2023-11-25

上司は「ふぅ…」と宙に曇りを吐いた

デスクの端には山のように連なった書類。手前には缶コーヒー

襟元が黄ばみ、でっぷりした腹を堂々と露呈しながら上司コーヒーをごく、ごくと喉を鳴らすように豪快に飲む。

サングラスのような色のついた眼鏡に、パーマのかかった髪。

コーヒーを飲み終えると人差し指で机のトン、トン、と貧乏揺すりするように叩かせ、三拍子リズムを耳に張り付かせる。

その光景が視界の右隅、見切れたモニターの先にあり自然と目に入る。

ピントを合わせるのは良そう。

前、見ていることに気づかれ「おい、てめぇ何見てんだよ!」と怒鳴られたことがある。

灰皿から尻尾がはみ出た煙草

尻には火がついている。

秒針の音がフロアに響く。静か過ぎる。土曜だからか?

私は書類をまとめ続けている。

整理が終わらなければ帰れない。

上司はいよいよ貧乏揺すりを始める。

ふり幅は大きく、あと少し上げればデスクの底に膝をぶつけるだろう。

キーボートをたたく音が響く。わたしはしごとをしている。

上司はそう思っているだろう。

増田とも知らずに。

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