2024-11-22

俺はね、言おうかどうしようか迷ってたけどね、女の子になりたいんです

「俺はね、言おうかどうしようか迷ってたけどね、女の子になりたいんです」そう言い出したのは、真夜中のコンビニの前で立ち尽くしていた僕だった。

レジ店員さんは困惑した表情で僕を見つめている。いや、困惑どころか恐怖すら感じているようだ。そりゃそうだ。深夜3時に突然そんなことを言い出す奴がいたら、誰だって怖がるだろう。

でも、僕にはもう後戻りできない。言葉が滝のように溢れ出す。

「実はね、昨日の朝、目が覚めたら突然ピンク色のユニコーンになっていたんだ。角から虹色の光が出て、部屋中がディスコみたいになってさ。でも、お母さんはそんな僕を見ても『早く学校行きなさい』って言うんだ。おかしいと思わないのかな?」

レジ店員さんは固まったまま。僕は続ける。

学校に行ったら、みんなが僕のことをサラダだと思ってるんだ。『おいしそうなサラダだね』って言われて、給食時間には食べられそうになったよ。危うく命拾いしたけど、代わりにマヨネーズをかけられちゃった」

「そんで、帰り道に宇宙人出会ってさ。『地球代表として我々の惑星に来てくれ』って言われたんだ。でも、僕は断ったんだ。だって明日テストがあるからね」

「あ、そうそう。さっきまで僕、実は猫だったんだ。でも、人間に戻りたくて、魔法使いのおばあちゃんにお願いしたら、こうして人間に戻れたんだ。ただ、性別が逆になっちゃって...」

店員さんは震える手で電話を取り上げた。おそらく警察通報しているのだろう。でも、僕には関係ない。だって、僕はもうすぐ女の子になるんだから

「ねえ、聞いてよ。実は僕、明日から...」

そう言いかけたその時、目が覚めた。ベッドの中で汗びっしょりになっている自分に気づく。ああ、夢だったのか。

でも、なんだか寂しい気もする。女の子になりたいという気持ちは、どこか心の奥底に残ったままだった。

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