■俺はあちら側に行けないし、こちら側にもいたくない
俺は悪に憧れていた。金髪に染めてイキってみたり、大学にも行かず遊び呆けてみたり。
俺は、高校時代真面目に勉強して東大に入ってしまった人間なんだ。その時点で「あちら側」には一生行けない。どんなにレールから外れようとしても、俺の前にはすぐレールが現れる。レールに引き戻そうとしてくる。
でも俺の前に現れるレールは、俺が脱線するたびに少なくなっていく。勉強しなくなったら研究者への道は消え、真面目に就活をしなくなったら社会的成功への道は消えた。大学に入った時にはルートが多すぎて道に迷っていたというのに。
残り少ないレールにしがみついてまで俺は「こちら側」に残りたいのか。ここが最後の分岐だ。明日の入社式で覚悟を決めよう。
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