2022-06-08

Kendall (2007)について適当に調べました。

Kendall (2007)に関する雑感。筆者は経済学学位を持っていますが、因果推論は専門ではありません。なのでコアな分析妥当性について判断を下すことはありません。あと短時間でパパっとみた結果なので、網羅的に全ての情報を集めることはできていません。それを理解した上で読んでください。興味深い部分をまとめると

1. Kendall自体はしっかりした経済学者。指導教官ヤバい経済学で有名な Steve Levitt。

2. 指導教官のLevittは自身ブログで、読んではいないけど、結果にはSkepticalと述べている。自然実験を探さないとね、とのこと。

3. Kendall (2007)は最終稿のようなものではなく、これからブラッシュアップしていく段階のように(僕は)感じる。

4. Kendallは2008年民間に移ったので、それでこの研究は中断されたのでは。

5. ただKendall自身はこのあとも研究活動を共著者らと続けているようなので、なぜこの論文だけ宙に浮いてしまったのかはよく分からない。

査読論文ならこんな素人探偵みたいなことをしなくていいのにね!

Kendallについて

-- 所属時系列とともに整合的。論文テーマから見ても同一人物でしょう。

-- 2003年シカゴ大学経済学博士号を取得した後、2003年から2008年にかけてアメリカのクレメント大学助教授として勤める。その後に転職し、現職のCompass Lexeconに勤める。

-- 最初査読論文2003年にSouthern Economic Journalに掲載されたもの

-- この謝辞にGary Becker. Pete Klenow, Steve Levitt, Casey Mulligan, Kevin M. Murphy, Derek Neal, Allen Sanderson, Lester Telser名前があることから、ここらへんの人に指導されたことが推測できる。Gary Becker, Pete Klenow, Kevin M. Murphy, Steve Levittは僕でも知っている有名人指導教官はSteve Levittのよう(下記参照)。

-- そのあとの論文を見ていると、Journal of Sport Economicsに載せていたり、Steve Levittみたいなヤバい経済学スタイルを感じる。

-- Journal of Economic Behavior & OrganizationやJournal of Urban Economicsなどのソリッドな雑誌論文掲載している。一流とは言わないけど、ちゃんとした経済学者。Journal of Urban Economicsに載った論文(https://doi.org/10.1016/j.jue.2010.12.001)は2011年のものなので、転職後も研究活動自体は続けているよう。


Kendall (2007)について

-- どちらのバージョンもRepecを通しては見つからない。SSRN(プリプリントサーバー)にも登録されていない。

-- 2006年バージョンはToulouse School of Economicsで発表したときのものっぽい(http://idei.fr/sites/default/files/medias/doc/conf/sic/papers_2007/kendall.pdf)。

-- けっこう雑じゃない?(僕は専門じゃないので分からないけど)

-- Placeboとか、そういうお作法が広まるはもうちょっと後な気がするので、そこまで要求するのは酷かもしれない。

-- 指導教官のLevittは2006年の段階では、It is not really fair (especially to your former student) to be skeptical without reading the paper, but I have to say I am skeptical of the empirical resultと述べている。(https://freakonomics.com/2006/10/pornography-and-rape/) ちゃん自然実験を探した方がいいよ、とのこと。

-- このあと同じブログで他のライターがBhullerらの論文を紹介している。Bhullerらの論文自然実験を利用しているので、自然な流れ。(https://freakonomics.com/2011/08/more-on-rape-and-porn-does-internet-access-increase-sex-crimes/)

  • NBER Law and Economics Summer Instituteで発表しているようなので、それはかなりいいシグナルのように思うが…。
  • 論文体裁としては最終稿っぽくないけど…?

-- サブミット前の論文だったらもっとちゃんとしたドメインにありそう。

-- 2007年回帰表(表1から表5にかけて)がワードで作ったやつみたい…?

-- どうもStataを使っているようなので、綺麗に作れると思うのだけど…

-- ただ大量に脚注がついていて、これはもしかしたらレフェリー対応したのかもしれない。

-- LeamerExtreme bound analysisを使っている人、はじめてみた。

ここから完全にあてずっぽう


ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。筆者のhesopennです。前の投稿と直接関係はなく、あくま自分好奇心の赴くまま、適当に調べました。あまり信用しないで、気になる部分は自身で調べて頂ければ幸いです。個人的感想として、論文評価を非専門家がするのはあまりにも難しいなと感じました。僕個人のこの論文評価は「よく分からない」です。だから狭義の専門家査読するわけですよね。

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