ジャニーズ事務所の会見で話題に上がった、Mステの忖度問題。ドルヲタの間では随分と前からそんなことは常識だったけれど、どうも世間では売れていないから出ていないだけという認識らしい。
この件に関して、オリコンの上半期シングルランキングに基づき、「ジャニーズのグループにはファンが多いから出ているだけだ」という投稿がX(旧Twitter)にあったけれど、そのランキングで9位に入っていたINIはMステに出演したことがない。
その点について指摘するリプライに対して、「特典商法で複数枚買わせているから」という声があった。ああ、本当にそうならばどれだけ良かっただろうかと思った。
オリコンで1位を獲るようなアイドルに限って言うならば、そういう人たちを対象とした今の「推し活」の根底には、間違いなく「見栄」がある。アイドル側にも、運営側にも、ヲタク側にもある。
CDの売れないこの時代にアイドルだけはCDが売れる理由は特典―――ではなく、「見栄」だ。推しに良い結果を届けて見栄を張らせたいというのも、人気のアイドルを推している自分でいたいというのもあるだろう。推しがオリコン1位以外を獲るのなんて見たくないとか、前回の売上枚数を越えさせないととか、そんな類のものもあると思う。
「見栄」が顕著だった事例として、Sexy ZoneとTHE RAMPAGEのシングルリリース日がほぼ被った件が挙げられる。
THE RAMPAGEの方は購入者が参加できるリリースイベントを開催していたことと、Sexy Zoneメンバーの匂わせ疑惑が重なった結果、オリコンデイリー1位がTHE RAMPAGE、2位がSexy Zoneとなる日も続き、発売日が1日早かったとはいえ、THE RAMPAGEの方がSexy Zoneの売上枚数よりも多く、このままいけば週間1位という状況にまで至った。
結局のところ、Sexy Zone側のヲタクの必死の呼び掛けの甲斐もあり、1位はSexy Zone。2011年から続く連続1位記録を守り抜いた。
わけなのだが。
推しの1位のために、なんの特典もないのに必死で頑張るセクゾのヲタクを見て、正直言って怖くなった。いや、正確に言えば後に購入者が応募できるファンミーティングの開催が発表されたため、なんの特典もないわけではなかったのだが、発売されたのが3日、ファンミ発表が7日だったことを考えると、少なくともその間は、なんの見返りもなしに大量購入していたヲタクが多くいたわけだ。
ヲタクからすれば、推しが今回も1位を獲ることこそが見返りなのだろうと思う。私自身ドルヲタなので、その気持ちは理解できる。
けれども、大量購入の付加価値としての特典がある方が、分かりやすい見返りがある分幾らかマシなのではと考えてしまったのだ。
ホストとアイドル、そしてVtuberは並べて語られることが多い。
ホストとアイドルは擬似恋愛を取り扱う職業という点で、ホストとVtuberは大金が動くという点で、同列に扱われることも多かった印象だったけれど、最近の界隈の状況を見るとアイドルも後者の側面が強くなっている気がする。
オリコンで1位を獲らせるために、Billboard JAPANのHOT 100で1位を獲らせるために、国宝級イケメンランキングで1位を獲らせるために、モデルプレスが開催する1位になったところで特にどうにもならない謎のランキングで1位を獲らせるために。
担当にナンバーワンを獲らせるためにシャンパンをいれるホス狂と、なにが違うのだろう。
規模と反比例するように、ヲタク個人への見返りは小さくなっていく。特にジャニーズなんかは、規模に関わらずデビュー前からずっとメディアへの露出があるわけだから、推しが「売れる」ことでたくさん見られるようになるかと言われれば元が多い分微妙なところだし、ライブの会場が広くなればなるほど双眼鏡やモニター越しの推ししか見られなくなる。
ならなぜ応援するのか。見返りなど求めていないからだろうか。「アイドル」でいることこそが見返りなのだろうか。それとも実は見返りがあるのかな。形に残る自分宛の見返りが欲しいドルヲタには、分からない。
人によっては嫌な気持ちになってしまうかもしれないことを書いたからお詫びにセクゾの曲を宣伝しておく。セクゾのシティーポップはいいぞ。
20年前のハッピーマテリアルじゃん