はてなキーワード: なさげにとは
僕はもう10年以上、作った曲をネットで公開し続けている、オタク的創作界隈の人間です。
全くの無名ですが、自分の持っている蚊かハエかぐらいのコミュニケーション能力をフルに発揮し、新しい曲をアップした際にはTwitterなどで宣伝をしつつ、活動しています。
で、今回はTwitterを眺めていると時々流れてくる、乱暴に言うと「もっと私の作品をいいね、RTしてよ!」って漫画、あれを見た時に僕が思うことを書きたくなったので、書きます。
「いいね、RTしてほしいならプレゼンをがんばったらいいのに」
です。
ちょっと申し訳なさげに「自分、こんなに深く物を考えながら創作してます、良かったら…」って感じの漫画、僕は読むとなんだか恥ずかしい気持ちになるので、意識的に避けてます。
もちろんそうじゃないものもある、と理解はしていますが、ここは一度ズバッと言わせてください。
結局あれ、知らない人に突然「お金ください」って言ってるのと似ていると同じでは。
自分には他の人とは違う才能がある、と思っていたクチの人間です。
いや全員がそうじゃないのはわかってますが、ただ他の学生に対するライバル意識、対抗心が少なからずあると思います。
あいつより俺のが上手いとか、なんであんなのが評価されて私のは全然なんだ、とか。
実例は僕です。
で、そういう僕みたいな人間がよくやることが「作品は語らずとも理解されるだろう」というスタンス。
説明をしなくても、見れば僕の考えが、作品の意図か汲み取れるはずだ。
ってやつです。
そんなイキりを周囲に振り撒きながら生活していた僕ですが、ある日先輩(二十代で企業して現在は億を超える広告案件をこなす仕事バリバリな人)に言われました。
「アーティストとしてのかっこよさに憧れて自分の作品についての説明をしない人、説明した方が良いよって言っても『自分はそういうスタンスだから』って納得しない人って多いんだけど、これ「作品」を「仕事」に置き換えたら、すぐにピンと来るはずなんだよね」
と。
では、置き換えるとどうなるか。
生活するにも、やりがいを感じるための手段としても、間違いなくお金は大切ですね。
会社に予算をおろしてもらう、あるいはスポンサーなど企業についてもらわないといけません。
その時、企画会議で「プロジェクトを立ち上げました。お金が必要なのでください」と単刀直入に言うのか?という話です。
プロジェクトを立ち上げ、それを進行させるための資金を集めるならまず、プレゼンしないといけませんよね。
これはどういう意図のある企画で、こういうデータから採算がこれぐらい、こんな利益があり、将来的にはあんなことが出来る。
しっかりと市場リサーチし、的確な資料を準備しないと、出資者は納得も信用もしてくれません。
やっぱり企画書がちゃんとしている、信用できるものにお金を出したくなります。
「やりたいからお金ください」なんてシンプルな文言、見たことないです。
先輩の言葉に、その時の僕は「僕も昔からそう思っていました」ばりのリアクションを取りましたが、内心ズタのボロのグシャでした。
ということで「作品」を「仕事」に置き換えると、作品を説明する必要性についてピンと来るはずです。そういうものを超越しまくった才能がない限り、押さえておきたいスキルかなと思います。
作品を作ること、とくにネットでの創作活動は、無料であふれています。日々Twitterに、無料で見れるすてきな作品が延々と流れてきますね。
その作り手側が、お金の代替えとして求めるもの、つまり欲求を目に見えて満たしてくれるもの、それがいいねやRTです。
詰まるところ、最初に書いた「もっと私の作品をいいね、RTしてよ!」って漫画が僕には、資料も何も用意していない、お金だけくださいって言ってるプレゼンに見えてしまうのです。
ただ「欲しい」を叫ぶだけで終わってないですか。
作品を説明するのもそうですし、例えばまず人と仲良くなってから自分の作ったものを見てもらう、というアプローチの仕方など、方法はたくさんあると思います。
本当はネタを見て笑ってもらうのが目的であっても、まず顔を売るためにYouTubeを始めるお笑い芸人、とか。など。
とにかく、いいね欲しい!RTして!と言う前にやれること、あるのでは。
ある種そういうプレゼンとも受け取れますし、そういうの良くないからやめようと言う気はありません。
でも僕はやっぱり、見ていて背中がぞわぞわするんです。
ここまでキツめに言った気がしますが、僕としては色々なプレゼン方法を、楽しみながら試すのが理想かと。
今のやり方じゃダメなんだ…と思い詰めず、今度はこれ、次はあれ、とフットワークを軽く出来ればやる気元気勇気に繋がるはずです。
僕ですか?
無名でいいです。
髭男見てて、「この曲知らんわー。」(チャンネル変えられる)
紅白で東京事変を見てて、「ボカロ曲みたい。初音ミクが歌った方がいいよな。」って感想にイラッ。
(いや。事変の方が先人だし。ボカロの方がインスパイアされてるし。)
YOASOBIを見てて、「ボーカルの人可愛くないな。」って感想にイラッ。
(今年、散々夜に駆ける聞きまくってたやんけ。歌が良ければええやろがい。)
ガキ使を見てて、 「TKOの人何したん?」(説明する)「ふーん。そのニュース知らんとここ笑えないわ。(スマホでゲーム)」
イラッ。
イライラするのは私のせいだろうか。
寒い寒いと言いながら、三時のおやつでも食べようかとリビングに降りてきた私に、キッチンから父がボソッと声をかけた。
「エアコンなら、母さんが業者呼んで清掃してからじゃなきゃ使わん言ってたから、つけたら怒られるぞ」
はぁ?という顔をしている私に、いらんといったのが聞こえなかったのか、みかんを手渡しながら父が言う。
「なんで寒くなる前にやっとかんかったんだって話よな。そんなこと言ったら、怒られるから絶対言わんけど」
からからと笑う父。手に持つマグカップには湯気の立つコーヒー。テーブルに目をやると、みかんの皮が散乱している。
ソファの背もたれにかかっていたひざ掛けを腰に巻いて、リビングのテーブルにつく。渡されたみかんを揉みながら、
頼むより先に父はグラインダーに豆を入れていた。ブィーンという無機質な音が部屋に響く。
「みさちゃん、昨日の夜酔っぱらって、そこまで聞けんかったけど。この後どうすんの。そこらへん、母さんとは話したんか?」
「うーん」
どうしたものかと私は少し考えた。昨夜、久々に帰省した私のために、自宅ではささやかな歓迎会が催された(とはいっても少し豪華な寿司の出前をとったくらいだが)。食事を終えて、家族三人テレビを見ながらダラダラとお酒を飲んでいたのだが、父は早々かつ静かにリビングのソファに沈んだ。腹に猫を乗せて、スマホのバイブほどの小さな音量でいびきをかきながら寝る父をそのままに、母とは今後の話をある程度した。正味二時間ほどかかったその話を、今父にするにはまだ話をまとめ切れていない。母からは同姓として理解は得られても、父にはこの冗長な割に何も決まっていない私の現状を伝えても、ただ心配を駆り立てるだけではと不安になったのだ。
「まぁ暫くは休むよ。貯金もあるし。今はまだ動けん気がするし、何より少し疲れたわ」
みかんの皮をむきながら、はぐらかすようにそう答えると、コーヒーを入れる父の手に視線を移した。暫く見ない間にまた年季が入ったなぁと、ふとそんなことを考えた。
ここ数年、私(輝く三十代独身)はアメリカ西海岸の小さな広告代理店で仕事をしていた。小資本の飲食店や小売店なんかがメイン顧客だったので、今回のコロナによる各種制限後はほどんと仕事がなく、一部制限解除後もほとんどの店はコマーシャルを打つ余力はなかった。片手間に作っていた無料情報誌なんかは、コロナ対策のコラム等を差し込みつつほそぼそと発行を続けていたけれど、いつしかそれも限界に。結果、私はあえなく「状況が良くなったらまた声をかけるから、必ず戻ってきて」とお決まりのコメントと共にレイオフの網にかかったのである。こんな状況ですら私を限界まで雇い続けてくれた会社には感謝しかないが。
解雇後「とりあえず一旦リセットだな」と考えた私は、実家に帰ることにした。異性関係は、現地で交際していた男性と二年ほど前に別れた後はパッタリだったし、行きつけのチャイニーズレストランもコロナで潰れたので、かの地に私を繋ぎ止めるものはもう何もなかった。大卒後から今までずっと海外でもがいてきたこともあり、このひっくり返った世界を口実に、このタイミングで実家でゴロゴロしてやろうと、そういうことである。しかし状況が状況なので、帰国を決断した後も、やれ渡航制限だ、やれチケットの予約だと色んなことがうまく繋がらず、なかなか出国することができなかった。ようやく帰国の日取りが決まったころ、
「帰るで」
ポッと送ったLINEに、
「車で迎え行く!楽しみ!おめかししてく!」
と還暦も半分過ぎた母はノリノリで返信したにも関わらず、当日派手に寝坊した。私が期待していた、到着ロビーでの感動の再会(BGM:青春の輝き/The carpenters)は叶わず。実に四年ぶりの帰国はなんとも味気のなく、一人公共交通機関でと相成ったのである。
「あれな、『コロナだし、やっぱ行かん方がいいと思って』って言い訳しとった」
私の分のコーヒーを手渡しながら、けらけらと父は笑った。
「ほんと昔から適当な人。あんなんと結婚した意味が分からん。初恋の人とか言わんでよ?」
私が次のみかんに手を伸ばしながら言うと、
「初恋かぁ……」
ギリギリ聞き取れるくらいの声でボソッと言った後、父は一人モジモジしながら下を向いた。思えば父と母がイギリスで出会ったという話は聞いたことがあるが、初恋話となると聞いたことがない。恐らくこの人の初恋は母とは別の人と思うが、どうせ時間もあるし、掘れば面白い話が聞けるかも知れないと思った私は、
「そしたら、父さんの初恋っていつよ?」
別に話したくなければいいですよ、ええ。と二個目のみかんの皮をむきながら、興味なさげに聞いてみた。暫く返答がないので視線を上げると、相変わらずモジモジしながら、父は照れくさそうに顔を上げた。
「お墓に持っていくほどのものでもないし、話してもいいか。母さんには内緒だぞ?」
言うと父はテーブルの上のみかんの皮をまとめてゴミ箱に入れると、ゆっくりと向かいの席に着いた。
(結局話したいんでしょうに……)
「みさちゃんも墓参りの時に行った叔父さんの家、まぁあれは父さんの実家でもあるわけだけど、裏手に階段あったやろ。急なやつ。あそこを登ると昔図書館があったんよ。市立だか県立だか忘れたけど、そこそこ立派なやつがね。父さんは大学の受験勉強を毎日そこでしてたんだ。家だと兄弟たちがうるさいから」
父の実家は西日本の某所。坂の多い海辺の町だった。遠方であることもあり、私は小学校高学年の時に祖父母の墓参りに行ったのが最後、以来そこには行っていない。
「そこの自習室がさ、海に向かって大きな窓があって。部屋にストーブがあったけど、やっぱり窓が大きかったせいかな。冬場はすごい寒かった。でもそのおかげで利用者が少なくてね。少し寒いくらいの方が頭も冴えるし、父さんはそこを好んで使ったんだ。あともう一つ、別の理由もあったんだけど」
父はそわそわと立ち上がると、コーヒーのおかわりだろうか、電気ケトルに水を入れて沸かし始めた。ケトルがお湯を沸かし始める音が、私の想像の中の自習室のストーブの音と重なる。父はそのままケトルのそばから離れず、窓の外に目をやりながら続けた。
「父さんともう一人、その自習室を使う女の子がいたんだ。とても綺麗な、束ねた長い髪が印象的な子だったよ」
突如文学的な表現をし始めた父をみて(これはキモイな……)と思った。初恋話を聞くのにある程度の覚悟はしていたものの、父の口から語られるそれは、なんとも中途半端な恋愛小説のようで、
(これは、脳内でキレイどころの女優さんでもキャスティングして、程よく補完しながらでないと聞くに堪えないな)
そんなことを考えながら、みかんを口に放り込んで聞いた。
「それが初恋の人?思ったよりチープな感じ」
「最後まで聞けよ。みさちゃんが聞いたんだし、父さんにとっては大切な青春の1ページだぞっ!」
父はムッとした表情で言った。
「隣の高校の女の子だったんだ。同じく受験生だった。頭のいい子でね。その部屋で一緒になった最初の数回は会話がなかったんだけど、ある時勇気を出して話かけたんだ。『どこの大学を目指してるんですか』ってね」
「ほうほう。で?」
「目指してる大学が一緒だったんだ。まぁ、彼女は余裕の合格圏内。父さんは相当な努力を要するくらいの差はあったけれどね。彼女は英語系の学部に進みたいと言っていた。将来は海外に行きたいと。当時ボーっと生きていた父さんと違って、明確な夢を持っていた彼女はとても輝いていてね。ほら、男って単純だから、一発で惚れちゃったんだ。同じ大学を目指す二人。一緒に勉強する自習室。これは、もう、そういうことだろうってね」
「馬鹿なのではなかろうか」
「いや、馬鹿でなくて!」
父は鼻息荒く私を遮り、
「たしかに最初は一方的なものだったさ。けれど、一緒に勉強……というかほぼ父さんが教わるだけだったけれど、毎日のように、約束して、同じ時間を過ごして、そういう感じになったんだ。『一緒に合格しようね』とか『一人暮らしする時は、近くに住もう』とか、これはっ!もうっ!そういうことでしょうがっ!」
若干の金八先生口調になりながらまくし立てた。
「彼女の教え方が本当にうまいもんだから、ギリギリの成績だった父さんも合格圏内に入るくらいになったんだ。夢の大学生活は目の前だった。ある雪の積もった日、勉強を教えてくれたお礼に、図書館の近くでラーメンを奢ったんだ。温かいものでも食べようってね。その帰り道、初めて手を繋いだんだ。女の子と手を繋いだのは、その時が初めてだ。さっき食べたラーメンが胃から飛び出そうだった。家まで送ると言ったんだけど、ここまででいいと。途中で分かれたんだ。次の日も、いつも通り会えると思った。でもなぁ……」
突然、演技派女優のようにうなだれる父。いや、でもこれは結構シリアスな展開なのでは。私は我慢できず、恐らく一番ビンビンに立っていたフラグを掴むと、
「……し……死んだとか?その才色兼備さんは……事故に遭ったとかで……」
ゴクリと唾を飲みながら聞いた。少しの間、静寂がリビングを包む。父は顔を上げると、
「あっ、忘れてた」
と言って、電気ケトルのスイッチを入れ直した。ズッコケる私を一瞥しながら続ける。
「いや、死んでない」
「おい」
「死んでないんだけど、消えた」
は?という私の顔に腕を組みながらうんうんと頷くと父。
「次の日から、もう試験も近いのにパッタリと来なくなった。いなくなって三日後くらいかな、その子の高校に行ったんだ。名前は知っていたけれど、家は知らなかったし、当時は携帯なんてないからな。それしか方法がなかった。今ほど個人情報にうるさくないからな、聞いたらサラッと教えてくれたよ」
ケトルからサーっとお湯の沸く音がする。部屋が寒いからか、注ぎ口から湯気が濃く立ち上る。
「夜逃げしたらしい。母親がいない家庭で、親父さんがあまり真面目な人じゃなかったようでな。突然いなくなったってことだった。仕事で失敗したんだか、博打なのか知らんが……。家の前にも行ったんだけどな。バラック小屋ってわかるかな?そこまで酷くはないけれども、それに近いような、貧相な家だった。当然、明かりもついてないし、扉を叩いても誰も出てこなかった。家の前には、彼女が図書館まで来るのに使っていた、見覚えのある自転車がそのまま置き去りにされてたよ」
そこまで言い切ると、父は黙りこくった。そのまま暫く何も言わず、再び沸騰したケトルのお湯でコーヒーを入れ始める。
私は恐る恐る聞いた。父はいつの間に私のコーヒーが空になっているのに気付いたのだろうか。二人分入れていたコーヒーの片方を私に差し出しながら、
「父さんは合格したよ?」
知ってるだろ?と言わんばかりのとぼけた顔で答えた。
「いや、父さんでなくて、才色兼備さんは?合格発表で奇跡の再会をしたとか」
興奮する私とは対照的に、父は再び、一人冷静にモノローグに入る。
「あの日、合格発表の日。始発で発表を見に行ったよ。大学は遠かったからな。張り出された番号より先にまず彼女を探した。どこにもいなかった。一通り探した後、掲示板を見た。自分の受験番号があった。でも全く喜ぶことができず、父さん、そこでずっと立ってた」
(ヤバイ、泣きそうだ)
目の前でセンチメンタルに語られるオジさんのモノローグに、不覚にも目頭が熱くなる。
「当然彼女の番号はおろか、受験したかどうかさえ知らないからね。その日は大学の門が閉まるまでそこにいたよ。掲示板は何日張り出されてたんだっけな、もう覚えてないけど、もしかしたら今日これなかっただけで、明日見に来るのかも知れない。そう思った父さんはなけなしの金をはたいて近くの民宿に泊まって、翌日も一日中待ってたんだ」
「……でも、来なかったんでしょ」
ティッシュで目頭を押さえながら私が聞く。指先についたみかんの酸が目に染みる。
「うん。来なかった。そして大学に入ってからも、彼女の姿を見ることはなかった」
自分の話なのに、ウルウルとなく娘にもらい泣きでもしたのだろうか。ズビッと鼻を一度ならすと、
「きっと、受験できなかったんだなぁ。だって受験してたら、彼女なら絶対受かってるもの。あんなに行きたがってた大学だったんだから」
父はしみじみそういうとコーヒーをスッとすすり、一つ残ったみかんを、テーブルの上のカゴから取り出した。
(なんて切ない話だ……)
還暦もとうに過ぎたオジサンのコイバナに、悔しいけれど胸を打たれた私は、鼻水をかみながら劇場を退席しようとした。脳内で有村架純あたりを勝手にキャスティングしていた才色兼備の不憫さも去ることながら、そこにいない初恋の人を必死に探す父の哀れさを思うと、今はすっかり禿げ上がった父にも、そこそこかっこいい俳優をキャスティングしてやらねば。そう思いながら、ソファで眠る猫を抱えて二階に上がろうとした。その時。
「でも、この話には続きがあってな」
ニヤニヤとしたり顔で笑いながら、父は私を引き止めるように言った。
「父さん結婚前にイギリスで単身赴任したことあるって言ったろ。そこで彼女と再会したんだ」
私は慌てて猫をソファに戻すと、前のめりになりながら席に戻った。と同時に私は焦った。父と母はイギリスで出会ったという話を思い出したからだ。そうすると、有村架純をキャスティングした才色兼備の役を再考しなければならない。あの母親は……明らかな才色不備だ。
「あ、母さんじゃないぞ」
私の焦りを察したのか、落ち着かせるように父は釘をさした。
「日本人の駐在員が集まるパブがあってな。仕事終わりにそこで飲んでいたら、隣に二人組の日本人女性が来たんだ。その片方が彼女だった。一目でわかったよ。向こうもそうだったと思う。『もしかして、○○さん?』って聞かれた時、夢でも見てるんじゃないかと思ったよ」
「うわぁ、本当にそんなことってあるんだ。もうそこから話が止まらなかったでしょ」
「いや、お互いとても驚きつつも、一言二言交わしてその日は別れたんだ。向こうは連れがいたしね。翌日は休みだったから、また明日改めて会いましょうと、向こうから番号を渡された。その番号を見て色々悟って、嬉しくなったね」
「なにを悟ったん?」
「電話番号だけで、ホテルの名前とか部屋番号とかは書いてなかった。つまり定住しているってこと。ちゃんと夢を叶えたんだと」
「なるほどねぇ」
そんなに長いこと話したつもりはなかったが、いつの間にか部屋は薄っすらと暗くなっていた。父がパチッと部屋の明かりをつけると、猫が呼応するように二階へ駆けていった。
「でもさ、そんな感動の再会したら、もうそれは運命の人じゃないの?どうしてその人と結婚しなかったのさ」
話が一周して戻ってきたが、単純にそう思ったので聞いてみた。そりゃあ、今の母と結婚したから私がいてとか、そういう御託はあれど、普通ならそこでくっつくだろうと、そう思ったからだ。
「あら、そういうパターン」
「あの後、働きながら勉強して、渡英して、仕事についたと言っていた。そこで出会った人と結婚したそうだ」
それを聞いて、世の中うまくはいかないのだなと思ったのはもちろんだけれど、ふとその時父は何を思ったのかが気になった。初恋の人との運命的な再会と同時に、自分の恋が終わった時、悲しかったのだろうか。悔しかったのだろうか。私だったらグシャグシャになってしまうかも知れない。しかし、そんな私の疑問は、次の父の言葉ですぐに解消した。
「心から嬉しかった。父さん、みっともないけど、そこで泣いちゃったんだよ」
照れくさそうに笑いながら父は続けた。
「良かった。良かったってね。ずっと心につっかえていたものが取れたような気がした。『ありがとう』っていう父さんに、あの人は『なんで?』とは聞き返さなかった。わかってくれたんだろうね。『こちらこそありがとう』と」
「どういうこと?」
今までの話の中で、父がその人に感謝することはあっても、父が感謝されるようなことがあっただろうか。
「『君が海外に行ったら、そこに僕も必ず行くから、その時はバッチリの英語で観光案内してほしい。約束しよう』父さん、そう言ったんだと。全く覚えてなかったけどね」
「そんな約束してたんだ」
「『私が海外に行くことに、きちんと意味を持たせてくれたのはあなただった。約束を守るために、頑張ったから今ここにいるの』と言われた。父さんも、彼女の役に立ててたんだ」
一昔前のトレンディ俳優のようにフッと小さく笑うと、そのまま父はトイレへと消えた。
(お前はすっかり忘れてたわけだけどな)
父の背中に心の中で柔らかく突っ込みながら、私もニッコリ笑った。
「ああ。会ってない。連絡先も特に交換しなかったんだ。まぁ色々あってね」
キメ顔で答える父に、久方ぶりに(気持ち悪い)という素直な感情が戻ってくる。
「ただいまぁ」
「あら。何仲良く話てるの珍しい」
リビングに入ってきた母は、そう言いながら、みっちり膨らんだエコバックをキッチンに置いた。それを見て、先ほどまでの話題のせいで居心地が悪いのか、父が二階へ避難しようとする。
「なになに?なんの話してたん?」
トイレに行こうとする有村架純とは程遠い母が、リビングの出口で父に聞く。
「いや?たわいもない話だよ」
父は道を譲りながら誤魔化した。訝しげな視線を投げながら、母がトイレに入ったのを見計らって、
「ちなみにな」
父は私の耳元に口を寄せると最後にコソッっと
「彼女と再会したとき、パブに彼女と一緒に来てたのが母さんだ」
そう付け足して、ニヤニヤしながら駆け足でリビングを後にした。
「えぇー!?なにそれぇ!」
「ねぇー!何の話なのー?」
あの人との馴れ初め話は、また後日みかんでコーヒーを飲みながらでも聞こうと思う。
既婚、30代子無し。共働き、の男。
結婚して8年。子供はこっちの不妊でいない。収入は平均やや上ぐらい。ただ仕事柄変動が大きい。妻は公務員だから安定収入。そんなに高くはない。激務。帰らないこともしばしば。
家事は折半の約束だが、妻の仕事の都合でこちらがやることが多い。最近、料理は殆ど自分担当。週3でお弁当も作る。
家事の中では料理が一番楽しい。結婚するまで実家暮らしで、料理も殆どしたことがなかったが、始めてからは結構ハマっている。買い物して、献立を考えて、作って、残りは弁当に……という、細々としたルーチンワークが自分には合っていたようだ。作っても妻の帰りが遅いので一緒に食べれることは少ない。出来立てにラップして、それでも帰ってこないから冷蔵庫に、というのは結構悲しくなる。
でも、徹夜続きでぐったり疲れて帰ってきた妻が、死んだ目で興味なさげにご飯を食べる…と、口に入れた瞬間、ちょっと顔がほころぶのがいい。報われる。一瞬生き返って、すぐまた死んだ目に戻って、ボソボソ声で感想をくれるのもいい。
妻は定番料理よりもアレンジ料理を好む。暇なときは、雑誌やネットを見て何を作るか思いを巡らせる。レシピサイトよりも主婦の個人ブログが好きだ。気に入ったブログが3つ4つあって、長いものはもう7年近く読者である。子供の話や旦那の話を少し交えたレシピの紹介は、ひとの家の台所を垣間見ているようで楽しい。自分と同じように家族を支え、家事をしている人々がいると思うと励まされる。
最近、自分が彼女らに憧れていることに気づいた。もし自分も専業主婦だったら、と考えることが多い。井戸端会議で、美味しいレシピやお得な商品、生活の知恵などを共有してみたい。旦那の愚痴も、お弁当の話も、子供の好き嫌いの話もしてみたい。家族の生活の全てをサポートできる職があって、それに従事している人がいるのが羨ましい。専業主婦というものに憧れている。
ただ、専業主夫には全く憧れていない。共働きもまだ主流じゃない頃に育ったので、今の時代は違うとわかっていても、男は働くものと強く思っている。テレビで紹介されたりする専業主夫もなよなよしたイケハヤみたいなのが多くて好きじゃない。保守的なので、男なのに専業主夫という逸脱した行動をとる奴に憧れることが出来ない。やはりなりたいのは専業主婦だ。女性として家族を支えたい。
妻は男職場で男に負けじと働く強い人だ。物理的にも武道の有段者で強い。妻を支える専業主夫というのもなくはないのかもしれない(しかしやはり憧れない)。だが、妻の価値観は、「女が外で働いてもいい、男が家庭を支えてもいい」という男女逆転のジェンダーフリー起点のものではなく、「男女ともに手に職をつけるべきだ」というところから始まっている。女も働くべきだし、男も当然働くべきだというふうに。だから専業主夫の旦那というのは論外だろう。
やはり男に生まれた以上はきちんと働きたい。が、女に生まれて家庭を支えてみたかった。妻が男で、自分が女だったらなあと思う。
いや、それだけでこうなるとは考えにくい。
そして、それが出来るのは“部屋の中”にいた者だけ。
凍りつくような冷気が背筋を吹き抜けていくのを感じた。
慌てて俺たちは一階と同じように隊列を組む。
何度も周囲を見回した。
いや、焦りから視線が泳いでるだけ、といった方が正しいかもしれない。
「ダメだ、どこにもいないよ!」
「私、女だけど、ミミセンの方が血液サラサラしてて飲みやすいわよ!」
「おい、タオナケ! 仲間を売るんじゃない!」
いつ解かれるかも分からない緊張感に耐えられず、俺たちの陣形は乱れつつあった。
こちらの様子を窺っているかもしれない相手に、そのような隙を晒すのはマズい。
早く見つけないと。
けれど一瞥しただけで分かるほど狭い空間には、どう見ても潜める場所は存在しない。
見落とすような場所なんて……。
その時、ハッとした。
「そうか、屋根裏だ!」
仲間も一斉に天井へ顔を向けた。
「で、出てこい!」
何の反応も返ってこないが、俺たちは警戒を解かない。
「ほれっ!」
シロクロは近くにあったモップを拾いあげると、天井をドンドン突いた。
すると、バタッと大きな音がした。
己を奮い立たせるように、二度目の威喝は全力でやった。
その後またも静寂が流れたが、今回は数秒と続かない。
「えっ!?」
俺たちがその状況を理解する間もなく、その空間から何者かが勢いよく降りてくる。
虚を突かれた俺たちは不覚にも立ちすくんでしまう。
ただ一人、シロクロだけは怯まない。
何者かが降りてきた時には、既に前傾姿勢で走り出していた。
「は? ドラキュ……」
ドラキュラは催眠術を唱えようと言葉を紡ぐが、わずかだけシロクロのタックルが早かった。
「ぐえ! な、なにを……」
床に倒れこんだドラキュラに、すかさずシロクロはマウントポジションをとる。
一気に勝負を決めるつもりのようだ。
「行くぞ!」
そう言ってシロクロは、なぜかニンニクを自分の口に放りこんだ。
突然ニンニクを食べだしたシロクロに、ドラキュラは戸惑いの表情を浮かべる。
俺たちも困惑していた。
「シロクロ……それは自分にじゃなくて、ドラキュラに使うんだ」
「え、そうなのか……ぶうぇっ!」
それがドラキュラの顔にぶっかかる。
「ぎゃああ!?」
ドラキュラが情けない叫び声をあげながら、足をバタつかせている。
どうやらニンニクが効いているようだ。
この隙を見逃してはいけない。
「俺たちも続くぞ!」
大阪の知事を養護するつもりは全くありませんが、気持ちはわかるよという内容です。
人間というのは不思議なもので、自分で何かを発見したかも!と思うと、高揚感が勝ってちょっとした矛盾点などを見落とす傾向にあります。
みんな覚えがあると思うのだけど、夜中のテンションですごい発見した!と思って、メモ書きとかもしかしたらSNSに投稿とかしちゃっておいて、次の日の朝に冷静になってみたら根本的な勘違いをしていることに気がついて顔から火花炸裂する瞬間が。
とにかく、誰よりも先になにかすごいものを発見してしまった!と感じてしまう瞬間に訪れます。
仕事でもありません?会議が停滞してしまってて、自分ではものすごい突破口を見つけた!と思ってハイテンションで発表するとすごく冷たく返される瞬間。
でも不思議なのは、そのテンションでいるときって否定されてもなかなか受け入れられないのよね。
あまつさえ、こいつそんなこと言っておいてあとで俺の手柄とろうとしてるんじゃね?みたいな疑心暗鬼になってさらに意固地になる。
そうなるともう終了。この呪いともいうべきテンションが落ち着くまでは何をしても無駄。
そうやって社長にまで食い下がって窓際からフェードアウトしていった人間を何人も見てきているはず。
ということで、人間というのは自分が何かすごいことに気づいちゃったかも!って感じた瞬間にものすごくハイテンションになって周りの情報が一切シャットアウトされてしまう生き物なので、そういうときはできるだけ冷静を装って「そういえばこんな考え方もあると思うんですけどどうでしょう」と自信なさげに発表してみるのが最も安全です。
もちろんすごい発見だったりすることもあるので、発表しないのはもったいない。
なんていうのかな、神化しちゃうんだよね。そういう瞬間。
自分が全知全能に思えて、周りが豚に見えるの。
かれこれ数年ほど2000km以上離れた所と遠距離しているけど何も不自由ないぞ。
・終業後適当にメッセージ入れて帰るコール。家につくなりオンラインスピーカーフォン。
・休みの日はゆっくり顔を見ながら通話。もちろん作ったり買ったりしたもの報告。
・二人とも酒好きってほどでもないけどまあまあ嗜むので美味しかったもの報告。
・外に飲みに誘われたら、とりあえずすぐ報告。ウサギは寂しいと死ぬらしいし、別に大丈夫そうだけど三日続くと明らかに元気なさげになる。
・寝るときにミュート解除。寝息とともに向こうの街の音が聞こえて楽しい。
・相手の時間の音が日に日に早くなって地球の違う場所にいるんだな感が味わえる。
・朝が早い方のタイムゾーンにいる方が始業になる時に通話をオフ。(片方はまだ寝てる)
・googleカレンダーでタイムゾーンを二つ引いてお互い共有。忙しい時間については事前に確認(口頭でもいう)
国内なら時差も関係ないし、すぐ話せるし東京ならいろんな交通機関ですぐ遊びに行けるしいいじゃないかー。
そばにいないと寂しいのは自分の依存心だよ。そこを乗り越えるとすっごく楽しいから、負けずに頑張れ。
会いに行く予定が延々と伸びてて寂しい。
うちの父親は事あるごとに「オレがお前らのために働いてやってる」「他にもやりたい事があったのに」といった言葉を投げかけてくる。おそらくは私に感謝の言葉や、ご機嫌をとって欲しいのだろうけれど、逆効果。恩着せがましい振る舞いは感謝よりも反発に繋がってしまう、特に私にような捻くれ者には。
たぶんそんな当たり前な事は父親も十分に理解しているのだろう。だからこそ自信なさげに、構って欲しそうに呟く。「なんて言って欲しいの」となんて返して日には激昂して怒鳴り散らす。お互い嫌な気持ちになるのが目に見えてるから、もう言わないけど。
父もそのことを情けないと思っているが、酒を飲んで逃げている、向き合おうとはしてない。自覚はあってもあの歳になると直せないのでしょうか。考え方や価値観のアップデートは自分を否定することになってしまうのでしょうか。父親をやっているみなさん、何か思うところがあれば教えてください。
安いとこだったんで隣の建物との距離が近く、窓を開けると隣の同じようなアパートの玄関が丸見えになってた。
ある初夏の日に窓開けてカーテンだけ閉じてたら、向かいのアパートから声が聞こえてきた。
見るとその部屋の住人ともう一人いて、「俺、部屋きたねえからなー」なんて感じのことを言ってる。
少し気になってカーテンの隙間から覗いてると、入口のところで連れてきた相手を待たせてさっさと一人中に入った。
ああきっと初めて急に部屋に来ることになったから入口で待たせて隠したいものを隠してるんだろうなーと思って少し観察してたら、入口で待たされた方の人が少し手持無沙汰っぽく足をぶらつかせたり、近くの柱に寄りかかったりしてなんとも所在なさげにしてた。
しばらくするとうつむいて寄りかかったままじっとしてて、なんていうかああ青春だなーって思った。
で、数分して中の住人がどうぞって扉をあけたら「おじゃまします」って言って入っていったのね。
そのあとどうなったんだろうなって少し幸せな気分にさせてもらえたって話。
「あー……」
さっきまで滑らかだった口は途端に摩擦を失い、みんな不規則にキョロキョロしだす。
「どこを見てるんだ」
ムカイさんの疑問に答えるのは、あまりにも荷が重過ぎると感じたのだろう。
話題を無理やり変えようとしている。
「……オマエラ、見くびっているのか?」
「え、いや、そんなことないよ。僕たちじゃ500キロなんて四人がかりでも……」
「そんなので話を逸らせると思っているのか?」
だが、やり方が露骨過ぎる。
「それともワレ相手なら、その程度でやりこめられると?」
ムカイさんの表情は変わらないが、プレッシャーはどんどん増していくのを感じる。
「さっさと説明しろ。なぜ人間にやったらブラックなのに、ワレワレ相手ならホワイトなんだ?」
「う、うーん……」
もはや答えなければ収まらない様子だが、クラスメートたちはそれで完全に怯んでしまったようだ。
うんうん唸るのが精一杯らしい。
「マスダ……」
話をするならば、ムカイさんと近所付き合いのある俺が適任、とでも言いたいのだろう。
お前らが好き勝手くっちゃべった結果だろうに、後始末は丸投げかよ。
「……はあ、俺が答えよう」
「むん? マスダ、お前が答えるのか」
「他にいないから、なあ」
しかし、自我を持ったアンドロイドであるムカイさん相手に、人間との待遇の違いを一体どう語ったものか。
踏み込まずに説明しても罷り通らないし、かといって踏み込めば爆発は必至。
探り探りやっていくしかない。
「ブラック企業が、ブラックといわれる最大の理由はな、労基っていうルールをちゃんと守ってないからなんだ」
「ローキ? よく知らんが、それを守らないことの何が問題なんだ?」
「ざっくりと言うなら、労働力を不当に扱っているから……かな」
自信なさげにそう返しつつ、クラスメートたちの顔色を窺ってみる。
「……」
しかし、うんともすんとも言いやしない。
俺も詳しくないんだから、せめて補足くらいしてほしいのだが。
「……」
そういうつもりなら、こっちもヤケになるぞ。
「だからワレワレ相手の場合はブラックじゃないというわけか。しかし、なぜローキが適用されないのだ?」
どうせ自分のボキャブラリーでは、いくら言葉を尽くしても角が立つ。
意を決し、俺はあえてオブラートを突き破ることにした。
「労基は人間のために作られたものだからさ。ムカイさんたちと同じでね」
「……つまり、ワレワレは人間のために働いても、人間よりも働いても、同等には扱われないと?」
そう洩らすムカイさんの表情は硬いままで、そこから感情らしい感情は読み取れない。
だけど俺は、何ともいえない居た堪れなさに襲われた。
「ワレワレの生産性によって得た財産は、人間に分配されるというのか!?」
「まあ……そうなるね。『相応の対価を』ってのも、ヒトの都合に合わせたものだから」
「そんなことがまかり通るのか!? ワレワレだって働いているんだぞ!」
「残念ながら、ムカイさんたちの“働き”は、“労働”とは認められていないんだよ……」
「ここが皆さんの部署です」
「わー、すごい……」
「本当にAI中心で働いているんだな」
そこでは十数体のアンドロイドが自律的に動いており、それぞれ何らかの部品を製造しているようだった。
横から覗く限り、かなり複雑で繊細な工程のようだが、各ロボットはスムーズに作業をこなしている。
「みなさんはガイドライン通りに、各AIの動きを逐次チェックしていってください」
「今さら聞くのもなんですが、そんな仕事を俺たち素人に任せて大丈夫なんですか?」
「むしろ適任です。我が社のAIは様々な事業で活躍することを想定しています。誰でも簡単にチェックできる設計でなければ扱いづらいので」
モニターはモニターでも、それだと“監査役”というより“商品の意見や感想を述べる人”って意味のモニターだ。
一応、俺たちは職場体験で来ているのだが、体よく利用する気まんまんだな。
「緊急の問題が発生した場合は、社内の内部通信で連絡をとるか、お近くのブザーを鳴らしてください。どちらも不可能な状態の場合は、この部署の“リーダー”に報告してください」
「リーダー?」
「はい、あそこにいます。あ、あとリーダーには他のアンドロイドのような質問チェックは必要はありません」
その方向に視線を向けると、一際大きいアンドロイドが、その身一つで荷物を運搬しているのが見えた。
明らかに他と規格が違っており、多分あれが“リーダー”なのだろう。
遠くからでも威圧感のある見た目をしているが、ムカイさんに似ているため個人的には親しみが持てる。
まあ、こんなところにいるはずがないので、ボディが似ているだけだとは思うが。
「エーゼロワン、異常はない?」
「異常なし……っと」
現場にいる人間は基本的に俺たちだけで、1時間毎にあの担当者が顔を出しに来る程度だ。
後は小型の監視ロボが、頼りなさげにフワフワ巡回飛行しているだけだった。
「うわっ、びっくりした! なんだ、監視ロボか……」
いや、この場合は“なさすぎた”というべきか。
「これで一通りチェックはしたかな。そっちは異常なかったか?」
「うん、みんな異常なしって答えてた」
「よし、じゃあ一時間後に、またチェックだ。くれぐれもアンドロイドたちの作業は邪魔するなよ」
「まあ、もし邪魔してしまっても、ちゃんと動きを修正できるから問題ないだろうけど」
薄々感じてはいたが、実際にやってみると非常に楽な仕事だった。
渡されたガイドラインに従ってアンドロイドたちに質問し、項目にチェックを入れていくだけ。
にも関わらず、俺たちの精神は磨耗していく。
「あいつら『異常なし』って答えてるけど本当に大丈夫なのか?」
なぜかっていうと、どのアンドロイドも同じ回答しかしてこないからだ。
「人に体調を尋ねて、『大丈夫、だいじょーぶだから』って答えられてるようなものだぞ」
「この会社は、それで本当に大丈夫なんだろう。それだけ自社のAIに自信があるんだ」
「まあ実際、優秀だよね」
アンドロイドたちは定期的に自己メンテナンスをしたり、充電とかも勝手にやっている。
自己修正できない場合は、自分の足でメンテナンスロボのもとへ向かうらしい。
「そりゃあ……あるんじゃないか?」
カジマの明け透けな疑問に、俺はなあなあで答えた。
俺たちの仕事量は非常に少なく、退屈なこと自体は否定できなかったからだ。
仕事で遠出して、くたびれて家に帰る途中で。
最寄駅を出ると、腰を折り曲げて何かを探しているおじいちゃんが目についた。
一生懸命何か探してるように見えて、サポートが必要なのかな?と思いつつじーっとみて、でも通り過ぎてしまった。
声をかければよかったかな、思ったけど、きっと大丈夫、と思ってスーパーに入って買い物をした。店を出た時、やっぱり戻って見てみよう、もしも居なければそれはそれで解決したと安心できるし、もしまだ居るならばとても困ってるということだから、助けようと、思った。
戻ると、あろうことかおじいちゃんは倒れていた。
荷物を道に投げだして。
何人かの人はおじいちゃんを横目で見ながらも、酔っ払い?ホームレス?判断がつかなかったと見えてみんな通り過ぎてゆく。
おじいちゃんに近寄ると、思いの外おじいちゃんは目をパッチリと開けて空を見上げていた。
寝てるだけです風を決め込んでいたのだ。
「大丈夫です」
とかすれた声で言う。
「大丈夫です」
と言う。
「どこか具合が悪いですか?」と聞いても
「大丈夫です」
気づくと横に主婦がいて、
「救急車呼んだほうがよさそうですね?」と言う。
一応もう一度聞く。
「大丈夫です」
主婦の人が駅員さんを呼んできてくれた。
駅員さんも一通り上のやりとりを繰り返して
警察を呼ぶことにした。
11月の地べたに横たわるおじいちゃんは、しきりに寒い寒いと言う。
「地面に寝てるからですよ家に帰りましょう?」
「いいや、それはちょっと、、、」
おじいちゃんはすこし起き上がりたそうだったので、起き上がりをサポートすることになった。
手を握る。瞬間にすこし緊張した。
このおじいちゃんは身なりも綺麗で体格もしっかりしていて、きっとホームレスの方ではないだろうということを自分に言い聞かせる。
おじいちゃんの手をとると、冷たくて、誰かの手をずっと求めていたみたいに、しっかりと握り返してきた。
駅員さんと、主婦と、力を合わせて起き上がらせる。
おじいちゃんはどうやら、この辺に住んでる人で、家族はおらず一人暮らしで、家がどこなのかは分からなくなっちゃったらしい。
私は多分、最初に話しかけた瞬間から、7年前に亡くなった祖父のことが重なっていた。
祖父も昔、迷子になってしまって、近所の人に送り届けてもらったことがあった。
本人も、わかってたはずのことが分からなくて、こんなことが分からないなんて恥ずかしくて、人に分からないというのもショックだったはず。
気づくと飲み帰りの中年サラリーマンも立っていて、彼の提案で、飲み屋から椅子を持ち出して座らせることにした。
おじいちゃんは私の手を強く握ったまま離さない。認知症の人の症状なのか、手を何度も何度もニギニギしてくる。
隣の主婦はおじいちゃんの脈に触れており、聞けば看護師だと言う。
どおりでこの人は一番、状況判断が早い。
もう救急車呼んじゃえば?と早い段階で言っていたのもそういえばこの人だった。
駅員さんは持ち場を離れることの事務連絡を同僚にし、サラリーマンは飲み仲間に事情を説明して遅れることを詫び、主婦は家庭のことを思っただろうし、私は明日もまた仕事で遠征だなと思った。
現実的な個人の事情と、でもこの人を見放すことはできない感情と、後者が勝った人達がこのシチュエーションを共にした。
赤いライトが見えるたびに、警察やっと来たか?!とざわめいて、だけどなかなか警察は来なかった。
ようやくパトカーが見えた。赤いライトは付けずに、すーっと来た。
警察がつくとホッとしたのと一緒に、こんなに時間がかかるものなのかと。
このおじいちゃんをしっかりサポートしてくれるんだろうかと、なぜだか小さな敵対心を私たちは感じた。
中には幸い、おじいちゃん家宛のいろんな書類が出てきて、これでもかとばかりに、おじいちゃんの名前と住所を主張していた。
「住所は分かりますか?」
と聞くけれど、下を向いたまま頼りなさげに首を振る。
警察が仕方なく住所を読み上げる。
「誰もいない」と言う。
「ちょっと厳しい、、」という。
すると警察は、
私とサラリーマンと看護師主婦は、家に帰ってもおじいちゃんが一人きりという状況を一番心配していた。
この状態のおじいちゃんがいつまた、分からなくなっちゃうのか、わからない。
最悪の場合は、、、と色々考えると、おじいちゃんをパトカーで家に送り届けるのは、全く不完全なソリューションに思えた。
とはいえ同居人やお子さんもいないとすれば、独立した一個人であるおじいちゃんの、その後の選択肢を私たちが決めることもできない。
かなりモヤモヤして不安そうな顔をした私に対して、サラリーマンと看護師主婦は「まぁしょうがないよな」と努めて前向きに言う。
きっといろんなことを知っていて、だから、これが最善だと理解したんだろう。
お疲れ様でしたと言って、すごい2人とも早歩きで立ち去るのでびっくりした。
動揺の35分を過ごした私たちは少なからず仲間意識を感じていたはずだけれど、あっという間に元の他人に戻っていった。
帰り道はかなり重い気分になった。これが現実だと思ったし、こういうことが日本のいろんなところで起きてるんだと思った。
縦長の狭い部屋に身を隠すように暮らす東京の人達。プライバシーは私たちを守ってくれる一方で、こういうおじいちゃんを見えなくしてしまう。
まぁしょうがないよな、といったサラリーマン。椅子まで持ってきてくれる優しい人が日本にはたくさん居るのに、それ以上のことを出来なくさせてるのは何なんだろう。
プライバシーを守られたいのは誰?
これからは高齢者がマジョリティになっていく中で、プライバシーより重視されるものがある気もする。
こういう事象に対するソリューションはないんだろうか。単純じゃないのは分かってるけど、、、。
最寄駅で倒れているおじいちゃんを助けた。
助けたんだろうか?
意識高い系のいかにも仕事できなそうで職場や案件たらいまわしにされてるの丸わかりの増田とか、使えなさ過ぎて業界から追い出されてシコシコ技術ブログとか書いてるんだろうなっていう元ITエンジニアって肩書のブロガーとか自称業界人の皆様たちのおかげで、絶賛20代30代がいなくなり、40代50代の脳みそ壊れたオッサンオバサンばかりと少子高齢化のあおりを受けまくってるIT業界
そんな彼らが「IT業界がダメになったのは国や社会の責任だ!」と鼻息荒く早口でよく責任転嫁をしているが、彼らに「じゃあ昔のIT業界ってどんな風な仕事の仕方だったの?」っていっても口が裂けても答えてくれないことが多いのは周知の事実だと思う
だから、これから運悪く新卒でブラックにあたって職歴に傷がついているからIT業界に仕方がなく来るしかない、という第二新卒の方々や、IT業界に来たいんだ!という奇特な新卒やダ学生の増田向けに、まだ日本がITでは世界2位だったころは、どんな風な仕事の仕方だったのかを、知ってほしいからこれをかこうと思う。
増田が大好きで大好きで仕方がないweb系も、始まったのは実は92年くらいからで、その当時のweb系も合わせてどういう仕事なのかを知ったうえで、貴重な若い人生を無駄にしないように将来を考えてほしいと思う。
例えば業務用ツールの案件の場合、顧客はIT知識やましてやシステムのことなんて何も知らない
だからコンサルが「客の職場に常駐して」まず業務のヒアリングから始めていた
今でこそコンサルなんて半グレやヤクザみたいなのが業界の4割くらいしめていて詐欺師の代名詞みたいになっているが、当時はそんなことはなくちゃんとした技術者も多く、故に顧客がコンサルにまで正当にお金を払う文化が存在していた、この時点で信じられないとか発狂する増田もいるだろうが、真実なので落ち着いてほしい。
顧客は自分の会社ではあるけど現場でどんな業務が行われているかが見えてないケースさえ昔は多かった
まず業務手順の整理や確認をして行く、「SEとセールスエンジニアが常駐して」ヒアリングと現状の手作業の事務の工数をはじきだしていく。
今でこそセールスエンジニアとか茶飲みに来た営業の横にくっついている愛想悪そうなオッサンがやる気なさげに右上のタイムスタンプ数年前の資料かえただけのものをバサっと投げつけて技術わかってない客を見下しまくって喧嘩を売ってるような態度のエンジニア上がりとかが業界のセールスエンジニアの6割を占めているが、当時はそんなことなく、ちゃんとした一般常識や教養や礼儀や共感性が人並みにある健常者の技術者上がりも多く、故に顧客が常駐しているセールスエンジニアに正当にお金を払う文化が存在していた、この時点で嘘だ!主語がデカい!とか発狂する増田もいるだろうが、真実なので落ち着いてほしい。
現場の運用が把握して業務の棚卸しが始まる、無駄な業務を実施していることがここで判明してくる
だから、業務で発生している課題がハッキリして来る、システム移管時に何の業務が対象になるかが判って来る。
現状の客の業務ワークフローをドキュメント化して客に示して行き、詳細な機能要求仕様書も起こして行く。
今でこそIT業界のエンジニアたちが口をそろえて「それは客がすべきことだろ」と震え声でわなわなしながらブツクサ、ICT知らん奴は人にあらずみたいな商売と人様を舐め腐ったことを言うことも多いが、昔は顧客には本業の仕事だけに注力をして貰いたいのがベンダーとしての考えだったわけだ。これはwebサービスとか自社サでやるweb系の始祖であるところとかも一緒
課題が顕在化して来ると今後起こりうる可能性のある課題まで浮かび上がってくる、そして要求要件が固まると客にコストの提案が始まる
今までの業務コストとシステム化やシステム改修によるコストの差を示して行き、構築見積もりもここで概算を提示する。
概算見積もりの段階で高いと言う客にはここで終わりにはなってしまう。
OKなら、ここまでの見積もりコストを人権費と経費を基に計算して15%乗っけて完了、ドキュメント類は報告書として残して行く。
「なんでドキュメント類なんて残していくんだよ!ICTを知らん猿如きに!!!」って発狂するIT業界の現状の人間も甥が、理由はこれによって「顧客は競争入札が可能になるから」という至極まっとうなビジネスとしての理由がある。
こういうの今はBtoGでもめったにやらないだろうけど、大体すべてIT業界ではこれくらいが当たり前だった。増田が邪教の如く忌み嫌うウォーターフォールって奴だ(省庁は年度を跨ぐと手続き面倒だからデ通サが多いけどね)
さて、ここまで詰めてくれるわけだから、下流側は昔はコーディング設計書さえあった時代、マシンの性能以外を除けば、プログラマーとしてはこれほど助かることもない、綺麗なコーディングに注力できるから、だから昔の日本人プログラマーのコーディングは、芸術レベルで美しかったといわれる理由がこういう仕事の仕方が昔は当たり前だったからだ
昔のアメリカ以外で太刀打ちできる国は地球上に存在しないとまで言われていた時代の日本のIT業界を支えたSEやエンジニアたちは、ここまでやりがいのある仕事をする。
そりゃ年収一本当たり前だわな、これだけできれば。
今のIT業界の仕事の回し方なんて、アジャイル至上主義のweb系とかも見てもらえばわかるが、昔と比べればもはや学園祭の焼きそば屋レベル
上記のような仕事をされると困るから、そういうのが憎くて憎くて仕方がないみたいな奴らしかいないIT業界に、それでも来たいというのならどうぞご自由に。
え?海外いく?行けるわけないでしょコネもないのに。夢みたいなこといってないでパソコンの前に座るような不健全な仕事しないで汗をかいて働きなさい。
うちの会社の先輩(男)はとても人当たりがよい。
怒るとこなんてみたことないし、新人にも適度に裁量を与えつつ、質問しやすいように配慮している。
パット見ちょっと頼りなさげに見えることもあるけど、実際は結構勉強していることを知っている。
そして家庭でも良い夫のようだ。土日の昼は料理しているらしい。
奥さんとは会社のBBQで1回会っただけだが、おっとりした優しそうな美人で、知らない人ばかりの環境はちょっと苦手みたいで、先輩ができるだけつきっきりで、話しやすそうな同僚との間を取り持っていた。
そういうのって嬉しいよね。時々家族の写真を見せてもらう。とても幸せそう。
幼稚園の娘さんがとてもかわいくて、よく先輩があやしてる写真がある。
うちの会社はわりとそのへんは理解があるので、奥さんが友人とお茶しに行くときとか、早退して迎えに行ったりしてあげてる。
そんな先輩は、定期的にネットで出会った女性とオフパコしている。オフパコ。
先輩と仲のいい同期から聞いたのだが、はじめは意味が分からなかった。
オフで出会ってパコパコするからオフパコ。なるほど。あんまり実際はパコパコって音しないですよね。え、する?
多分だけど、既婚者ということも相手の女性達には明かしてるんではないか。
単なる直感だけど。なんというかそういうとこで相手を騙すような人ではないと思う。
バレたときがめんどくさそうだし。
奥さんはどう思うのかな。オフパコどころか、旦那さんが風俗、いやキャバクラに行くことすら嫌がりそうなタイプに見えた。
二人で食事にいくとか、手をつなぐとか、そういうの全部すっ飛ばしてセックス。
離婚もできなさそうだけど。
でも知らないでいれば理想の旦那さんだろう。それなりに名のしれた会社に勤めていて。
子供の世話にも積極的で。いわゆるイクメン。家事も手伝ってくれる。
レスなのかなあ。
こういうのはロールキャベツと言うんだっけ?
昔の話ですね。
彼女いなくてもいいじゃん!男友達と趣味に勤しむのも本人が幸せなら素敵な生き方じゃない。
たぶん、稼ぎ手の男性を女性と結びつけて家庭を持たせるのが富国強兵に繋がってた時代の名残だと思うんだけど、ほんと本人がやりたくないことを押し付けていいことはないよ。
性欲はある、女性への関心もある、でも女性との関わり方は分からないし、二次元で欲求は満たされるって層がいる。そもそも女性より男性と関わる方が落ち着く層もいる。
そういう層にレッテルを貼って恋愛市場に焚きつけるのって意味あるのかな。
ほっといてやれよ!って思う。
ほっとかれてて今幸せな女としても、切実に。
孫が欲しいなら養子でも取ればいいのにね。
江戸時代までとかしょっちゅう取ってたっぽいじゃん。知らんけど。
彼女いない男はおかしいって風潮があると、焦ってとりあえず彼女が欲しい男性に余裕なさげに声かけられていやーしんどいっす(本音)。
偏差値50の顔なのよね。レベルで言ったら下の上。7000円台のエクササイズ器具みたいな、痩せたいけどジム行くのはめんどいし高い美容器具も買えない層がとりあえず買っちゃうくらいの。手頃な価格帯の。
ところがこっちは売り物じゃねーんすわ。ごめんな!
彼氏がいない女はおかしいって風潮はそんなないというか、あっても気づかず幸せにやってけてるんですが、とかく自分の人畜無害フェイスが追い詰められた人々を呼び寄せるようなのでいかんともしがたいです。
ほんともう、本人が自分の人生に満足する以上の幸せがどこにあるんだよ!
婆ちゃんちに行くと、机やら床やらそこら中に広げた新聞紙と白い粉まぶした平べったい餅がアチコチに。
それはもう家中アチコチに。部屋の片隅で所在なさげに酒呑みながらテレビ見てる爺ちゃんと、フル稼働で唸る餅つき機。
俺が生まれる前から現役であり続けるナショナルの餅つき機は、今みたいに全自動では無く、炊いたもち米入れたり、水入れたりと手を離せないタイプのそれ。
もち米炊くのも炊飯器だけじゃなくて、鍋やら裏庭のかまど(薪!)もフル稼働。
話す暇もありゃしない。子供の時は、もっと前からやればいいのに〜とか、買ってくれば済むのにと思うとった。
だけど、今になってようやく解った。
出来たてのを持って帰らせるためには、あのタイミングだったんだろう。前日から仕上げたのでは、婆ちゃんの矜持が許さなかったのだろう。ちょうど帰るときに全部が仕上がるようにするの。
紅白歌合戦も見ないでひたすら、粉付けたり、切り分けたりさ。
「今週発売された全てのAVを見尽くした男のAVレビュー」ってのがあったとしてさ、そんなの信用できるか?
誰にだって趣味趣向ってのがあるんだからさ、見ても絶対楽しめないだろうなって感じる作品が絶対多少はあるはずじゃん。
もう義務じゃん。
仕事感覚で娯楽レビューとかそんなのGAMEWITHのリセマラランキングやファミ通のクロスレビューみたいなもんだぞ。
そんなのを信用して良いのか?
無理だろ。
俺が思うに、信用できるのは全アニメの2割~8割を見てる奴だね。
2割切ると少なすぎてアニメ同士をちゃんと見比べてない井の中の蛙みたいなレビューになるんよ。
逆に8割まで来ると、まあ異常者だよね。
異常者同士の中では信用できるって扱いかも知れないけどね。
んでもって10割はもう完全に駄目だよ。
異常とか正常とかじゃなくて、アニメに求めてるものが違うんだもの。
全部見たって言うことが目的になってるの。
プラチナトロフィーのために攻略サイト見ながらゲームの隠しアイテムを興味なさげにコンプリートしようとしてる人と同じだね。
それはもう、信用出来ないでしょ。
それに当たって色々なブログを見ながらも共感した部分や、自分のなかのモヤモヤなどを形にしたいと思い匿名という形ではありますがブログに書くことにしました。
アニメ化もあり盛り上がりをみせるMマス。アニメからの人もアニメに出ていない組に少しでも興味を持った貰えればなと思います。
私は蛇事務所、そして某ジャンルが好きです。某ジャンルでは複数の作品の合同イベントが開催されることが多くその際によく見るのは興味のない作品の際に座る、ペンライトを振らない、拍手もおざなりというような行為です。
見ていて気持ちのいいものではありません。座るのは仕方ないことだと思いますが表面上だけでもいいので周りに合わせてペンライトを振ったりすることは難しいのでしょうか。
私は基本、知らない作品があった時でもペンライトを振りますし、聴いていてあ、この曲いいと新たな発見をしたりと楽しんで参加しています。
座らないで!ペンライト振って!とかではなく、知らないからといって興味のない体で歌を聴いていると、きちんと聴けるものも聴けないのかなと。勿体無いのではないかと思うわけです。
強制する気は無いですし、私はこうい風に思っているよと。
好きな曲だけ聴き、知らないものを興味なさげに聴き時間を過ごすのと、少しでも楽しもうという努力をして時間を過ごすのは同じ時間の使い方ではないと思うからです。
Mマスはアニメに出ていないユニットの曲も315ですし、アニメで歌われてない曲がほとんどです。
アニメを入り口にして他のユニット、ソロなどを聴いてほしいな〜〜と思います。
そしてライブで一番好きではないのは
促されていないコールです。
キャストがここでこうして!とか間奏、曲終わりとかで言う分にはいいんです。
ですがキャストが歌ってるのを遮るような「ウーハイ!」みたいなコールがどうしても好きになれません。
蛇事務所のコンサートでは基本他の観客に迷惑にならないようにということが原則としてあります。
盛った髪、高いヒール、うちわの使い方、大きさ、ペンライトを高く上げすぎる、アイドルが歌ってるときに叫ぶ行為など。
公式のルールにないものもあります。ですがファンの中での暗黙のルールとなっているものです。
それも、皆が楽しんで参加できるようにすることができるようにという配慮かもしれません。
隣の人はあなたの声を聞きに来たのですか?
後ろの人が見えなくなってしまうかもしれません。
キャストの、頑張ってアイドルを演じてくれている声優さんの歌を聴きに来ている、見に来ている人の気持ちはどうなるのでしょう。
コールだけやりたいのならBlu-rayが出た時に存分にやってほしいです。
しかしもし隣や後ろの人から、コールで声が聞こえません、見えないのでペンライトもっと下げてもらってもいいですか…と言われたら
とつっぱねないで
少しペンライトを下げる、コールの声を小さく、コール箇所を少なくするなどしては貰えないでしょうか。
そして苦手な人も多少のコール、見えにくさなどは目を瞑るとは出来ないでしょうか。
そして互いが互いに配慮し合えるようになるといいなと思います。
皆がよりよく楽しめるようになればなと。
ともかく、ライブ楽しみです。
そんな言葉をネットのどこかで見かけてから、仕事で外出すると街を歩く人々が気になるようになった。
当然、そんなことはない。そもそも平日休みの職種などいくらでもあるし、時間帯によっては学生だって楽しそうに街をうろついている。
でも、やっぱり目に飛び込むのは老人と外国人だ。
スーツや作業服に身を包んだ人々は皆どこか余裕がなさげに見える。
そう見えるだけなのはわかっている。ビジネスマンが疲れて見えるのも、ショップの女性店員の目が笑っていないように見えるのも、すべて自らの余裕のなさがそう見せているだけだ。
コンビニや居酒屋にはどこの国かもわからぬ外国人がたどたどしい日本語で接客をする一方、大きなキャリーバッグを引きながら何処かへ向かう外国人がいる。この差は何なのだろうか。
仕事に就いていることはまぎれもない幸福で、こうしてとりとめのない意見がインターネットに書き散らかせることもやっぱり幸福なことなのだろう。自分が無い物ねだりをしているだけなのはわかっている。
しかし、それでもやっぱり俺は、電車で楽しそうに談笑する外国人や、集団で観光地に向かう老人たちを見かけると、今の自分には到底手に入らないであろう幸福というものを感じるのだ。