投資におけるレバレッジとは他者の資金を利用して自己資金以上の投資を行うことだ
信用取引やFX、ローンを組んだ不動産投資なんかがメジャーだが、ナスダック100指数の2倍に連動する「レバナス」と呼ばれる投資信託が最近特に人気を博していた
まあ去年までのナスダックはバブルもいいところだったので、そういうハイリスクハイリターンの投資商品が人気になるのは世の常ではあるが
もちろん「リスク高すぎだろ! 止めとけ止めとけ」という声も同時に盛り上がりを見せ、ネット上ではレバナス肯定派と否定派の激しい論争が繰り広げられていた
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ここで否定派の急先鋒だったのが のっち @nocchi0820 だ
こいつはインデックス投資激推し(というかそれ以外の投資法にいちいち喧嘩を売る)だけあって、その手の投資法でよく見られるシミュレーション結果を持ち出してきた
(1年のリターンが○%でリスクが▲%だと、30年後の平均リターンは○○%、50%の確率で××%を上回る…みたいなやつ)
ずばり、「レバレッジはリターンの平均値を上げるだけで中央値を下げるから悪!」という結果である
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平均値というのは外れ値に弱く、例えば平均年収だったら一部の金持ち連中が平均値を引上げてしまうので
一般的な年収より数字が高めに出てしまう。そこでよりよく全体を代表する数字として出てくるのが中央値であり
中央値とは全体の半分がここより下、半分がここより上という数字である
更に付け加えるなら、これは統計での説明なので投資のように確率の話であれば
中央値とは半分の確率でここより下、半分の確率でここより上という数字である
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話を戻そう。レバレッジをかけるほどそれに比例してリターンの平均値は上がるが、
これは高いリターンをあげる一部のパターンが平均値を引上げてるのであり、
レバレッジが大きすぎるとむしろ中央値が下がると確率計算で導くことができる
詳しい計算方法の説明はネットにいくらでも転がっているので、↓のようなサイトを参照されたし
【衝撃】レバレッジはリターンの中央値を下げる。3倍レバレッジが危険な理由を定量的に説明。 | 社畜がインデックス投資で資産を築く
つまりは、いくら平均値が上がっても運が良いときにやたらハイリターンになるだけで
さて、上で自分は「レバレッジが大きすぎると」と書いた。何故か?
それは適切なレバレッジはむしろリターンの中央値を向上するからだ
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レバレッジを横軸、リターンの中央値を縦軸に取るとグラフは山の形をしている
つまり、レバレッジが低いとレバレッジが高まるほどに中央値も上昇し
一定のレバレッジで中央値がピークとなり、その後はレバレッジを上げるほど中央値も下がる
というわけで、このピークの部分を目指すのであればむしろレバレッジは中央値を上げるのだ
なんだレバナスのレバレッジ2倍ってそんなに悪くないじゃん!!
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ここで問題なのは、レバレッジの最適値を求めるにはリターンとリスクの値を推定する必要があることだ
リスクはともかくリターンは時期によって違いが大きいことが知られており、
過去30年の平均リターンがそれより前の30年と違うので今後30年も推して知るべしという状況である
なので一般的な回答としては色々な推定値で検討した結果を参考にしつつ、
何だか曖昧な結論になってしまうが、自分の資産のどこまで投資するかとか
資産のうち何割を株で何割を債券に投資すべきか というような資産運用上根本的に重要な問題も昔から同様の結論である
(というか、前者はレバレッジをどれくらいにするべきか(ただしレバレッジは1倍以下)という話なので当然同じ結論になる)
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なのだが、レバレッジ否定派には「レバレッジは中央値を下げるから悪!」「リスクが取れるなら株式100%が最良!」といった論調も根強い
そもそもリスクの自乗がリターンを上回った場合の最適レバレッジは1倍以下になるので
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ちなみに証拠金取引を利用すればいくらレバレッジをかけても中央値が低下しないことも可能であり
既に↓のように話題になっている
GMOクリックのレバCFDをレバ指数ETFと比較する - FIer: 投資でセミリタイアする九条日記
この場合、含み損益が生じることでレバレッジが当初の値からずれるのが特徴であり、
件の急先鋒はこれを評して「資産に対して借金が膨らむので危険!」と否定しているのだが安心してほしい
資産に対する比率が膨らむことがあるだけで借金の総額はどうあがいても一定である
(恐らくアセットアロケーション(資産全体に対する株や債券など、種類の異なる資産の割合)が将来のリターンを決めるという