2022-12-09

遊戯王は忙しいゲーム

遊戯王がここまで人気を誇示しているのは要因が色々あるんだけど、その一つに「プレイヤーの思い通りに動かせる」という部分がある。他のカードゲームだと手札であらゆることを勝負するのだが、遊戯王ではある程度必要カードを引っ張ったりすることが可能なため、事実上デッキエクストラデッキ墓地は手札と変わらず1ターン目からあらゆることが回り出す

展開のルートはある程度研究されており、自分の目指す盤面や手札、勝ち筋を自身の力量や工夫次第で作り上げられるというのは遊戯王ならではだと思う

反面、ゲームとしてはソリティアが多く、1ターンの時間が長くなる傾向が強く、シンプルで端的に終わる面白いカードゲームとは言いがたい

複雑なギミックを楽しむパズルゲームといえる

総合的に遊戯王は、複雑なテキストルールを読み解きながら膨大な知識技術自分の思い描いたことをする、とにかく忙しいカードゲーム

遊戯王にはマナコストに相当する数値化したコストがないため、カード毎に厳しい発動条件が課されており、強力なカードほど縛りはきついか制限カードとなっている

これを回避しつつ自身が目指す盤面を作りあげる

手札や墓地は当然として、エクストラや除外されているカード、時に相手の盤面や墓地も利用して柔軟に動き回り、相手妨害自由自在

一見して無意味な行動のようにみえて実は墓地カードを落としたり、デメリットしか見えないカードがとんでもないメリット効果に変貌したり、綺麗カードなのに素材にするためだけに呼び出すなんてことも多く、とにかく現代遊戯王はあらゆる場所カードを使い複雑な動きを1ターンに多く行う

現代遊戯王において出来ないことはほぼないといっていい


ここで問題になるのがその異様な複雑性だ

分かりやすくいえば1ターンでの作業の多くは目指す盤面を作るための素材集めに等しい

アニメにおいても大量のモンスターを並べたり、魔法罠を次々に発動している場面が多く、視聴者を置いてけぼりにしていることはしばしばだ

でも実際の遊戯王もっとグルグル回ることが普通だし、大量の手札誘発による妨害合戦もある

それならまだしも大半はデッキ墓地を回すことで展開を行うための作業時間

エクストラから出すモンスターはそれ自体が終着点になるわけではなく、時に他のモンスターを呼び寄せるための素材にするだけというパターンも多い

1体が複数体に化け、それを元にさらに展開というのは遊戯王の基礎動作になる

なので相手ソリティアを数分眺めているだけという時間は少なくない

結局は相手ライフモンスターパンチで0にすれば終わるだけの話なのに、そこに至るまでの過程の多くが駆け引きなどではなく、単なるソリティアによる作業時間というのはあまりゲームとして面白い物ではない

それに加え、遊戯王はとにかくルールが複雑であり、また近年はテキストが非常に長い傾向にある

10年以上前ならエースになっていたであろう「スターダストドラゴン」と、現代遊戯王でよく見る「フルール・ド・バロネス」というカードを見ればわかる

単純にテキストの長さとカードパワーに大きな乖離がある

ルールの複雑さはいわずもがな

そしてスタン落ち等のシステムがない以上、公認大会において20年以上前カードですら使用可能という膨大なカードプールを駆使することが出来る


まり

という何重にも複雑性を兼ね備えたゲーム遊戯王

実際には遊戯王のターン数は少ない傾向にあるものの、総合的なゲーム時間は伸びる傾向にある

それはソリティアがしばしば発生し、また複雑な効果を持つカードが多数あるために高度な読みや展開をする必要があるためだ

ここまでで複雑であるはいったものの、高度な読み合いや最小の手札で展開につなげるギミックなどを駆使する遊戯王パズルのようでカードゲームとは別種の面白さがある

だけどそういったもの果たして消費者にとってよいとは限らないし、個人的には「なんでここまで複雑で面倒なことをやる必要があるんだろう」と思っている

将棋ボードゲームのように時間も手間もかかる物ではないにもかかわらず、1ターンの時間制限の中で何回デッキを回せばいいんだろうと相手の動きを眺めていることは多い

将棋などはルールや動かせるコマが決まっておりルール自体はとてもシンプルだが奥深いゲーム

なので時間がかかることも理由としては納得感があるのだが

例えば「子供でも理解できて、シンプルルールで少ない時間簡単に遊べるのに戦術が非常に多くて面白いカードゲームってある?」と言われたとき遊戯王はその選択肢から外される

もちろん環境デッキなどではないファンデッキカジュアルデッキ遊戯王に無数にある物の、それらですら複雑性から逃げられることはあまりない

それを脱するならば20年前のアドバンス召喚などでモンスターを1体づつ出す化石のようなデッキか、ラッシュデュエルになるだろう

シンプルルールで少ない時間簡単に遊べるのに戦術が非常に多くて面白いカード」を遊びたければ回れ右をさせよう

ほかのカードゲームで何ターンもかけて行うような作業や展開を、遊戯王ではたった1枚のカードから何体もカードを出し最終的に盤面をひっくり返すこともでき、それはそれで気持ちいいんだが、それにしても1ターンに行う作業量としてあまりに過剰だなと感じる事も多い

遊戯王は忙し過ぎるのだ

もはや、初手を見せて「あ、この手札とエクストラなのでこの盤面にしちゃいますね」と一切のカードプレイをせずにカードをただ並べるだけでも充分じゃないかと思う日もある

そんなのはゲームでも何でも無いのだけど、頑張って展開してるさまをみて、なぜそこまで頑張る必要があるんだろうと感じる

仮に嫁や子供カードゲームをするにしても、遊戯王だけは勧められない

あの長くて面倒くさいカードテキストや複雑なルール、膨大なカードプールデッキにめまぐるしく加わる新規カードギミック禁止改訂一般人に勧めるわけにはいかない

たぶんおもうのは「なんで遊戯王ってこんなにもやることや考えることが多いの?」だろう

他にカードゲームをしていても、遊戯王は同じ時間で終わっても疲れ方が全然違う

いや、遊戯王けが特別疲れるわけではないか

マジックとかは相手ターンの動きをするし墓地や盤面やマナに注意しているし

ただ遊戯王の忙しさとは別種のものがある

対話しているが故の駆け引きあるゲームと、作業感満載のソリティアゲーの違いのような物だ

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