自分の部屋で眠れない日々が続いている。
私の家は壁がすこし薄くて、祖母の部屋が隣だ。
あんなに虚言癖があり、威張って、プライドが高かった祖母はもう見る陰もないほど弱って、寝たきりの状態。
そんな祖母はもはや日本語が通じない。何をしゃべっているのか分からない。
それなのに自分の要求は通そうとするからおそらく私の名前や、彼女の娘である私の母の名前と思われる言葉を叫ぶ。
いつ眠っているのだろうと思うほど、ずっと何かうわごとを呟き続ける。
壁が薄いせいで私の部屋に丸聞こえなのだ。
時には*してくれと言うこともあり、私たちは決まって家族を*人犯にしたいのかと言う。
真夜中だろうとなんであろうと叫ぶ。
寝たきりの状態なのに、自分がまだ立ち上がれると思っているから、起き上がらせてと呟くのだ。
当人は起き上がらせてとは言うが完全に他人任せで、私たちは起き上がる気力が無いことは理解している。
しかし、当人が力をいれないとこんなにも人間は重いのかとはじめて知った。
もともと痩身だった祖母だが、もはや骨だけの状態と言っても過言ではない。
そんな姿なのに人間は重いのだと知った。
気分転換にNetflixでアニメやドラマを見ていても、隣から聞こえてくるのだ。
これが私の幻聴なのか、本当にうわごとを呟いているのか分からないほど疲れてしまっている。
安眠できるはずのベッドは安眠できる場所ではなくなった。
こんな生活がいつまで続くのだろうと思いながら。