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2017-07-28

父の新しい趣味

昨年、父が定年退職した。

父は40年以上ずっと運送会社で働いていた。趣味も車で、休みの日は必ずドライヴテレビも見ない、本も読まない、ネットもやらない。昔はよく料理をしてたけど、今はぜんぜんしてない。

学生時代映画監督になりたかったらしい。だからだろうか、私が小さいころはよくカメラを持ち歩いていろんなもの撮影しまくっていた。8ミリハンディカム? くわしいことはわからない。とにかくビデオカメラで何でも撮ってた。旅行運動会七五三etc

でもいつしかそれもやめてしまった。それからは車一筋。ドライヴけが人生って感じだった。

私は父が心配だった。そんなんじゃボケちゃうよ。それにいくら車が好きだからって、もうなるべく運転は控えて欲しい。年なんだから

父はひとりで暮らしている。母は私が2才の時に癌で亡くなった。それからずっと父娘で暮らしてきたが、私は3年前に26で結婚して家を出た。

私は父にノートパソコンプレゼントした。父が車以外のことで時間を潰せるようになればいいなと思って。オンライン将棋なんかを勧めてみた。それが半年前。

で、驚くべきことが起きた。父がパソコン動画編集にはまってしまったのだ。

映画青年の血が騒いだのだろうか。父は短期間に相当な知識技術を身に付けていた。

スポーツカー ベスト10』なんていう2分ぐらいの動画を作ったりしてる。ランキング形式で車の映像が流れるのだ。

その車の映像、どうやって手に入れた!? BGMもついてるし、解説テロップも入ってる。文字がボヨーンと飛び出したりして。すげー。

いやー、よかった。これで老後の趣味ができたねー。

なんて、安心してたのも束の間。

なんと父は私の小さい頃の映像編集し始めたのだ! ねえ、その古いテープ達、どうやってパソコンに取り込んだの?変換とかできちゃうもんなの?とんでもない機材とか買ってない?大丈夫?散財してない?

その手の知識が全くない私はとにかく心配心配で。こんなことは簡単に出来ると父は言うのだけれど。本当だろうか?

そんな父から、先日、DVDを渡された。なんとそれ、私の思い出ムービーだっつうじゃないですか。いやあ、さすがに身構えた。

で、観たんですが、これがかなりぶっとんでまして。。よく言えば前衛的。はっきりいうと、めちゃくちゃ。

映像はいきなりビデオレター風に始まる。どこかの山の登山口にひとりで立つ父。カメラの前でぎこちなく笑いながら手を振ってる。テロップが出る。

なぜ高尾山!? どういう意図があるの?しかもこれ、三脚立てて一人で撮ったの!? 松居一代スタイル!?

父が私に呼びかける。

  • 覚えてますか~、ここは大昔に君とふたりで来た山です!

そうだっけ!? ごめん、覚えてない。。あ、でもなんか、すごく小さい頃、山の中でゴンドラに揺られたような記憶が、あるような無いような、、あれが高尾山

そこでなぜかBGM

永ちゃん!?なぜそのチョイス!?明るい山並みとぜんぜん合ってないよ。。完全に夜景向きの曲じゃん、、、

映像が変わり、実際に私が緑の中を歩いてる場面が流れる。すごくちっちゃい。たぶん幼稚園のころだ。何だかぐずっている。カメラの奥から父の腕がにゅっとのびて、私を抱き上げたところでフェードアウト

今度は私が運動会で走ってる映像が流れ始める。

これは良かった。なんと幼稚園から小学校5年までの私の徒競走映像ちょっとずつ繋いであるのだ。(ちなみに6年の時は休んだ)

走りながら成長してゆく私。たまにスローになったりして。かっこいいじゃん!BGM爆風スランプじゃ無ければさらに良かった。次から音楽担当は私にやらせて。

そっかー、父は毎年、私が走るところを必ず撮ってくれてたんだね。

そのあとも、七五三海水浴さくらんぼ狩り学芸会、お誕生日会と、まあ懐かしい映像が次々と。知恵熱が出そう。

さて、問題はここからですよ。再びカメラの前に現在の父が登場。

なんと私が小2の時に書いた手紙カメラの前で読み上げやがった!

完全に松居一代じゃん! 暴露ノート的なやつじゃん!もしかしてオマージュ!?影響受けたの!?

しか手紙文章テロップに起こして、ピアノBGMなんかつけちゃって、映画エンドロールみたいにして晒すという、、、まさに鬼畜所業。。

  • パパへ

おたんじょうびおめでとう

パパのオムライスが好きです

ごはんを食べるとき

パパはおもしろいはなしをたくさんしま

わたしケーキ屋さんになったら

たくさんケーキをたべてね

食べ物の話だけかいしかもこれ、テロップにする意味ある!?

ビデオはここで終わる。いやー、すごかった。いろんな意味で。

手紙、ずっと持ってたんだね。

私、ケーキ屋になりたかったんだなあ。ケーキ、作ってみるか。よし、今度作って父に食べさせよう。

代わりにオムライスを作ってもらおう。あれはね、世界一うまいんだ。

2017-06-23

透明人間

もし透明人間になれたら何がしたいかな。

俺はやっぱり銭湯に行くだろうな。

ちょうどうちの近所に銭湯があるし。

しか歩いて五分ぐらいの場所だったはず。よし、行ってみよう。せっかく透明人間になれたんだし。

で、喜び勇んで銭湯に行くんだけど、シャッターが閉まって貼り紙がしてある。どうやら潰れてしまったらしい。

参ったな。せっかく透明人間になれたのに。

でも俺はまだ諦めない。たしか隣の駅にも銭湯があったはず。Googleマップで調べてみる。うん、たしかにある。俺は電車に乗って隣の駅で降りて、すぐにまた銭湯に向かった。

あった!でもシャッターが閉まってる。また貼り紙

『浴槽のメンテナンス本日はお休み

ちくしょう、こうなったら意地だ。俺はまたGoogleマップを調べる。隣の駅にもその隣の駅にもそのまた隣の駅にも銭湯はある。でも行ってみたら、すべて閉店になっていた。

足がくたくたになってしまった。閉店ならネットにそう書いといて欲しいよ。銭湯の閉店って、必ず貼り紙で発表しなきゃいけないんだっけ? そうか、電話確認するべきだった。

疲れた今日はもうあきらめて家に帰ろう。俺は駅に向かって歩いた。そしたらロータリーにでっかいバスが停まってたんだ。ボディに横断幕

さくらんぼ狩り御一行様』

俺はふらふらとバスに乗車してみた。中にはお婆ちゃんの団体がいた。とてもにぎやか。誰も俺には気づかない。当然だ。透明人間からね。

俺は空いてる席に座った。バスが発車するとすぐに寝てしまった。目が覚めたら車窓から河口湖が見えた。いい天気だなー。

畑に着いて、俺はお婆ちゃん達と一緒にさくらんぼ狩りに参加。40分間、好きなだけさくらんぼを摘まんで食べた。種は紙コップに吐き出す。茎は引っこ抜いちゃダメ。必ず実だけもぎ取ること。

俺はさくらんぼをたらふく食べた。うまかったー。もう一生さくらんぼはいいや。お婆ちゃん達も満足げ。

帰りのバスでも俺はすぐに寝たけど、しばらくしたら目が覚めた。バスが停まり、お婆ちゃん達がぞろぞろ降りて行った。着いたのかな?俺は車窓から外を見てみる。すでに夜だった。

サービスエリアだ!ここはどの辺りなんだろう?真っ白い建物ライトに照らされて、でっかい窓の向こうにおみやげ売り場やフードコートが見える。

俺もバスを降りた。焼きそばフランクフルトを食べよう。売ってるかな?たぶんあるよな。定番だし。あ、でも俺、透明人間なんだ。じゃあ買えないか

フードコートでたくさんの家族連れがいろんなものを食べてる。いいなー、ソフトクリームうまそう。

テラステーブルに女の人がひとりで座ってる。誰かを待ってるみたいだ。あれ、なんか見憶えがあるな。俺はゆっくりと近づいた。

うわ、昔の恋人!ずっと昔の、ほんっとに大昔の、やばいぐらい昔の、初めて長く付き合った恋人。お互い大学生で、俺は彼女下宿先に転がり込んで、そのまま四年間同棲したんだ。

で、卒業と同時に別れた。なんで別れたんだっけ?たぶん俺が愛想を尽かされたんだよな。

あの時はごめん。ふたりとも学生はいえ、俺がやってることは完全にヒモだった。生活費もろくに入れなかったし。

君は料理が得意で、毎日作ってくれてたけど、当たり前のように思ってたよ。あれ、すごいことだったんだな。今は自炊してるからよくわかるんだ。

君は今、幸せなの?相変わらずきれいだね。俺はいちど結婚したんだけど、それも失敗しちゃって...。

俺は必死彼女に話しかけるんだけど、その声は絶対に届かない。透明人間から

俺はため息をついて空を見上げる。満月だ。まだ付き合いたてのころ、ふたり公園散歩してるときに見たのと同じやつ。

俺は彼女にもこの月を見て欲しいんだけど、教えてあげたいんだけど、どうしてもそれが出来ない。透明人間から

ところで君はこんなところで何してるの?誰かを待ってるの?

もうじきバスが発車してしまう。帰らなきゃ。いつまでもここにはいられない。ああ、透明人間じゃなければ君に話しかけることができたのに。最悪だー。

なーんてことにはならない。だって透明人間になれるはずがないから。

俺はくっきりと存在してるし、君もどこかでくっきりと存在してる。よかったー。

 
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