音痴と聞くとまず想像するのが「音程という概念がない」状態だろう。
亜種として「リズム音痴」なんてのもある。
「正直、完璧にピッタリではないけど明らかに外れて聞こえるわけでもない」
程度に合っていてなお、「えええ…」となる歌唱が実在することを、最近思い知らされた。
多分「アイドル的な売り方」に該当するであろう某女性グループが、同じような他の2グループと合同ライブをやったときのこと。
内容的には、司会者にゲストも呼んで歌ありトークありミニゲームありコントありな「バラエティをライブで見せる」系の催しだった。
そんな中、彼女らが「2人ずつ2曲続けてお送りします」というプログラムに差し掛かった。
なんでも彼女らと同じ事務所の大先輩で、今やソロであちこち出張する程度に「こなれてきた」子の持ち歌をカバーしたらしい。
2曲ともアップテンポで盛り上げる歌だったので、これはアツいと思った。
ところが…終わってみれば盛り上がりどころか、盛り上げに向けての緊張感すら微塵もなく、結果こちらの盛り上がりたい気持ちが萎み、白けただけだったのだ!
本当に「なんにもしていない」歌い方としか形容のしようがない。
なんだか歌に全然興味ない若い女性が、義務感と付き合いだけで仕方なく歌うカラオケを想像してしまったというか。
ぱっと見、熱心に歌っているのに、聞こえてくるのが「地声でのおしゃべりの音量を、ただ大きくしただけ」みたいな歌声だったので、本当に面食らった。
これまでの自分の経験だと、音程とかリズムだけ見ればこれよりもっと酷い、申し訳ないが聴いてて思わず吹き出すレベルだったり、あるいは聴くに堪えないような下手くそでも、曲を盛り上げ、感情を込めようとする気持ちは普通に声に乗ってきていた。
そんなこともあり、彼女らの歌い方はまさかの新種発見?という感じだった。
ちなみにこういうこと書くと
「どうせアイドルやってる奴なんて皆似たようなもんじゃん」とか言い出す人がいると思う。
確かに、本職のプロ歌手やプロダンサーと比べても…というのは認める。
しかしそれを前提にしても、少なくとも当日の他の2グループは明らかに「ちゃんと」人選してきていた。
かたや歌上手い子、ダンス上手い子、自作曲を自分で歌うだけじゃなく「界隈」に提供している子が、歌もダンスもそこまで得意じゃない(でもトークとイベント企画は上手な)リーダーをがっちりアシストしていた。
かたやトークできるけど元々「歌って踊ること」に憧れたor歌とダンスで売ろうと腹をくくった本気系3人が、せめて歌だけでも伸ばそうと地道に練習している子をうまくカバー。
結果、歌とダンスの好印象はこの2グループに持っていかれたと言っていい。
まあプログラムを振り返るに、上述のグループにとってこのライブでの歌はおまけで、トークとかのお笑い要素とルックスを押し出す形で出演したんだろう。
そしてSNSでの反応を見る限り、何よりファンもそういう彼女らを「子猫ちゃん」的に可愛がってる人達に感じられたので、需要に対する供給はマッチしていたようだ。
あなたのことが嫌いです