2022-07-15

今一番必要なのは政府からの強いメッセージだ。

テロを許さないことと、それと同時に背景にある社会問題に対して解決する意思があること。これを政府から強くアピールする必要があったはずだ。

つのミッションを両立させることが今回の事件日本に対して突きつけた問題だ。これをはっきりさせられる立場に最も近かったのは日本政府だが、会見を見る限りその意思を感じることはできなかった。

とてつもない難問ではあるが、それでもこれらは同時に成し遂げられなければならない。

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すでに日本は、銃がないから甘く見られているだけで実際はテロ天国みたいなものなのかもしれない。サリンガソリンダブリンシベリア密造銃と工夫ばかりしやがって。だがそれでも、テロリズムで問題解決させる、テロ成功体験をもたらすというのは社会的にはマイナスの要素が大きい。リベラル界隈(自分観測範囲は主にはてな内だけど)はすでに取り込まれていて、犯人を持ち上げるようなコメントが珍しくない。面白半分なのかもしれないがそれは面白半分で済む問題ではないのだ。

彼らはほとんど忠臣蔵世界に取り込まれているように見える。

一方の保守界隈は見たくないものを見ない権利を最大限に行使していて、試しに虎ノ門なんとかを見てみても統一教会の欠片も出てこなかった。彼らの日本にはカルトによる被害など無いのだろう。やったね。

現実にそこにあるカルト否認するのもまたカルトに与することだ。もちろんもっと様々な反応はあるが、全体像に正しく対処できてるとは思えない。

一番苦しんでいるのはこれまでカルト問題に地道に取り組んできた(主に弁護士ジャーナリストの)先達たちだろう。

何十年も地道に一歩一歩活動してきたものが、いきなり吹き飛ばされそうな猛烈な追い風が吹き、かつ、追い風に乗って下手にオーバーランすればテロリズムの成功例としてカルマを積むことになる。

本来、周りの環境が激変したところで彼らの歩みは何一つ文句を言われる筋合いはないはずなので、ペースを崩さずに歩み続けてくれることを祈るしかない。

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テロ成功体験を与えないことと、カルト問題解決することが、今回の事件でまるで対立事項のように見えてしまっている人が多いと思う。

いや実際対立しちゃってるので全く余計なことしやがってという気分であるのだが、現実問題としてどちらかを選んで他方を捨てるというのは受け入れるわけにはいかない。

色々考えたが、結局必要なのはアナウンスなのだろう。暴力には屈しないが問題解決する。浮かび上がった問題解決するが、それでも暴力は許さない。そういったことを地道に叫び続けるしかない。

そのようなとき重要なのは政府からメッセージだ。政府には危機事態に対してメッセージを発する義務がある。

なんとなく自分が思い描く理想の反応というのは、以下のようなものだ。よく覚えてないけどインデペンデンスデイのようなイメージで書いてる。

民主主義の営みに対する直接的な攻撃によって人命が失われた。背景にどのような社会問題があったとしても、これを日本政府絶対に許容しない。

社会問題、あるいは個人的な苦境であれ、それは暴力ではなく社会福祉によって救済されなくてはならないし、日本政府にはその意思がある。

オプション)国では適切な窓口を用意している。連絡してくれれば、あなた問題を国がサポートすることを約束する。ぜひ利用してほしい。

(理想的なオプション)完全に匿名相談できる窓口も用意されています個人で抱えきれない問題に対して、法的に安全相談できる環境なので、一度でいいから連絡してほしい。

とにかく苦しいときは連絡してほしい。政府は皆さんをサポートすることで暴力自殺テロリズムを防ぐ強い意思を持っています

あなたがどのような問題を抱えていたとしても、それを暴力解決しようと決断しないでほしい。お願いします。」

自分で書いててもピンとこないけど、多分そういうメッセージをひたすら政府が発信することがいま求められていることだと思う。テロ再生産をしないという目的社会問題解決するという目的を同時に達成するために。

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(心の声)

政府メッセージを発するという機能も、この10年なんとなく失われ、総理大臣が会見をする風景がとても珍しくなった。

完全匿名相談窓口を政府が開いたとアナウンスしたとして、その匿名性を、政府のフェアネスを信じる下地もなんとなく失われたように思える。

正直言って詰んでる気がしないでもない。

それでも、綺麗事政府叫び続けることは民主主義国家にとって必要なことだと、今はまだ思っている。

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現状を見る限り、このままだとテロ対策カルト対策も出来ないまま、分断が果てしなく広がる未来しか見えない。

今は昭和97年。我々は二度目の世紀末を生きている。

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