2022-06-08

変態的愛読推し

玄関からガサゴソと音がしたので、外を見ると、ポストに本が届いていた。足早に部屋へと戻り、急いで包装のダンボール紙を破く。内容は先日Amazonで注文した、推しが書いた本だった。ああ、ついに届いてしまったのか。急に体温が上がったように身体が熱くなる。

嬉しいのだけと、むず痒くて恥ずかしくて、思わず顔を背けた。本を持つ手のひらから汗が、じわりじわり滲んでくる。片目だけ開いて、湿った手で恐る恐る、ちょっとだけ本を開く。推し名前が書いてあるのが目に飛び込む。

これは驚いた。心臓に悪い。

夏のプールで、足先から徐々に慣らしていくように、私は自分身体に、推し文章を徐々に慣らしていく必要があった。

少しずつ本を開いていく。推しが書いた文章が目に入る。ああ、ついに推しが書いた本を買った挙句に読んでしまったのだ、という実感が身体を襲う。また体温が上がった。

共著の方が実践的な内容を書いているのに対して、推し理論的なことを書いていた。一般向けに書かれた本とはいえ、失礼ながら熱心に勉強していない分野なので、私には難しい。読み込むには時間がかかる。

残念ながら私は、頭が良くないため、文章の善し悪しが分からない。ただ、推し文章は読む時に引っかからず、つるつると読めた。不思議感覚。この表現が正しいかからないが、音が綺麗だな、と感じた。

笹の葉が風にそよいでサラサラというようで、気持ちが良い。不思議推しの優しかった人柄を思い出す。最終的には推しに頭を撫でられているような、暖かくも恥ずかしい気持ちになってきた。

今日推しの本をベッドに置いて、一緒に添い寝しよう。正直、推しとの性行為想像するよりイケナイことをしている気分になってきた……。

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