2022-07-26

カルト政治から排除するのは思っているよりも大分難しい

そもそも宗教政治関係は、宗教政治に何かを命じて従わせる、みたいな形はさほど多くない。大金献金して言う事を聞かせる、という感じでもない(献金が無いわけじゃないが)。


政治家にとって最も大事なのは選挙である選挙に落ちたらただの人なのだからこれは仕方がない。

選挙活動はとにかく人手がかかる。そしてこの人手はお金では雇えない。お金で雇っていいなら金持ちほど選挙が有利になってしまうのでこれも仕方がない。

選挙には大量の「無償で協力してくれるボランティア」が必要だ。


選挙ボランティアはそんなに簡単には集まらない。集まっても特定政治思想に偏った活動家などばかりだとやりにくい。

自身が例えばリベラルに振り切ったような候補者ならともかく、大抵の候補者中道寄りの主張なのだから特定政治主張を通すために協力するという人は使いづらいのだ。

特に自民党。彼らは保守と言いつつ政策リベラルだったりする(要は基本的選挙に勝てる政策を選んでいるので見栄えが良い政策は取り入れてしまう。これがリベラル政党日本で勝ちにくい理由の一つだがさておく)。

まり政治的主張にあまりこだわりが無く、自分選挙活動に貢献してくれるボランティアというのが選挙の時にはとにかくありがたい。


思い当たるだろうが、カルト信者と言うのはこれに当たる。カルト信者宗教指導者の話に従って善意選挙を手伝う。

「この人に協力することが宗教目的である世界平和に貢献するのだ」なんてことを言われているわけなので。特定政治主張をする必要もない。あくまで末端の彼らが信じているのはカルト宗教きれいなところ、世界平和だとかそういう話で、それに反対する政治家なんてそうはいない。


かくして政治家とカルト信者距離は「健全に」縮まる。困った時に助けてくれる人を邪険にできる人なんてそういるわけじゃないんだ。

カルト別に政治家に「これをしてくれ」と明にいうわけじゃない。

政治家の手伝いをするという事は、選挙期間以外でも政治の近くにいるという事だ。

カルト信者は「うちの宗教はこんな理念なんです」「世界がこうなったら素晴らしいですよね」「あなたがやろうとしていることはきっと世界をよくします」という奇麗な部分を政治家にささやく。


これを何度も聞いた政治家は、この人たちは善意で手伝ってくれるし自分政治理念共感してくれる。彼らの(きれいな部分の)理念を正しいと思う人もいるだろう。

だったらちょっとくらい顔を出して応援したりメッセージを出したりしてあげようか、と思うのも不思議じゃない。

また彼らの「美しい」理念を少し取り込んであげよう、と考えるかもしれない。例えば「こどもをよりよく育てるには家庭が大事ですよね」なんてメッセージ、正面から否定できるだろうか。


こうなってくると政治家側から「全てのカルト」を拒否するのは難しい。外形的には単なる善意選挙協力者なのだし、こうした人たちをすべて排除すれば自分落選するだけだ。

反社会的勢力のように明確にNGだと定義されている団体ならともかく、新興宗教からと言って直ちに反社会的カルトだと決まったわけでもない。

そしてお世話になれば少しは恩返しをしたくなるのが人情。近くでよさそうな事をささやかされ続ければそれが自分理念であるように感じてしまうのが人間であり、政治家も例外ではない。


本来は、近づいてきたボランティアがどんな宗教団体に属していてそれが反社会的活動を行うような団体なのかを個別審査しないといけないのだ。が、これはかなり難しい。そもそもカルト認定機関なようなもの存在しない。もちろん、統一教会みたいな有名どころのカルトであれば協力している政治家は言い訳できないが、彼らも名前を変えて近づいてきたりするから十分な知識が無いとうっかり協力を受けてしま可能性もある。なかなか質が悪いのである


というわけで政治選挙)と宗教と言うのはそんなに簡単に切り離せるものではない。つまるところどちらも明確な線引きのしづらい人間活動なので。

なにか出来ることがあるとすれば、ある宗教反社会的カルトかどうかを調べて周知する機能、やはりある程度は報道に期待したいところではあるのだが。

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