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2018-12-24

安い居酒屋に行けなくて怖い

昔、俺が小さかった頃はよく家族みんなで駅前のチェーンの居酒屋に行って、冷凍刺身やらポテトフライやら唐揚げやらを食べて喜んでた。

居酒屋といってもはなの舞とかのファミリーで行けるタイプのやつ。

俺はそういう居酒屋が大好きで、メニューに踊る美味そうな料理の数々を見てはどれを頼もうかと胸を踊らせてたもんだ。

でも年月は流れていって、両親は離婚し、姉は大学生になって家を出て行き、家にいるのは俺と母親の2人になってしまった。

父親とはひと月に1度会い、その度に都内の美味い店に連れていって貰っている。父親は1人になってから金を持て余しているようで、かなり高級な店を提案してもふたつ返事で了承してくれる。

から俺は高校生ながら、都内の美味い店をいくつも知っていて、焼肉ならここ、魚が食べたきゃここ、と、我ながら生意気だけれど。

でもある時たまたま父親と日にちの折り合いが付かなくて、母親と飯を食いに行くことになった。俺は数駅先の魚の美味い居酒屋提案したけど、高いかダメだと断られて結局駅前のチェーンの居酒屋に入ることにした。

まあそれでも別に良かった。そんな店何年も行ってなかったけれど、昔の記憶を辿る限りはふつうに美味い店だ。

でも、現実はそうじゃなかった。

食べるもの食べるもの、全てが不味い。

刺身サーモンは所々シャリッとする。

ポテトフライはフニャフニャで、唐揚げは悪い油の味がする。俺はこんなもんを食って喜んでたのか?と愕然とした。

こんなはずじゃない。頭の中に住み着いていた既成概念が全部吹っ飛んだ。

結局満足に食べられる料理は1つも無く、釈然としない思いだけを胃袋に重く落として店を後にした。

それ以来、俺は怖くてしょうがない。大人になったら、本当にいろんな場面で安いチェーンの居酒屋に行くことになるだろう事が。

たとえどんなに楽しい席だとしても、チープな料理苦笑いしながら安酒を舐めているだろ事が。

安い居酒屋に行けない。このことがこの先の人生にどれほどの枷を掛けることをなるのか考えると、怖くてしょうがない。

 
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