2023-01-18

[]【詳細】日銀 黒田総裁会見 大規模な金融緩和策の維持を決定

景気は持ち直し

まず説明したのは景気の現状認識。「景気は資源高の影響などを受けつつも、新型コロナウイルス感染症抑制経済活動の両立が進むもとで持ち直している」と述べました。

物価 023年度半ばにプラス幅縮小

そして消費者物価の見通しです。

18日公表した最新の物価の見通しでは、食品などの値上げが相次いでいる2022年度の物価上昇率はプラス3.0%。そして新年度2023年度はプラス1.6%としました。

今の物価高について黒田総裁は「来年度半ばにかけてプラス幅を縮小していくと予想している」と述べました。

必要な時点まで金融緩和続ける

今後の金融政策方向性について、黒田総裁は「2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和継続する」と強調しました。

冒頭発言が終わり、このあと記者から質問が始まりました。

物価目標達成できる状況 まだ

黒田総裁記者会見で、日銀がめざしている賃金上昇を伴って2%の物価上昇目標を達成する見通しについて問われました。

「それにはなお時間がかかるとみている。物価安定の目標を持続的、安定的に達成できる状況が見通せるようになったとは考えていない」と述べました。

変動幅 拡大必要ない

黒田総裁は「日本銀行10年物国債金利について0.5%の利回りでの指値オペを毎営業日実施していて、経済合理性観点からは0.5%を超える利回りでの取り引き継続的に行われることはないと考えられる。日銀としては機動的な市場調節を行っていく方針で、長期金利の変動幅をさらに拡大する必要があるとは考えておりません」と述べました。

市場機能評価 なお時間要する

黒田総裁は、先月の金融緩和策の修正による市場機能改善について「運用見直しからはさほど時間がたっていないのでこれらの措置市場機能に及ぼす影響を評価するにはなお時間を要すると思うが、機動的な市場調節運営を作り続けることで、今後市場機能改善していくとみている」と述べました。

緩和策(YCC)は持続可能

黒田総裁は、YCC・イールドカーブコントロールといわれる、今の金融緩和策の枠組みが持続可能なのかと問われ「市場機能改善ということがまだはっきりする事態になっていないが、機動的な市場調節運営を行うことで今後、市場機能改善していくと考えている。そういった意味でYCCは十分持続可能であると考えている」と述べました。

国債買い入れ増加は問題ない

今回の会合を前に、日銀金融緩和さら修正するという思惑で市場金利上昇圧力が高まり日銀は巨額の国債を買い入れて金利を抑え込む対応を迫られました。

これについて黒田総裁は「金融政策については常に効果副作用を十分に検証しつつ、適切な金融政策運営を行う必要があることはそのとおりだが、現状国債の買い入れが増えたこ自体特に問題があるとは考えておりません」と述べました。

物価目標 達成できておらず残念

黒田総裁は、10年近くにわたって続けてきた大規模な金融緩和策の効果副作用について「1998年から2012年まで続いたデフレからは脱却してデフレでない状況が作り出されたということは言えると思う。ただ、賃金上昇率が十分でなく2%の物価目標安定的、持続的に達成できるような状況になっていないことは残念に思う。金融政策効果は十分にあったと思う」と述べました。

国債保有増加に特別リスクない

黒田総裁は、日銀国債の発行残高の半分以上を保有する状況にリスクがないかと問われたのに対し「現在国債保有の増加が、何か特別リスクがあるとは考えていない」と述べました。

市場修正期待 是正された

今回金融政策を維持したことで、市場に広がっていた金融緩和策のさらなる修正という観測是正できたと思うかと記者に問われ、黒田総裁は「緩和的な金融政策を維持するということをこれまでも申し上げてきたし今回もそれを申し上げている。市場金融政策の変更を期待して動いていたということがあったとすれば、それは是正されたと思う」と述べました。

市場見方が違ってもいい

市場が緩和策のさらなる修正を予想し、日銀市場コミュニケーションは上手くいっていたのかと問われ、黒田総裁は「経済市場が動くときにその将来の見通しについてマーケットの人がいろいろな見方をすることは自然な話だ。金融政策当局マーケットが全く同じ考えでないといけないということはない。私どもとして必要なことは常に金融政策についてオープン議論し、その考え方や見通しを明らかにしてそれを踏まえて金融政策を決定していくことに尽きる」と述べました。

ローン金利の動向や影響 今後も丹念に点検

先月の金融緩和策の修正長期金利の上限を引き上げたことをきっかけに一部の住宅ローン金利が上昇しました。

黒田総裁は「前回の決定会合以降、一部の金融機関国債金利の動向を踏まえて引き上げる動きが見られる。この間、大半を占める変動金利型については適用金利に変化は生じていない。住宅ローン金利の動向や影響は今後も丹念に点検していきたいと思っている」と述べました。

後任のためにというのはせん越

黒田総裁は後任の総裁スムーズバトンを渡したいという思いはあるかと問われたのに対し「依然として2%の物価安定目標を持続的安定的に達成するまでには至ってないということは事実なので、今後とも引き続き任期まではしっかりと2%の物価安定目標の実現に向けて全力を挙げたい。後任の方に何かを申し上げたり後任の人のためにというのは大変せん越ですのでそういった考え方はない」と述べました。

金利操作は今の形が適切

日銀はい短期金利10もの国債金利長期金利)を操作対象にしています

操作対象を2年ものや5年ものなどのより短い国債金利に切り替える考えがあるのか問われました。

黒田総裁は「短期政策金利と最も代表的指標である10年債の金利の2つをターゲットにして、イールドカーブ全体を適切な形にすることが最も適切ではないかと思っている。もちろん一切いかなる変更も検討しないってことではないが、今はそういった考え方にもとづいて政策を行っている」と述べました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230118/k10013952851000.html

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