K-POPに関しては大昔の少女時代くらいで知識ほぼ止まっていたし、最近だとせいぜいBTSなど見て楽曲の良さに感心したりする程度。
そんな中でついさっきたまたまYoutubeで見かけたのがNewJeansなんだが、このMVが最高すぎたのでその勢いでこれを書いてる。
このグループは最近出てきた5人組のガールズグループでデビューは2022年7月くらいらしい。
曲名は「Ditto」でMVとしては同じ曲でSide A とSide Bというふたつのバリエーションがある。
https://www.youtube.com/watch?v=pSUydWEqKwE
https://www.youtube.com/watch?v=V37TaRdVUQY
ある少女が学校でビデオカメラを回しており、NewJeansのメンバーがそこに映って一緒に楽しく学生生活を過ごしてる風景が続く。
教室、屋上、校庭などで楽しそうに踊るメンバー。ポップでありながら儚さも感じる美しい楽曲と併せてなんだか切ない気持ちにもさせられる。
曲が終わりかける頃、とつぜん子鹿が現れる。
教室や屋上でビデオを撮っているシーンが繰り返されるが、NewJeansのメンバーはそこにはいない。
え、なに、こわ・・・
MVはそのまま一人ぼっちで雨の中下校していく少女の背中を写して終わってしまう。
自分の解釈では、映像に映り込むNewJeansのメンバーは撮影してる少女のイマジナリーフレンドであり、実在してしない。
はっきりと説明されてるわけではないけど映像的にそう考えるのが自然かなと思える。
つまり孤独な少女が心の支えとすべく、NewJeansのメンバーを生み出したということなんだろうと。
これ、つまり同時にアイドルという存在そのもののメタファーにもなっているのだ。
人がアイドルに夢中になるときってどこか現実逃避だったりする部分が大きい。MVとしては少女の頭の中に存在するものとして描かれているが、
そのまんま現実のNewJeansのファンになるというストーリーでも成り立つと思える。しかしそれだと陳腐すぎる。
思春期の不安定さを感じさせるのに、ビデオカメラを回してその映像にだけ存在するというのは絶妙な演出だと思う。
ただそれだけだと、なんとなくアイドル批判っぽさが出てしまってないだろうか?しかしこのMVにはさらに展開がある。
SideAではよくわからないんだが、SideBではある男の子が重要な鍵となることが分かる。
序盤こそSideAと同じように踊ってる場面などが出てくるが、SideAに比べると引きの絵が増えていく。
カメラを回してる少女とNewJeansのメンバーとの距離が出ているのだ。
下校時に雨が降っている中、少女は一人で、ただし今度はちゃんと傘をさして歩いて行く。それをNewJeansのメンバーが見送る場面。
そしてSideAでも一瞬出てきた男の子が再登場し、少女はその男の子と手を繋いで帰っていく場面が出てくる。
メンバーの一人から少女の携帯に着信がある場面もあるが、少女は出ようとしない。
では少女は彼氏が出来て心の支えができたからNewJeansのみんなを忘れちゃったってこと?あんなに仲良く楽しそうだったのに?
そうなんだと思う。思春期の頃なんてそんなもんだ。
しかしMVはまだ終わらない。終盤で少女は大人になって再び現れ、箱の中からビデオテープを出して再生する場面が出てくる。
そのビデオテープには楽しそうにはしゃいでいるNewJeansのメンバーがしっかりと映っている。
そう、少女は孤独で心の支えとしてNewJeansに出会い、そして現実の恋に落ちて彼女たちから離れていった。
でも彼女らと一緒に過ごしていた事は彼女に取ってウソではなく、間違いなく存在していたという事実であるということ。
これぞまさしく「アイドル」そのものだと自分は感じて感動してしまった。
現実がどうあれずっとアイドルを応援し続ける人もいて、そういう人がいても自分は全然良いと思ってる。その熱量がうらやましいくらいだ。
ただ自分にとってはアイドルって子供時代や思春期に夢中になることはあっても、大人になるにつれ興味が薄れてしまうようになった。
だけどそうだよな、アイドルってそういうのだったよなというのが一気にこみ上げてきて思わず泣いてしまった。
MVの中でNewJeansがけなげに楽しそうにはしゃいだり踊ったりするのを見ればみるほど楽しいような切ないようなよくわからない感情になった。