2022-06-20

レバレッジはリターンの中央値を下げるとかい大嘘

投資におけるレバレッジとは他者資金を利用して自己資金以上の投資を行うことだ

信用取引FX、ローンを組んだ不動産投資なんかがメジャーだが、ナスダック100指数の2倍に連動する「レバナス」と呼ばれる投資信託が最近特に人気を博していた

まあ去年までのナスダックバブルもいいところだったので、そういうハイリスクハイリターンの投資商品が人気になるのは世の常ではあるが

もちろん「リスク高すぎだろ! 止めとけ止めとけ」という声も同時に盛り上がりを見せ、ネット上ではレバナス肯定派と否定派の激しい論争が繰り広げられていた

 ◇ ■ ◇ ■ ◇

ここで否定派の急先鋒だったのが のっち @nocchi0820

こいつはインデックス投資激推し(というかそれ以外の投資法にいちいち喧嘩を売る)だけあって、その手の投資法でよく見られるシミュレーション結果を持ち出してきた

(1年のリターンが○%でリスクが▲%だと、30年後の平均リターンは○○%、50%確率で××%を上回る…みたいなやつ)

ずばり、「レバレッジはリターンの平均値を上げるだけで中央値を下げるから悪!」という結果である

 ◇ ■ ◇ ■ ◇

ここで平均値中央値について一般的な補足を加えよう

平均値というのは外れ値に弱く、例えば平均年収だったら一部の金持ち連中が平均値を引上げてしまうので

一般的年収より数字が高めに出てしまう。そこでよりよく全体を代表する数字として出てくるのが中央値であり

中央値とは全体の半分がここより下、半分がここより上という数字である

更に付け加えるなら、これは統計での説明なので投資のように確率の話であれば

中央値とは半分の確率でここより下、半分の確率でここより上という数字である

 ◇ ■ ◇ ■ ◇

話を戻そう。レバレッジをかけるほどそれに比例してリターンの平均値は上がるが、

これは高いリターンをあげる一部のパターン平均値を引上げてるのであり、

レバレッジが大きすぎるとむしろ中央値が下がると確率計算で導くことができる

詳しい計算方法説明ネットいくらでも転がっているので、↓のようなサイトを参照されたし

【衝撃】レバレッジはリターンの中央値を下げる。3倍レバレッジが危険な理由を定量的に説明。 | 社畜がインデックス投資で資産を築く

まりは、いくら平均値が上がっても運が良いときにやたらハイリターンになるだけで

程々の確率で達成できる値が下がっていくので問題なのだ

さて、上で自分は「レバレッジが大きすぎると」と書いた。何故か?

それは適切なレバレッジはむしろリターンの中央値を向上するから

 ◇ ■ ◇ ■ ◇

詳しくは先述したようなサイトを参照していただきたいが、

レバレッジを横軸、リターンの中央値を縦軸に取るとグラフは山の形をしている

まりレバレッジが低いとレバレッジ高まるほどに中央値も上昇し

一定レバレッジ中央値ピークとなり、その後はレバレッジを上げるほど中央値も下がる

というわけで、このピークの部分を目指すのであればむしろレバレッジ中央値を上げるのだ

先のサイトでは最適なレバレッジを1.75倍と試算している

なんだレバナスレバレッジ2倍ってそんなに悪くないじゃん!!

 ◇ ■ ◇ ■ ◇

ここで問題なのはレバレッジの最適値を求めるにはリターンとリスクの値を推定する必要があることだ

リスクはともかくリターンは時期によって違いが大きいことが知られており、

過去30年の平均リターンがそれより前の30年と違うので今後30年も推して知るべしという状況である

なので一般的な回答としては色々な推定値で検討した結果を参考にしつつ、

最終的には自分の取れるリスクを元に決めようということになる

何だか曖昧結論になってしまうが、自分資産のどこまで投資するかとか

資産のうち何割を株で何割を債券投資すべきか というような資産運用根本的に重要問題も昔から同様の結論である

(というか、前者はレバレッジをどれくらいにするべきか(ただしレバレッジは1倍以下)という話なので当然同じ結論になる)

 ◇ ■ ◇ ■ ◇

なのだが、レバレッジ否定派には「レバレッジ中央値を下げるから悪!」「リスクが取れるなら株式100%が最良!」といった論調も根強い

というか上で挙げた否定派の急先鋒、お前だよお前!

そもそもリスクの自乗がリターンを上回った場合の最適レバレッジは1倍以下になるので

株式100%は最良じゃなくなるからな?

 ◇ ■ ◇ ■ ◇

ちなみに証拠金取引を利用すればいくらレバレッジをかけても中央値が低下しないことも可能であり

既に↓のように話題になっている

GMOクリックのレバCFDをレバ指数ETFと比較する - FIer: 投資でセミリタイアする九条日記

この場合含み損益が生じることでレバレッジが当初の値からずれるのが特徴であり、

件の急先鋒はこれを評して「資産に対して借金が膨らむので危険!」と否定しているのだが安心してほしい

資産に対する比率が膨らむことがあるだけで借金の総額はどうあがいても一定である

(恐らくアセットアロケーション資産全体に対する株や債券など、種類の異なる資産割合)が将来のリターンを決めるという

金融理論の一大法則を気にするあまり過敏になっているのだと思うが

普通に投資してても資産額が大きくなったかリスクを下げる為に割合をいじるとかやるので意味の無い批判だ)

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん