2022-06-08

anond:20220606161919

日本SF
上田早夕里 〈オーシャンクロニクルシリーズ

『天冥の標』が好きならこれもどうでしょう

気候変動後の地球舞台に、陸上民と、遺伝子改造された海上民との確執などを描くシリーズ

長編『華竜の宮』→長編深紅の碑文』という順番

それから短編がいくつかあるけれど、短編は同じ世界舞台にしたスピンオフ作品なので、どれから読んでも大丈夫

長編の方を読んで気に入ったなら、短編の方にも手を出す感じになるかと思います

  • 短編集『魚舟・獣舟』

表題作の1篇が、オーシャンクロニクルシリーズ。ほかの収録作は、ややホラー怪奇系の作品が多い

表題作の1篇が、オーシャンクロニクルシリーズ。ほかの収録作も、ハードSFとまでは言わんかもしれないけど、しっかり目のSF

  • 短編集『獣たちの海』

収録されている4作全てオーシャンクロニクルシリーズ

藤井太洋

アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を挙げていたけれど、日本SFでアンディ・ウィアーに近いのは藤井太洋とかなのではないかなあ、と

ブクマでも藤井の『オービタルクラウド』が挙がっていたし

藤崎慎吾

科学ノンフィクションも手掛けるSF小説家

実は自分藤崎作品をあまり多く読んでいないので、これ! というのを出せないのだけれど、現実科学に近い感じのSFという意味

『宙を数える』

2010年以降にデビューしているSF作家による書き下ろし宇宙SFアンソロジー

アンソロジーなので、収録作の方向はそれぞれ違っていて、増田の好みではない作品あるかなと思うのだけれど、

宇宙SFが好きなのであれば、全般的クオリティの高い作品がそろっているアンソロジーだと思います

海外SF
グレッグ・イーガン

既に多数推薦の声が挙がっているけれど、改めて。

イーガンは、初期は「アイデンティティものと言われたりする、自己同一性とか意識とかがテーマになっているような作品が多く、この時期の作品の人気が高い。また、読みやすいので、とりあえず初期短編からという薦め方がされやすい。

ある時期から物理学分かってないと分からんみたいな、かなりハードめなSF長編を書くようになっている。でも、分からんなりに楽しめたりするし、ハードSF宇宙SFが好きなら、最近作品から読んでいくのも悪くないのかもと思う。

また、わりと一貫して、科学的探求に価値を置く主人公が出てくる作品が多い気がする。

長編宇宙ものアイデンティティものの両方をもった作品データ化された人類宇宙進出していく話

ハードSF短編集。宇宙舞台にした作品多め。

  • 『白熱光』

ハードSF長編そもそも主人公地球人類じゃない。とある天体知的生命体が作りあげていく物理学をみていく作品

いわゆる「直交三部作」これもまた超ハード

我々の宇宙とは異なる物理法則支配する宇宙舞台。なので、当然登場人物たちはみな地球人類ではない。

自分たちの住んでいる星に危機が訪れることがわかったので、それを回避するために世代宇宙船を作って飛ばして、また戻ってくるという話

これまた、地球人ではない彼らの物理学進歩を見ていく話だけれど、一方で、ジェンダーSFにもなっていて、地球人とは全然異なる生態の彼らの社会問題を扱った作品でもある。

イーガンは、この作品に限らず、結構社会派テーマも扱っている。

アンディ・ウィアー

プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読んだみたいなので、わざわざ改めて挙げる必要はないのだけど、『火星の人』『アルテミス』も面白いと思う。

キム・スタンリーロビンスン マーズ三部作

レッドマーズ』『グリーンマーズ』『ブルーマーズ』の三部作

2026年から2225年までの200年間にわたる火星植民歴史を描く物語

なお、90年代に書かれた作品なのだけど、当時あった火星探査計画ベースにしていると思われるところがあったり、かなりリアリティを追及している作品

火星独立にあたって、政治体制経済についての話も多い。

登場人物たちにクセが強いので、最初読み始めた時はそれに慣れるまできついかもしれない。

個人的には真ん中の『グリーンマーズ』が一番面白かった。

ジョン・ヴァーリィ 八世界シリーズ

長編へびつかい座ホットライン』、短編集『汝、コンピュータの夢』『さようならロビンソン・クルーソー

ハードSFというわけでは必ずしもないのかもしれないけれど、太陽系の各惑星人類が拡がった世界舞台にした諸作品

性転換などの身体改造自在にできるようになっている世界で、そうしたことテーマにした作品が多いが、

とにかく色々な惑星などを舞台にしていて、それらの風景が印象に残る

チャールズ・ストロス『アッチェレランド

シンギュラリティSF

ワイオミングまれ宇宙飛行士』

宇宙開発SFアンソロジー

もしアポロ計画が終わらず続いていたら、という歴史改変ものなど、現実世界と地続きの宇宙開発SF短編が収録されている

記事への反応 -
  • 三体からハードSFにハマった プロジェクトヘイルメアリー、星を継ぐもの、バビロニア・ウェーブ、天冥の標、息吹を読んで、今は果てしなき流れの果に、を読んでいる。 面白かった...

    • 日本SF 上田早夕里 〈オーシャンクロニクル・シリーズ〉 『天冥の標』が好きならこれもどうでしょう 気候変動後の地球を舞台に、陸上民と、遺伝子改造された海上民との確執などを描...

    • 「最後にして最初のアイドル」はハード認定していいかな?

    • 新世界より。

      • 新世界より は良いよな。 ハードSFかどうかはよくわからないけど、読んでよかった。

    • 「ハードSF」の定義を明示しないと単なる「展開がハードなSF」を紹介されてしまうぞ

    • 「夢の樹が接げたなら」短編集の表題のやつ 星界シリーズの作者だから言語学のSFは良い(逆に言語以外のSFは微妙かもしれん)

    • グレッグ・イーガンはいいぞ。 気に入ったラインナップを見ると宇宙スケールの作品が好きそうなので、いきなり「ディアスポラ」に行っちゃってもいいかもしれん。 数学をベースに宇...

    • 例えば低く唸る音が聞こえたときに "低周波で方向は分からなかったが" って書かれる。なるほど、低周波の音波は指向性が低いから音の方向は分かりにくいよなあ、ってなる。こんな風...

    • △△△<教えてあげないよ! ジャン♪

    • 新世界よりしかない

    • ハードSFの定義論は避けるが 科学的描写は精密だけど、やってることは探偵モノとか艦隊士官モノ SF的要素がストーリーの根幹に結びついている話 後者の方が好み、だと予想しておすす...

    • ネクサス(著者 ラメズ ナム)

    • そのラインナップが気に入ったのなら、ティプトリーとかどうだろうか。 「愛はさだめ、さだめは死」か「輝くもの天より堕ち」あたりをお勧めしたい。

    • 天体の回転について

    • 読んでないけどきっと三体ってのが書かれるんだろうなと思ったけど書かれてなかった

    • ダン・シモンズの〈ハイペリオン〉四部作。 『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』『エンディミオン』『エンディミオンの覚醒』

    • 個人的ベストは「星を継ぐもの」なんだけどもう出てるから。 海外作家じゃないと認めん!とかでなければ酉島伝法さんの「宿借りの星」と「皆勤の徒」はいいよ。 どちらもページを...

      • 大して読んでないのに書くな。西島は面白いがハードSFではない。エルピスも違う。ラノベでハードSFぽいのは円環少女とかやろな。

        • ハードSFじゃない言うんなら 三体がまずハードSFやないっぺさ

          • 三体はその通り。この文脈で酉島伝法(本持ってるのに西島だと思ってたw)だしてくるあたりから伝わるんやが、たまたま読んだ本を薦めるやつが嫌いやねん。

            • >たまたま読んだ本を薦めるやつが嫌いやねん …マンガやドラマでよくある本人の拘りにはやたら厳格で仏頂面の関西人ていうステレオタイプな人を想像した(苦笑) てか、面白い本な...

    • オービタル・クラウド

    • 入手しづらいかもしれないけど三体にハマったのならRCウィルスンの三部作がお勧め あとは上がってるけどイーガンかな

    • 敢えて古典的作品で ・渇きの海(A.C.クラーク) ・重力の使命(ハル・クレメント) ・竜の卵(ロバート・L・フォワード)

    • 小松左京の長編 中編、とくにさよならジュピターとか 虚無回廊とか 今読むと古臭い部分もあるが 小松左京の後継者は日本にはまだ誕生してない、 現在も唯一無二の作家と作品だと思...

      • 虚無回廊は後継者に続きを書いて欲しかったがさすがにもう無理だろうなあ……。

    • 戦闘妖精雪風 ライトジーンの遺産

    • あえてマンガで 藤子不二雄f sf短編集  古典的なSFの要素が網羅されてると思う

    • 「ロケットガール」「タイム・リープ あしたはきのう」「星の、バベル」(絶版スマヌ) 映像作品を入れて良いなら「恐竜惑星」を見るのだ

      • 「タイム・リープ あしたはきのう」はハードSFではねぇだろ

    • anond:20220606161919

    • 伊藤計劃の「ハーモニー」は良かった。 ハードSFのカテゴリかどうかわからんけど三体がOKならOKではないかと。

    • 宇宙のランデヴー

    • 三体はハードSFではないやろ。「星を継ぐもの」「夏への扉」ばっかりだった10年前よりコメント欄のレベルが上がったね。イーガン、ニーヴン、フォワード、ベンフォードを薦める人...

    • 三体は、大雑把に〈80年代宇宙SF〉とくくれる世界設定/テイストの物語を、めちゃくちゃ巧みなストーリーテリングで仕上げた作品と言えるからな。 どれくらい巧みかというと、非SF者...

    • ヴァーナー・ヴィンジ『遠き神々の炎』

    • 長谷敏司 のBEATLESS ビートレスもよいかな

      • ヒロイン?のアンドロイドめっちゃ好きだけど(単行本のカバー絵も)、アレはハードSFと呼ぶには軟派かとおもう(だけど劇中でアンドロイド達が勢揃いしたシーンで、いちばん乱暴者...

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