2022-11-03

中国「50万円EV」は黒船にはならない理由超小型モビリティの弱点

50万円EVの弱点

「50万円でEVが買える」と話題になった上汽通用五菱汽車の「宏光MINI EV」が日本への輸出を検討しているという報道があった。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ184CA0Y2A011C2000000/

巡回介護車など需要を掘り起こそうとしているらしい。

しか日本で売るにはいろいろと気になる点がある。

サイズ

宏光MINIはボディサイズ全長2920mm×全幅1493mm×全高1621mmであり、全幅については軽自動車の規格を13mm超えているためこのまま発売すると普通車扱いとなり税金が上昇する。

②横滑り防止装置がない

日本では義務化されているため、新たに装着する、もしくは輸入自動車特別取扱制度(PHP)を使用しなければならない。PHPでは年間5000台しか輸入が許可されない。

③衝突安全性

日本基準を満たしているのか怪しい。

これら問題点により、日本販売するには大幅な手直しが必要となるだろう。

超小型モビリティ制度のややこしさ

日本には超小型モビリティ制度があるが、その区分

第一種原動機付自転車ミニカー

超小型モビリティ型式指定車)

超小型モビリティ認定車)

の3つに分かれていることをほとんどの人が知らない。

第一種原動機付自転車ミニカー超小型モビリティ型式指定車)超小型モビリティ認定車)軽自動車
最高速度60km/h(道路交通法構造上60km/h個別制限付与構造上の制限なし
定格出力0.6kW以下0.6kW超0.6kW~8.0kW0.6kW超
長さ2.5m以下2.5m以下3.4m以下3.4m以下
1.3m以下1.3m以下1.48m以下1.48m以下
高さ2.0m以下2.0m以下2.0m以下2.0m以下

第一種原動機付自転車ミニカー

 超小型モビリティのうち、第一種原動機付自転車の満たすべき定格出力・大きさ等を満たしているもの

超小型モビリティ型式指定車)

 超小型モビリティのうち、原動機付自転車の大きさ以下の軽自動車であって、最高時速60km以下の自動車のうち、高速自動車国道等※において運行しないものが該当。

 この区分超小型モビリティには、最高時速60km以下の車両であることを車両後面の見やす位置に表示する必要がある。

 ※ 高速自動車国道高速自動車国道法(昭和32年法律第79号)第4条第1項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路道路法(昭和27年法律第180号)第48条の4に規定する自動車専用道路をいう。)

超小型モビリティ認定車)

 超小型モビリティのうち、認定制度によって認定されたもの。大きさ、性能に対する条件のほか、

 (1)高速道路等は運行しないこと、(2)交通安全と円滑を図るための措置を講じた場所において運行すること、

 等の条件を付すことで公道走行可能

ミニカーは出力はわずか0.6kW以下、1人乗りでないといけない。トヨタコムス、eアップルなどが該当する。

超小型モビリティ型式指定車)はトヨタ・C+pod日本で初めて、かつ唯一該当するカテゴリ。衝突安全等の基準も厳しくなっており、4人乗りもOKとなる。

超小型モビリティ認定車)は軽自動車と同じボディサイズが認められるが、基本的試験走行のための認定制度であり、運航前に大量の書類自治体に提出しなければならず、また市町村長許可した道路以外の走行はできないので、市販乗用車のように使うことは実質できないと考えてよい。

超小型モビリティ型式指定車)の弱点

国は超小型モビリティ型式指定車)を流行らせようと考えているようだが、個人的には全く流行ることはないと考えている。スズキなどが安価な軽EVを出して来たら勝ち目はない。

理由その① 税金

軽自動車EVと全く同額の税金が課されるため、税制優遇にはならない。

理由その② 価格

国は軽自動車と同じような安全性能を求めているので原価は上昇し、結局軽とあまり変わらない値段になってしまう。

コストが変わらないのであれば、ユーザー高速道路も走れて4人がゆったりと座れる軽自動車流れるだろう。超小型モビリティ型式指定車)の立場はどこにもない。

ミニカーEVの利点

ここで出てくるのが第一種原動機付自転車ミニカー登録EVであるミニカー登録は1人しか乗れないが、

車検不要税金激安

軽自動車のような安全性能は求められないのでコストダウンができる

・電費がよいので走行コストも激安

補助金も出る

・排気量50cc扱いなのでUber配達に使う場合でも緑ナンバー不要

・最大積載量90kg(原付バイクでは無理)

メリットも大きい。

定格出力が0.6kWしかなくてもトルクの制限がないため、たくさん荷物を積んでも電気モーターの特徴でもある大トルクを生かして楽に走行できる。昔あった、原付FRPのボディをかぶせただけのものとは比較にならない。

現在トヨタはC+podの1人乗り・ミニカー登録仕様製作してフードデリバリー実証実験を行っている。

https://www.youtube.com/watch?v=mX9hnodbRnw

助手席を取っ払っているため、長尺物も積める広いスペースができている。エアコンもついている。

こんなに快適な配送車が50ccのカブと同じ維持費である

この配送車と同じような中国製ミニカーEVが数十万円で販売され、さら補助金もつけば、配達用途として大ヒットする可能性がある。

中国製車両軽自動車基準に合わせて販売するのはかなりのハードルがあるが、ミニカー登録ならばハードルは極めて低い。

また、宏光MINIよりもさらに安く作ることも可能と思われる。

本当の黒船は宏光MINIではなく、中国製ミニカーEVではないだろうか。

  • ちょっとそこまで用にミニカーのちょうどいいやつは欲しい

    • 屋根と側壁があるなら雨風を防げるし、助手席が無いなら車両感覚を掴みやすくてヘタクソでも擦ったりぶつっかたりせずに運転できそうだし、割と乗りたい

  • まぁ、宏光MINIも中国でバイクの代替で若者に流行っただけだし、 超小型モビリティーの法規・サイズに適合するなら日本で作った方が法規守るのも、ニーズに応えるのも楽だからな。 ...

  • 利用もせずにいうけど中国製という時点でゴミだと思ってる。購入するなら人柱覚悟でやるものだね。

    • 利用もせずに言うけど中国のターゲットはアフリカ、中南米、南アジア。気がついた頃にはトヨタが高価なゴミになっている。

  • ×黒船 〇泥船

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