、別れたくない、とはっきりといった。そして声も出さずに涙をこぼし始めた。彼女の涙を見たのは初めてだった。
君にとって、今大切なのは僕じゃない、君の足かせにはなりたくないんだ。そういい、彼女をなだめて納得させた。
繰り返すが、僕も別れたかったわけではない。単に、その場で自分の言った発言が矛盾してしまわないように説得を続けていただけだ。
賢い子だけあって、感情的に議論になったりはしなかった。聞き分けがよすぎる、とあまりに勝手なことを思ったくらいだ。
そのまま別れ話は終わり、そして、僕らは別れた。3ヶ月前の話だ。
乗ってきた彼女は僕を見て少しびっくりしたみたいだがすぐに涼しい顔に戻った。同じ会社なのだから、会うことくらい珍しくないわよ、
とでも言っているようだ。
彼女がボタンを押そうとしたところ、26階が押されているのに気づいた。
「社長に用でもあるの?」
彼女は少し笑いながらそういった。あわてて言い訳をしようとして
「違うんだ。」
と口に出したが、そのあとが出てこない。説明をすればいいんだろう。まさかキャンセル技を知って、試したかった、というのも子供じみていて恥ずかしい。
しかし、きょとんとしながら僕の顔を見る彼女を見ていると嘘をつくのも難しそうだ。ここは正直に話すしかなさそうだ。
「エレベーターにはキャンセル技っていうのがあるんだ。ボタンを押し間違えた時にその技をすると元に戻せるらしい。それを試そうと思ったんだ。」
彼女は少しあきれた顔をした。
「変わらないのね。」
そして、ため息まじりにいった。
「で、どうすればキャンセルできるの?」
「ボタンを?」
「そう。間違った階をダブルクリックするだけでキャンセルできる。」
「そうなんだ」
彼女が答えて、そして二人とも黙った。エレベーターの中はやけに静かだ。
僕はつぶやいた。
「あの時、押し間違えたボタンはどうすればキャンセルできるのかな。」
18階が開き、そして誰も乗り降りしないまま、ドアが閉まった。
「ダブルクリックすればいいんじゃない?まだキャンセルは効くみたいよ」
なるほど。
エレベータのボタンを押し間違えた時に、それを訂正するテクニックがあるというブログを読んだ。
僕が働いている会社のエレベーターは日立製である。日立の場合、キャンセルしたい[階数ボタン]を押し続けるとのことだ。
おもしろそうだ。やってみたい。悪戯とも言えないレベルだが、こういうものは試したくなる。
次の日、会社でエレベーターに乗ると、いい感じに一人だった。4000人を超える大会社の中では、3日に一度あるかないかくらいのタイミングだ。試すには絶好のチャンス。試すしかない。
何階にしようか少し迷ったが、26階を押すことにした。僕の階は18階なので、全く関係ない。26階はちなみに社長室がある階で一般の社員が降りることはまずない。
まあ、どうせすぐキャンセルするんだし、と思いつつもなぜか緊張してしまう。もしキャンセルできなかったらどうしよう、とも思ったが、その時はその時だ。
えい、と押したと同時にドアが開いた。そして誰かが乗ってきた。
僕の、昔の彼女だ。
彼女は僕の会社で社長室で働いている。秘書、とまではいかないが上の連中の面倒をかなり見ており有能と評判だ。
そんな彼女と知り合ったのは会社の忘年会。料理の注文やビールの追加など、あわただしく働く彼女に「ちょっとは座って飲みなよ。僕も手伝うからさ」
と声を掛けたのが始まりだった。そのあと、連絡先を交換し、ちょくちょく会うようになった。
付き合って半年くらいで、お互いに忙しくなってしまい、自然消滅のような形になってしまった。心残りがないわけじゃないが、僕にも彼女にもキャリアというものがあるわけで、無駄な時間の浪費はやめよう、そんなことを言った覚えがある。
男よりも自分の成長を取るような子なのだ。実際、デートをしていても、仕事の話しになることも多かった。
彼女は仕事に、スキルアップのための勉強と、忙しさは僕以上だった。ごめん、仕事で今週は会えない、ということもしょっちゅうだった。
だから、君の将来を考えると僕といるのはあまりエフェクティブではないよね、と言ったのは本心からだった。
誤解のないように言うと、僕は彼女と本当に別れたかったわけではない。ただ、なんとなく不安だったのだ。一緒にいることは、彼女にとって無駄な時間ではないだろか、と。
意外にも彼女は、別れたくない、とはっきりといった。そして声も出さずに涙をこぼし始めた。彼女の涙を見たのは初めてだった。
君にとって、今大切なのは僕じゃない、君の足かせにはなりたくないんだ。そういい、彼女をなだめて納得させた。
繰り返すが、僕も別れたかったわけではない。単に、その場で自分の言った発言が矛盾してしまわないように説得を続けていただけだ。
賢い子だけあって、感情的に議論になったりはしなかった。聞き分けがよすぎる、とあまりに勝手なことを思ったくらいだ。
そのまま別れ話は終わり、そして、僕らは別れた。3ヶ月前の話だ。
乗ってきた彼女は僕を見て少しびっくりしたみたいだがすぐに涼しい顔に戻った。同じ会社なのだから、会うことくらい珍しくないわよ、
とでも言っているようだ。
彼女がボタンを押そうとしたところ、26階が押されているのに気づいた。
「社長に用でもあるの?」
彼女は少し笑いながらそういった。あわてて言い訳をしようとして
「違うんだ。」
と口に出したが、そのあとが出てこない。説明をすればいいんだろう。まさかキャンセル技を知って、試したかった、というのも子供じみていて恥ずかしい。
しかし、きょとんとしながら僕の顔を見る彼女を見ていると嘘をつくのも難しそうだ。ここは正直に話すしかなさそうだ。
「エレベーターにはキャンセル技っていうのがあるんだ。ボタンを押し間違えた時にその技をすると元に戻せるらしい。それを試そうと思ったんだ。」
彼女は少しあきれた顔をした。
「変わらないのね。」
そして、ため息まじりにいった。
「で、どうすればキャンセルできるの?」
「ボタンを?」
「そうなんだ」
彼女が答えて、そして二人とも黙った。エレベーターの中はやけに静かだ。
僕はつぶやいた。
「あの時、押し間違えたボタンはどうすればキャンセルできるのかな。」
18階が開き、そして誰も乗り降りしないまま、ドアが閉まった。
「押し続ければいいんじゃない?まだキャンセルは効くみたいよ」
なるほど。