エリートが縦の旅行をしないのは昔から同じ。しかし昔のエリートはいかにもエリートという顔して、民衆の声や運動を「政治や経済をわかっていないバカ」と露骨に見下していた。政治信条も保守的な人物が多く、「縦の旅行が足りない」などとは言われなかった。
今のリベラルなエリートは逆で、そもそも彼らにエリートであるという自覚はほぼゼロで(それ自体は悪いことではない)、そして弱者や底辺の人に寄り添う姿勢がある。他方で、彼らの語りからは「パレスチナで戦争の被害に遭う子どもたち」などはたくさん出てきても、それこそ至近距離にいる、「極寒の中で道路工事の警備バイトをしている中高年男性」などはほぼ全く出てこない。
皮肉なことに、弱者や底辺の人に寄り添う姿勢があることが、かえって反発を生んで「縦の旅行が必要だ」という批判を浴びている。トランプ人気の背景の一つだろう。
リベラルは可哀想ランキング上位にしか興味がない