2023-02-25

10年ぶりくらいにゲームで、さめざめと泣いた

エンディングを迎えたけど、本当に凄いゲームだった。エンディングを聞きながら、涙が止まらなかったよ。

もう俺も大人なので、子供の時の様にゲームで感動した話を誰かとするような事も殆どないのだけれど、風化しないうちに増田に残して、いつか自分で振り返りたい。


ペルソナ5ザ・ロイヤルクリアした。

エンディングテーマの「僕らの光」の歌詞は、明智に対する主人公からの追悼なんだろう。


統制の神ヤルダバオトに選ばれた、同じ資質を持った二人のトリックスター、一方が主人公で、もう一方が明智

神がしかけたゲームの中で戦う事を宿命づけられて、ともに大人に裏切られた過去を持つ、その絆は悲しい。


父に捨てられ、幼い頃に母を失い、「誰にも望まれない子」として父に復讐を誓った少年が、その目的の為に多くの命を手にかけた事や

主人公と仲間たちと数年前に出会えていたら、もっと違う道があったんじゃないかって、現在に対する後悔を抱えて

それでも尚、父に復讐するという信念に対する揺らがぬ決意を支えに戦って、一度は死んだのが明智だ。

極限の状況で、自分の代わりに父を討つ取引を、自身の命と引き換えに敵を引き受ける事を条件に主人公に持ちかけて、その約束を絆として最後主人公たちと繋がれた気がしたのに、

「クソな自分人生最後にしては悪くない」そんな満足した最後を汚すように不幸な過去を何もかも消して、夢想した幸せと仮初の命を与えてくれる丸喜の作った夢の世界は決して認めず、

仮に自らの命を失う事になってもいいと、丸喜を拒絶し、戦って、そうして消えてしまった明智に対する主人公の想いが「僕らの光」なんだよな。。。

甘い甘いおとぎの国 君と会えた歪んだ世界

偽りの幸せでもいいと告げる口 君がそっと塞ぐ

戦って勝てばお前は死ぬ、それでいいのか?と問う主人公明智は言う

「君が迷う事は、僕に対する裏切りだ」

この言葉、この場面を思い出して、さめざめと泣いた。



「僕に対する裏切りだ」、この言葉を思うと、どうにも胸が締め付けられてしまう。

そもそも明智は、主人公をも躊躇いなく殺そうとしたし、主人公の仲間の家族を、父の命令で二人殺してもいる。

どうやったって許せない犯罪者だし、こいつだけは絶対に殺す、そんな思いをプレイヤーは持ってしま存在でもあった。

一方で、彼にも権力者父親に幼少から人生翻弄された過去があった。父に、誰かに、認められ望まれたかった。ただ、それだけ。

「何でお前なんかが、俺にないものを持ってるんだ」「いいよな、お前は。仲間に囲まれ、認められてさ」と主人公に対する強烈な嫉妬と敵意を向けつつも

その上で、「数年前に出会えてれば・・・」って、自分が選べなかった未来への憧れを口にしてもいた。

丸喜が作った現実は、その数年前に出会った後の幸せを与えてくれる。それを受け入れれば、皆から認められ望まれて、笑っていられる。

だが、その丸喜が作った夢の様な世界明智を呼び出したのは「明智と決着をつけるという約束を果たしたい」、そう望んだ主人公自身だった。

その思いを丸喜が形にした事で明智には仮初の命を与えられたのだ。主人公が望んだものは、数年前に明智出会った現実ではなく、敵として絆を結んだ現実だ。

からこそ、明智は丸喜が作った世界の中で、初めから覚めていたんだろう。

認知を歪められた世界で何もわだかまりのない友人としてではなく、主人公の命を狙い、仲間の親を殺しながらも、最後取引を交わした敵であることを望まれ明智が、

自身の父に疎まれ捨てられた過去を受け入て背負い、嘘っぱちだけど幸せ現実を受け入れず、自らの存在が消える事を分かっても戦うと決めたのは

主人公にとって決着をつけるべきライバルとして、悪として存在する事を、そうして結んだ絆を、主人公と同じく明智もまた望んだからではなかったかと思う。

明智が望んだのは、丸喜から与えられた夢にまで見た甘い現実ではなく、血を流し苦痛の末に交わした主人公との対等な約束の方ではなかったか

その決断は、悲しく、そして苦しい。

にもかかわらず、主人公から「消えてしまっても良いのか?」と、友として問われる事は「僕に対する裏切り」でしかなかっただろう。

とても不器用で切なくて、悲しい奴だ。

悲しい現実を作り出した丸喜も、また悲しい男だ。家族を失って心を壊してしまった彼女の作りあげた嘘っぱちの幸せを守り、

同じ様に悲しみを抱えた人たちからも、不幸を消して、死んだはずの家族が生きてる世界の中に主人公と仲間たちを招き入れた。

「この現実を受け入れてくれ」

そうすれば、誰も不幸にならないじゃないか?君は皆の幸せを奪うって言うのか?そう問いかける丸喜に対して、

だけど、その先には絶望を受け入れて乗り越えた成長も、それを支えあった仲間たちとの絆も残らない。

から、それを受け入れる事は出来ない、お前の作った魂の牢獄では生きていけない、そうして主人公たちは丸喜を否定する。

戦い破れた後に、「大人になってからでもやり直せる、その見本になる…それが僕が君にしてあげられる…仕返しかな」と丸喜は主人公に言った。

間違った選択したこと理解した丸喜もまた不器用だ。

父親を殺した明智に向かって「あなたがした事を許せない、だけど、あなたの事は分かる」、そう言った春も、暴走する父や周囲の大人に振り回された少女だ。

母親を殺した明智に向かって「どこからやり直したっていいんだ」、そう言った双葉も、大人によって傷つけられ社会から心を閉ざした少女だ。

そんな彼女たちが、大人に歪められた明智を受け入れようとする、その強さが、また悲しい。

なんというか、全体的に悲しい物語だったな、そんな事を思いつつ、エンドロールを眺めて泣いてたよ。

最後ムービーに映っていた明智制服姿の通行人、あれが明智なのかどうか?

正直、それが気になる。まぁ、どっちでもいい、プレイヤーの思うように受け取ってくれって事なんかな。

俺は明智は死んだんだと思いたい、あれは最後に消えゆく主人公ペルソナが見せた幻だと思う。


粗も沢山あるけれど、このゲームは名作だった。約150時間たっぷり楽しめました。

  • そのゲームはやってないけど 悪役にも悲しい過去があったんですう!! でチャラになる物語って萎えるな

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