直前になってレッドブル首脳陣によって回避されたこの計画だったが果たしてこれは正しいことだったのだろうか?
いみじくも7度のワールドチャンピオンがかつて発言したようにレッドブルは飲料メーカーである。
本質的にレーシングの世界とはかけ離れた事業を母体とした企業である。
その企業がいちスポンサーの分域を大きく乗り越え、なぜモータースポーツにこれほど深く関わるようになったのか?と言えばひとえにそれはレッドブル総帥・故ディートリヒ・マテシッツの「趣味」によるものといえる。
言ってみれば、それは非常に綿密で計画的で優秀なスタッフに支えられ多大なる予算を使ったビジネスであるかのごとき「道楽」なのである。
その「道楽」をディートリヒ・マテシッツは果たして次代にも残すつもりであったのかどうか?
一説にはマテシッツはポルシェにレッドブルを売却するつもりであったと言われている。
それはおそらく正しい判断であったと思う。
そのことが足枷となって、いずれはレーシングチームを所有することに限界が来るだろう。
そのときになって金儲けが目的の投資団体に買収されるよりかは、真にモータースポーツにコミットメントしているポルシェ(フォルクスワーゲン)のような企業に今の段階で売却するべきであるという判断は極めて正しい。
レッドブルがかつての名門チームのように没落していくよりかはポルシェチームとして輝き続ける、そのことがディートリヒ・マテシッツの本当の思いであったのではないだろうか?