2022-08-15

【再計算】蟻を足で踏んづけてしま確率

通勤中、足元をアリが横切るのをみた。危うく踏むところだった。

今回は踏まずに済んだが、今までに何度となく踏んでしまっているに違いない。

気の毒だが、実際どれくらいの頻度で踏んでいるか計算してみよう。

まず、アリを踏んづけるとはどういうことか。ここでは、ヒトの足の面積のなかにアリがたまたまいることを踏んだとみなす土踏まず考慮せず、靴の凹凸も考慮しない。

言い換えるなら、アリがどれくらいの確率である面積の下にいるかを求めることになる。

まりランダムで移動してくる面積の中に任意のアリが収まるかどうかを考える。

人の足の裏の総面積は、足のサイズを25cm×10cmの長方形で近似すると、これに80憶人をかけて2.0×10^12平方センチメートル、つまり200平方キロメートルだ。実際には両脚なのでその倍、400平方キロメートルになる。

一方のアリは面積は、クロオオアリだと1cm×0.3cmはあるだろう。

アリとヒトがいるのは南極大陸をのぞいた陸地の面積だから、1億5000万平方キロメートルから1366万平方キロメートルを引いて、1億3634万平方キロメートルだ。

もちろん熱帯雨林シベリアとでは人とアリの人口密度が全く違うが、概算のため省く。

また、ヒトは移動している。1秒に1歩踏み出すとすれば、アリが踏まれ場所は1秒ごとに変わっていく。前提として、ヒトは1日に2時間歩いているとする。狩猟採集民族女性が9km歩くというデータがあるし、都会の人間通勤ランチを合わせるとそのくらいだろう。最初の1桁があっていればいい概算レベルの話だ。もともとこの計算は、ヒトとアリが地上に均等に分布していると仮定している。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/18/071000013/091800005/?P=4

そしてアリの総数は、具体的な数字が出てこないが、アリの体重の合計と人の体重の合計がほぼ等しいといわれているのでそこから算出する。老若男女の平均体重を60kgとし、これが80億人。働きアリ1匹の体重は1mgから5mg、間を取って2.5mgとすると、1.92×10^17匹。日本語にすると19.7京。英語検索するとone quadrillion~ten quadrillion(1000兆から1京)と出てきて、桁として1つずれる。だが、以下のBBC記事を見ても桁数に幅があるし、そもそもこの説に対する疑問が述べられている。1京どころか100兆程度だとも言われているのだ。諸説あるが、間を取って1兆としたい。

https://www.bbc.com/news/magazine-29281253

さて、実際の計算だ。

まず、1個人が1日でアリを踏む確率は、ランダム分布するアリの面積と自分の足の裏の面積が重なる確率、これに試行回数を考える。

これはある範囲から点を選ぶのではなく、面で考える確率になる。たぶん積分を使うことになるので計算が厄介だが、ここでは概算を出せばいい。つまり地球上をアリの面積の数だけのセルに分割し、足の面積もセルに分割、そのなかにアリがいる確率を出す。

個人が1歩でアリを踏む確率

=1-(任意のアリが足の裏にいない確率)^(アリの総数)

=1-{[(南極をのぞいた陸地の総面積/アリの面積)-(足の裏の面積/アリの面積)]/[南極をのぞいた陸地の総面積]}^(アリの総数)

=1-{[(南極をのぞいた陸地の総面積)-(足の裏の面積)]/[南極をのぞいた陸地の総面積]}^(アリの総数)

=1-{[1億3634万平方キロメートル-250平方センチメートル]/[ 1億3634万平方キロメートル]}^1兆

=0.00022202。



グーグル電卓では無理だったが、エクセルだと1兆乗も計算できるとは驚きだ。

さて、アリの面積が消えてしまっているが、これは足の裏に対してアリが十分に小さいので大丈夫だろう。これは任意の点がある面積に含まれ確率と同じになる。

これを2時間続けるとなると、2時間後(実質1日の)アリを踏む確率は、先ほどの確率をpとおき、1秒で左右の2歩とすると

1-(アリを踏まない確率)^(2×60×60×2)

=1-(1-p)^(2×60×60×2)

=0.959133405535374



有効数字はせいぜい1桁から2桁なのだが、普通に歩いていたらおおよそ96%確率でアリを少なくとも1匹は踏んでしまうことが明らかになった。もちろん、都心オフィスや人工的な舗装道路を歩く都会のビジネスパースンはこれよりも確率がぐっと下がることだろう。もちろん、ざっくりした推定なので1、2桁ほどぶれる可能性はあるが、全くの的外れではないはずだ。

せっかく総人口の足の裏の面積を求めたので、全人類が一歩踏み出してアリを踏まない確率を求める。

(全人類が1歩でアリを踏む確率

=1-(任意のアリが全人類の足の裏にいない確率)^(アリの総数)

=1-{[(南極をのぞいた陸地の総面積/アリの面積)-(全人類の足の裏の面積/アリの面積)]/[南極をのぞいた陸地の総面積]}^(アリの総数)

=1-{[(南極をのぞいた陸地の総面積)-(足の裏の面積)]/[南極をのぞいた陸地の総面積]}^(アリの総数)

=1-{[1億3634万平方キロメートル-200平方キロメートル]/[ 1億3634万平方キロメートル]}^1兆

=1



気の毒に、エクセルでは桁が切り捨てられて、全人類が一歩歩くたびにアリが ほぼ確実に踏みつぶされることがわかった。人類がアリを一切殺さな確率を出そうと思ったが、あまりにも確率が低すぎて無理らしい。合掌。

追記

トラバブクマの通り、計算おかしかった。なぜか間を取った値ではなく1000兆ではなく1兆で計算してしまった。

せっかくなのでアリの総数とpとの関係を表にするとこうなる。

なお、1日で踏む確率はp2と置いた。

アリの総数1兆10100兆1000兆1京10
p0.000222020.0022179830.0219597560.199120360.8914393251
p20.95913340611111

このようにアリの総数が10兆を超えると、1日の間にほぼ確実に踏んでしまう。

ただし、確かに自然環境では土壌と素足の間にアリがいても、アリが圧死するとかは限らないという指摘も事実だろう。

コンクリートと靴のほうが例外だし、かなり意図的に踏みつけないときっとアリは死なない。

陸地はコンクリート舗装されていない場所のほうが多く、一方でそうした場所人口密度は小さい。

元来が人とアリが均一に分布しているという無茶な仮定に基づいた計算なのだ

  • 蟻を踏んだからといって、踏みつぶせはしない。 それは舗装された道路を歩いている文明人の思い込みだ。 地上の大部分は舗装されていない。 蟻の大部分は舗装されていない地面の上...

  • 日本語にすると19.7京。英語で検索するとone quadrillion~ten quadrillion(1000兆から1京)と出てきて、桁として1つずれる。 だが、以下のBBCの記事を見ても桁数に幅があるし、そもそもこの説...

  • 昼間でブクマがつかないんだよ。普通はwwww

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